タイムマネジメント2024版(9)組織の軸
集団にも軸があるさて、これまでは自分軸を中心にタイムマネジメントの解説を進めてきました。個人の軸が集まると集団の軸ができます。ゲーム理論という考え方があります。人の損得行動を考える上で参考になる方法論で、その中に「共有地の悲劇」というのがあります。いま、牧畜を営んでいる村を想像してみてください。牧草地は村人の共有地になっていて誰でも自由に使うことができます。牛を飼っている村人達は少しでも多くの牛を育てようと考えます。村人Aが牛を今よりも1頭増やしたときの損得を考えてみましょう。この場合、Aは牛1頭分だけ販売時に収入が増えることになります。一方、共有の牧草地で飼育されている牛が食べることのできる牧草は牛を増やした分だけ少なくなるので、1頭あたりの体重は減少することになります。しかし、この減少分は共有地で飼育されている牛全体で負担することになるので、Aにとってはプラスの効果の方が大きいと判断するでしょう。村人Aのこうした判断は他の村人全員にも共通しているので、結局村人全部が牛を増やそうとして、結果的に共有している牧草地が足りなくなってしまいます。これが「共有地の悲劇」です。このように、自分軸だけで物事の判断をすると集団としては困ったことになる場合があるのです。個人としてタイムマネジメントがうまくできても、それは部分最適ではあっても、全体最適になるとは限らないのです。ちょうど「情けは他人のためならず」と同じですね。周囲の人の自分軸をわかってあげることで、めぐりめぐって自分を助けることになるのです。部下育成も一時は大変ですが、部下が育てば結局は自分が楽になります。お客様にも大切にしている軸がありますし、上司や部下にも軸があります。自分の軸を大切にしつつも、他者の軸にも配慮した判断ができれば、双方に最適なタイムマネジメントになるのではないでしょうか。