モクバンR2 -優秀賞受賞- | だから構造家は、楽しい

モクバンR2 -優秀賞受賞-

モクバンR2コンペの最終公開審査が熊本県庁にて行われました。


宗本晋作さんと一緒に提出していた”木衣 -キゴロモ-”という案は、残念ながら勝つことは出来ませんでした。


会場にいらっしゃった方であればご理解いただけると思いますが、僕らにとっては勝つことのできたコンペでした。


最終審査の終盤は、宗本晋作案(構造担当:満田)と高池葉子案(構造担当:佐藤淳)の一騎打ち的な様相で、常にその両案が審査員からの質問攻めにあうという展開。両者互いに経年変化という木材の抱える永遠の難題に対して、審査員を満足させる回答をすることができませんでした。


その結果、宗本案・高池案の両方が優秀賞止まりとなり、木の外側をカバーする(仕上げる)と言った渡瀬正記案(構造担当:不明)に勝利が流れてしまったというのが、率直な印象です。


(敗者としてではなく、客観的に構造エンジニアとして彼らの案を評すると、あの前面の大きな開口部は耐震性能上それなりのリスクを有していると僕は感じていましたので、そのことが明確にならないままに彼らが勝つことは無い、と思っていました。が、雨漏り・経年変化のことほどに構造性能のことが問われることはありませんでした。もちろん、第1回目から通過してきた案なので、そのリスクについては今回までで既に議論済みだったのかもしれません。とにかく彼らは紛れも無く唯一の勝者であり、そのことは純粋に賞賛されるべきことです。)


結果的に僕はあの審査の場で一言も発することは無かったのですが、そのことも含め、敗因はエンジニアとして案を完璧にサポートしきれなかった僕にあります。


今回の宗本案のコンペにおける勝負所は施工実現性だと読んで、モックアップに望み、例え100点に到達していなくても95点は取れる案を用意したつもりでした。また、95点で勝てるという算段でもありました。


実際、審査員の先生方はそのことについて非常に高く評価してくださいました。が、同時に、僕らの案が最終的に100点にまで伸びる可能性があるのかを執拗に問うてきました。期待の現われでもありましたが、僕らはその期待にこたえることはできませんでした。


簡単に言えば、95点とれていることに満足し100点がとれる可能性について十分な検証をしないまま進めてしまったことが敗因である、ということです。そして、伊東さん曰く「それはプロフェッショナルではない」と。

宗本さんもモックアップを実施してくれる岡山の組合を手配してくださったり、相当に努力してくださっただけに、その最後の5点分のフォローをしきれなかったことに、今の自分の甘さや力量不足を感じてしまっています。少しへこみました。


審査会終了後の打上げ懇親会の後は、優秀案止まりとなった2チームの他、入賞案(堀内葉子案)の構造担当の磯崎さんらとともに夜半過ぎまで反省会+ストレス発散飲み会。

熊本だけに馬刺しと馬ホルモン焼きが美味かったです。


佐藤さんがあんなに大食漢+辛党だとは思ってもいませんでした。