【特別区における現状と課題について】総務局行政部をお招きし特別区を取り巻く状況と、首都東京独自の制度としての「都区財政調整制度」について勉強会。

私自身、基礎自治体の現場(大田区議3期)からの視点だと、地方分権の流れの中で、もっと現場に権限と予算を!!との想いがあるのも事実ですが、一方で、都が良い制度を創っていても、地元区で事業化されなければ、区民が恩恵を受けられない現状もあり、
都民一人ひとりにとって、より良い行政サービスの在り方を考える機会となりました。
 
特に、現在厚生委員会においても、こどもを児童虐待から守る条例制定と、児童相談所の自治体への移管にむけた動きがある中で、より現場の政策を前に進める為に何が求められているか。

都と区の役割を改めて考えます、
 
都庁全庁で取り組んでいる都政改革本部における『見える化改革』
「今後、市区町村の皆さまと共有する事によって、共に課題を解決して参りたい。」と東京都総務局行政部より伺いました。
 
◎特別区を取り巻く状況
・特別区は、2035年をピークに人口減少に転じると見込まれ、医療や介護等の社会保障関連経費は今後ますます増大すると見込まれている中で、
①少子高齢化②地理的要因③社会基盤・インフラ(ストック的要因)④産業⑤自治体行政
に関する課題分析
人口推計〉大田区においては人口は2045年まで微増していく
老年人口〉急激な高齢化が予想される・合計特殊出生率は、全国的にも低水準。
地理的課題〉特別区東部や臨海部には海抜ゼロメートル地帯が存在
社会基盤・インフラについて〉特別区における木造住宅密集地域は、ドーナツ状に広く分布
空き家、空き家率とも増加傾向。災害や治安悪化リスク。学校公共施設の老朽化
産業について〉〇製造業の集積する大田区・葛飾区・墨田区では、事業所数の減少が進んでおあり、ものづくり集積の維持・発展に向けた取組が必要。農家数、経営耕地面積減少傾向
自治体行政について〉区は全国平均を上回るペースで職員数を削減。全国に先駆けて行政改革に取り組み、健全財政運営を維持する一方で、景気変動を受けやすい構造。扶助費の増加
・多摩地域
・島しょエリア
 
◎都区制度について
都区制度は、全国で23区のみに定められた制度であり、
大都市の一体性確保と住民自治の両立
〇高度の人口集中、大都市の実態に対応する為、都が大都市の一体性・統一性を確保する観点から導入。近年では、世界的な都市間競争に勝ち抜き、活力と魅力ある首都東京を創造していく為に、大都市の一体性確保が求められる との都の見解。
〇より住民に身近な行政・「住民自治」の実現
大都市においても地方分権を推進し、住民に身近な行政を、住民により近い自治体である特別区において出来るだけ処理する。
→広域自治体である都が、大都市の一体性確保の役割を担う点が、この制度の大きな特色であるが、大田区議会議員を3期務めた経験からは、もっと現場に権限と予算を!との想いを持ってきたことも事実である。
 
都区制度の中で、どの様に都と区の役割が位置付けられているか。
・道府県→(広域)(連絡調整)(補完)・市町村→一般的に普通地方公共団体の事務
・東京都→(広域・連絡調整・補完)特別区に関する連絡調整に関するもの(連絡調整)
大都市地域における行政の一体性および統一性の確保の観点から当該区域を通じて都が一体的に処理する事が必要と認められる事務・特別区→都が一般的に処理するものを除く一般事務

《東京都と特別区との事務配分のイメージ》
都が行う市町村事務―例)水道事務、下水道事務、消防事務など
区が行う保健所設置市・中核市等相当の事務―例)保健所の設置、飲食店営業等の許可など
 
◎都区制度の歴史 
戦後、35区を22区に整理(同年、板橋区から練馬区が分離し、23区体制に)
平成12年 都区制度改革
 
◎都区財政調整制度
23区特別区相互間で調整を行う事を水平調整
 
★各区の固定資産税の収入額 
固定資産税の徴収は、一度東京都が全て行い、その内の55%を区に配分している。
税収に連動して、自動決定する。
 
「都区の在り方検討委員会」の今後の開催予定は?
事務の見直しと、区域の規模の適正化。都区間の
 
かつて、在り方検討会の協議の中で、都として児童相談所をどの様に区市へ移管していくかという議論であったが、国の法改正に伴い、基礎自治体が希望し、手を上げたらの手上げ方式との事で、在り方検討会とは、話しが別という背景がある。
・一部事務組合、保健所、福祉事務所、
 
今の児童相談所の議論は、23区がバラバラに手を挙げて準備を行うー今の状況がイレギュラーである。
基本的に、住民の生活に身近なものは、基礎自治体が行うとして事務事業の移管が行われてきた経緯がある。
 
広域的なものをどの様に定義しているか、明確なものはない。《広域事務とは何か》
区側の主張としては、自分の区を超えたら広域事務?
 
都側としては、50万人くらいの人口を目安として
23区というのは、山手線の内側1,2km、山手線の外側エリア 
一方で、自治体同士の連携も、他で行われている。
 
広域事務の規模(人口や面積)のみならず、複数の区をまたがって行った方が効率的な事務という事務事業の性質は、明確に定められているか。
 
高等学校の設置―区が設置しても、都でも国でも設置できる。
 
今回、31年度の都区財政調整フレーム
配り方としては、区への一般財源として、区に配られた時点でお金の色が消えてしまう為、自治体による。
 
区によって、人口によって配分した方が良い項目と、面積によって配分した方が良い項目があり、メインは人口ベースだが、昼夜人口で大きな差がある自治体もあり、様々な計算式がある。
 
また、児童相談所の移管にも伴い、現在の55%配分を、もう少し自治体に予算配分を増して欲しいとの声も、個別課題として挙がっている。
現在は、練馬区以外のすべての区が児童相談所の移管の意向がある。
 
東京都から、その都度区へ権限が移された、事務移管により、調整率の推移が行われてきた。
 
リーマンショック時には、都としても8000憶円程度に落ち込み、現在ようやくもとに戻って超えた。
 
23区の再編に関しては、現在23区長がいる中で、区みずから改革が働くはずもなく、最終的には区側の自発的な発議が求められるが、他の地域では、人口減少により、単独でフルセットでの行政運営に困難をきして合併が行われてきたが、都内においては人口も維持できているので、そういった動きも働きづらい。
が、旗振り役は、東京都からでは、中々難しい現状があり、
23年12月より『都区の在り方検討会は止まっている現状がある』