日本でも、小動物の虐殺事件が立て続けに起こっていますが…


今月1日、アメリカ・ネバダ州で犬7匹を惨殺し、死骸を切断した男に懲役28年の判決が言い渡されました。


以下、いくつかの関連記事より翻訳してまとめました。





ジェイソン・ブラウン被告(25)は昨年、インターネットの投稿を通じてだまし取った犬7匹を虐殺したうえ、死骸を切断し皮を剥ぐなどした罪で逮捕されました。


ブラウン被告はコミュニティサイト「Craig’s List」で、犬を譲る/売る旨の投稿をした複数の人から「母への贈り物に犬を探している」、「良い飼い主を見つける」などと言って犬をだまし取りました。

犬を譲った人たちによると、被告はきちんとした服装で振る舞いにも問題はなかったと言います。


事件は、被告が滞在していたモーテルの部屋で起きました。通報を受けたワシュー郡の動物管理官が部屋に入ると、室内には20本ほどの注射器と犬の首輪やケージ、ドッグフードが散乱しており、風呂場には小型犬と見られる犬の切断された頭部と尾などが、また冷蔵庫には切断された犬の頭部や足、剥がされた皮が置かれているのを発見しました。少なくとも4頭の頭部が切断されていたということです。


郡の保安官によると、当時覚せい剤を使用していたという被告は「気絶して目が覚めたらこうなっていた」と供述。

しかし捜査の中で、被告自身が犬を虐殺する様子を撮影した動画が発見されました。友人が撮影した別のビデオには、覚せい剤を使用しながら、犬の入手方法について話したり、犬の行く末を笑っている様子が映っていました。

虐殺の様子が撮影された動画は、音声のみが公開されましたが、陪審員や傍聴人たちは犬の悲鳴、叫び声を含む凄惨な現場の様子を耳にすることになりました。また動画には、被告が犬を何度も切りつけながら「こいつらでジャケットを作ろう。小さい白いチワワにしよう」などと話したり、「選ばれたやつは、『ジェイソンの苦痛の家』へやって来るんだ」などと話している様子も映されていました。


動画を観たエリオット・サトラー判事は、「被告の行為は、罪のない無垢な者たちを非常に悲惨な方法で傷つける児童ポルノと重なった。この映像を忘れることは決してないだろう」と言い、今回のケースがこれまでの数十年のキャリアの中で最も残酷な事件であろうという認識を示し、またそれは判事・検察側・弁護側の3者に共通した認識でもありました。

ブラウン被告は、担当した精神科医が「薬物依存症の最悪のケース」と表現するほどの慢性的な中毒に陥っていました。

被告の弁護が決まってから、キャリアで初めて事件に憤る人々から殺害予告を受けたという弁護人は、「映像はショッキングで、検察官の経歴も含め40年以上のキャリアの中でこれほど多くの方法で殺害したケースは見たことがない。人々の怒りは理解できる」としながら、被告は現在は薬物を絶っているものの、今まであらゆる覚せい剤を使用してきており、家族が数回リハビリセンターへ連れていったが改善せず、事件当時は正気ではなかったとして、判事に対し被告を治療施設へ送致するよう求めました。


一方被告は法廷で自らの行為について謝罪するとともに、このように判事に理解を求めました。

「当時は覚せい剤を使用していて、事件の記憶がない。自分をコントロールすることは不可能だった。自分の行為について自身ショックを受けている。
動物の命は大事にしており、過去に動物を虐待したことは一度もない。

何かを傷つけていた時の自分に戻りたくはない。自分の生き方やしたことには本当にうんざりしている」。


しかし判事は、「被告の残酷でサディスティックな犯行はショックを禁じ得ない」として、被告に対し、1件の動物虐待罪につき4年、7匹分で合計28年の懲役刑を命じました。

模範囚であれば、11年で仮出所の権利を得る可能性もあるものの、逆に言えば今後少なくとも11年は刑務所から出ることはできないという意味で、「厳しい刑」という見方をする記事もありますが、これでも刑が軽すぎるという意見も
あるようです。

判事はまた、「動物虐待犯はいずれ人間に対しても同様のことをすると広く信じられているが、今回のケースに関わった犯罪心理学者によると、必ずしもすべてのケースに言えるわけではない。

動物虐待から殺人へとエスカレートしたケースもあれば、動物虐待の経験のない連続殺人犯もおり、また動物虐待で留まるケースもある。専門家の最終的な分析では、ブラウン被告の場合はどの方向へ向かうのか定かではない」と話しました。






事件に憤る人々から殺害予告を受けているため、防弾チョッキを着用して法廷に入るブラウン被告


~記事まとめ以上~


<記事元>




以前、犬の虐待で逮捕された男に60年の懲役刑というアメリカのケースをご紹介しましたが…

http://ameblo.jp/momokohime7/entry-11894107486.html


動物虐待の容疑者が逮捕され、法廷で裁かれること自体決して多くはない日本からすると、考えられないほど重い刑に感じます。


アメリカは広く、法律や動物福祉の進み具合は各州で様々ですが、「動物虐待」は50州全州で「重罪」となりました。






またFBIも昨年、これまで軽犯罪とみなされてきた動物虐待を重罪に指定する決定を下しました。これにより動物虐待は、殺人・放火・暴行など人間に対する重犯罪を含むグループ内の独立カテゴリとなりました。


米 FBIが動物虐待事件を人間に対する事件と同様に捜査対象として扱う決定


動物虐待に対するFBIの新たな姿勢


これには凶悪犯罪の芽を事前に摘み、また更正の機会を与える狙いがあると見られています。また動物虐待罪に対する罰則が厳しくなることも意味しています。


日本では、たとえばここ1~2年に起きた主な動物虐待事件について、多くが裁判にもならず罰金30万円前後の略式命令で終わっています。


犬殺した清掃業者元従業員に罰金20万円 神奈川の動物保護施設


捕まえた猫をおりに入れ川に沈めた男 罰金30万円の略式命令


飼い猫バケツに沈め溺死、72歳の女に罰金50万円 室蘭簡裁が略式命令


猫生き埋め、男性教諭に略式命令…罰金30万円



裁判に持ち込まれたケースでも、執行猶予が付いた判決ばかりです。


昨年宮崎県で起きた、10数頭の子猫が犠牲になった虐待死事件では、判決は懲役6ヶ月・執行猶予3年でした。


昨年、東京・大田区で起きた猫大量死事件については、今年3月に初公判が開かれ現在も続いているようです。



また、皆さんご存知かと思いますが、過去に起きた非常に残酷で社会的影響の大きかった事件。


2002年に起きた福岡猫虐待事件(こげんたちゃん事件)は、懲役6か月・執行猶予3年の判決でした。

「男の個人情報が不特定多数によって公開されたことなどにより、すでに社会的制裁を受けたとして、減刑措置がとられた」そうです。



また、2011年に起き、保護猫15匹が殺害された川崎市 里親詐欺・猫大量虐待事件は、懲役3年・執行猶予5年・保護観察付きという判決でした。


いずれも、極めて残虐性の高い事件であるにもかかわらず、軽い判決で、より厳罰を求める署名も起きました。


その他ですと、2001年から2002年にかけ、23匹の猫が虐待死させられた「川崎市猫虐待死事件」では、懲役6ヶ月・執行猶予3年でした。


2002年に宇都宮市内の公園で、猫4匹が殺害された事件では、懲役1年・執行猶予3年でした。



私が調べた判例だけですので、他にもたくさんあるかと思います。

また、犯人が見つからなかったケースは数え切れないほどあるのではと思います。


先日ご紹介した記事の中で、動物に関する法律や事件に詳しい弁護士さんが「動物の殺傷事件だけで実刑判決を受けたケースは寡聞にして知りません」と書かれていましたが、動物虐待事件のみで懲役刑を受け服役した被告というのは私も知りません。(もしご存じの方がいらっしゃいましたら教えてくださいませm(__)m)


アメリカ・オレゴン州では、動物も虐待などの「被害者」とみなす法案が通過しました。


動物も被害者です。アメリカ・オレゴン州で動物も「被害者」とみなす法案が通過する


アメリカで、動物を「被害者」として守る法案ができる!



また、ニュージャージ州では虐待されたピットブルの子犬がきっかけとなり、虐待飼い主に罰則規定を適用できる法案が成立しました。


アメリカで虐待された子犬ピットブル パトリックが法律を変えた!


ロールモデルと言われているオレゴン州の法律では、動物虐待や飼育放棄をした者に対し動物の飼育禁止措置や、動物虐待防止プログラムへの参加、保護された動物の治療費等必要経費の負担、精神科のカウンセリング受診などが義務づけられています。


海外でも、ネグレクトや置き去りも含めすべての虐待ケースに厳罰が下されるわけではありませんが、アメリカやイギリスの判例を見てみると、日本ならば罰金のみで済まされるような事件でも正式裁判となり、場合によっては懲役刑、それより軽くても短期間の投獄や動物の飼育禁止、社会奉仕、虐待した動物の治療費の支払いなど何らかの処罰が下されているようです。


虐待事件が相次ぎ、日本でもこのところ動物虐待が凶悪犯罪につながるという認識がだいぶ定着してきたように思います。


犯罪の芽を摘みあらたな犠牲を食い止めるという意味でも、そしていかなる命に対する虐待行為も許さないという姿勢で、虐待犯に対し厳しい処罰を下すとともに、心に闇を抱えた人物をどう更生させるかということについても社会全体で考え、意識を高めていく必要があるのではと感じます。



ネコ参考記事リンク

アメリカにおける動物の法律あれこれ


犬殺しで終身刑は厳し過ぎ?=地検、「三振アウト」適用-米


<米国>ピットブルを飢餓状態にして死亡させた男への判決


ブロンクス、動物虐待の罪で男に求刑1年


動物を虐殺しては撮影、その動画をネットで販売した24歳女(米)


最新・珍チコネッティ判決!犬殺害の飼い主に犬コスプレで減刑


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動物虐待で訴えられたイギリス人女性に下された判決とは


英国における動物虐待判例