【令和7年度予算特別委員会】ミライ会議を代表して予算討論を行いました。
2025年3月26日
◯ミライ会議を代表して、知事提出の第一号議案、一般会計予算及び第22号議案に反対し、知事提出の第一号議案に対する修正動議に提案者としての賛成の立場から討論を行います。
私たちは、中学校英語スピーキングテストに関連する予算には反対です。削除して、減額分を予備費に充当すべきです。
公立中学校の三年生に対する英語スピーキングテストは、都立高校の入試に活用するためだけの試験であり、しかも、国立、私立、県外の中学生との不公平を生むことなどから不適切です。また、その成果は高校では全く生かされず、これをアチーブメントテストと呼ぶことはできません。
一、 二年生に対する英語スピーキングテストは、中学校の英語指導に活かされるよう、その実施判断も含めて区市町村教育委員会または各中学校の自主的判断に委ね、都はその補助を行うなど、支援に徹するべきです。
都が一律に行う英語スピーキングテストは、効果も見えずその予算は無駄です。修正案へのご賛同をお願いいたします。
(たった10分間のテストに36億円使うよりも、教員を増やして一人ひとりの英語力を伸ばす教育に予算を使うべきと訴えました❗️)
令和7年度一般会計の歳出総額、9兆1,580億円が計上され、過去最大となった令和6年度予算を7,050億円上回る規模となっています。
事業評価による財源確保として、令和5年度1,141億円、令和6年度1,266億円、令和7年は1,558件、1,303億円としていますが、一方で都税収入は、前年度に比べ、大幅な税収が続いています。
都税収入は、法人関係税収の占める割合が多く、景気変動に左右されやすい不安定な構造とされておりますが、今後、都税収入が減少に転じても、持続可能な都予算でなければなりません。
税収が上がったのは、インフレが原因であり、今、都民生活も、中小企業、地域経済も原油価格の高騰と物価高で大変厳しい現状があり、過去最高の税収による果実が十分に届いているとは言えません。
一方で東京都は、「世界を惹きつける魅力にあふれた都市の実現」として、観光関連に686億円もの巨費を投じています。ナイトタイム観光の目玉として、プロジェクションマッピング、お台場海浜公園噴水整備に26億円等が、計上されておりますが、インバウンド向けの観光政策は、都がやる必要がないと考えます。
値段が上がって、都民や日本人が困っており、予算は、都民のために使うべきです。
都政の過去の歴史を教訓として、税収が好調だからといって、思いつきと言われかねない予算が漫然と計上されていないか、事業の検証と費用対効果の検証を行うべきであり、今回の予算質疑を通じても、噴水事業を都が行う妥当性について十分な説明がなかった事を鑑みて第22号議案に反対いたします。
○ 公教育の在り方について、申し上げます。
国会での予算修正により、全国的に高校授業料無償化が進むことになりました。東京都は、私立高校で学ぶ生徒数が都立高校よりも多い、唯一の都道府県です。少子化の急激な進行により、児童生徒の人数が少なくなり、高校の統廃合が必須となる中で、公私の配分をどうするか、明確な方針が必要です。
また、企業における従来の「メンバーシップ」型採用から「ジョブ型」採用への転換に対応して、大学教育も「入学時の質の確保」から「卒業生の質の確保」へと変化せざるを得ません。
近い将来を見通せば、高校教育も偏差値重視から自ら考え、生きる力を身に着けていく複線的教育へと転換していく「教育のビジョン」を示すべきです。
また、教員等学校関係者による「いじめ」、それによる「指導死」について、子どもの命という基本的な権利を守る行政の使命を果たすため、公立私立を区別することなく、条例による規制を行うべきです。
○明治神宮外苑再開発について、申し上げます。
都市計画は、「適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念」とするもので、民間が所有する土地に対して「制限」をかけるものであり、都は神宮外苑再開発の当事者としての責任は免れません。
小池知事就任後の2018年3月30日の「神宮外苑地区(b区域)まちづくりの検討に係る今後の取組等に関する確認書」で、「事業実施」について、従来の「東京都主導の土地区画整理事業」とされていたものが、
「公園まちづくり制度や市街地再開発事業の活用も想定して検討を進める」と明記され、
現在の、三井不動産による「にぎわい施設・商業ビル」化に舵が切られました。そして都の取組として「公園まちづくり制度の活用要件等を検討する」ことを事業者に約束しています。
「確認書」に従って、明治神宮内苑護持のために都市計画の地区計画を決定、変更するということは、都もその責任を共有していることにほかなりません。
憲法の政教分離原則の問題があり、訴訟リスクがあることを指摘せざるを得ません。
「公園まちづくり制度」では、適用の要件の一つとして「未供用区域の面積が2.0ha以上のもの」とされている関係で、JSCの秩父宮ラグビー場を「未供用地」にしました。ならば、神宮外苑地区(a区域)にあるJSCの新国立競技場も土地交換後の「新秩父宮ラグビー場」も「未供用地」となります。
しかし、これらの施設は「教育文化施設」として認識されており、「未供用地」とするのは都民、国民の常識にも反します。「神宮外苑地区のまちづくり検討会」の審議記録を読んでも、「秩父宮ラグビー場」がなぜ「未供用地」なのか明快な説明がありません。
(結局、東京都が「未供用地」というから「未供用地」なのだということしかなく、「道理」がありません。「無理が通れば道理が引っ込む」ということであってはいけません。)
知事が所信表明で述べられた「世界遺産登録も見据えながら、江戸から続く歴史文化の価値や奥深い魅力を明らかにする」のであれば、世界文化遺産登録の審査を行うイコモスと対立するのではなく、明治神宮外苑再開発に対するイコモスのアラートに対して、真摯に向き合うべきです。
○東京都の開発について、申し上げます。
まず、住宅についてです。
東京都の2020年調査では、1人世帯の割合50.2%と最多、次いで、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が22.0%、夫婦のみの世帯が16.4%、一人親と子ども世帯が7.3%と、一人世帯の割合が更に高くなっており、かつての「標準世帯」、すなわち「夫婦と子供2人の4人で構成される世帯のうち、有業者が世帯主1人だけの世帯」はとっくに無くなっています。
戸建て、賃貸を含めて、東京都の将来人口、世帯数、世帯構成を勘案した住宅政策が必要であり、空き家対策、マンションの建て替え対策に加え、
街の景観を維持し、投機目的のマンション建設を抑制するためにも高層マンションの総量規制も検討すべきです。
また、インフレ基調の中で工事費の高騰が避けられない蒲蒲線など、最初は費用を小さく示しておいて、工事に入ると費用が増加する、いわゆる「小さく産んで大きく育てる」方式の公共事業は厳に慎むべきです。
○ 東京都の産業政策について、申し上げます。
連合の集計によれば、今年の春闘では、従業員300人未満の中小企業351組合の平均で月額1万4320円、率にして5.09%ということでした。
しかし、インフレによる生活苦の中で、中高年の人たちの賃上げが抑制されていること、
医療分野では低い水準となったなど業種によってバラつきがある結果となったこと、
約4割を占める非正規雇用者の待遇が改善されていないことを指摘しなければなりません。
かつて「京浜工業地帯」と言われた地域には技術力をもち日本の高度成長期を支えた中小企業が数多くありますが、
これら製造業分野の「地場産業」が、その技術を継承し、新しい時代に対応して発展し、そこに働く人たちの給料があげられるようにするため、
中堅企業が零細企業をしっかりと守っていく体制を作り上げるため、東京都のきめ細かな支援が必要です。
また、スタートアップは、今後の経済成長のカギを握る政策です。
起業家精神を養うためには学校教育の段階から取り組む必要があり、都民投票で採択された「東京の未来を拓く起業家教育循環システム事業」が、合意解除されたことは極めて遺憾です。
最終的に年度末に清算する費用について年度途中での不正使用という概念がそもそも成立しませんし、予算の振り込み手続きは第一四半期に全額概算払いをして年度末に清算すれば煩雑ではありません。
また「スルガ銀行判決」のような「第三者」の名のもとに「一方当事者」である会社・法人側の虚構のストーリーをバックアップする結果をもたらす「第三者委員会ビジネス」への警鐘もならされており、都は、法政大学からの申し出に対して責任をもって精査すべきです。
○ 最後に、東京一極集中について、申し上げます。
法人事業税や法人住民税は、各都道府県に対して従業者数比で按分されるため、本社が集中する東京都に各社の税金が集まります。
東京都では、本来の都道府県の法人二税の税収に加え,23区の法人住民税の税収も都税として徴収されており、平成7年度2兆5362億円、令和6年度2兆3015億円とされています。決算が出ている令和5年度の公表データをみると、全国の都道府県の法人2税収入は5兆8680億円、東京都は2兆3299億円で、東京都は圧倒的なシェアを占めています。
都は、この豊かな税収を財源に、他の都道府県ではできない「無償化」や「018サポート」、さらには、プロジェクションマッピングやお台場噴水にまで予算をつけている一方で、
都市公園の整備や都営住宅の整備など本来都が行うべき事業を民間ディベロッパーにさせ、都民の財産を譲り渡しています。
私たちは、豊かな東京都の財政を、都が使い道を決めて「ばらまく」のではなく、減税を行って都民に還元する、都税として徴収している23区の税を基礎自治体である23区に還元するなど、
それぞれが最も適切に使える予算と権限を提供すべきと考えます。
また、東京都が日本をリードする気概があるのであれば、東京だけが栄えるのではなく、東京とそれ以外の地域が共に繫栄する道を歩むべきだと申し上げ、ミライ会議の討論を終わります。