八代
せっかく熊本まで来たのだから
ということで、八代まで行ってきました。
僕と同じく最終審査まで残りつつも敗れた堀内案の構造を担当していた佐々木事務所の後輩と共に電車に揺られ、敗戦の傷の癒し旅。
八代はのどかでした。
住宅街を普通に歩いていると、地元のおじさん・おばさん達だけでなく、女子中学生までもが
「こんにちわ」と声を掛けてきてくれます。
みなさんさわやかでとても良い街だと思いました。
![未来の森ミュージアム](https://stat.ameba.jp/user_images/e2/07/10040234914_s.jpg?caw=800)
八代博物館
街の人と同様にとてもさわやかに出迎えてくれました。
ギャラリー8
外観にまつもと市民芸術館エントランスの原型を感じました。ずーっと持ち続けている形なのだということがわかり、ある意味、感動しました。
八代広域消防署
僕が学生時代に出来た建物ですが、雑誌でこの建物を見て、カッコイイ!というのとは違った意味で建築の可能性というか奥深さみたいなものを初めて感じたのがこの建物でした。ようやく本物を見ることができ、嬉しかったです。
新八代駅前のモニュメント
構造解析とか構造設計が出来る出来ないとかではなく、単純に、僕には出来ない、とそう思いました。
余談ですが、JR九州は普通列車も含め車両に気合が入っていて好きです。
↑有明号
なんとなくヨーロッパ調で重そうなところがいいです。
いろんな意味で軽さを醸し出しすぎているJR西日本の車両とは対照的でよかとです。
モクバンR2 -優秀賞受賞-
モクバンR2コンペの最終公開審査が熊本県庁にて行われました。
宗本晋作さんと一緒に提出していた”木衣 -キゴロモ-”という案は、残念ながら勝つことは出来ませんでした。
会場にいらっしゃった方であればご理解いただけると思いますが、僕らにとっては勝つことのできたコンペでした。
最終審査の終盤は、宗本晋作案(構造担当:満田)と高池葉子案(構造担当:佐藤淳)の一騎打ち的な様相で、常にその両案が審査員からの質問攻めにあうという展開。両者互いに経年変化という木材の抱える永遠の難題に対して、審査員を満足させる回答をすることができませんでした。
その結果、宗本案・高池案の両方が優秀賞止まりとなり、木の外側をカバーする(仕上げる)と言った渡瀬正記案(構造担当:不明)に勝利が流れてしまったというのが、率直な印象です。
(敗者としてではなく、客観的に構造エンジニアとして彼らの案を評すると、あの前面の大きな開口部は耐震性能上それなりのリスクを有していると僕は感じていましたので、そのことが明確にならないままに彼らが勝つことは無い、と思っていました。が、雨漏り・経年変化のことほどに構造性能のことが問われることはありませんでした。もちろん、第1回目から通過してきた案なので、そのリスクについては今回までで既に議論済みだったのかもしれません。とにかく彼らは紛れも無く唯一の勝者であり、そのことは純粋に賞賛されるべきことです。)
結果的に僕はあの審査の場で一言も発することは無かったのですが、そのことも含め、敗因はエンジニアとして案を完璧にサポートしきれなかった僕にあります。
今回の宗本案のコンペにおける勝負所は施工実現性だと読んで、モックアップに望み、例え100点に到達していなくても95点は取れる案を用意したつもりでした。また、95点で勝てるという算段でもありました。
実際、審査員の先生方はそのことについて非常に高く評価してくださいました。が、同時に、僕らの案が最終的に100点にまで伸びる可能性があるのかを執拗に問うてきました。期待の現われでもありましたが、僕らはその期待にこたえることはできませんでした。
簡単に言えば、95点とれていることに満足し100点がとれる可能性について十分な検証をしないまま進めてしまったことが敗因である、ということです。そして、伊東さん曰く「それはプロフェッショナルではない」と。
宗本さんもモックアップを実施してくれる岡山の組合を手配してくださったり、相当に努力してくださっただけに、その最後の5点分のフォローをしきれなかったことに、今の自分の甘さや力量不足を感じてしまっています。少しへこみました。
審査会終了後の打上げ懇親会の後は、優秀案止まりとなった2チームの他、入賞案(堀内葉子案)の構造担当の磯崎さんらとともに夜半過ぎまで反省会+ストレス発散飲み会。
熊本だけに馬刺しと馬ホルモン焼きが美味かったです。
佐藤さんがあんなに大食漢+辛党だとは思ってもいませんでした。
ヴィヴィッド・テクノロジー
ヴィヴィッド・テクノロジー がいよいよ本日発売開始です。
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アーキフォーラム(2006-2007シリーズ)の講演録です。
全11章のうち7章が若手構造家による講演録です。
僕はそのうちの第7章を担当させていただきました。
若手構造家については、月刊誌上での座談会や個人にスポットをあてたミニ特集などはいくつかありましたが、こうした形式でここまでまとまった本はおそらくこれが初めてではないかと思います。
非常に読み応えがあり、かつ、とても面白い本になっています。
(僕自身が共著本の著者の一人でもあるので、自作を持ち上げるのは本当はおかしな話なのですが、なにせ自分の担当以外に10章分もありますので、著者というよりは読者の気分にもなれてしまいます。)
構造家だけでなく、
OMAの重松さん、今村創平さん、有馬裕之さん、木村博昭さんら建築家の講演も4本収録されておりますので、構造はちょっと苦手・・・という方であっても、そちらだけで十分に楽しめるものになっています。
その4本の中で一番面白かったのは重松さん。
重松さん曰く、ドバイを評して
ここまでアイコンが茶番化した都市で、建築はもっとベーシックに戻る必要があるのではないか。
と。
CCTVがまだ竣工していない状況でよくそんなこと言えたもんだな、とCCTVのコンペで負けてしまった側の僕としては思うのだけれども、所詮、負ければ賊軍か。。。(ちなみに彼の講演は2006年10月)
そのもう少し後の段落で、深セン証券取引所について
CCTVのような究極のアイコン建築をつくったあと後に何をつくるかは事務所にとって中国での方向性を明確にするという点でとてもプレッシャーのかかることでした。
と言いきってます。
つまり、建築物として完成していようがいまいが、CCTVという(究極の?)アイコン建築はすでにつくってしまった過去のモノだそうです。その割り切りがOMA的だということなのでしょうか。
世界の経済情勢を踏まえスターアーキテクトとして何をつくるか、という視点にはなかなかに触れられるものではありませんので、とにかく彼の話は軽快に読めました。
彼の講演はこのシリーズの趣旨からは少し外れてしまってはいるのですが、僕にとっては、そんなことはおかまいなしです。とにかく色々なことが腑に落ちましたので読めて満足です。
ですので、構造は苦手という方であっても、重松さんの話目当てに本を手にとってみて、そこから我々構造家のページに入ってきていただくという読み方でも良いかもしれません。
意外なくらいに構造然としない話のオンパレードですから。きっと読めると思います。
決してワールドワイドではありませんが。。。
章立てや各著者(講演者)のプロフィールについては学芸出版社のページ
にてご確認ください。
また、同じページから、代表編者の小野暁彦さんが、熱く書いてくださった、序文(はじめに)と結語(おわりに)を読むこともできます。
巻頭と巻末の往復書簡も各人の個性が現れていて面白いです。
入魂の一冊、是非、ご購入の上、ご覧くださいませ。
宝ヶ池
勤労感謝の日でしたが、家族サービス。
リュックサックにお弁当を詰め込んで、徒歩で宝ヶ池までぷちハイキング。
いわゆる紅葉の名所ではありませんが、それなりに綺麗ですし、混んでいない分、快適です。
国立京都国際会館 (設計:大谷幸夫/1966)が比叡山をバックにいい建ち方をしてくれているのがたまりません。
名和研二講演会@造形大
京都造形芸術大学にて名和研二さんの講演会がありました。
パワーポイントではなく、フォルダ内の写真をその場で選びながら見せていくという、『入念には準備していない』かのような、名和さんらしいプレゼンテーション。
「その技術については頑張らなくてもよい」
という名和さんの設計上の流儀がスライドの見せ方にも現れていて、感心。
それでいて、なるほど!と思わせる、ツボをつく建物の作り方をたくさん見せてくれます。
物質的に豊かであることよりも生き方が豊かであることの方が幸せである、ということを、名和さん流に表現してくれているのだと、そんな風に感じます。
表現の仕方は全く違えど、思うところは僕と何も変わらないというのが、面白いところ。
とても楽しかったです。
講演会後の会場入口では、刷り上ったばかりのヴィヴィッド・テクノロジーが販売され、景気良く全冊さばかれました。アーキフォーラムでの講演録です。名和さんも僕も1章ずつ担当しています。自分でいうのもナンデスガ、とても面白く、中身の濃い本です。後日詳しく紹介します。
売り場では、名和さんと僕の即興サイン会に。
生まれて初めて、
「サインしてください」
と言われてしまいました。
佐々木事務所の退職記念に妹島さんと西沢さんに同じ台詞を言ったときも随分と照れましたが、人から言われるのはもっと照れますね。ニヤついていなかったか心配です。
書店には11月末日から並ぶそうなので、しばしお待ちを。
お後は、近くの小料理屋で懇親会。2次会は名和さんのご指名で天下一品総本店へ。
その後は、北バチ(北白川バッティングセンター)で40球ほど打ち込んだあと、京大横の屋台で2時過ぎまで飲みました。
2次会からは懐かしの学生B級ツアーでしたが、とても楽しかったです。
木製曲面パネル -モックアップ-
更新あきました。
最近は、現場や新しいプロジェクトの他、研究の方でも忙しくしておりますが、
箱展のオープニングや教授の還暦会、Lesslie E. Robertson氏の講演@京都
など、イベントも多数あり、リフレッシュはできてます。
さて、現段階で勝ち残っている実施コンペがひとつありまして、今は、最終審査に向けてリアリティを詰める作業中です。
本日はそこで採用予定の木製曲面パネルのモックアップの見学へ、岡山県は西粟倉村まで行って来ました。
コンペ絡みなので残念ながら写真はアップできませんが、職人魂というか熱心に作ってくださったおかげでモックアップの出来が非常に綺麗でした。また、最終的に詰めるべき問題点がクリアになってくるなど、有意義な時間がすごせました。
来週、再び工場まで行く予定です。
ここまでやっていただいたからには、何としても『勝ち』という形でお礼がしたいところです。
アーキフォーラム2007 ゲスト:佐々木睦朗
5月末にお世話になったアーキフォーラム ですが、すでに新シリーズがスタートしています。
今週土曜日は2007シリーズの第2回講演です。
ゲストは佐々木さんです。
ええ、もちろん、行きますよ。
ってか、講演依頼に一枚噛んでますので、行かないわけにはいきません。
関西の皆さん、是非、ご参加くださいませ。
詳しくはこちら で。