声迷線の彷彿線 どこ行き? -122ページ目

朱と黒

ゆったりと廻る
時計にアイマスクを
被せて
少しだけ刻を
忘れてみた

水槽のなかで泳ぐ
蘭寿とせせらぎだけが
忙しなく動き続ける

目を瞑り
呼吸を整えて
身体を横たえると
浮游して行く意識

ほんの束の間
指先にくるまる
テントウ虫の寝息

朝が訪れて
由々しき難題が迫り
山積する実像に
忙殺されたとて

クルクルと
羽音も発てず
翔んで見失って
しまえそうな

そんな気がした
妄想空間

脳が勤務超過のせいで
思考停止寸前
寝墜ちの3秒前…

朱と黒の景色








SIFFON

だらしなく
無駄に手間暇と
時間を持て余してる
昼下がり

グレイのテーブルに
書き掛けで
放置気味
忘れていた落書きの
汚れた紙と色鉛筆が
恨めしそうに
転がっている

ソファーに
首筋と退屈を
預けながら
さて 今日は
これから どうしよう
かと
現在進行形で思案中

取りあえずは
火照った頭を
冷蔵庫に突っ込んで

100㎞程先にある
部屋まで辿り着く
最善策を
導き出さなければ
ならないな

しごく 面倒な事
この上無い限り
だけども

まぁ 先ずは
務めて冷静になる為に
冷製した
オレンジピールの
シフォンでも
口に運びながら

口直しにミントの
効いたハーブティー
片手に ゆらゆらして

丸めて皺苦茶に
変わり果てて
屑籠に落っことした
色でも奇麗に
塗るとでもするか…

そこから先は
先走る程
成り行き任せに
放り投げて

隔てられた風景を
覗き見出来るか
何故だか二度も
遭遇した

赤ん坊を抱いた
知らない あの人に
尋ねてみよう

時計台の下で

茜射すアスファルトに
粘り付く
切なげな重苦しさを
接続して捨てて行く
点滅する信号を
渡る人の残像

意味無く振り返り
ぽつん と鳴る
ただ 忽然とした
胸を湿らせる
佇みに
何とは無しに
掌が温度を上げる

去る日の思い出に
また来る日は在ると
自嘲気味に
問い掛けてみて

ふとして漏れた
含み笑いに
戸惑いながらも
独り 黄昏れを
擦り抜けながら歩く

肌に迫る ひやりと
睫毛に迫る じわりが
余りにも
似合い過ぎるから

自転する速度よりも
ほんの少し早足で
雑踏を掻き分け
腕を伸ばしてみたい

何する訳でも無く
約束も 宛も無く…

さりとて
自ら望んで
希望の無い
夢を描く
秋の夕暮れ時

家路を辿る
道すがらに…