虹が初めて現れる。
という事ではないのでしょうが、
この時季の虹は珍しいので、
初めて見えるような気がするのでしょう。
清明の末候、
虹始見(ニジハジメテアラワル)です。
冬は湿度が下がるため、
虹が出にくくなりますが、
春になり暖かくなってくると湿度があがり、
雨の後に、
虹が出始める頃の様子を現しています。
しばらく続いた春の雨が上がって、
空に虹を見ることが出来る頃、
という意味になります。
雲間から差す柔らかな光に、不意に浮かび上がる春の虹ですが、
これから初夏に向けて、
夕立が増えてくる時期でもあり、
虹が見える機会も増えてくるものです。
虹が見えるのは、
それだけ日の光が強くなってきたというでしょう。
単に「虹」と言えば夏の季語ですが、
「初虹(はつにじ)」と言えば晩春の季語です。
「初虹」はその年に初めて立つ虹を差します。
春の雨は降ったり止んだりで、
雨粒も小さく、
太陽の光もそれほど強くないので、
夏の虹と比べると淡く儚い虹ですが、短時間で消えてしまうことが多く、
それもまた、趣があって良いものです。
春の虹 誰にもつげぬ うちに消ゆ / 朝倉和江
春は「春の虹」、秋は「秋の虹」として詠まれます。
その淡いところが、またいいものでもあります。
秋には
二十四節気の「小雪」の初候に
「虹蔵不見(ニジカクレテミエズ)」
という候があります。
晩秋には、
陽の光が弱まって、
虹を見かけなくなるということでしょうね。
ところで、
虹の色は何色あると思われますか。
日本では
赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の
7色だとされていてますが、
これは国によってそれぞれ違いがあります。
日本や韓国、オランダは7色ですが、
アフリカのアル族では、黄緑が加わって8色になります。
アメリカやイギリスでは藍が抜けて、6色。
ドイツ、中国、フランスの一部では藍と紫がなくなって5色。
インドネシアなどの東南アジアの多くの国では4色。
台湾やジンバブエなどでは3色。
日本でも沖縄の人は
赤と黒の2色と認識されているそうです。
私たちは虹イコール7色だとしても、世界共通ではないのですね。
とはいえ
同じ日本人でも
7色に見える方と、見えない方が
いらっしゃいますので、
本当の虹の色は何色なのか、
誰にも分らないものなのかもしれません。
虹を見つけた時には、何色に見えるか、
7色という固定概念を捨ててみると、
毎回色数が変わったりするなど、
案外、
違った楽しみ方も出来るのかもしれません。