天使の目覚め -3ページ目

ザ・シークレットガーデン(297)

 

キャロラインの後ろを守るようにして全速で走っていたわたしは、言いようのない恐怖を感じて、目の前の丘に視線を向けた。

 

 

 

そのときだった。目の前に広がる丘の中腹に広がる林の中から、ローマ兵の別動隊が突然姿をあらわし、いっせいに「オー」という歓声をあげて丘を駆け下りて来るのを見た。

 

 

 

「キャロライン。あれを見て」

 

 

 

わたしは、精一杯の大声で前を疾走している彼女にさけぶと同時に、彼女の横に並んだ。

 

 

続く・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(296)

 

 

 

彼女は鞘に納めていたつるぎを抜き放ち、天の神にささげるようにその切っ先を、目の前で混乱状態にある敵に向けた。

 

 

キャロラインの指示を待っていた戦士たちは、地響きを立てて、なだれ込むように戦場に向かって疾走していった。

 

 

メアリーたちがひきいる戦士たちによって、混乱状態に陥っていたローマ兵士は、集団戦法から一騎討ちの戦いに変化していた。

 

 

 

キャロライン率いる戦士たちは、その混乱を極めている戦いに決着をつけるべく全速で戦場に向かっていた。

 

続く・・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(295)

 

つるぎと盾のぶつかりあう音と戦士たちの叫びがまわりに響き渡っていたが、

 

しばらくすると一瞬の沈黙のあと、多数のうまの足音が大地に響きわたり一瞬のうちにその頑強な盾の砦が崩れはじめた。

 

 

その時から、訓練された重装歩兵軍団との戦いから、マクワートたちケルトの精鋭たちが得意とする、

 

一騎討ちともいうべき戦士たちが直接ぶつかりあう一対一の戦いに変化しはじめた。

 

そのとき別動隊としてその戦場の変化を見ていたキャロラインは、いよいよ我々に勝機が訪れたことを悟った。

 

 

続く・・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(294)

 

 

それは、彼らの厳しい訓練を積み重ねた完璧な防御のかたちだった。

 

 

メアリーとリチャードはその前進する勢いをゆるめることなく、むしろスピードを上げるようにして、その訓練された兵士たちがつくる強靱な盾の砦を一瞬で飛び越えた。

 

 

そして、そのあとに続く戦士たちもそれに従うようにして、つぎつぎと飛び越えていった。

 

 

砦にはいりこんだメアリーたち戦士は、砦の内側からその完璧な盾の砦を崩し始めた。

 

 

続く・・・・・・

 

ザ・シークレットガーデン(293)

 

 

目の前に現れたふたりのあまりにも美しい姿に、戦場にいることも忘れてわたしは視線を釘ずけにされて見つめていた。

 

 

 

わたしの視線を感じたのか、メアリーはその時ほんの一瞬、身体をひねるようにしてわたしのほうに振りかえり、微笑みを見せてくれた。

 

 

 

そして次の瞬間には、マクワートのまえに躍り出るようにして、その先頭に姿をあらわした。

 

 

 

前方には、大きな盾を隙間なくまわりに張り巡らし、その隙間から長寸の槍を突き出し、まるで砦のようにして、我々の侵入を一歩たりとも許さない体制で待ちかまえていた。

 

続く・・・・・

ザ・シークレットガーデン(292)

 

 

 

キャロラインが話し終えるのを待っていたかのように、

 

マクワートはそのつるぎを天空高く持ち上げて、それを力強く振りおろした。

 

 

まわりの兵士達はそれを合図としていっせいに、なだれ

 

のような足音とともに荒野全体を見通せる小高い丘から駆け下りていった。

 

 

そして、マクワートとキャロラインの横についてなだれのように坂を駆け下りていたわたしの前に、

 

シルバーの甲冑に身を固め、

 

長い金髪の髪を後ろになびかせたメアリーとミカエルブルーの甲冑に身をかためたリチャードとが

 

突然姿をあらわした。

 

続く・・・・・・

 

ザ・シークレットガーデン(291)

 

 

そして、水におおわれた荒野に残された闇の軍団のとどめを刺すように、大きな地震が彼らに襲いかかった。

 

 

 

その瞬間、地面が裂かれるように割れはじめ、地の表面を覆っていた水がその裂け目に闇の軍団とともに、吸い込まれるように消え去っていった。

 

 

 

「これで闇の軍団は神々の手で、無力になったわ。

 

これからは、私たちがローマ帝国と戦うときがおとずれたようね。

 

これは、神の愛をこの世界に伝えるための戦いなの。

 

だからアキラ、この戦いにはメアリーとリチャード達も参戦してくれるの敵の兵士達には見えないような存在としてね。

 

 

だから恐れることなく、そして何があっても決してひるむことなく、全力で戦い抜きましょう」

 

続く・・・・・

 

ザ・シークレットガーデン(290)

 

そして、マクワートのそばにいたひとりの若い戦士が「オー」という驚きの声を上げながら天空を指差した。

 

 

 

キャロラインやマクワートをはじめ、そこにいた全ての戦士たちの視線がその戦士が指差す向けられると、

 

大きな渦のような風がまわりの黒雲を巻き込むようにして地上に達した。

 

 

 

私たちは、息をのむようにしてその情景を見ていると、

 

その渦は竜巻に変化しはじめ、地上で小高い丘に逃れようとしている闇の兵士を追いかけるようにして、

 

自然界の圧倒的なパワーで闇の兵士たちを吸い上げるようにして地上から消し去っていったのだった。

 

 

続く・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(289)

 

それは、みるみるうちに水量が増しはじめ、最初は足首あたりだった水が一気に膝のあたりまで増え続けた。

 

 

 

 

闇の戦士たちは、先を争うように少し離れたところにある小高い丘に向かって、水に追われるように避難をはじめた。

 

 

 

ところが、自分たちが身につけている鎧の重みがその足取りを遅くした。

 

 

 

兵士の中には、その甲冑を脱ぎす捨てるものまであらわれ、その混乱ぶりをそれを見ているわたしたちに見せはじめたのだった。

 

 

続く・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(288)

 

 

キャロラインの言葉が終わらないうちに、すでに天空は厚い黒雲に覆われ、一気に宵闇に包まれていった。

 

 

 

そして、その黒雲の中から無数の稲妻が大地に向かってふりそそぎ、戦いの準備をしていた、闇の軍団の上に襲いかかった。

 

 

 

闇の軍団は一瞬で、罵声や怒鳴り声や指揮官が大声で静まるようにという声で満たされ、大混乱に堕ちていった。

 

 

そして次の瞬間、天空に大きな滝があらわれたような圧倒的な水量の雨が闇の軍団に降りかかった。

 

 

続く・・・・・・・