ゴルフ規則目次と概要 競技委員・審判員用             2026.2.16. 版

 

 この「ゴルフ規則目次と概要 競技委員・審判員用」は,ストロークプレー個人競技に限定し,競技中にしばしば問題となる事例について,ゴルフ規則の該当箇所を素早く発見するために作成しました。用語の定義と参照すべき規則は詳細に記載する一方,起こり得る全ての事例を取り上げると該当規則に素早く到達できないので大胆に省きました。また,主語や目的語などを可能な限り省略し,表現もゴルフ規則そのままではありません。必ずゴルフ規則本文を参照して下さい。ゴルフ規則をかなり理解した方が対象です。ゴルフ規則をこれから勉強する方には全く役に立ちません。私の理解不足もあるので,常に訂正・改正をしております。最新の画像をダウンロードしてください。

 

最近訂正した箇所

 

 

ホールの縁が崩れた場合の処置

2025年8月5日

 

 2オン狙いやピッチショットで,ボールがホールに直接当たり,その縁を大きく損傷してしまうことがあります。

 2019年より前のゴルフ規則では,ホールの損傷がボールマークによるものであってもホールの規定寸法が著しく変えられているという程の損傷でなければホールの修理をすることなしにプレーを続けるべきである。またホールの規定寸法が著しく変えられているとときは,プレーヤーはホールを修理させるよう委員会に要求すべきであるとし,そのプレーヤー自身に直ちに損傷の修理をする権限を与えている規定はなく,大変厳しい取り扱いとなっておりました(2016・2017年 裁定集16-1a/6)。

 

 近代化されたゴルフ規則は,プレーヤーはパッティンググリーン上で次の行動をとることができる。とし,

 「損傷の修理 プレーヤーはできるだけ元の状態にパッティンググリーンを復元するための合理的な行動をとることによって罰なしにパッティンググリーン上の損傷を修理することができる。(規則13.1c)」としました。

 そして,

 「ホールの損傷はパッティンググリーン上の損傷の一部として規則13.1cで扱われる。プレーヤーはその損傷が規則13.1cで修理を認めていない自然な摩耗である場合を除き,損傷したホールを修理することができる。(ゴルフ規則のオフィシャルガイド 13.1c⑵・2-)」としています。

 

 以上の規定によれば,ピッチショットなどによって,ホールの縁が崩れた場合,プレーヤーは,直ちにホールをできるだけ元の状態に復元するための合理的な行動をとることによって罰なしにホールの損傷も修理することができるようになったと解釈して良いのではないでしょうか。

以上

 

後方線上の救済規定がない事例

2025年3月16日

1 2020年11月26日付で,「後方線上の救済が受けられる場合」として本ブログ内で投稿しました。うっかりすると後方線上の救済〈Back-On-the-Line Relief〉が受けられるのではないかと誤解される状況があるので整理してみました。

  ① 後方線上の救済を受ける一番多い状況は,球がペナルティエリアに入った場合,球がそのペナルティエリアの縁を最後に横切ったと推定される地点とホール結ぶ線上に球をドロップして受ける救済です。(規則17.1d⑵)

  その他の,後方線上の救済を受けられる状況は,以下のとおりです

  ② 球がバンカー内にあり,異常なコース状態による障害がある場合,同じバンカー以外のコースエリアで罰ありの救済を受ける場合(規則16.1c⑵)

  ③ 球がジェネラルエリアなどにあり,アンプレヤブルとする場合(19.2b)

  ④ 球がバンカー内にあり,バンカー内で19.2bに従ってアンプレヤブルの救済を受ける場合(規則19.3a)

  ⑤ 球がバンカー内にあり,バンカーの外側で,19.2bに従ってアンプレヤブルの救済を受ける場合(規則19.3b)

 

2 前記①③④⑤は,問題がありません。誤解されそうなのは②です。「② 球がバンカー内にあり,異常なコース状態による障害がある場合,同じバンカー以外のコースエリアで罰ありの救済を受ける場合(規則16.1c⑵)」とありますが,これは,バンカー内に排水パイプが露出しているようなこともありますが,多くは水たまりが出来た場合のことです。バンカー内の水たまりに球が止まった場合に限り,1罰打でバンカーの外にドロップできるという救済処置です。ところが,「異常なコース状態による障害がある場合」と規定されているため,全ての異常なコース状態,例えば修理地,動かせない障害物,ジェネラルエリアの水たまり,などでも後方線上の救済が受けられると誤解している方がおりました。球がバンカー内にある場合に限った特別な救済規定です。

以上

 

 

 

 

スイング中にシャフトが折れた事例

2025年3月15日

 

 LPGA Blue Bay(中国)2025初日において,大変珍しいい事が起こりました。馬場咲希選手がアイアンでティーショットに臨んだのですが,テイクバックして切り返した直後に,グリップ付近でシャフトがぽっきり折れたのです。折れたシャフトとヘッドは馬場選手の右手に落下しました。したがって,ティーアップした球はそのままでした。馬場選手の後方からの映像があり,状況ははっきりと確認できます。馬場選手は,残り13本のクラブから別のクラブを取り出し再度ティーショットを行ったそうです。

 

1 さて,馬場選手のシャフトがぽっきり折れた最初のストロークについて,皆さんはどう処置しますか。

  ユーチューブなどのコメント欄を見ると「ノーペナルティでよかったですね。」とか「競技委員が近くにいたため状況を確認。無罰で別のクラブで打てると判断された。」等の見解が寄せられています。

  ゴルフ規則のどこを見ても,通常のスイング中にシャフトが折れたり,クラブのヘッドが割れたりしても,罰打を受ける規定などありません。馬場選手の問題は,罰打を課すべきか否かではありません。

  ユーチューブのコメント欄でも「ヘッドがボールを追い越していないのでストロークにはならないとおもうんですが。」とか,「スイング中に不可抗力で折れてしまったということで、空振りによる1打の扱いにはならず、ノーペナルティで,ティーショットを打ち直したということのようですね。」のように,これはカウントすべきストロークがあったか否かの問題であると気付いている方もおります。

 

2 ストロークについて,ゴルフ規則は次のとおり定義しています。

  ストロークとは,球を打つために行われるクラブの前方への動き。

  しかし,次の場合にはプレーヤーはストロークを行ったことにならない

  ダウンスイングの間に球を打たないことに決めて,クラブヘッドが球に届く前に,そのクラブヘッドを意図的に止めること,または止めることが出来ない場合に意図的に空振りをすることによって打つことを避けた場合。

  ゴルフ規則は,プレーヤーに球を打つ動作があったか否かということは当然とし,それ以上にプレーヤーに球を打つ意思があったか否かを重視しています。動作があって,且ストロークする意思があれば空振りでもストロークです。動作があっても,ストロークする意思がなければヘッドが偶然球に当たってもストロークしたことにはなりません。

 

3 皆さんユーチューブで馬場選手のスイングを確認してください。

https://www.youtube.com/watch?v=PPcQGnllpc0

  この映像から馬場選手は「ダウンスイングの間に球を打たないことに決めて,クラブヘッドが球に届く前に,そのクラブヘッドを意図的に止めた。」あるいは,「止めることが出来ない場合に意図的に空振りをすることによって打つことを避けた。」と言えるでしょうか。

  この記録のスローモーション映像を見る限り,馬場選手が,球を打たないことに決めたとか,意図的に空振りをしたという動作を見ることはできません。ましてやその意思を推測させる動作も確認できません。むしろグリップだけのシャフトを高々とフォローしています。この事例では,誰がやってもこのような動作にならざるを得ないでしょう。

 

4 ということは,馬場選手のシャフトが折れたストロークは,空振り以外の何物でもなく1ストロークと数えて,打ち直しは第2打ということになるのではないでしょうか。シャフトが折れたり,ヘッドが割れたりしても,少しでも球が飛べば,誰でも1打と数えるでしょう。ゴルフ規則はストロークをして,そのカウントを免れる場合は,ストロークした球が複数に割れた場合(4.2b),誤球(6.3c⑴),パッティンググリーンからプレーされた球が,グリーン上の人に当たった場合(11.1b⑵),暫定球(18.3c⑶)など明文で規定しています。スイング中にシャフトが折れたり,ヘッドが外れたりした場合というのはありません。つまりクラブの不具合や調整の不良はプレーヤーの責任です。

  今回競技委員は,馬場選手のシャフトが折れたストロークをカウントしないと甘い判定をしましたが,若い女子ゴルファーですから良いとしましょう。何時もパー3に来ると,アイアンヘッドで芝目を叩いて掘り起こし,その上に球を置きショットをするローラ・デイビス選手に対して,シャフトが折れたストロークをカウントしないと判定したら,「馬鹿を言うな,私は球を打つ気満々だった。」と逆に抗議を受けることになったでしょう。

以上

 

障害物の定義を再考する

2025年2月25日

1 新しいゴルフ規則は,障害物について不可分な物と境界物を除くすべての人工物」と定義しました(ゴルフ規則巻末の定義参照)。そして障害物の例として次のとおり例示しています。

  * 人工の表面を持つ道路(これらの人工的な縁石を含む)。

  * 建物,避難小屋。

  * スプリンクラーヘッド,排水溝,灌漑ボックスまたは制御ボックス。

  * 杭,壁,レ―リング,フェンス(しかし,これらがコースの境界を定める,または示す境界物である場合を除く)。

  * ゴルフカート,芝刈り機,車,他の車両。

  * ゴミ箱,案内標識,ベンチ。

  * プレーヤーの用具,旗竿,レーキ。

  以上は,動かせない障害物と動かせる障害を混在して例示しています。

 

2 そもそも,ゴルフ規則においては,障害物か否か峻別しても,全ての障害物から救済が受けられるものではなく,多くの例外があります。

  むしろ,障害物であっても救済を受けられない例外を列挙した方が,プレーヤーにとって混乱や疑問が少なく,覚えやすいのではないでしょうか。とすれば障害物か否かを大上段から分類しても,あまり意味のないことではないかと思うのです。

  障害物で一番大事なことは,その障害物が,動かせる障害物なのか動かせない障害物なのか,それによって救済方法が全く異なること。そして,動かせる障害物であっても動かしてはならない障害物があり,動かせない障害物であっても,罰なしでは救済を受けられないものがあることを明確にすべきです。

  そもそも,切り株も垣根もアマチュアプレーヤーにとってはプレーするについて障害物以外の何物でもありません。しかしゴルフ規則では,自然物と人工物に分類し,人工物のみ障害物としています。それをさらに「不可分な物と境界物を除くすべての人工物」だけがゴルフ規則で言う障害物であるというのは,ゴルフ規則における特殊な概念とはいえ,一般的な「障害物」という概念からかけ離れた定義は,あまりにも御都合主義で,ゴルフをこれから始める人にとっては理解し難いことと思います。分類の方法としては,余計なことのような気がします。

  そうであるなら,障害物の概念において重要な要素は「人工物」ということですから,「不可分な物と境界物を除くすべての人工物」とする定義が果たして妥当なのかという疑問があります。

 

3 障害物から無罰で救済を受けられるか,あるいは1罰打でアンプレヤブルやストロークと距離の救済しか受けられないかということが重要なのです。それを考慮して障害物を整理すると,私は次のように説明したらどうかと考えております。まず,不可分な物というのはアマチュアプレーヤーにとって説明なくして理解できるものではありません。境界物にも多くの問題点があります。そこで,仮に,

 

       「障害物とは,すべての人工物をいう」

 

 と理解してみましょう。そして障害物には,動かせる障害物と動かせない障害物があることを明確にする方が先のような気がします。

  ⑴ 「動かせる障害物とは,合理的な努力でその障害物やコースを損傷させずに動かすことが出来る人工物。動かせない障害物の一部(門,ドア,蓋)が動かせる障害物の定義に合致する場合,その一部は動かせる障害物として扱う。

  ⑵ 「動かせない障害物とは,不合理な努力なしには,またその障害物やコースを壊さずには動かすことが出来ない人工物。委員会が動かせない障害物と定めた人工物。」

  以上の説明は,ルールブックの定義で「障害物」としている箇所を「人工物」と置き換えただけです。

  以上のように理解したら,「動かせる障害物であっても動かしてはならない障害物」があり,「動かせない障害物であっても罰なしでは救済を受けられないもの」があることを列挙してみます。

 

4 動かせる障害物であっても,動かしてはならない障害物。

  ① 境界物(簡単に引き抜くことが出来る白杭)(定義 境界物)

    アンプレヤブルの救済以外ない(後方線上の救済,ラテラル救済)

  ② ティーイングエリアから球をプレーするとき,そのティーイングエリアのティーマーカー(15.2a⑴例外1-,8.1a⑴)

    上記以外のティーマーカーは,全て動かせる障害物

  ③ 他のプレーヤーの止まっている球やボールマーカー

    プレーヤーが勝手に球の拾い上げ,ボールマーカーの移動はできない。球の拾い上げやボールマーカーの移動を求めたり,先行プレーができる(15.3b⑵,15.3c)

  ④ 動いている球に影響を及ぼす目的で動かせる障害物を取り除くことはできない(15.2a⑴例外2-,11.3)

  ⑤ 動かせる障害物であっても,委員会が動かせない障害物と定めたもの(定義 動かせない障害物)

    観戦者のために移動ルート示した看板,中継のためのケーブル類,畳んだ防霜シートなどが考えられる

 

5 動かせない障害物からは,通常完全な救済のニヤレストポイントを求めて無罰の救済を受けられます。しかし,次の動かせない障害物からは,無罰の救済は受けられません。

  ① 動かせない障害物がペナルティエリアにあるとき

    ペナルティエリアの救済しか認められません(16.1a⑵)

  ② 動かせない障害物がアウトオブバウンズにあるとき(16.1a⑵)

    1罰打でアンプレヤブルの救済を受ける以外ない(後方線上の救済,ラテラル救済)

  ③ 境界物(壁,フェンス)(定義 境界物)

    1罰打でアンプレヤブルの救済を受ける以外ない(後方線上の救済,ラテラル救済)

  ④ 不可分な物(委員会がコースをプレーするうえで挑戦の一部として定めた罰なしの救済が認められない人工物 定義 不可分な物)よく見かけるものは,バンカーの縁を押さえた枕木とか,立木の幹を保護するために巻いたプラスチックの網などがある

    1罰打でアンプレヤブルの救済を受ける以外ない(後方線上の救済,ラテラル救済)

 

6 ゴルフ規則は,障害物とは「不可分な物と境界物を除くすべての人工物」と定義していますが,「障害物とはすべての人工物をいう」と定義しても,前記4と5のとおり,いくつかの例外があることを明確にすれば十分ではないでしょうか。

  ⑴ 動かせる障害物であっても,動かしてはならない障害物がある。

  ⑵ 動かせない障害物であっても,無罰の救済は受けられない障害物がある。

  以上のことを再確認した方が,その正確性も然ることながら,プレーヤーにとって混乱や疑問がなく,覚えやすいのではないでしょうか。

  当然のことですが,動かせる障害物であっても,動かせない障害物であっても,救済を受ける場合その要件は,規則の各箇所に別途定められているので障害物であることは,救済を受ける前提にすぎません。

以上

 

 

スコアカード提出の厳格性(ゴルフ規則3.3 b)

2024年7月7日

1 ゴルフ規則3.3bは,「ストロークプレーのスコアリング」として,かなり丁寧に解説しています。各ゴルフ倶楽部で行われているアマチュアの競技において参考となるよう考えてみました。

  プロゴルフのスコアリングでは,アテストルームが設けられ,委員会の担当者が同席して,間違いがないよう確認してからスコアカードの提出が行われているようです。しかし各ゴルフ倶楽部で行われているアマチュアの競技において,そのような手続きは難しいので,箱を設置してカードの投入をもってスコアカードの提出としているようです。

  なお,ゴルフ規則3.3b⑵は,速やかに委員会にスコアカードを提出しなければならないとしているが,何をもってスコアカードの提出とするかは,規定がありません。それ故プロゴルフの競技では,プレーヤーがアテストルームを退出したときなどとしているようです。

  プロゴルフのスコアリングですら間違いがあるくらいですから,アマチュア競技ではなお更です。そこで,アマチュア競技でも一定の時間内,あるいは,一定の場所の範囲内で,スコアカード提出後でも間違いの訂正を認めているゴルフ倶楽部があると聞いております。果たしてそのようなことがゴルフ規則上可能なのか,公正なのか,不平等とはならないのか検討してみます。

 

2 先に申しあげたとおり,多くのゴルフ倶楽部では箱へのスコアカードの投入をもって提出としているようです。

  ゴルフ規則3.3b⑵は,

・  マーカーが記入したホールのスコアは変えてはならない。ただしマーカーの同意,または委員会の承認がある場合を除く。

・  スコアカードのホールのスコアを証明し,速やかに委員会にスコアカードを提出しなければならない。その後はスコアカードを変更してはならない。

  と規定しております。その結果ゴルフ規則3.3b⑶は,プレーヤーが(各)ホールについて間違ったスコアのスコアカードを提出した場合

・  提出されたスコアが実際のスコアよりも多い。そのホールに対して提出された多いスコアが有効となる。

・  提出されたスコアが実際のスコアよりも少ない,またはスコアが提出されなかった。そのプレーヤーは失格となる。

  その他にいくつかの例外規定がありますが,間違いがあった場合の効果を明確,且つ厳格に規定しています。

  更に,ゴルフ規則3.3b⑷は,次のように規定しています。

・  スコアカードにハンディキャップを示すこと,またはスコアの加算をすることはプレーヤー(マーカー)の責任ではない。

 

3 以上のとおり,何ら疑問を差し挟む余地のない規定になっているのに,ゴルフ倶楽部のアマチュア競技でも,箱へのスコアカードを投入した後でも一定の時間内,あるいは一定の場所の範囲内で,間違いの訂正を認めている意図は何でしょうか。

⑴  一つは,プロゴルフの競技において,スコアリング時アテストルームで委員会の担当者が同席し,間違いがないよう確認していることが影響していると思います。

⑵  二つ目は,アマチュア競技とはいえ,失格となったら参加者に気の毒であるということだと思います。

  まず,プロゴルフの競技で採用している方式は,プレーヤー,マーカーの不注意で失格者が続出したり順位が変更となったら,委員会は大変な醜態を晒すことになり,大会を主催している団体や後援者に対して申し開きが出来ません。また,観戦者の批判や落胆を考えると何としても避けたいことです。それゆえ,委員会が相当な設備,人員をもって臨んでいるから出来ることです。また,スコアカードの作成にプレーヤー,マーカー以外の人が関与してはならないという規定はゴルフ規則にないので,プレーヤーもマーカーも疲れて,注意力が散漫になっているので手助けする意味も少しはあるでしょう。しかし,プロゴルフの競技においても,プレーヤーやマーカーの責任を軽減する意図をもって,採用している方式とは思えません。

  いくらプロゴルフの競技で採用している方式とはいっても,各ゴルフ倶楽部で実施されているアマチュアの競技において,アテストルームを設置するとか,参加者全員がプレーを終了するまで競技委員が同席するというのは難しいでしょう。

  二つ目の,失格となったら参加者に気の毒であるという理由はもっともです。しかし,間違いが判明する前後の状況をよく考えてください。プレーヤーやマーカーが責任を取るべき十分な理由があります。

  マーカーが記載した各ホールのスコアをプレーヤーが確認してそれでも間違ったのですから,プレーヤーは,過大な申告はそれを認め,過小な申告なら潔く失格の処分を受けるべきで,その責任を軽減する必要があるとは思えません。ましてや,時間的,空間的な経過が生じると,すでにマーカーが帰宅している場合,プレーヤーと委員会だけで訂正できるのかという問題もあります。

  以上は,各ホールのスコアだけのことで,ハンディキャップやスコア加算の間違いは,委員会の権限で勝手に訂正できると解釈できます(ゴルフ規則3.3b⑷)。

 

4 いくらプロゴルフの競技で採用しているからと言って,その設備も人員も足りないアマチュアの倶楽部競技で,一定の時間内,あるいは一定の場所の範囲内で,スコアカード提出後でも間違いの訂正を認めるというのは,以上のとおり,ゴルフ規則上の問題があり,公正でなく,競技者間の不平等が甚だしくなり,失格した人の気の毒さを上回る問題が発生します。ましてや,アマチュアの倶楽部競技においては,失格者が続出したり順位が変更となっても,競技を主催している倶楽部に何の落ち度も責任もなく,参加したプレーヤーだけの問題で,プレーヤーやマーカーがその責任を取るべき十分な理由があり,正に審判のいないゴルフ競技の本質です。

  それゆえ,多くの倶楽部で採用している箱を設置してカードの投入をもって,スコアカードの提出と看做す方法しかないでしょう。

 

5 20年近く前になりますが,私が所属する倶楽部の競技において,私がスコアの加算を間違って提出してしまったのです。入浴中にマスター室の事務の方が,合計が合っていないと訊きに来て下さったので,私は大変恐縮し平謝りでした。合計が多かったのか,少なかったのかは覚えていません。その時,仮にスコアの加算を間違えても,各ホールのスコアを多くすることも,少なくすることも出来ないのに,なぜ風呂場まで訊きに来たのか,スコアの加算は委員会の権限ですから,私に訊く必要はなく委員会が勝手に訂正すれば良いのにと不思議に思っていました。

  私は以上のことがあってから5~6年経過して,もしかしたらと気付いたのです。すなわち,私は当時合計が間違っていることだけしか頭に浮かびませんでした。しかし,仮に合計したスコアが正しい打数であったとするなら,各ホールのスコアを合計した打数がもし合計より少なかった場合,どこかのホールで過少申告になっている可能性があり得るのです。マスター室の事務の方は,そのことを確認するために風呂場まで来たのかもしれないと。                       以上

 

「ホールに入る」の定義は破綻している

2024年7月7日

1 ゴルフ競技では,球がカップに入ったか否か重要です。ゴルフ規則は球が「ホールに入る(Holed)」と規定して厳格な定義とカップに入りかかった球について,その処置方法を定めていました。2018年以前の定義と2019年以後の定義を見てみましょう。

  2018年以前のゴルフ規則(以下旧ゴルフ規則という)では次のとおり定義されていました。

  ホールに入る(Holed) 球がホール内に止まり,球全体がホールのふちよりも下にあるとき,その球は「ホールに入った」という。

  2019年以後のゴルフ規則(以下近代化されたゴルフ規則という)では次のとおり定義しています。 ホールに入る 球がストローク後にホールの中に止まり,球全体がパッティンググリーン面より下にあるとき。

  旧ゴルフ規則近代化されたゴルフ規則に共通して「ホールに入る」の要素としていることを分解すると:

⑴  球がホールの中で停止していること。

⑵  球全体がパッティンググリーン面より下にあること。

⑶  球がホールの底に接している必要はない。

  以上は旧ゴルフ規則と近代化されたゴルフ規則の定義であることに注意してください。

 

  ゴルフ競技歴が数年ある人ならご存じのとおり,旧ゴルフ規則17-3.のc.に次のとおり規定されていました。

「プレーヤーの球は次の物に当たってはならない。球がパッティンググリーン上でストロークされた場合で,ホールの中に立っていて人に付き添われていなかった旗竿」

  旧ゴルフ規則が適用されていたときは,プレーヤーの球が旗竿に当たる事例は,ホールインワンとかパッティンググリーンの外からストロークした球が旗竿に当たる位でした。また,稀にですが球が旗竿に寄りかかり,ホールの中に沈み込まないことがありました。そのような状況になった場合,「ホールに入る」の定義が,球全体がホールのふちよりも下にあるときと規定されていたので,旧ゴルフ規則は,プレーヤーの球が旗竿に寄りかかっている球について,その後の処置をどうすべきか,次のとおり厳格に規定していました。

  「プレーヤーの球がホールの中の旗竿に寄りかかって止まっていてホールに入っていない場合,プレーヤーかプレーヤーの許可した人が,その旗竿を動かすか取り除くことが出来る。その際に球がホールに落ち込んだ場合,プレーヤーの球は最後のストロークホールに入ったものとみなされる。ホールに落ち込まなかった場合(ホールから飛び出してしまった場合),球が動かされたとき,球は罰なしにホールの縁にプレースされなければならない(そしてストロークをする)。」

  旧ゴルフ規則の「ホールに入る」の定義を素直に読めば,以上の旧規則17-4. 旗竿に寄りかかっている球の処置の規定には十分な理由があると思います。

 

2 R&Aは,2019年に「近代化されたゴルフ規則」を作成するという触れ込みで大幅な規則改正を実施しました。その一つが規則13.2a「旗竿をホールに立てたままにする」の⑵の規定「球がホールに残してある旗竿に当たっても罰はない。」です。R&Aは,旗竿を取り除いても,旗竿を立てたままでもホールに入る確率に大差はなく,また同伴プレーヤー全員の球がパティンググリーンに乗らなくても用意の出来たプレーヤーから旗竿を立てたままパッティングストロークができるので,大幅なプレー進行の促進が可能となると考えたものと思います。

  その一方,旗竿をホールに立てたままパットをすると,球が旗竿とホールの内側に挟まりホールの底に落ちない場合が,旧ゴルフ規則によってプレーしていた時より格段に多く起こることも事実です。

  本来なら,球が旗竿に挟まりホールの底に落ちない場合,旧ゴルフ規則17-4.旗竿に寄りかかっている球と同じように,プレ-ヤーが,その旗竿を動かして球をホールに落ち込ますのも一方法ですが,いちいちそのような処置を求めていたら,プレー進行の促進のために考えた規則が台無しとなります。

  R&Aは,近代化されたゴルフ規則13.2cで,次のとおり規定したのです。

  「プレーヤーの球がホールに立てられたままの旗竿によりかかって止まっている場合: 球の一部がホールの中のパッティンググリーン面より下にある場合,球全体がその面より下になかったとしても,その球はホールに入ったものとして扱われる。(そのままの状態で球を拾い上げて良いということです)」

  R&Aは,前記の状況を球がホールの中の旗竿寄りかかって止まっている特別なケース(参照 定義 ホールに入る)と捉えたのです。しかし,これはホールに入る(Holed)という先ほど申し上げたゴルフ規則の定義と矛盾なく説明できる改定ではありません。

  確かに,球の一部が,ホールの中のパッティンググリーン面より下にある状況であるなら,旗竿を動かせば球は99.99パーセントの確率でホールに入るでしょう。

 

3 2023年日本女子オープンゴルフ選手権3日目,パー3で球がホールの側面に突き刺さり,球の一部がパッティンググリーン面より上にあるという状況があったそうです。ほとんどの人は,ホールインワンと思ったでしょう。しかし,審判員の判定は,ホールの側面に食い込んだケースは,ホールに入ったことにはならないとのことでした。

  審判員の判定は,ホールインワンにはならない理由は,球がホールの側面に食い込んでホールの縁を広げてしまったからだということを理由にしているのではないでしょう。1メートルのパッティングストロークでもホールの縁は観念的には広げられていること明白です。球がホールの中の旗竿に寄りかかって止まっている場合ではないので,ゴルフ規則13.2cの適用がないというのでしょうか。それなら審判員の判定にも一理ありそうです。

  しかし,近代化されたゴルフ規則13.2cは,「プレーヤーの球がホールに立てられたままの旗竿によりかかって止まっている場合,球の一部がホールの中のパッティンググリーン面より下にある場合,球全体がその面より下になかったとしても,その球はホールに入ったものとして扱われる。」と大改定したのです。

  もし,球がホールの側面に突き刺さり,ホールに立てられた旗竿がよろけて立てられていたため,球と旗竿が接触していて,且つ球の一部がパッティンググリーン面より上にあるという状況があった場合どう判定しますか。さすがのR&Aでも,前記の状況では,球がホールの中の旗竿寄りかかって止まっている特別なケースであると認めざるを得ないでしょう。世の中,起こり得る可能性のあることは起こるのです。

  この旗竿に寄りかかって止まっている前記の状況は,近代化されたゴルフ規則13.2cに規定する球がホールの中の旗竿に寄りかかって止まっている特別なケース以外の何物でもありません。

  しかし,ホールインワンを認めない審判員は,したり顔でこう言うでしょう。

  「ゴルフ規則には,プレーヤーの球がホールに立てられたままの旗竿によりかかって止まっている場合と書いてあるでしょう。この状況は,プレーヤーの球に旗竿が寄りかかっているのです。」

  失礼しました。いくらホールインワンを認めない審判員でもそうは言わないでしょう。しかし,「ホールに入る 球がストローク後にホールの中に止まり,球全体がパッティンググリーン面より下にあるとき」という本来の定義を,近代化されたゴルフ規則13.2cの特別なケースを十分に吟味しないで新設したことによって,両立することが出来ないほど破壊してしまっているのです。ゆえにかような馬鹿々々しい議論となるのです。

  2023年日本女子オープンゴルフ選手権の審判員は,ホールの側面に食い込んだケースは別で,ホールに入ったことにはならず,オフィシャルブックにも記載されていると述べていますが,たまたま,旗竿と球が接触していなかったので審判員の判断は正しかったのかもしれません。

  私は確認していませんが,聞くところによると,オフィシャルブックには旗竿と球が接触していても,同じくホールに入ったことにはならないとあるそうです。近代化されたゴルフ規則のもとでは,当該オフィシャルブックの記載は,明文化されたゴルフ規則13.2cの「球が旗竿に寄りかかって止まっている場合:………その球はホールに入ったものとして扱われる。」との規定に違反しています。オフィシャルブックに何て書いてあろうと,ゴルフ規則に違反した下位のオフィシャルブックの解説です。オフィシャルブックの解説がゴルフ規則に違反していないというなら,R&Aは誰もが納得するような論理的説明をすべきです。それがないから,審判員が混乱して「この状況は,プレーヤーの球に旗竿が寄りかかっているのだ」,あるいは「球がその勢いでホールの縁を広げてしまったからだ」と咄嗟に気が付いたような言い訳をせざるを得ないのです。

 

4 R&Aは,近代化されたゴルフ規則13.2cの特別なケースを規定したとき,ホールに入る(Holed)について,その定義と特別なケースの相関関係について,あらゆる状況を想定したうえで吟味していないのです。つまり,「ゴルフ規則のホールに入るの定義」と「ゴルフ規則13.2cの規定」そのものが,両立出来ない矛盾した規定となっていることにR&Aの規則委員は気付いていないのです。

  ゴルフ規則13.2cの特別なケースは,パッティンググリーン上からストロークした場合に,より多く生じる状態です。しかしながら,100ヤード,200ヤード先から高速で飛翔する球でも適用になります。そのような場合,球の一部がホールの中のパッティンググリーン面より下にある(球がホールの側面に突き刺さる)場合が当然考えられます。その時,球と旗竿が接触していれば,規則13.2cの特別なケースが適用され球をそのまま拾い上げることが出来て,球と旗竿が接触していなければ,ホールに入った(Holed)ことにならないということになります。

  球と旗竿が接触しているか否かという偶然性の高い事実をもってホールドしたか否かを判定することの妥当性について検討していないのです。R&Aは,13.2cの特別なケースを新たに規定すれば,大幅にプレーの進行を促進できると考えていただけだったのです。R&Aの規則委員が頭で想像していたことは,13.2cの特別なケースの発生は,パッティンググリーン上からストロークした場合だけだったとしか思えません。

  2007年頃プロゴルファー,ビジェイ・シンがバンカーをならした違反で過少申告となり失格し,R&Aは,慌てて旧ゴルフ規則13-4.例外3を追加したものの,極めて不完全な改訂であったため,その数年後にスチュアート・シンクが,同じような事例で過小申告となり失格となったのと同じです。規則全体に目が行き届くよう,多くの意見を聞かないと規則の改定などできません。

  「詳しくは本ブログ内の(私がゴルフ規則に興味を持った経緯)を参照してください。」

  R&AとUSGAは,ゴルフ規則の近代化の指針として,改訂はすべてのゴルファーの存在を念頭において評価されるべきである。プロフェッショナルだけではなく,初心者,倶楽部ゴルファーにとっても,世界中のすべてのレベルのプレーにおいて規則が理解し易く,適用し易いものとなるようにすると表明したのに実態はこのざまです。

                                 以上

 

インプレーの球と動かせる障害物の関係及び救済方法

(規則15.2a⑴,同⑵)

2024年4月15日

  球が動かせる障害物に接触したり,その近くに止まったりした場合で,一番よく見かけるのは,球がレーキに球が寄りかかって,辛うじてバンカーに落ちないで止まっている事例でしょう。またコース上に置いてあるショベル,箒や箕,あるいはタオルなどの上に球が乗る場合も稀にあります。

  球が動かせる障害物の近くに止まった場合と,球が動かせる障害物の中や上にある場合で救済方法が全く異なることに注意してください。

 

1 球がレーキに球が寄りかかっている場合は,レーキを取り除きます。そしてレーキを取り除いている間に球が動いたり,バンカーに落ちてしまった場合は,球が止まっていた元の箇所に罰なしでリプレースします(規則15.2a⑴)。

  同じような状況でも,ルースインペディメントを取り除いたことが球を動かす原因となった場合,1罰打を課されるのに(15.1b),動かせる障害物では無罰なのです。

  動かせる障害物を取り除いている間に球がバンカーに落ちてしまった場合などでは,元の球の箇所が分からなくなる場合もあります。その場合は元の球の箇所を推定しなければならないとされています(14.2c)。以上の状況は多くのプレーヤーが経験していると思います。

 

2 パッティンググリーン以外のコース上で,球が動かせる障害物の中や上にある場合の救済は前記1と違います。この場合は,まず球を拾い上げて,その動かせる障害物を取り除き,拾い上げた球を罰なしで次の救済エリアにドロップします(規則15.2a⑵)。ドロップですから,球を取り替えることが出来ます(14.3a)。

  ≫基点        :元の球が止まっていた場所の真下と推定する地点

  救済エリアのサイズ :基点から1クラブレングス

  ≫救済エリアの制限  :基点と同じコースエリアで,ホールに近づかない

 

3 パッティンググリーン上で,球が動かせる障害物の中や上にある場合の救済は,球を拾い上げて,その動かせる障害物を取り除き,球をリプレースするする手続き(14.2b)にしたがって,球がその動かせる障害物の中や上に止まっていた場所の真下と推定する箇所に,元の球か別の球をプレースします(規則15.2a⑶)。

  動かせる障害物の中や上に止まっていた球は,パッティンググリーン面に接していなかったので,ゴルフ規則は,リプレースではなくプレースと表記しています。

以上

 

 

 

規則13.1aの第2項批判(球はパッティンググリーン上にあるか

2024年1月12日

(追記)2024年3月28日

 私は,2019年1月1日付で「パッティンググリーン上に球があるとコースエリアのパッティンググリーンに球がある」という題でかなり長い解説をしました。そこでも申し上げましたが,規則制定の趣旨にどうしても納得のいかない箇所があるので,ここで再度検討したいと思います。

 

1 パッティンググリーンの縁は特別に作られたエリアが始まると見て分かる所によって定める」とされています(定義:パッティンググリーン)。

通常パッティンググリーンの縁には,フリンジといわれるパッティンググリーン面より長めで帯状に刈った芝があります。このフリンジは,コースエリアとしてはジェネラルエリアでしょう。

  一方で規則2.2cは,球があるコースエリアの決定として,

   「球は常に1つのコースエリアにだけあるものとして扱う:」とし,

   球の一部がジェネラルエリアと4つの特定のコースエリアのいずれかと両方にある場合,その球はその特定のコースエリアにあるものとして扱う。」と規定しております。

  つまり,ジェネラルエリアであるフリンジとパッティンググリーンの間にある球は,パッティンググリーンというコースエリアにあるということになります。

  各エリアを区切るのは線です。したがって,球が地面にある場合は上から見て,球が木の上にあるような場合は横から見て、いずれのエリアにあるか,あるいは2つのエリアの両方に掛かっているかを判断すべきと言っているのではないでしょうか。この両方にある場合」という文言を平易,且つ適切に解釈すれば当然と思います。

球は地面に置いた場合,通常地面との接点は球の直径より少ない面積となります。球がフリンジに乗っていて,パッティンググリーン面にオーバーハングしている場合がしばしばあります。その球はコースエリアとしてのパッティンググリーンにあるものとして扱うが(規則2.2c),球がパッティンググリーン面に触れていないから球がパッティンググリーン上にある場合には該当しません。従って,球を拾い上げることはできません。

 

2 次に,球がコースエリアとしてのパッティンググリーンにあるだけではなく,規則13.1aが規定する球がパッティンググリーン上にある場合について検討します。

 

⑴   13.1aの1段目は,「球の一部がパッティンググリーンに触れている」場合,球はパッティンググリーン上にあるというのはよく分かります。例えば,桑や泰山木のように大きな葉の上に球が乗った場合,それがパッティンググリーンの真ん中にあったとしても,球の一部すらパッティンググリーンに接触していませんからパッティンググリーン上の球ではありません。

⑵   それでは,13.1aの2段目に,「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」というのはどういう趣旨で規定されたのでしょうか。

私は,インプレーの球を拾い上げることができるか否か,すなわち,13.1bの「パッティンググリーン上の球は拾い上げてふくことができる」の適用を受けられる条件を規定したものと理解しています。

   もし私の解釈が間違っていなければ,規則制定者が13.1aの2段目に,(例えば,ルースインペディメントや障害物と括弧書きしたのはどういうつもりだったのでしょうか。

   障害物は,コース上の何処にあっても,動かせない障害物なら規則16.1a⑴によって,動かせる障害物なら規則15.2a⑵,15.2a⑶によって球を拾い上げることができます。例えばフリンジとパッティンググリーンに跨いて動かせる障害物であるタオルが落ちていたとします。その上に球が止まっていた場合,その球がフリンジ上にあろうとパッティンググリーン面側にあろうと15.2a⑵,15.2a⑶によって球の拾い上げができます。そして,球のあった所の真下がパッティンググリーンであればプレースによってパッティンググリーン上の球となり,あるいは球のあった所の真下がジェネラルエリアであれば真下を起点としてドロップすることによってジェネラルエリアの球となります。つまり,13.1aの2段目に(例えば,ルースインペディメントや障害物)と規定し,あたかもこの規定により球の拾い上げが認められた「ルースインペディメント」と同列に扱って「障害物」と規定したのは,必要ないだけでなく,間違いではないでしょうか。

 

⑶   つまり,13.1aの2段目に,例えば,として規定する重要なことは「(例えば,ルースインペディメント)」だけではないでしょうか。

   ルースインペディメントは障害物と異なり球がルースインペディメントの上に乗っていた場合,球が動いてしまう,あるいはライの改善となるので,パッティンググリーンを含め全てのコースエリアで拾い上げられません。13.1aの1段目が言うところの,「・球の一部パッティンググリーンに触れている」場合に該当しないからです。例えば,桑や泰山木のように大きな葉の上に球が乗った場合,パッティンググリーンの真ん中にあったとしても球の一部すらパッティンググリーンに接触していませんから,拾い上げることができず桑や泰山木の葉の上にある球をそのままストロークすることになります。もちろんそのままストロークしても構いません。

   それを救済するのが13.1aの2段目に,「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」との規定ではないでしょうか。この規定がなくても障害物であるタオルなら球を拾い上げ,その真下にプレースすることができます。しかし,この規定がなくては,球がパッティンググリーンの真ん中にあったとしても,ルースインペディメントである桑や泰山木の葉の上にある球を拾い上げることはできず,そのままストロークすることになります。

 

3 ジェネラルエリア等においては,ルースインペディメントの上に球があっても,ウッドやウエッジでそのままストロークするのは当然です。しかし,球がコースエリアとしてのパッティンググリーンにあるのに,パターで桑や泰山木の葉の上から球をストロークしなければならないというのは如何なものかということではないでしょうか。そこで「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」場合,「球はパッティンググリーン上にある」と看做し,その球は拾い上げることができるとしたものではないでしょうか。

  球がその上に乗った場合,救済方法のないルースインペディメントと,常に救済を受けられる障害物をごちゃまぜに規定したというのは,どういう意図があったのでしょうか。私には,規則制定者が思い付きで規定し,吟味を怠たったとしか思えません。それとも,私が,何か大きな点を見逃しているのかもしれません。どなたかコメントを頂けると幸いです。

  ついでながら,13.1aの2段目に従って,拾い上げた球をどう処理するかは別問題です。私は桑や泰山木の葉の上から拾い上げた球の真下がフリンジであるなら,規則15.2a⑶の球が動かせる障害物の中や上にある場合の処置を準用してドロップをすべきと思います。また,桑や泰山木の葉の上から拾い上げた球の真下がパッティンググリーンの縁の内側であるなら,パッティンググリーン上にプレースすべきと解釈します。                          以上

 

追記

  球がその上に乗った場合,救済方法のないルースインペディメントと,常に救済を受けられる障害物をごちゃまぜに規定した原因について,これではないかと思われる箇所が見つかったので皆さんも検討をしてください。

  13.1f⑴の規定を見てください。

  目的外グリーンによる障害の意味として,

  「・プレーヤーの球の一部が目的外グリーンに触れている場合,またはその球の一部が目的外グリーンの縁の内側にあって,物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある。」との規定があります。

  この規定は13.1aの2段目に,「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって,物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」と同じ規定です。ここに間違いの原因があるのではないでしょうか。

  13.1aの2段目の規定は,球を拾い上げることが出来るか否かの規定で,ルースインペディメントや障害物の上にある球をそのままストロークするか否かはプレーヤーの任意です。ところが,13.1f⑴の規定は,規定されている状態が生じたら13.1f⑵の規定によって,あるがままにプレーしてはならないとされているのです。つまり障害物の上に乗っている球をそのままプレーするかどうかは,たとえパッティンググリーン上であっても,通常プレーヤーの任意です。ところが,目的外グリーン上に限っては,障害物の上に乗っている球をそのままプレーしてはならないとしているのです。ですから13.1f⑴の規定は,「・プレーヤーの球の一部が目的外グリーンに触れている場合,またはその球の一部が目的外グリーンの縁の内側にあって,物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある。」と規定されていないとプレーを禁止したことにならないのです。

  13.1f⑴の規定は,プレーを禁止するための規定であるから当然,完全な救済のニヤレストポイントを起点として救済を受けなければならないとする規定です。ところが,13.1aの2段目の規定は,球の拾い上げを許すだけの規定なのです。ですから,球の拾い上げをしないで,ルースインペディメントや障害物(タオルなど)の上にある球をそのままストロークするのはプレーヤーの任意です。この規則を制定した担当者は,そのことに全く気付いていないと思います。

 

関連記事

規則13.1a(球がパッティンググリーン上にある場合)について

 

 

球がパッティンググリーン上にあるの意味 (規則13.1a)

2024年2月9日

 

 球がコースエリアとしてのパッティンググリーンにあるだけではなく,規則13.1aが規定する球がパッティンググリーン上にある場合について検討します。

 

1 13.1aの1段目は,「球の一部がパッティンググリーンに触れている」場合,球はパッティンググリーン上にあるというのはよく分かります。例えば,桑や泰山木のように大きな葉の上に球が乗った場合,それがパッティンググリーンの真ん中にあったとしても,球の一部すらパッティンググリーンに接触していませんからパッティンググリーン上の球ではありません。

  13.1aの2段目の「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」との規定については,「球はパッティンググリーン上にあるか(規則13.1aの第2項批判)」と題して批判しました。

 

2 今回は,13.1aの1段目,同2段目は,どのような規定にしたらより理解しやすいのか検討してみます。

  私は,13.1aの規定は,インプレーの球を拾い上げることができるか否か,すなわち,13.1bの「パッティンググリーン上の球は拾い上げてふくことができる」の適用を受けられる条件を規定したものと理解しています。

  ルースインペディメントは障害物と異なり球がルースインペディメントの上に乗っていた場合,球が動いてしまう,あるいはライの改善となるので,パッティンググリーンを含め,全てのコースエリアで罰打なしに拾い上げることはできません。13.1aの1段目が言うところの,「・球の一部パッティンググリーンに触れている」場合に該当しないからです。例えば,桑の葉のような大きな葉の上に球が乗った場合,球がパッティンググリーンの真ん中にあったとしても球とパッティンググリーンの間に桑の葉が挟まった状態では「・球の一部がパッティンググリーンに触れている」場合に該当しませんから,球を拾い上げることができず桑の葉の上にある球をそのままパッティングストロークをすることになります。

   それを救済するのが,13.1aの2段目に,「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」との規定ではないでしょうか。この規定がなくては,球がパッティンググリーンの真ん中にあったとしても,ルースインペディメントである桑の葉の上にある球を拾い上げることはできません。もちろん,障害物であるタオルやルースインペディメントである桑の葉の上にある球をそのままストロークできることは言うまでもありません。

 

3  球が,ルースインペディメントの上に乗った場合,罰なしの救済方法はないのです。そうであるなら,ゴルフ規則13.1aの1段目,同2段目は,次のとおり規定すべきではないでしょうか。

 

   規則13.1a   球がパッティンググリーン上にある場合

   次の場合,球はパッティンググリーン上にある

   ・球の一部が,パッティンググリーンに触れている。

   ・球の全部もしくは一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって,ルースインペディメントの上や中にある。

 

   下線部分について検討すると,

   球の全部としたのは,「球の一部が」との規定では,球の全部は含まない概念であると言った教条的な理解をする可能性があるから敢えて規定したものです。一段目の「球の一部がパッティンググリーンに触れている。」というのは平面に球体が触れているのですから,球の一部というのは当然です。二段目は,球がどこに触れているかではなく,球全体がパッティンググリーンとジェネラルエリアであるフリンジの間にあり,且つその球がルースインペディメントの上にある場合のことを規定しているのではないでしょうか。ですから,球全体がパッティンググリーンにある場合もこの規則が適用にならないとパッティンググリーン上の球になりませんから球の拾い上げが出来ません。

   ルースインペディメントの上や中とし,「障害物」を排除したのは,動かせる障害物は,規則15.2a⑶に球を拾い上げる根拠が規定されています。すなわち,障害物の上に球があるなら,球がパッティングエリアにあろうが,ジェネラルエリアにあろうが,その両方に掛かっていようが,球を拾い上げることができます。規則13.1aで動かせる障害物をルースインペディメントと同様に扱うのは,その根拠を曖昧にするだけでなく,誤りと考えます。

 

4 ついでながら,13.1aの2段目に従って,拾い上げた球をどう処理するかは別問題です。私は桑の葉の上から拾い上げた球の真下がフリンジであるなら,規則15.2a⑶の球が動かせる障害物の中や上にある場合の処置を準用してドロップをすべきと思います。また,桑の葉の上から拾い上げた球の真下がパッティンググリーンの縁の内側であるなら,パッティンググリーン上にプレースすべきと解釈します。

  桑の葉に乗っている球を一度パッティンググリーン上の球であると看做したのに,桑の葉に乗っている球の真下がフリンジの場合フリンジにドロップしなさいと言うのはおかしいとも思います。しかし,13.1aの2段目の規定は,球を拾い上げることを認めたにすぎず,パッティンググリーン上にプレースして良いとすることまでは認めていないと解釈します。すなわち動かせる障害物の規則15.2a⑶と同じように,球が止まっていた場所の真下と推定する箇所がフリンジならそこにドロップすべきと思います。

                          以上

 

関連記事

規則13.1aの第2項批判(球はパッティンググリーン上にあるか