
ネロ「ふむ、となると……ここは余のおったカザンより、千年もの時が過ぎた後、というわけなのだな」
シロー「ああ。今この国は『ハーネス』で、カザンは……なんてーか……」
ネロ「もうこの世界には存在しない。そうなのだろう、シロー?」
スティールベイン「…………」

ネロ「うむ……余の愛した国が無くなったという事実に、『しょっく』が無いと言えば嘘になろう。だが、栄枯盛衰は世の常」
シロー「ネロ……」
ネロ「それに、よもやシロー、汝のいた国というのが千年後のこの地であるとは、流石の余とて驚きである!」

ネロ「余は興奮しておるぞ! この時代にも余の名前は知れ渡っておるのだろう?」
スティールベイン「、ええ。歴史の教科書にも載っていますし、博物館でも人気の展示がありまして……」
ネロ「ふっ、はっはっは! 当然である! 当然であろう!?」
シロー(カラ元気……というより、これは順応性の高さだな……さすが元皇帝)

ネロ「うむ、まあよい! なればこの現世において、我がネロ・クラウディウスの名において『ネロ祭』を催すとしよう!」
シロー「『ネロ祭』……? 鎮魂祭のことじゃなくてか?」
ネロ「む? なんのことだ? 余はこうして生きておるぞ」
シロー「あ、あ~……そうなんだけどさ」

スティールベイン「となると、聞いたことのない……文献や記録には残されていない祭事……!?」
シロー(食いつくなぁベインさん……やっぱ博物館の館長だもんなぁ)
スティールベイン「一体、その内容とは……!」
ネロ「うむ!」

ネロ「余の歌と芸術を持ってカザンの、ひいては余の栄光を大衆へと示さん!」
シロー「……と、なると……」
ネロ「うむ! いわゆる『こんさあと』である!」
スティールベイン「こ、コンサート……です、か……」

ネロ「黄金の劇場の幕を開けよシロー! 今ここに余が現界を果たした姿、この世に示さん!」
シロー「い、いやちょっと待て! 騒ぎになりすぎるって!」
ネロ「構わぬ!」
シロー「構わぬじゃなくて!」

スティールベイン「コンサート……こん、さーと……」