ネロうむ! まことに美味であった!

シロー「お、口に合ったみたいでよかったよ」

マシュ「えへへ、ここのビーフシチューとってもおいしいですよね!」

ネロ『びぃふしちゅう』というのか、うむっ!





ネロ「かつてのカザンにも美食があふれておったが、これほどのものはそうあるものではなかった!

 店主よ! 素晴らしき時間をありがとう!

シロー(リアルでそう言ってる人初めて見た……!)

剣崎おお! 料理人としてこの上ない誉め言葉だ!





剣崎「よければ食後のデザートとコーヒーをサービスさせてもらいたい。ささやかな返礼だ」

ネロうむ! ゆめゆめ素晴らしき店であるな! 気に入った!

マシュ「えへへ、私もお気に入りなんです!」

フォウ「フォウフォウ!」

剣崎「嬉しいな! では、貴女と小さいお客様にもサービスさせてもらおう!」





まこぴー「あの子、ちっこいのにずいぶん態度でかいのね」

シロー「は、はは……まぁ、な」

まこぴー「そのわりに、テーブルマナーは完璧だったし……」






まこぴー「あの子、何者?」

シロー「なんてーか……元皇帝?」

まこぴー「?」





ネロ「ふ~む……ほぅ……石造りのようだが継ぎ目が見えんな。あれほど巨大な一枚岩を削り出し、そこに鏡をはめ込んでおるのか?」

シロー「一枚岩に鏡て……いやなんてーか、え~と……」

ネロうむっ、違ったか! この時代の建築築城、まことに興味をそそられるな!

マシュ「ち、築城……?」





マシュあ、そっちは危ないですよ!

ネロうむ、わかっておる! しかし、『くるま』と言ったか。魔力や魔石を用いた技術はカザンにもあったが……うむ、なかなかのパワーとスピード! 余の居た時代には馬車しかなかった!





ネロ「ふむ、これが現代……これが未来……うむ! 楽しいなシロー、マシュ、フォウよ!

マシュ「えへへ、はい!

フォウ「フォウフォウ!」

シロー(豪胆というかなんてーか、流石は元皇帝ってとこか。バイタリティすげぇなホント)





ネロしてシローよ、余は腹がすいた!

シロー「堂々と言うなよぉ……そういう意味でもすげぇな」





マシュ「えへへ、私もおなか減りました。もうお昼時ですね」

ネロ2度目の朝食プランディウムも過ぎておるのでな!

マシュ「え、えっとぉ……?」





ネロよって、汝お勧めの料理を食してみたい!

シロー「ネロお前、朝食3回くらいお代わりしてなかったか?」

マシュ「えへへ、アイオワさんの朝ごはんおいしいですからね」

ネロうむ! ふわふわした卵にパン、あの朝食も絶品であったが……」


 ※アイオワさんが作ったので、ベーコン付きスクランブルエッグにパン、簡単なサラダとスープ





ネロ「せっかくの昼食である。『現代』の美食……よりもっと味わってみたいと余は思っておる!

マシュ「えへへ、私もわかります! お昼ごはんが一番楽しみですよね!」

シロー「マシュは三食おやつぜんぶ楽しみだろ」

ネロというわけで、汝お勧めの美食、余に教えてほしいぞっ!





シロー「えぇと、なんてーか……と、いうわけで……」





ネロうむ! 余がネロ・クラウディウスである! しばしの間、ここで厄介になる!

 皆の諸君、よろしく頼むぞ!





タマモ「誰ですか旦那さま?」

アキヒロ「いや、オレは……」

ヴィダール俺も知らんぞ!

リーファ「……みなさん、ちゃんと歴史の勉強しましょうね?」





マシュえっ、えぇええっ!? だってクラウディウスって、歴史の教科書に載ってた人ですよ! 英雄さんですよ!

ヴィダール英雄?!

シロー(ヴィダ、そこに食いつくのか……)

アイン「お、おれも本で見たこと、ある……たまたま……?」





ネロ「きょうかしょ? ……うむ! 他ならぬ余である!

マシュ「ひ、ひゃぁああ!

イオナ「わ~」

アイン「おお、なんて堂々とした……かっこいい……!

アイオワWho! Fantasticね! いいわぁ!





リーファ「まったく、事も無げにポンポンとトラブルを拾ってきますね、シローくんは」

シロー「いやその……」

リーファ「ところで、あの方は……」





シロー「はいす、なんてーか説明は難しいっすけど……本物の『ネロ・クラウディウス』っす」

リーファ「俄かには信じられませんが……」





リーファ「事情の程、話してくれますよね?」

シロー「もちろんす。それに、共有しなきゃいけない話もあるんで」





ジャズ「…………!?」

シロー(ん、ジャズ……地味に驚いてんな)





ネロおお、これは余の! 帝都に置いてきたが、まさか斯様な場で会い見えようとは!

シロー「っ、てかホントにネロのだったのか!?





ネロうむ! これは余のお気に入りの品の一つである!

スティールベイン「ネロ・クラウディウスお気に入りの品、やはり……! そ、その使い方、とは……!?」





ネロ「何か硬貨のようなものは持っているか? 持っているなら少々貸してくれ」

シロー「あ、ああ。いいけど」

ネロうむ! なければ小石でも代用が効くが、やはりこうでなくては風情がないというものよ!」

スティールベイン「、……これ、は……」





ネロこの溝に並べた硬貨を上下に動かすことで複雑な計算も容易く行える! 便利な逸品よ!

スティールベイン「……そろばん、ですか……?」

ネロおお! 東方に渡りスォルーヴァンという名で呼ばれているとは風の噂に聞いたが、現代においても斯様な名で広まっておるとはな!」

シロー「……スォルー……ぶっ、ふふふ……」





シロー「はははははは! 博物館の、英雄由来の品がそろばんて……ぶふっ、ははははははは!!

ネロ「む? シローよ、なぜそんなに爆笑しておる?」

シロー「いや、だって現代に甦った英雄がそろばんとコンサートて……ぶっ、はははははは!!

ネロうむ! よくわからんが余も笑うとしよう! はっはっはっはっは!!





スティールベイン「コンサートに……そろばん……お爺様……歴史、とは……伝承、とは……」




 本営のほうでトラブルがあったらしく、しばらくブログの閲覧ができなくなってて怖かった……てっきり消されたりしたのかと

MoonNoot、ここ以外の情報伝達手段を持ってないから、急に無くなったら生存報告も何もできなくなるという事実を再認識

ツイッターとか別ブログとかやろうかしら……





ネロ「ふむ、となると……ここは余のおったカザンより、千年もの時が過ぎた後、というわけなのだな」

シロー「ああ。今この国はハーネスで、カザンは……なんてーか……」

ネロ「もうこの世界には存在しない。そうなのだろう、シロー?」

スティールベイン「…………」





ネロ「うむ……余の愛した国が無くなったという事実に、『しょっく』が無いと言えば嘘になろう。だが、栄枯盛衰は世の常」

シロー「ネロ……」

ネロ「それに、よもやシロー、汝のいた国というのが千年後のこの地であるとは、流石の余とて驚きである!





ネロ余は興奮しておるぞ! この時代にも余の名前は知れ渡っておるのだろう?

スティールベイン「、ええ。歴史の教科書にも載っていますし、博物館でも人気の展示がありまして……」

ネロふっ、はっはっは! 当然である! 当然であろう!?

シロー(カラ元気……というより、これは順応性の高さだな……さすが元皇帝)





ネロうむ、まあよい! なればこの現世において、我がネロ・クラウディウスの名においてネロ祭を催すとしよう!

シロー「ネロ祭……? 鎮魂祭のことじゃなくてか?」

ネロ「む? なんのことだ? 余はこうして生きておるぞ」

シロー「あ、あ~……そうなんだけどさ」





スティールベイン「となると、聞いたことのない……文献や記録には残されていない祭事……!?

シロー(食いつくなぁベインさん……やっぱ博物館の館長だもんなぁ)

スティールベイン一体、その内容とは……!

ネロうむ!





ネロ余の歌と芸術を持ってカザンの、ひいては余の栄光を大衆へと示さん!

シロー「……と、なると……」

ネロうむ! いわゆる『こんさあと』である!

スティールベイン「こ、コンサート……です、か……」





ネロ黄金の劇場の幕を開けよシロー! 今ここに余が現界を果たした姿、この世に示さん!

シロー「い、いやちょっと待て! 騒ぎになりすぎるって!

ネロ構わぬ!

シロー「構わぬじゃなくて!





スティールベイン「コンサート……こん、さーと……」





フォウフォウッ! フォウフォウッ!」

シロー「ぉ、わっ!?

ネロ「む? なんだこの小動物は?」





フォウ「フォウフォウ! フォウッ!」

ネロうむうむよしよし、はっはっは! よいよい、余がいればなにも恐れるものなどないのだからな!

フォウ「フォーウ!」

シロー「ネロにもすぐ懐いてるな……意外だ」





スティールベイン「そ、の……お二人、とも……無事で……?」

シロー「ベインさんこそ……っ、リリィ、リリィは!?

スティールベイン「、え……っ?!





ネロ「もう一人いた白い娘なら、すぅとこの場を離れていったぞ」

シロー「、え……?」

ネロ「うむ、戦闘の折ゆえ余も手出しはできんかったが、まぁ先の魔物以外に気配は感じん。大事ないだろう」

シロー「そ、そうか……よかった、けど……なんで……」



ネロ「ところで、汝……」



ネロ「……、おお! 誰かと思えばダマスカスではないか!

スティールベイン「は、は……?」

シロー「……ダマスカス?」





ネロうむ、しばし見ぬうちに大きくなって! やはり余の言うように父親似になったようだな、うむ!

スティールベイン「い、いえ、私は……」





ネロ「忘れたのか? 汝の両親、鋼の騎士レオ竜人レイカル……うむ! どちらも素晴らしい戦士であったぞ!

スティールベイン「レオと、レイカル……? 家系図にあったかもしれませんが、ですが……」

シロー(父と母っっつってるけど……1000年単位だろ、何代前のじいさんとばあさんなんだ?)



・・・・・・・・・・・・・







リリィ「そっか……そういう、こと……だったんだ……」





リリィ「…………お母さん……」




ざ ら っ ・ ・ ・



シロー「っ、お、おいネロ!





シロー「やりすぎんなって……!

ネロ「む、言ったであろうシロー」



ど さ っ




シロー「おっ……!」

ネロ「シローが指摘せねば気に留めんような魔力の揺らぎであったが……

 ふふんっ、余にかかれば造作もなきことよ」

シロー「は、はは……ホント、頼もしいよ」





ネロ「汝の声が聞こえたれば、それに応えんと思うたが……ふっ、先にああ言ったが、余もまるで夢を見ているようではあるな! シロー!

シロー「ああ、オレもだよ……はは、もう、なにが現実でなにが夢なんだか……」



ぎゅぅぅぅぅ!!



シロー「あぁぃ痛だだだだだだだっ!!?

フォウ「ファーッ!」

ネロうむ! 痛いということは夢ではないな! うむっ!

シロー「オレの耳でためすなよぉ……!





ネロ「だがしかし、余が水源にて剣を収めて直ぐにシローに呼ばれ、こうして再開できようとはな。ふふんっ、運命を感じずにはいられんな、シローよ!

シロー「、水源? 水源に、剣を収めたのか? 『原初の火アエストゥス・エストゥス』を……?」

ネロ「? うむ。その通りであるが?」

シロー「……そう、か……そう、だったのか……」





 そうか……オレがなんで、ここを知ってるのか……今、わかった……

なんで、姿を見せない敵が、この地を狙ってたのか、やっと、わかった……

 ここは……この場所……いや、この地は……






【 旧 カザン大水源 】


シロー「……英雄の剣で鎮められた……魔が集まり……魔が、眠る……

 竜が眠る、地だったのか……!







シロー「ネロ! そいつの芯にたぶん『人』の存在がある!

ネロ「ぬ、シロー?」





シロー「可能なら助けたい! 殺し切らないでくれ!

ネロ「むぅ、それは難儀なものよな……」





ネロだが、他ならぬシローの頼みよ。

 このネロ・クラウディウス、
全力で応じるとしようぞ!





スティールベイン「ネロ……? ネロ・クラウディウス……!? だと、いうのですか……?!

リリィ「…………!」



す っ ・ ・ ・






ギャ リ ン ッ !



ネロ「む? ふ~む、先より気になっていたが……なにやら、体の勝手が違うように感じるな。

 力が入らん? 違う、抜ける?」




ぐ ぁ っ !



ネロ「ふ~む、面妖な」



ゴ ゥ ッ !





ざ ん っ !



< 竜 殺 剣 >
ネロ「……ま、




ネロ余の手による限り、なんの問題もないがな





リリィシロー!

シロー「二人とも、無事だな!?





スティールベイン「い、いったい何が……? それに、あの方は……!?」

シロー「……正直、なんでかはオレにもわかんないっすけど……」





シロー「頼もしい、英雄……オレの友です!




ぐ あ っ !

ガ ド ォ オ ッ !



ガンッ ギャンッ!




ギ ャ ゴ ォ ォ オ オ オ オ ッ !

ネロ「ふむ、薄まってはいるようだが、やはりあの青い魔物と似た……

 同じ力を感じるな」



ゴ ゥ オ ッ !



ネロぬっ


ち り っ ・ ・ ・



ネロ余に焔で張り合うとはな、面白い!



ご ぅ っ !



< 火葬 焔幕 >



ウ ッ ・ ・ ・ !




ネロ「だが、魔力が定まっておらぬうちは図体ばかり大きかろうと風船に同じ。

 気は抜けずとも、恐るる相手ではないな!