声迷線の彷彿線 どこ行き? -17ページ目

あのビルから



今日は朝から
濁り空
アスファルトの
湿った匂いと
夏の匂いが
鼻をくすぐる

そんな天気は
幾分丁度良い
何故なら
大嫌いな
あの人が
ニガテな空気だから

晴れ晴れした
笑顔を
見なくてすむ日は
束縛感も
薄れて
身体が軽い

だからあのビルの
屋上からの景色も
綺麗に見える
何時もは粉々に
したいほどなのに

手摺りから身を
乗り出して
穴が開く程
見つめて居よう

こんな日は長く
続かないから

明日になれば
きっと
僕はこの景色に
ちょっと
色を付け足して
しまいそうだから

影に




もうすぐ太陽は
真上に来る頃

僕は心地悪さを
布団と共に
引きずって
眠たげな瞼を
無理やり
こじ開ける

目眩する程の晴天に
少し残念な気持ちに
なって
遮光カーテンの
レールに手を掛ける

この薄暗い場所が
とても
とても
安らぐから
今日は
このまま居よう
部屋の鍵は閉めて

そして
うずくまって
闇の中
生をじっくりと
体感していよう

光は他人に任せて

朱い線路

終電のホーム
疲れ果てた
背広姿が揺らいでいる

背中をポンと
押すだけで
その人の全ては
癒やされるだろうか

少し離れた
電光掲示板から
そんな想像している
僕は
やっぱり彼女が
云う様に
思考回路が
狂ってるの
でしょうか?

違うだろう
誰だって
頭の中で
独りぐらいは
滅茶苦茶にしてる筈

猟奇的な殺人を
犯しては
脳の中のモヤモヤを
祓い切ってる

貴方も貴女もアナタも…

ヒドく頭が痛いから
早く薬を買いに行こう
隣街まで

誰にも
知られたく無いから

こんな僕は
見られたくは無いから

青いベンチシートに
もたげて
ぐるぐる回る
目の奥に残る
残酷な残像を
早く消して…