『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(2024)Netflix
原作は森田碧の小説。
監督 三木孝浩(『ソラニン』『ホットロード』『アオハライド』『坂道のアポロン』『思い、思われ、ふり、ふられ』他)
脚本 吉田智子(『僕らがいた』『カノジョは嘘を愛しすぎてる』『ソラニン』『ホットロード』『君の膵臓をたべたい』他)
音楽 亀田誠治
永瀬廉、出口夏希、横田真悠、木村文乃、大塚寧々、松雪泰子、仲村トオル、秋谷郁甫(あきやいくほ)、野間口徹、水橋研二、杏花(きょうか)、大友一生、月島琉衣、夙川アトム(しゅくがわあとむ)、他。
17歳の高校生早坂秋人(永瀬廉)はある日、心臓に腫瘍が見つかり医者に余命一年と宣告される。絵を描くのが好きな美術部員で、二科展を目指していたがそれも叶わぬと絶望感でいっぱいの時、病院の屋上で一人の女の子桜井春奈(出口夏希)と知り合う。同じ年、同じ絵を描くことが好きな春奈もまた子供の頃からの病気で余命半年を告げられていた。なのに半年の命を受け止め明るく振る舞う春奈。春奈はといえば余命を話しても驚かない秋人に逆に驚き、二人は惹かれ合う。秋人は自分が病気であることは一切明かさぬまま、交友を深めていく。その中で、秋人は春奈の喧嘩別れした親友三浦綾香(横田真悠)との仲をとりもったり、父親(仲村トオル)に勧められた手術を受ける決心をしたり、幼なじみの絵里(杏花)、翔太(秋谷郁甫)の友情にあたためられたり、再度二科展挑戦を始めたり、不意の危機など起こる試練に泣かされる。
そしてフラワーショップのオーナー(木村文乃)を介して知り得た花言葉で気持ちを伝え、二人は確かな絆を紡ぎ、秋人も春奈も限りある時間を色濃く生きていく…。
まあ…春奈は亡くなってしまって、秋人も先進医療手術のおかげで一年で死ぬことはなかったが、それでも3年半。ちゃんと死んじゃうんだなと、そこは容赦無しかと思った。
残酷だなぁと思ったのは、綾香を巻き込んでいること。春奈も秋人も亡くなるんだからいいけど、綾香は普通に生きる。少なくとも余命宣告されるような病気にはなっていない。春奈がいなくなったら綾香が一人で秋人を見舞うようになるわけで、秋人がいなくなったら…ずっと二人の影を心に持ちながら生きていく…のはつらいしひどい。とはいえ、それが人生というものなのはわかる。
なんていうか、恋愛の展開、命の危機や焦らしがテンプレートのようで少女漫画みたいな話だったし、少女漫画原作映画みたいにラストが冗長だった。しつこいという意味。
でもまあ、涙が滲むほどぐっとくるし、それが何度もあるし、映画として心が揺れるいい作品になってる。例えば、秋人がいるおかげで生きることを頑張るようになる春奈だったり、花火の約束ばかりか春奈の最期の日、綾香に危篤を連絡をしたのに待合室で倒れて死に目にも会えなかった秋人だったり、今が幸せであればあるほど残す人がいると余命宣告がどんなにつらいものか、とか。ガーベラと二科展の伏線回収も良かったし。
エンドロール後、「人生と芸術の意味を与えてくれる色が、一つだけある それは愛の色だ マルク・シャガール」と入る。そんなものを見せてくれてた作品。
監督と脚本家の色がしっかり出てるなと思った。
出口夏希、かわいいし演技良かったので、これからバンバン出てくるだろうな。あと、たいして出てないけど秋谷郁甫も雰囲気のある役者で目を引く。永瀬廉もこの役は良かった。
春奈の母親役&看護師長に松雪泰子、秋人の母親役に大塚寧々、妹役に月島琉衣。
★★★(★)