猫13匹を虐待した大矢誠被告に言い渡された、懲役1年10月 、執行猶予4年の判決。
執行猶予がつくのでは、という見方もありましたが、これだけ多くの方が立ち上がり、かつてない数の署名が集まり、影響の大きい事件ですから、一縷の望みを抱いていたのですが…本当に悔しいです。
初犯であることや、税理士廃業、家族への嫌がらせなど、社会的制裁を受けていること、同じような事件の判決との兼ね合いが執行猶予の理由とのことですが…納得がいきません。
初犯といっても、これほどの残虐さ、社会への影響は大きいのに…。悪いことをすれば職を失うのは当然のことですよね。自業自得というものです。それとビラを撒かれたということですが…それがなんだっていうのでしょう。猫たちは、檻に閉じ込められ、死ぬまで煮えたぎる熱湯を浴びせられ、炎で焼かれ続け、極限の苦痛と恐怖を与えられ殺されたのです。そんなことで減刑されてしまうとは…。
執行猶予期間終了後は、いずれまた税理士として再申請が可能だということですし、制裁と言えるほどの制裁は受けていないと思います。
過去の事件との兼ね合い、ということですが、福岡猫虐待事件(こげんたちゃん事件。懲役6か月・執行猶予3年)や、保護猫15匹が殺害された川崎市 里親詐欺・猫大量虐待事件(懲役3年・執行猶予5年・保護観察付き)のことでしょうか。
前例を重視する、とは聞きますが…過去の判例に倣っていては、いつまでも変わらない。
杉本彩さんも、そうした弁護人の姿勢に「15年も前の、さらに動愛法が未整備で未熟だった時代の判決を参考にしろとは、呆れて空いた口が塞がらない」とおっしゃっていましたね。
過去に例を見ない残虐な今回の事件でも実刑にならないなら、一体どれほどの命が無惨に奪われれば実刑になるのでしょう。
人間を13人拷問して、9人を死なせたら死刑は免れないと思うのですが、殺した相手が猫というだけで、なぜこんなにも違うのか。どれほど猟奇的な手口で惨殺しても、それが猫ならば、このような恐ろしい異常者を社会に戻しても危険はないというのか。
このような被告には厳罰や監視、精神面の調査や治療が必要ではないでしょうか。
過去記事から繰り返しになってしまいますが、動物福祉の進んだ欧米諸国では、動物虐待罪は日本よりずっと重く、実刑判決が下ることは珍しくありません。
虐待行為を行った者、飼い主、業者などに対して懲役刑や、一定期間もしくは生涯に渡る動物の飼育禁止、接触禁止が言い渡されたり、被告の精神面の治療なども行われます。
昨日のイギリスのニュースでも、飼い犬の世話を怠ったとして、飼い主に生涯ペットを飼うことを禁じる判決が言い渡されました。
海外でも、ネグレクトや置き去りも含めすべての虐待ケースに厳罰が下されるわけではありませんが、アメリカやイギリスの判例を見てみると、日本ならば罰金のみで済まされるような事件でも正式裁判となり、場合によっては懲役刑、それより軽くても短期間の投獄や動物の飼育禁止、社会奉仕、虐待した動物の治療費の支払いなど何らかの処罰が下されているようです。
大矢被告の事件で、被告の体内にGPSを埋め込み監視すべき、というコメントを見かけましたが、実際にアメリカでは、動物虐待者にGPSモニターを装着しています。
以前ご紹介した、少年たちが犬を銃で撃ち線路に縛り付けた事件。
犬を撃ち線路に縛り付けた少年に懲役7ヶ月と動物への接触禁止の判決 米フロリダ州
主犯格の少年には、懲役7ヶ月・4年間の保護観察・動物との接触禁止が言い渡されました。
判事はこう命じました。
「動物との接触を一切禁じます。どんな動物であっても、たとえ魚であってもです」。
少年は精神鑑定やカウンセリングを受けたり、GPSモニターの装着、50時間の社会奉仕活動や門限の厳守を課されることになりました。
アメリカは広く、法律や動物福祉の進み具合は各州で様々ですが、「動物虐待」は50州全州で「重罪」となっています。
FBIも、これまで軽犯罪とみなされてきた
犬の虐待で逮捕された男に60年の懲役刑が科されたケースや、犬7匹を惨殺、切断した男に懲役28年の判決が出たり、連続動物虐待死事件で懲役16年の実刑が言い渡されたケースなどがあります。
また、動物虐待と凶悪犯罪の関連性についても積極的に研究されています。
アメリカでは、動物虐待は人間への暴力行為、ひいては凶悪犯罪の予兆とみなされており、FBIの連続殺人犯プロファイリングの著名な開発者、ロバート・K・レスラー氏は、動物虐待は連続殺人犯やレイプ犯の<赤信号>だと明言しています。
別の統計データでも、動物虐待者の約7割が後に犯罪者になっていることや、動物虐待者はそうでない人に比べて暴力事件で検挙される率が5倍、薬物犯罪での検挙率は3倍という数字が出ています。
★動物虐待や、アメリカの判例などについて、過去記事をリンクいたします。ご参照ください。
新たな犠牲を生まないために… 日本の警察・司法は動物虐待行為を重大視すべき!
酒鬼薔薇聖斗、宅間守、宮崎勤の共通は<動物虐待>~殺人や強姦などの重犯罪の予兆!
犬の虐待で逮捕された男に60年の懲役刑/車中に2時間犬を置き忘れた罪で捕まる~米国 日本との差
犬を撃ち線路に縛り付けた少年に懲役7ヶ月と動物への接触禁止の判決 米フロリダ州
【アメリカ】元警察署長の息子 連続動物虐待死事件で懲役16年の実刑
米 FBIが動物虐待事件を人間に対する事件と同様に捜査対象として扱う決定
米テネシー州 動物虐待犯の個人情報を期限付きで公開するデータベースを作成
アメリカで虐待された子犬ピットブル パトリックが法律を変えた!
日本でも、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤、神戸連続児童殺傷事件の“酒鬼薔薇聖斗”、池田小児童殺傷事件の宅間守、奈良市小一女児殺害事件の小林薫などはいずれも過去に動物虐待行為があったことが確認されています。佐世保市の15歳女子高生殺害事件では、逮捕された女子生徒は同級生を殺害する前に小動物を解剖するなど虐待を行っていました。昨年、子猫を生きたまま焼き殺した動画をネットに投稿し逮捕された女は、動画の中で、「どこまで殺せる? え〜と、人間まで」と話しています。
日本の法律の甘さ、未熟さ、認識の甘さを改めて痛感する判決でした。
日本も海外を見習い、動物の尊厳を守り、人も動物も安心して暮らせる社会づくりのために、厳罰化や再犯防止の取り組みに力を入れるべきだと思います。
このようなことでは、大矢被告のみならず、その他の犯罪予備軍たちの犯罪行為を助長することになるでしょうし、また大矢被告への「私刑」を促すことにもなるのでは。。(怒りと憎しみでいっぱいですが、ここは冷静に…)
愛護法改正が近づいてきました。この機会に、真に動物たちを守れる法律に変えなければいけません。法定刑の上限を5年にまで引き上げたいところです。
署名を広める、日本の現状を周りの人に話す、地元の議員さんに意見をする、警察や司法の関係省庁へ訴えるなど…
殺された猫たちの存在を胸に、ここからまた皆さんで思いを一つにして、この社会を変えていくためにできることをしていきたいですね!
長くなってしまったので、関連情報や、私たちにできることを後ほどまとめたいと思います。