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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ジェニファーのしたこと』(2024)Netflix

2010年、実際に起きた事件のドキュメンタリー。

原題は『What Jennifer Did』。製作国はイギリス。

 

監督・脚本 ジェニー・ポップルウェル

 

ハン・パンビック・ハ・パン夫婦はベトナムからカナダへと渡ったベトナム移民で、一生懸命働き家を持つほどに成功をおさめる。夫婦にはジェニファーという娘が生まれ、教育はもちろん、習い事もさせ、不自由のない環境を整えた。2010年、オンタリオ州マーカムの自宅で事件が起こる。ジェニファーが大学も終えた24歳時。

夜半、恐怖に慄くジェニファー・パンからの通報が入る。何者かが侵入し、両親を銃殺し、自分は縛り付けられ身動きできないというのだ。駆けつけた警察、救急隊は凄惨な現場を目の当たりにする。母親は亡くなってしまったが、父親は一命をとりとめた。が、重体で余談を許さない。唯一、無事だったジェニファーへの事情聴取が始まる。

その事情聴取は14日間3回に渡って行われ、最初は精神的にまいってるジェニファーを案じながらされたが、調べていくうちにいくつかの疑問点、矛盾点が浮上する。容疑者エリック・カーティーデビッド・ミルバガナムも上がり、それらを丁寧に洗いながら、ジェニファーを詰めていく…。

 

結果からいうと、ジェニファーによる嘱託殺人。理由はダニエル・ウォンとの交際を認めてもらえなかったから。ダニエルにはジェニファーと別れ、すでに新しい恋人クリスティーンがいた。ジェニファーはまだ想いが残っていて嫉妬も働く。

また、ジェニファーは両親が期待を寄せるほど優秀な子ではなかった。実際は大学も落ちたのに、受かったと卒業まで騙し続けた。それだけ両親の圧が強かったのだろう。

ダニエルは大学にいってたが、麻薬に手を出していた。ジェニファーはダニエルとの仲に邪魔な両親(主に父)を殺害しようと、ダニエルの闇のツテで「ホームボーイ」なる人物レンフォード・クロフォードを紹介してもらい、仕事を依頼する。この時、ジェニファーにはすでに何の気もないダニエルが仲介を受けたのは金のためだったようだ。

 

親の期待や理想が負担になって起きた事件と言えるかもしれないが、だとしたら、歪な人間を作り出すのって意外に簡単じゃん、となってしまう。そうではなくて、もともと持ってる資質、人格による部分が大きいのではないかと思う。逃げ場がなくなったのにも関わらず、実は自殺幇助を頼んだのだと最後まで自身の罪を認めぬ抵抗をするジェニファーにはサイコ味を感じたし。

作品ではジェニファーは「愛と承認が欲しかった」とあるが、もっと根源的なもののように思える。ただただ「ダニエルを手に入れたかった、そのためにはどうするか」しかなかった、その執着は異常でしょう、ふつうに。

また、父親殺害を依頼したのは2回目だったという。そこまでの恨みの因が単にダニエルの交際反対だけというなら、その方がおかしい。そんなモンスター、作れるものなのか?

母親をも父親同等に殺害対象にしていたのかわからないが、犯人を前に母親が言った最後の言葉が、「娘を傷つけないで」だったそうだ。母親としての愛情はあった。それをジェニファーは感じ得なかったわけだ。

もともと何かが欠落していたのだと思えてならない。

 

刑罰は25年間仮釈放無しの終身刑、及び父親には娘からの接触禁止命令が出たが、再審請求、ジェニファーは無罪を主張しているらしい。

 

「殺人事件がもたらす高揚感は、疲れとともに冷める」という捜査官の言葉が、理解できるだけになんともいえない気持ちにさせられた。凄惨な事件事故、小さくはスキャンダルに人は興味をそそられる。

そして、縛られていて身動き取れないのに通報出来てる時点でおかしいと思った。動機含む手法は想像とは少し外れたが、この手のドキュメンタリーの衝撃には慣れが出てしまってるなぁと感じた。良くない、自分。
 
★★★

 

 

 

 

 

『DOGMAN』(2023/日本公開2024)

原題は『DogMan』。フランス映画。

監督・脚本 リュック・ベッソン

 

暴力をふるう父親(クレーメンス・シック)は絶対的な存在で、兄(アレクサンダー・セッティネリ)は父親におもねり、母親(イリス・ブリー)は顔色をうかがいビクビクしてるそんな家庭で育ったダグラス・マンロー(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/少年期:リンカーン・パウエル)は、勝手に犬に食べ物を与えたと父親の怒りを買い、犬小屋(檻)に閉じ込められる。一家は父の作る闘犬で生計を立てていたのだった。そのうち我慢の限界にきた母親は妊娠を機に家出をし、ダグラスはずっと檻の中で犬たちと暮らし育ち、犬との信頼関係を築いていった。ある日、子犬が生まれたことを知った父親に散弾銃を放たれ、左手の小指を失うと共に脊髄をやられ半身不随の車椅子生活者となってしまう。その事件時、関係を築いていた犬たちを操り警察を呼び、父親と兄は捕まり、ダグラスは養護施設へ保護され、少しばかりの自由を得る。

施設では演劇指導員の女性サルマ(グレース・パルマ)と知り合い、芝居とメイクで何にでもなれると影響を受ける。それは初恋にもつながるが、サルマは女優になるべく施設を去り本格的に歩み出す。やがてブロードウェイで成功をおさめ、ドッグシェルターで働いていたダグラスは久しぶりに会いに行くのだったが、彼女にはすでに伴侶となる人を持ち、その人との子がお腹にいた。

悲しみに暮れていたが、そんな時も寄り添ってくれたのは犬たち。けれどシェルターが閉鎖することになる。犬たちの行く末を案じて、ダグラスは犬たちを連れて廃墟に住まう。稼ぎを得るため仕事を探すが障害者に仕事は見つからない。そんな時、たまたま見つけたドラァグクイーンのショーパブで、歌手として雇われることになる。しかしそれだけでは犬たちまで養えないので、犬たちに窃盗を仕込む。富の分配と称して、狙うのは金持ちの邸宅ばかりだった。

だが、被害を受けた富豪の女性(マリサ・ベレンソン)が保険会社にかけあったことで、担当のアッカーマン(クリストファー・デナム)が窃盗事件を追うのと、ダグラスが以前人助けをしたことでギャング団エル・ヴェルドゥゴ(ジョン・チャールズ・アギュラー)に狙われるのとが重なり、犬を従えた死闘の結果、ダグラスは警察に捕まってしまう…。


映画はその警察署で精神科医のエヴリン(ジョージョー・T・ギップス)に過去、これまでの経緯を語る形で始まる。

犬の忠誠心、愛に幾度となく助けられたダグラスの人生が描かれている。

 

『ジョーカー』観てるみたいだった。

 

エヴリンに喋り終わったダグラスは、また犬の力をかりながら脱出し、ラストは神にしたがう形で終わる。それは大仰だが、犬たちの忠誠心が切ない。

 

好きな犬種はいなかったけど、同じサイトハウンドのアイリッシュウルフハウンド、サルーキーが出てた。賢く重要な役目を担うのはやはりドーベルマン、ジャーマンシェパード、それからジャックラッセルテリアが活躍してた。その他、ラブラドゥードル、チワワ、ピットブル、コモンドールなど犬種の特性がいきていた。

 

★★★

 

 

 

 

あらためて、『ジョーカー』良かったなぁ。

 

 

『連続ドキュメンタリー RIDE ON TIME』Season6(2024)

 

過去5シーズンに渡ってフジテレビ系列で放送されたドキュメンタリー番組(取り上げられてるアーティストは全員旧ジャニーズ及び関係者)の新作、6シーズン目になるが、Netflixでの独占配信となっている。

 

ナレーター 風間俊介

 

Season6(2024)2023年〜2024年初頭の彼らを追ったドキュメンタリー。

 

 

①〜②7 MEN 侍(中村嶺亜、本高克樹、菅田琳寧、佐々木大光、今野大輝、矢花黎)

2018年バンド形態をとって組まれたグループだが、二刀流と言われる通り、歌にダンスにと従来の旧ジャニーズアイドルのスタイルも持つ。

もっと知名度を上げるためにはと2023年、二人体制になったKing & Princeのツアーにバックバンド&バックダンサーで参加、亀梨和也が演出するドームライブ「わっしょいCAMP」ではAぇ! groupとのセッションが企画され見せ場を得、堂本光一の手がける舞台「DREAM BOYS」にも立つ。デビューを目標に邁進する7 MEN 侍を追う。

アイドルも早慶、MARCHどころか院卒までが出るようになったのかとかSnow Man阿部亮平で思ったが、7 MEN 侍の本高克樹は博士号を狙っているという。他に、大学で矢花黎は音楽を、中村嶺亜は絵画を学んでいるという。多才だ。

上へ行こうという野心が見え、頼もしい。先輩らも後輩への指導、助言に余念がない。信頼と尊敬、憧憬でしっかり結ばれているのだろう。こんなに努力している彼らの母体を、しかも彼らには何の罪もない、よくもまあ、あそこまで潰せたもんだと腹立たしい。

 

 

 

 

③〜④HiHi Jets(井上瑞稀、橋本涼、猪狩蒼弥、高橋優斗、作間龍斗)

ローラースケートを履きこなす5人組のグループ。2015年時、井上瑞稀猪狩蒼弥橋本涼、他二人だったのが、2016年に髙橋優斗が入り、2018年に作間龍斗が入って現在のHiHi Jetsとなる。作間が入るまでは個性のぶつかり合いが激しく、井上に言わせればみんな嫌いで喧嘩の絶えない、いつ終わっても不思議でないグループだったようだ。作間が潤滑油となってうまく機能するようになったらしい。そんなHiHi Jetsだが、みんな共通してファンファースト、エンターテイナーであろうとする意識が強い。

ドキュメンタリーは宮城・東京・大阪での初の単独アリーナツアーをリハーサルから追ったもの。演出は猪狩。それぞれの個性を生かすまでに成長したということなのかもしれない。残念ながら台風の直撃で大阪公演は中止になってしまう。

言葉遣いに差が顕著で、橋本、作間>高橋、井上>猪狩で、性格がそのまま現れている感じだ。猪狩は個性が強いのでバラエティうまいかもしれない。不安症で弱気の橋本が芸能界、こと旧ジャニーズにいるのが意外だが、逆に作用しているのかもしれない。

 

 

 

 

⑤〜⑧King & Prince(永瀬廉、髙橋海人)

2023年、二人体制になってからの初のファンミーティング、全国アリーナツアーを追いながら、性格も趣味も真逆だが、だからこそ尊重し合える二人の絆が見えるドキュメント。

六人の時代を否定せず、新たなキンプリを立ち上げていくのは不安もあったろうなぁと想像。ただ、性格の違いがプラスに働いて足し引きがうまくできてるようで、ファンミーティングが終わった頃には形が見えてきたという。信頼と愛かなぁ。

五人時代の曲をやるのは大変だったという。振りもパートも体に染み込んでるから。

「なにもの」は歌詞もとても良い曲で、うるっとしてしまうし、髙橋海人作詞作曲の「話をしようよ」も愛おしい。「Happy Ever After」も泣けるし、今となっては「シンデレラガール」も切ない。なんなら「ichiban」さえも。

大丈夫だ、二人のKing & Princeは。と思えるものだった。

 

 

 

 

 

 

⑨〜⑫TravisJapan(宮近海斗、川島如恵留、中村海人、松田元太、松倉海斗、七五三掛龍也、吉澤閑也)

グループ自体は2012年からで、10年目にデビューとなったわけだが、現メンバーになったのは2018年、ずっとダンスを売りにしてきた。それが2022年7ヶ月のアメリカ留学で語学と共に、現地人気のオーディション番組に出演するなどエンターテイメントも学び、各々スター像を得たようだ。

ドキュンタリーはそんなアメリカ体験からの伸び、台北でのイベント、レコーディング&MVメイキング、初のレギュラーテレビ番組、デビュー後初のアリーナツアー、MGT再チャレンジなどの様子。

グループとして10年という長さ、ファミリーと位置付けするだけあり、メンバー愛が深いのと、ポテンシャルの高さが素晴らしいなと思った。あれだけ踊れて更に高みを目指す、アイドル。

 

 

 

 

 

面白かった。

アイドルを目指す、芸能界でやっていこうと決めた、自分の理想に一歩でも近づこうとする努力、一つ超えたらまた新たな一つ、と貪欲なまでに自分らの可能性を信じて追求する姿が素晴らしかった。

 

何度も言ってしつこいが、本当に、旧ジャニーズを潰したの誰だよと腹立たしい。こんなに頑張って、ファンを大切に思っている子たちばかりなのに。なぜ分けて考えられないのか。

まあ、3年前までまったくジャニーズに興味のなかった私が言ってもね…(^^;;

 

 

YouTube

 

 

 

Netflix

 

 

 

『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜(2024)東京建物 Brillia HALL

日本での初演は2017年。今回は三度目。ビリー役など少年少女たちは1年にわたるバレエ、タップ、器械体操、歌唱、演技などのレッスンの末、オーディションで決まったとのこと。

 

脚本・歌詞 リー・ホール

演出 スティーヴン・ダルドリー

音楽 エルトン・ジョン

振付 ピーター・ダーリング

 

翻訳 常田景子

訳詞 高橋亜子

振付補 前田清実藤山すみれ





(※太字観劇日のキャスト

 

ビリー・エリオット(クワトロキャスト):浅田良舞(あさだりょうま)、石黒瑛士(いしぐろえいと)、井上宇一郎(いのうえういちろう)、春山嘉夢一(はるやまかむい)

お父さん(ダブルキャスト):益岡徹、鶴見慎吾

ウィルキンソン先生(ダブルキャスト):安蘭けい、濱田めぐみ

おばあちゃん(ダブルキャスト):根岸季衣(ねぎしとしえ)、阿知波悟美(あちわさとみ)

トニー(ダブルキャスト):西岡大貴、吉田広大

ジョージ芋洗坂係長

オールダー・ビリー(トリプルキャスト):永野亮比己(ながのあきひこ)、厚地康雄、山科諒馬

マイケル(クワトロキャスト):髙橋維束(たかはしいつか)、豊本燦太(とよもとさんた)、西山遥都(にしやまはると)、渡邊隼人

デビー(トリプルキャスト):上原日茉莉、佐源太惟乃哩 (さげんたいのり)、内藤菫子(ないとうすみれこ)

トールボーイ(ダブルキャスト):猪俣怜生、髙橋翔大

スモールボーイ(トリプルキャスト):張浩一、多胡奏汰、藤元万瑠(ふじもとまる)

バレエガールズ(ダブルキャスト):石澤桜來、岩本佳子木村美桜清水優、鈴木結里愛、住徳瑠香(すみとくるか)、長尾侑南(ながおゆなみ)、松本望海、南夢依、宮野陽光(みやのひかり)

 

ブライスウェイト(ダブルキャスト)兼アンサンブル:森山大輔、近藤貴郁(こんどうたかふみ)

死んだお母さん兼アンサンブル:大月さゆ

アンサンブル大竹尚(おおたけひさし)、加賀谷真聡(かがやまさと)、後藤裕磨、齋藤桐人(さいとうきりひと)、聖司朗(せいしろう)、辰巳智秋照井裕隆丸山泰右(まるやまたいすけ)、森内翔大小島亜莉沙咲良竹内晶美、石田優月、白木彩可、新里藍那(にいさとあいな)、山科諒馬

スウィング黒沼亮春口凌芽(はるぐちりょうが)、森田万貴(もりたまき)






1980年代半ばの英国、マーガレット・サッチャー政権下、新自由主義諸政策に対して労資争議が巻き起こる。混乱する炭鉱の町に暮らす11歳のビリー・エリオット(井上宇一郎)母親(大月さゆ)は数年前に亡くなり、ビリーは炭鉱夫の父ジャッキー(鶴見慎吾)、兄トニー(吉田広大)祖母(阿知波悟美)との四人暮らし。生活は先が見えない状況にあり、父たち炭鉱夫はストライキに入って警察と対立する。そんな中、せめて強くたくましく育って欲しいと父親はビリーにボクシングを習わせる。けれどビリーは身が入らない。

ある日、ボクシングのレッスンの後、バレエ教室のレッスンに遭遇する。あれよあれよと巻き込まれ、レッスンを受けることになる。バレエのウィルキンソン先生(安蘭けい)はすぐさまビリーの才能に気づき熱心な指導が始まり、ビリーもまたボクシングよりバレエに心惹かれる。それは親友マイケル(髙橋維束)の自分の好きなもの、好きなことにまっすぐ突き進む「自由さ」に通じ、ビリーも踊っていると自分が全てから解き放たれ自由を感じるのだった。

ビリーはボクシングのレッスン料をバレエにつぎ込み、こっそりバレエレッスンを受けていた。だが、ロイヤルバレエ学校のオーディション日に父親に全てバレてしまう。トニーからもののしられ反対され、バレエは辞めさせられてしまう。絶望感でいっぱいのビリーだが、そんなビリーの踊る姿を目にした父親は、どうにもならないストライキ運動のはざまでビリーの未来はもちろん、自分たちの将来の生活についても考えを改め、ウィルキンソン先生にビリーを託すことを決意する。そしてビリーはウィルキンソン先生の指導と父親の協力、やがては町中の人々の応援のもと、まだ間に合うオーディションに挑む…。





とても良かった。映画版(「リトル・ダンサー」)は観ていたけど、はるかに舞台の方が良かった。ダンスはもちろんだが、心がこもった歌唱も台詞も演出も、子供たちだけではなくキャスト全員のバランス、ストーリー(脚本)でグッときた。ミュージカルでジーンとくるのは初めてだし、リピートしたいと思えたのは過去2~3作しかない(実際リピートしたのは『プロデューサーズ』のみ(^^;)。

 

こんなに小さいのに…という気持ちが先立ったのだが、まず、ビリー、マイケルのタップダンスにやられた。どれだけ練習を重ねたのだろう、とてもうまかった。ダンスに絞れば、ビリーがじょじょにバレエがうまくなっていく様が素晴らしいし(出来るからこそ下手な演技もうまい)、バレエを否定された時のビリーの怒りと悲しみの表現(主にタップ)は胸を打ったし、オールダー・ビリー(厚地康雄)とのミラーリングもきれいだったし、フライングもその体幹の良さに惚れ惚れした。だいたい運動量が尋常じゃない。踊って跳ねて走って転げて歌って声を張り上げての演技はかなり体力を使う。息が上がってるんじゃないかと心配になったが、そこは子供でもプロの舞台人、感心させられた。

 

ウィルキンソン先生の娘デビー(上原日茉莉)のおませさんなところ、マイケルの陽気で正直なところ、おばあちゃんのボケと優しさ、トニーの頑なな若者っぷり、とにかくキャラクターがみんな魅力的で基本コミカル。そう、台詞にちょいちょい入るネタ化した言葉は今の時代だと下衆かったり、問題視されたりするのだろうけど、時代を表しているようで小気味よかったし、笑えた。

そして聞いたことのある方言。おそらく日本の炭鉱の町と重ねたのだろう、北九州と思われる。それが親近感を湧かせる。

映像でしか観たことなかった鶴見慎吾、歌も演技も素晴らしくて驚いた。考えてみれば芸能生活も長いわけだし(覚えてる限りは「金八先生」)うまくて当たり前だ。

阿知波悟美も映像でちょこっとしか知らず、その歌唱、舞台演技に感動した。素晴らしい。

 

とても良かったのでリピートするかもしれない。。。

 

今回のビリー役井上宇一郎くんは変声期間近かもしれない。彼に限らず、このビリー役は一生に一度しかやれないだろうから、本人にとって貴重な役だろうな。

 

 

(観劇日20240817)


東京公演は10月までなので、機会があればぜひ!


東京:東京建物 Brillia HALL 0802~1026

大阪:SkyシアターMBS 1109~1124

 

 

 

 

 


 



『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(2024)Netflix

原作は森田碧の小説。

 

監督 三木孝浩(『ソラニン』『ホットロード』『アオハライド』『坂道のアポロン』『思い、思われ、ふり、ふられ』他)

脚本 吉田智子(『僕らがいた』『カノジョは嘘を愛しすぎてる』『ソラニン』『ホットロード』『君の膵臓をたべたい』他)

音楽 亀田誠治

 

永瀬廉、出口夏希、横田真悠、木村文乃、大塚寧々、松雪泰子、仲村トオル、秋谷郁甫(あきやいくほ)、野間口徹、水橋研二、杏花(きょうか)、大友一生、月島琉衣、夙川アトム(しゅくがわあとむ)、他。

 

17歳の高校生早坂秋人(永瀬廉)はある日、心臓に腫瘍が見つかり医者に余命一年と宣告される。絵を描くのが好きな美術部員で、二科展を目指していたがそれも叶わぬと絶望感でいっぱいの時、病院の屋上で一人の女の子桜井春奈(出口夏希)と知り合う。同じ年、同じ絵を描くことが好きな春奈もまた子供の頃からの病気で余命半年を告げられていた。なのに半年の命を受け止め明るく振る舞う春奈。春奈はといえば余命を話しても驚かない秋人に逆に驚き、二人は惹かれ合う。秋人は自分が病気であることは一切明かさぬまま、交友を深めていく。その中で、秋人は春奈の喧嘩別れした親友三浦綾香(横田真悠)との仲をとりもったり、父親(仲村トオル)に勧められた手術を受ける決心をしたり、幼なじみの絵里(杏花)、翔太(秋谷郁甫)の友情にあたためられたり、再度二科展挑戦を始めたり、不意の危機など起こる試練に泣かされる。

そしてフラワーショップのオーナー(木村文乃)を介して知り得た花言葉で気持ちを伝え、二人は確かな絆を紡ぎ、秋人も春奈も限りある時間を色濃く生きていく…。

 

まあ…春奈は亡くなってしまって、秋人も先進医療手術のおかげで一年で死ぬことはなかったが、それでも3年半。ちゃんと死んじゃうんだなと、そこは容赦無しかと思った。

残酷だなぁと思ったのは、綾香を巻き込んでいること。春奈も秋人も亡くなるんだからいいけど、綾香は普通に生きる。少なくとも余命宣告されるような病気にはなっていない。春奈がいなくなったら綾香が一人で秋人を見舞うようになるわけで、秋人がいなくなったら…ずっと二人の影を心に持ちながら生きていく…のはつらいしひどい。とはいえ、それが人生というものなのはわかる。

 

なんていうか、恋愛の展開、命の危機や焦らしがテンプレートのようで少女漫画みたいな話だったし、少女漫画原作映画みたいにラストが冗長だった。しつこいという意味。

でもまあ、涙が滲むほどぐっとくるし、それが何度もあるし、映画として心が揺れるいい作品になってる。例えば、秋人がいるおかげで生きることを頑張るようになる春奈だったり、花火の約束ばかりか春奈の最期の日、綾香に危篤を連絡をしたのに待合室で倒れて死に目にも会えなかった秋人だったり、今が幸せであればあるほど残す人がいると余命宣告がどんなにつらいものか、とか。ガーベラと二科展の伏線回収も良かったし。

 

エンドロール後、「人生と芸術の意味を与えてくれる色が、一つだけある それは愛の色だ マルク・シャガール」と入る。そんなものを見せてくれてた作品。

 

監督と脚本家の色がしっかり出てるなと思った。

出口夏希、かわいいし演技良かったので、これからバンバン出てくるだろうな。あと、たいして出てないけど秋谷郁甫も雰囲気のある役者で目を引く。永瀬廉もこの役は良かった。

 

春奈の母親役&看護師長松雪泰子秋人の母親役に大塚寧々役に月島琉衣

 

★★★(★)

 

 

 

 

『キングダム 大将軍の帰還(2024)

原作は原泰久の漫画。

 

監督 佐藤信介(『BLEACH』『いぬやしき』『デスノート』『GANTZ』シリーズ、『キングダム』シリーズ、『今際の国のアリス』他)

脚本 黒岩勉(『悪と仮面のルール』『累』『LIAR GAME』シリーズ、『マイファミリー』『TOKYO MER』『グランメゾン東京』『消えた初恋』『ゴールデンカムイ』『TOKYO MER]』シリーズ、『ストロベリーナイト』シリーズ、『キングダム』シリーズ、他)、原泰久


音楽 やまだ豊(『チア☆ダン』『曇天に笑う』『いぬやしき』『BREACH』『CUBE』『ゴールデンカムイ』『キングダム』シリーズ、『東京リベンジャーズ』シリーズ、他)

主題歌 ONE OK ROCK『Delusion:All』

 

山﨑賢人、吉沢亮、橋本環奈、大沢たかお、要潤、高嶋政宏、玉木宏、岡山天音、三浦貴大、清野菜名、新木優子、吉川晃司、小栗旬、山田裕貴、加藤雅也、草刈正雄、長澤まさみ、佐藤浩市、山本耕史、萩原利久、佐久間由衣、高橋光臣、平山祐介、真壁刀義、栄信、濱津隆之、佳久創、村上絵梨、桜井日奈子、他。




 

前作(「運命の炎」)の馬陽の戦い(秦と趙の戦い)の続き。

敵将を討った信(山﨑賢人)の前に新たに現れた趙三大天の一人龐煖=ほうけん(吉川晃司)の圧倒的な力に、飛信隊は命を落とす者も多数、窮地に追い込まれ、撤兵することになる。致命傷を負った信を担ぎ尾平(岡山天音)尾到(三浦貴大)は、途中で二手に別れなんとか逃げのびるものの尾到も致命傷を負っていた。城戸村で尾到の無事を待つ婚約者友里(村上絵梨)と尾平の婚約者東美(桜井日奈子)の祈りも虚しく、尾到の命は尽きる。

ばらばらに逃げおおせた飛信隊もなんとか王騎(大沢たかお)軍と合流し、趙荘=ちょうそう(山本耕史)率いる趙荘軍との戦い、そのトップに立つ龐煖と王騎との壮絶な決戦、そして裏で暗躍し全ての駒を動かす天才的軍師李牧=りぼく(小栗旬)との頭脳戦までもが繰り広げられる…。

 

物語は龐煖と王騎の因縁を描く。秦国六大将軍の一人、=きょう(新木優子)の隠されたーー秦国の今は亡き君主昭王/嬴政の曽祖父(草刈正雄)の娘というーー素性、その摎と王騎との関係、なぜ龐煖が執拗に王騎を追うのか、王騎もまたなぜ龐煖に憤怒の思いがおさまらないのか、が明かされる。

嬴政=えいせい(吉沢亮)のもとには山の民の楊端和=ようたんわ(長澤まさみ)がやってきて、敵国趙の戦略について紐解き、一方、軍師見習い中の河了貂=かりょうてん(橋本環奈)蒙毅=もうき(萩原利久)の李牧、李牧に仕える剣士カイネ(佐久間由衣)との会話から、真の戦いはこれからであること、誰と戦っていたのかが明かされる。

そして次に続く序章として、王騎の矛が信に託される。

 

王騎のすごみが素晴らしかったし、馬上で彫刻のように亡くなる姿が美しかった。美しいといえば摎の新木優子、馬術もアクションも素晴らしかった。アクションが素晴らしいといえば、信の山﨑賢人はもちろんだが、羌瘣=きょうかいの清野菜名、そして王騎同等の巨大な矛を操る龐煖の吉川晃司。これまで王騎の後ろで粛々と仕事をこなしていたが、今回敵軍を次々に切り倒す技を見せた=とう(要潤)もとても良かった。特に何もしなかったけど、カイネ佐久間由衣の演技も良かった。東美桜井日奈子もかわいかった。趙荘山本耕史のおごりぶりも見事だった。

涙を誘うエピソード連のせいもあるが、大迫力アクションによる息もつげないクライマックスの連続に、いったい2時間26分の間に何話分を見たかと思うほど濃かった。


前回からの予想で、今作でお終いだと思っていたし(スケジュールなど色々厳しいだろうし)、実際これで終わりでもいいような作りではあった。ただ、制作側としては7作まで考えているような話なので、信が大将軍となる、秦の始皇帝の中華統一、そこまでいってほしいなぁと思えてきた。あと3作じゃ無理?

 

★★★★★

 

 

 

制作 CREDEUS

配給 東宝、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 

公式サイト





公開1ヶ月でやっと観に行けた(^^;;

以上、とり急ぎ。



吉沢亮インタビュー







あと、申し訳ない、万極=まんごく役の山田裕貴、やはり良さがわからなかった。原作を読んでないので実はキャラクターは合ってるのかもしれないが。同じく、原作でのキャラクターは知らないが、李牧の小栗旬、違う気がしてならない。じゃあ、二人とも誰ならいいのか、というと、その二人以外の誰か…という無責任な感想になる(^^;;

次作でこの思いを裏切って納得のいく万極、李牧を見せて欲しい。




『雑魚どもよ、大志を抱け!』(2023)

原作は足立紳の「弱虫日記」。

 

監督 足立紳(『アオグラ』『百円の恋』『お盆の弟』『14の夜』『デメキン』『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』他)

脚本 松本稔足立紳

 

池川侑希弥、田代輝、白石葵一(しらいしきいち)、松藤史恩、岩田奏、蒼井旬、坂元愛登、新津ちせ、臼田あさみ、浜野謙太、河合青葉、永瀬正敏、田中美晴、吉岡睦雄、鶯上丈太(おうがみじょうた)、他。

 

1988年、小学校6年生になった高崎瞬(池川侑希弥)は5年ラストの成績がひどかったので、これを機に母親(臼田あさみ)に塾通いを強要されていた。妹のワコ(新津ちせ)はまだ優秀だし、父親(浜野謙太)は仕事第一で子育てはなあなあだった。

仲のいい友達は肉体的にも精神的にも強く頼りになる村瀬隆造(田代輝)。でも隆造の父親(永瀬正敏)はヤクザで、そのDVに耐え切れず母親(河合青葉)は出て行ってしまっていた。それから吃音症で不登校気味、のろまのトカゲこと戸梶元太(白石葵一)。トカゲの母親は宗教にハマっている。そして、頭が良く真面目でゲーム好き、母子家庭の星正太郎(松藤史恩)。ただ、姉は不良だ。瞬たちはよく「地獄トンネル」と呼ばれてる廃トンネルを話題にして遊んでいた。「地獄トンネル」は遊びでは肝試し的なものだが、願かけや誓いを立てたり勇気を得る特別な場所でもあった。

他に、トカゲをいじめたり、隆造をライバル視して敵対してるのが玉島明(蒼井旬)率いるいじめっ子グループ。また、近所に引っ越してきた日和見主義でエアガン好きのいきり野郎小林幸介(坂元愛登)がいる。幸介は転校早々隆造にも明にも取り入り、いいとこ取りをする。そんなだから瞬は疎外感を覚えるようになる。

結局母親に押し切られて塾通いすることになった瞬は、そこでクラスメイトの西野聡(岩田奏)と一緒になる。西野は映画好きで将来映画を作りたいと思っていて、なんとなく意気投合した瞬との関係から、隆造とも仲良くなり、クラスを巻き込んで映画作りで盛り上がる。しかし明たちにカツアゲにあっていたことが瞬とトカゲにバレて以降、学校をしばらく休んでいたなと思ったら、父母の離婚と転校が決まって会わないまま去っていってしまう。トカゲは勇気を出して西野がカツアゲにあっていたことを担任の内田先生(吉岡睦雄)に言ったのだが…。

やがて明がカツアゲするのは先輩の政ちゃん(鶯上丈太)ら不良グループのせいだと判明し、瞬はトカゲに倣って勇気を振り奮起する。同時期に隆造に家庭問題が起こり離婚のため転校していくことになる。二人は共に政ちゃんらと戦うことを決め、また、友情で繋がったトカゲや正太郎も助っ人にかけつけ、ついには明たちも仲間になって…。

 

子供なりの社会がそこには存在し、そこで出自や家庭で違いが出ること、だけど友情や友への好意は別次元にあること、子供時代おそらく誰しもが似たような経験をしたであろうことが散りばめられてて、共感が半端ない。主軸はいろんな出来事に感化された瞬の成長物語になってるが、仲間みんなそれぞれの成長もうかがえる。また、母親、父親の些細な、でも本人的には大きな変化も描かれてる。

とても面白かった。足立紳は『14の夜』も最高に良くて、ノスタルジーという点で通ずるところがある。

 

坂元愛登、まったく気づかなかった。池川侑希弥はジュニア(Boys Be)とのことだが、演技力もしっかりあり期待できる。田代輝も良かった。子役なんで、どの子がどれだけの歴があるのか知らないが、これから出てきて欲しい。

成長期なのか、本来耳障りになる声のかすれ具合もまた味となってた。

 

カメラワークが面白く、ワンカメ、ハンディでの長回しが多かった。その場に居合わせる臨場感というか、覗き見してるというか、ドキュメンタリー要素が感じられる。

キャラクターも特徴、差別化がしっかりあり、つかみやすい。こんなやつおらんだろ、なのが幸介なんだが、80年代の田舎町の子供と思えば有りかもしれない。

また、ふつうこんな演出いらないだろうに、この作品では必要で、内田先生と人気の祥子先生(田中美晴)の関係が良い緩和剤になっている。これを始めとしたちょいちょいのカットに緩みがあって物語を包み込んでいる。全部必要で、まとめてひとつの作品であることが実感できる。

 

原作が監督自身のものだし、きれいにまとめられて当然。本当に、こういう監督や脚本家の色が出る作品が見たい。

 

★★★★★

 

 

 

 

オフィシャルサイト

 

 

『#マンホール』(2023)

 

監督 熊切和嘉(『海炭市叙景』他)

原案・脚本 岡田道尚=おかだみちたか(『マスカレード・ホテル』『マスカレード・ナイト』他)

音楽 渡邊琢磨(『人数の町』『あの子は貴族』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』『この子は邪悪』他)

 

中島裕翔、奈緒、永山絢斗、黒木華、他。

 

結婚式を明日に控えた会社員の川村俊介(中島裕翔)は、同僚らにドッキリ前祝いを企画され、そんなに酒を飲んでないつもりがふらつく帰り道、マンホールに落ちてしまう。梯子は錆びて崩れ、這い上がれないし、落下の際、右太腿を負傷してしまった。助けを呼ぼうにもなかなか連絡がつかない。それに、確かに渋谷にいたし、スマホのGPSも渋谷を指しているのに、やっと連絡の取れた5年前に別れた元カノ工藤舞(奈緒)、渋谷警察に見つけてもらえない。

どこにいるのかわからなくなった川村はSNSで「マンホール女」と名乗り、なんとか救助してもらおうと画策する。しかし、SNS上の名無しアカウントらは拡散力はあるものの騒ぎを楽しむものがほとんど。ついには犯人と見立てた同僚の加瀬悦郎(永山絢斗)を暴行する愉快犯まで現れる。

マンホール内では命の危険が迫る。焦る川村には舞の存在が唯一頼みの綱であり、SNS内でも発信するわずかな情報から推理を働かせる面々が救いでもあった。そして、その危険や推理が進むにつれ、川村の過去、居場所、マンホールに落とした真犯人とその理由が明らかになっていく…。

 

ほぼほぼ中島裕翔出ずっぱりの一人芝居みたいなもんで、ひょうひょうと見え実は野心の塊であり、苦境と恐怖に迫られるその演技力の充実度に感心した。

奈緒がスマホの画像、声のみの出演なのが驚きだった。

 

閉所恐怖症には辛いし、見てて怖いし息苦しさもリアルに感じるし、ヒントはちょいちょい出ていたものの、まさかの展開に突かれたし、また、SNSの特徴、欠点もよく描かれていてそれも恐怖を煽り、面白かった。

 

★★★★★

 

 

 

制作 ツインズジャパン

配給 ギャガ

 

 

 

実は、なぜ真っ先に救急車、せめて警察に連絡しないのか不思議で、これ穴なんじゃないの、マンホールだけに…なんて思ってたけど、話が進むと理由がわかる。そんなわけでネタバレ↓






 

10年前、川村は幼なじみの折原菜津美(黒木華)と恋人同士だった。清掃工場で働いていた川村は不動産業に転職するタイミングで、吉田という小学校時代の同級生に殺されてしまう。その際に使われたのが廃校になった自身の通っていた埼玉県大塚村の岩崎小学校の近くにあるマンホールだった。

今回、川村はマンホール内で男の遺体を発見したのだが、それが自分が過去に落とした本物の川村だと記憶がよみがえる(気づく)。つまり、恵まれない、存在さえ忘れられるような印象の薄い人間だった吉田は、整形をし、川村として生きていたのだった。

生まれ変わっての川村としての人生は、職場では営業成績も優秀で順風満帆、社長令嬢との結婚も獲得した。当然菜津美は川村と連絡がつかなくなり、探していたのだろう、全てを知って復讐を企てたのだ。菜津美は舞になりすまし、電話のやりとりで絶妙に吉田を操っていた。さらにSNSで正義のヒーローと祭り上げられた少年「深淵のプリンス」は、現場へ出向き、女の首を締める男を見て、菜津美を「マンホール女」、男=吉田を犯人と勘違いする。吉田はマンホールに落とされそのまま閉じ込められてしまう。10年前、自分が落とした朽ちた川村と一緒に。

 

『ながたんと青と ーいちかの料理帖ー(2023)WOWOWプライムドラマ全10話

原作は磯谷友紀の漫画。

 

脚本 川﨑いづみ弓削勇(ゆげいさむ)

監督 松本壮史(『青葉家のテーブル』他)

音楽 田辺玄Rachel Abstract

 

門脇麦、作間龍斗、床嶋佳子、百田夏菜子、戸田恵子、飯田基祐、白石隼也、久間田琳加(くまだりんか)、中村蒼、武田航平、篠田諒、吉川太郎、小柴陸、板尾創路、まもる。、小野武彦、菊池亜希子、加藤小夏、他。

 




1951年。京都老舗料亭「桑の木」は父亡き後、戸川(板尾創路)を料理長に立て、母親(床嶋佳子)と29歳独身の次女ふた葉(百田夏菜子)とで切り盛りしていたが、目下経営難に直面していた。戦争で夫を亡くした34歳の長女のいち日=いちか(門脇麦)はといえば、料理好きだが日本料理の料理長にはなれないので、ホテルのレストランでシェフとして働いていた。家はふた葉が継ぐ予定で、叔母の丸川町子(戸田恵子)に大阪でホテル経営を展開する山口家の次男との縁談を持ち込まれる。山口家としてはどうせ借金で手が回らなくなるだろう「桑の木」をホテルに建て替えたい、「桑の木」としては山口家からの出資により経営を立て直したい、政略結婚だった。ところが見合い当日現れたのは三男のまだ19歳の大学生の山口周=あまね(作間龍斗)だった。おまけにその翌日ふた葉は板場の慎太郎(まもる。)と駆け落ちをしてしまった。そして成り行きで長女のいち日と周が結婚することになる。ただし、いち日は亡くなった夫、周は幼なじみであり長兄=ゆかり(白石隼也)の妻でもある鈴音(久間田琳加)、とお互いに好きな人は別にいるという承知のもとに。

大学生ではあるけれど、舌の肥えてる周はいち日の才に早くに気づき、1年以内に「桑の木」を破綻に持っていくことを義務付けされていたが、料理を愛するいち日の力になるべく働きかけるようになる。15歳もの年齢差があるため、いち日はとまどいながらも優しく立て直しに協力的な周に惹かれていく。料理長の戸川が辞めるなど、経営は厳しくなる半面、斬新なアイデアで一つ一つ問題に対峙して老舗料亭「桑の木」に少しずつ変化をもたらしていく。やがて二人の想いは通じ合うのだが…。

 

まず、鈴音と縁の夫婦問題が解決したかに見えたのに、お家問題は別問題とか雑過ぎる。

いち日、周の気持ちが一転二転するのはいいけど、そこに説得力が無さすぎて萎える。問題を細かく分けすぎてるからだろう。

 

まあ、

 

古風なアイデア料理とお家問題、恋愛と女性の立身も描かれ、まあまあ充実しており、出会いのインパクトこそ尾を引くには薄いかなと思ったが、なかなか面白く展開されて期待が高まっていた3〜4話。でも、後半のヌケだらけのご都合脚本にがっかりし、前半の良さが台無しだった。

原作を読んでないのでわからないけど、脚本は下手。描くべきいち日と周の心情にフィーチャー出来てなかった。残念でならない。門脇麦も作間龍斗も良かっただけに。

その他、戸田恵子、床嶋佳子も素晴らしい役者さんなのに持ち味が70%しか出せてなかったし、板尾創路に至ってはもったいないくらいの扱い。なぜ板尾創路を使ったのか。小野武彦もだ。あと川上(武田航平)はあれでいいの? 出す意味あったか?…。

 

★★★(★)←3.1くらい



やはりラストがいいとそれまでの穴が埋まる感じがする。最初は良くても最後がイマイチだとそんなような作品になってしまう。「終わりよければ〜」は正しい。

 

 

『FALL フォール』(2022/日本公開2023)

原題は『FALL』

 

監督 スコット・マン

脚本 ジョナサン・フランクスコット・マン

 

結婚したばかりのベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)ダン(メイソン・グッディング)、そしてベッキーの親友ハンター(ヴァージニア・ガードナー)は趣味のロッククライミングに挑戦中。順調に登っていたが、ダンが落下して帰らぬ人となってしまう。ベッキーはショックでクライミングから離れ、悪夢にうなされ、心配する父親ジェームズ(ジェフリー・ディーン・モーガン)をもあしげに1年もの間ふさぎこんでいた。しかしその間ハンターは冒険配信で人気を得て、自分がその事故に居合わせた恐怖を克服したことから、ベッキーを荒野に立つ近く解体される高さ600メートルのテレビ塔クライミングに誘う。

明るいハンターの説得にベッキーは、頂上からダンの遺灰を撒こうと登ることを決意するが、テレビ塔は立ち入り禁止になっていて、いざ登り始めると、さすがにサビで腐食し、ボルトも外れてるなど危険との隣り合わせだった。それでもようやく頂上の狭い足場に着く。二人で達成感に喜び合い配信用のドローン撮影にも興じる。ところがいざ降りようとした時、梯子が崩れ落ちてしまう。その拍子に飲料水やドローンなど所持品を入れたリュックも落としてしまう。ただ、20メートルほど下に設置されたアンテナの上に落ちたのはまだ救いだった。なんとかリュックは回収できた。

ハゲワシに狙われながらも協力し合い命を繋ぎ、電波が届かず携帯が使えないながらも知恵をしぼり救助を求め続け、またハンターのダンへの想いも知るが極限状態だけに友情は深まり、一方その極限状態から幻覚を見たりの三晩を過ごし…。

 

メソメソしたベッキーにイラッとくるし、逆に能天気に振る舞うハンターにもムカッときて、けれどあまりの高所と悪条件に恐怖でヒヤヒヤし通しだった。もはや、なんでわざわざそんな危険なことするんだよ!? と元も子もないこと思わずにはいられない緊張感があった。高所恐怖症には絶対向かない映画。でもこれ、公開当初観に行こうかと思ったひとつ。IMAXとは言わずも大画面で観たらもっと怖かったかもしれない。…観たかったかもしれない。

 

現地への道のり、ハンターがよそ見運転をよくしてて、トラックにぶつかりそうになる危険な瞬間があったかと思えば、(ネタバレだが)最後の頼みの綱にメッセージを挟んだドローンを飛ばすのだが、逆にドローン操縦は真正面しか見てなくてトラックにぶつかり台無しになってしまうという、いや、それ拾いすぎだろ! と物語的にはやるせなかったが素晴らしい伏線回収だった。

救助メッセージを打った携帯を靴に入れクッション性も持たせて電波の届くところ、地上へ落とすのだが、無駄に終わる。しかし本当に最後の最後の手段に使ったのが同じ手で、生きるということの意味を考えさせられるような選択になってた。二度目の挑戦、きれいな回収だった。

というか、ハンターが言うように、命は有限であり、その時々を一生懸命生きる大切さを劇中ずっと訴えているような作品だった。

 

危ないからやらない、傷つくから関わらない、ではない、やりたいことを思い切りやって、人と繋がってこその人生、という感じ。

 

父親との絆も優しく、面白かった。

 

それにしても薄着すぎないか? あと、リュックを片掛けにすんのやめろ。どんな理由(ライフハック)があるんだ?

 

★★★★(★)