これも毎年やってるので一応。2024年に映画館で観た旧作映画の覚え書きです。
レザボア・ドッグス
タランティーノのデビュー作、そのデジタルリマスター版。やはり「新しいスタイルを発明」するのが先駆者ならではのことですね。タランティーノ以前と以後、という言葉が説得力を持つ。
ストップ・メイキング・センス
トーキング・ヘッズの1983年のライブ映画、その4K版。
デヴィッド・バーンの今と昔…という点で、2020年の「アメリカン・ユートピア」と対になる作品とも言えます。
頭でっかちに考え抜いた末に辿り着いた、やみくもなフィジカルへの傾倒に思わず感動してしまいます。傑作音楽映画。
ヴェルクマイスター・ハーモニー
「サタンタンゴ」のタル・ベーラ監督、2020年の作品。伝説の7時間映画「サタンタンゴ」と同様の超長回しは健在ですが、ストーリー性があって観やすい映画になってました。
ノスタルジア
タルコフスキーの名作、4K修復版でした。いつものように壮絶に美しく、心地よく、そして強力に眠りに誘う映画体験でした。眠さも含めて、映画の魅力と思います。
ソイレント・グリーン
1973年の社会派SF映画、デジタルリマスター版。
これで思い出したのは昔の地上波テレビ、深夜の映画枠なんですよね。80〜90年代頃、どの局でも深夜の映画枠があって、そこで古いカルト的な作品とか、ミニシアター系の映画を流してくれたものです。今思えば、様々な映画に手軽に触れる、とても貴重な機会でした。
いつの間にか、無くなっちゃいましたね。代わりに似たようなバラエティばかりになっちゃった。今もテレビがつまらないと言われるのは、バラエティが力を持ちすぎて多様性を無くしてしまったせいなんじゃないかな…なんてことを最近の騒動を見て思いました
ゴジラ(1954)
ゴジラ生誕70周年記念のゴジラ・シアターは、初代ゴジラを観に行きました。実を言うと映画館で観るのはこれが初めて。面白さは言わずもがなです。
あらためて、「ゴジラ-1.0」は本作を強く意識してますね。戦争のトラウマが追いかけてくるというテーマ性、東京上陸大破壊を中盤に置いて、クライマックスは海上で展開する構成。
その上で特攻をあくまでも否定することで、芹沢博士の「特攻/自己犠牲」で終わる原典をも超えて「反戦」をまっとうして見せたんですよね。
マッドマックス
マッドマックス2
この2本は「午前十時の映画祭」にて。そりゃもう面白いのは確定。下はXに書いた内容。
「マッドマックス」
あらためて面白かった!マックスが復讐モードに入ってからのシフトアップがすごいな。それまで割とオーソドックスなテンポなだけに、ここから強烈な加速度を感じる。セリフもなくなり、間のカットもぽんぽん飛ばして。映画は緩急だな〜。
「マッドマックス2」
1は「緩急」と書いたが「2」はまるっきり「緩」のない、「急」だけ。1のラストスパートのテンションで始まって、そのまま1回もブレーキ踏まずにアクセルベタ踏みで最後まで。「ジョーズ」や「悪魔のいけにえ」と並ぶ偉大なる「急だけ映画」。
デューン砂の惑星
若き日のデヴィッド・リンチがいきなり大作に抜擢された、どちらかと言えば「らしくない」作品だけど、フリークスを愛でる視点は健在。ヴィルヌーヴ版では「少女アリア」がオミットされたので、その魅力をバッチリ描いてるという点でも貴重な映画。いつかリンチ自身に再編集してもらって「ストーリーそっちのけで変態的側面を強調したディレクターズカット」を作ってくれるのが夢だったんだけど、もう叶わないなあ…
花様年華
これも午前十時の映画祭。別に何もないっちゃあ何もない映画だけど、だからこそ素晴らしい…というか。ドレスとカーテンとランプシェードと壁紙のうっとりするような美しさ。
みんなのヴァカンス
リンダとイリナ
宝島
シネ・ヌーヴォで「ギヨーム・ブラックの夏」という特集があって、3本観ました。夏の映画。夏が好きなんですよね。
ギヨーム・ブラックはフランスの映画作家。初めて観たのだけど、すごく個性的な映画の作り方をする人です。ドキュメンタリー的な自然さ、即興性を大事にしているのだけど、被写体がそこにあるはずのカメラを徹底して無視することで、逆に作為性が際立ってくるという。
「みんなのヴァカンス」はこの3本で唯一の通常の劇映画。彼女を追いかけてリゾート地に押しかけて行った3人の青年たちの数日間を描きます。
「リンダとイリナ」は2人の女子高生の生活を描く短編。
「宝島」はパリ郊外のレジャー施設を訪れる様々な人々をスケッチした長編で、2本ともドキュメンタリーなのだけど、出演者が自主的に「演技」しているように見える独特の作りです。
いずれも夏の空気感を見事に捉えていて、リゾート地やレジャー施設ならではの楽しさと、その中でふと感じる寂しさ、切なさがすごくいい感じです。いい映画。
マルホランド・ドライブ
9月に4Kレストア版が上映。今度、追悼上映があるみたいです。
「デューン」もあったから、2024年はリンチ映画を2本映画館で観たことになりますね。
この際なので、いっそ全作品追悼上映やって欲しいな。「ツイン・ピークス」全話マラソン上映でも行くので!
ぜひよろしくお願いします!