天使の目覚め -5ページ目

ザ・シークレットガーデン(277)

 

そしてそのあとを、光の甲冑で身を固めたリチャードとそのあとに続く圧倒的な天を覆うようにあらわれた光の軍団が地上に降り立った。

 

 

 

「さあアキラ、いよいよこれから神の光の軍団と闇の軍団との戦いは始まる。ここは、光の軍団にまかせて私たちは故郷に暮らしている私たちの家族を守る戦いに駆けつけなければならないの」

 

 

 

そのときふと心の中で「この戦いの決着はどうなるのか」という思いが湧き上がってきた。

 

 

 

その瞬間キャロラインは「彼ら光の軍団は圧倒的な光で、闇の存在を闇の世界に引き戻して、二度とふたたびこの世界に来ることができないように、封印をするの。

 

 

それよりもアキラ、私たちのほんとうの使命を果たすときが来たの、先を急ぎましょう」

 

 

続く・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(276)

 

 

その瞬間、まるで天井が落ちてくるように空の雲が一瞬にして低く垂れ込め、恐ろしい色と形に変わり始めた。

 

 

 

そしてその雲間からいっせいに雷鳴がとどろき、無数の落雷が黒い戦士たちに襲いかかり、一瞬にしてはじき飛ばされるように消えていった。

 

 

 

そして次の瞬間、威圧するように低く垂れ込めていた黒雲がにわかに、まるで天の幕屋が引き裂かれるようにわかれはじめ、天使の梯子のような光が天と地上をつなぐようにあらわれた。

 

 

 

そして天上から鳴り響くようなラッパの音とともに、光のベールにつつまれたまるで女神のような姿でメアリーが先頭を切ってあらわれた。

 

 

続く・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(275)

 

さすがの戦士たちも、際限なく増え続ける闇の軍団に、だんだんと疲れが見えはじめ、前進する勢いが落ちているようにわたしは感じはじめていた。

 

 

その光景を後方部隊として目の前に見たわたしはとっさに「この黒い軍団は一体何者でどこから来た者たちなのか、・・・」そう心の中でつぶやいていた。

 

 

その時、わたしの想いを見抜いたかのようにキャロラインは目の前に繰り広げられている戦場に視線を向けたまま「あの軍団は、違う次元からあらわれたの、だから戦士たちが撃ち砕いてもまた立ち上がってくるの」

 

 

「えっ、やつらは死なないの」そうよこの次元ではね。

 

 

「だったらどうすれば・・・・・・」

 

 

「メアリーたち守護天使に、助けてもらうしかないわ」

 

そう言い放つと彼女は、馬上から天に向かってなにかわたしにはわからない言葉で、語りかけた。

 

続く・・・・・・

 

ザ・シークレットガーデン(274)

 

 

キャロラインを先頭にした光の戦士たちが目の前の丘に近づくにしたがって、丘の稜線にうごめいていた闇の者たちが、いっせいに荒野にむけて雪崩のように駆け下りてきた。

 

 

マクワートをはじめとした光の戦士たちは、黒い甲冑の者たちが壁のように彼ら戦士たちの行く手を阻むようにあらわれた。

 

 

その時戦士たちは二手に分かれて先頭になって突破口を開くため、マクワートたち最強の戦士たちが突風が吹き抜けるように疾走していった。

 

 

それはまるで、わたしの目には黒い闇に光のクサビを打ちこまれたように見えた。

 

 

戦士たちは、できるだけ敏速にこの敵の壁を突破して、我が故郷の人々を滅ぼすために進軍を続けているローマ軍に追いつきたかった。

 

 

だから、ここでの戦いで、これ以上戦士たちの犠牲を出したくなかった。

 

 

しかし、戦士たちが敵を打ち撃ち砕いて進めば進むほど、前方にたち塞がる敵の黒い軍団は、その数を際限なく増やしてゆくのだった。

 

続く・・・・・

ザ・シークレットガーデン(273)

 

その姿を見たマクワートをはじめとする戦士の群れは、一斉に砂塵を巻き上げて炎のなかに消え去っていった。

 

わたしも、マクワートを追うようにあとを追った。

 

そのときからのわたしは、今までのような迷いが取り去られたかのように、その全身を嵐のような戦士のエネルギーに満たされて決戦の場に向かって荒野を駆け抜けていった。

 

 

そのとき私は歴戦の勇者にかこまれて、今という時を共有し、共に戦えるよろこびに満たされていた。

 

そして、あたりいちめんに燃えひろがった炎の壁をつきぬけたとき、少しの熱ささえ感じなかったことが、今までのわたしには信じられないことだった。

 

その疑問に答えるように

「すでにあなたのからだは、すでに半霊半物質に変わっているの、だから何にも恐れることなく、光の戦士として戦いなさい」

 

とわたしの耳のそばでささやくような声が聞こえた。

 

それは、まぎれもなく守護天使メアリーの声だった。

 

その声は、まさしくわたしの永遠の命につながってゆくものだと感じていた。

 

続く・・・・・

 

 

ザ・シークレットガーデン(272)

 

その指さしたむこうには、丘の稜線に沿って黒い甲冑に身を固めたものたちがうごめいていた。

 

「先ほどの火矢は、わたしたちの使命を果たす旅路を阻止するために、あのものたちが放ったもの。

 

いよいよ、わたしたちが使命を果たす戦いの時がせまってきたようね」

 

キャロラインは視線を丘の稜線から戦士の群れにかがやくような光に満たされた横顔を見せ

 

「我が戦士たち。今こそ天に導かれて、目の前に現れた試練の炎のかべを一人一人が突き抜け、それぞれが使命をはたすときが来たのよ」

 

そう言い放つと、彼女が先頭に立って、身を愛馬に沿わせるように身を低くしたかと思うと、炎のすき間を縫うように疾走を始め一瞬のうちに戦士たちの視界から姿を消し去った。

 

続く・・・・・・

ザ・シークレットガーデン(271)

 

わたしも前回とは違い、かぜを切るように反射的に前かがみの姿勢をとって彼らと一体となって疾走しはじめた。

 

目の前に広がる草原に突然何本かの火矢が突き刺さった。

 

その火は、まるで辺り一帯に油でもまかれていたかのように一瞬で、キャロラインを先頭に疾走を始めた戦士たちの行く手を阻むように燃え広がっていった。

 

その光景を目にしたわたしは「アッ」という声を発して、おもわず手綱を引いて立ち止まった。

 

キャロラインたち戦士の群れも疾走することをやめて、あたりを警戒するように見まわした。

 

そのとき、先頭で戦士たちの指揮をとっていたマクワートが、黙って右手をあげてまわりを囲んでいる小高い丘を指さした。

 

続く・・・・・・

 

 

ザ・シークレットガーデン(270)

 

私は両手を大空に向かってまるで鳥が羽ばたくように大きく天空に広げた。

 

その姿に同調するように、わたしたちの頭の上を大きな影が通り過ぎて行った。

 

それは、巨大なイーグルだった。

 

その姿を見上げたキャロラインは「天からの導き手が現れたわアキラ。わたしたちの行くべきところを教えてくれるために」

 

そう言い終わると、キャロラインと周囲を取り囲んでいた戦士たちは、一斉に大空を滑空してゆく巨大なイーグルを追うように疾走していった。

ザ・シークレットガーデン(269)

 

二人のサポートのおかげで私は、次第に意識の回復してゆくのを感じながら、しっかりと大地を踏みしめるような感覚で立ち上がることができた。

 

その時初めてわたしたちが小高い丘の上にいることを知った。

 

目めのまえに広がる広大な草原を囲んでいる山々には、樹木らしきものが何ひとつ繁っておらず、荒涼とした風景が広がっていた。

 

私の横に立って意識の回復を確認したマクワートは、黙ってわたしの愛馬の手綱を、彼の想いを伝えるように力強く手渡した。

 

その瞬間、マクワートから手渡された手綱から、全身に雷に打たれたような衝撃が突き抜けるようにひろがった。

 

それは、今までのわたしの人生で、経験したこともない出来事だった。

 

いままで小さな世界に閉じこめられたような息苦したさの感覚が、わたしの中でイッキに解き放たれ、あたかも大空に翼を目一杯ひろげて、かけのぼってゆく鳥のように感じていた。

 

続く・・・・・・

 

ザ・シークレットガーデン(268)

 

しばらくして、誰かが遠くでわたしの名前を呼んでいる声がして、次第に意識がはっきりとしてきたのを感じはじめた。

 

その時、わたしの眼の前に私の顔に覆いかぶさるように覗き込んでいるキャロラインの顔がぼんやりと現れてきた。

 

その顔は、与えられた使命を果たす戦士として光り輝いていた。

 

「アキラは、次元の壁を越えたときの急激なエネルギーの変化に耐えきれずに、ショック状態でしばらく意識を失っていたの。

 

でも、この体験を繰り返すうちに慣れてくるわ」そう言い終わるとキャロラインは、力強く私の手を握りしめた。

 

「さあアキラ、意識をしっかりと取り戻して。これから、あなたにとってはじめての、闇の軍団との戦いを開始するのよ」

 

「闇の軍団・・・・・」

 

「それは、わたしたちについてくるとわかることよ」

 

そう言うとキャロラインは、強く握りしめていた手を、上半身が起き上がるように自分の方に引き寄せた。

 

しかし、そのときはまだ、全身からパワーが抜けたような感覚でまだしっかりと立ち上がることができないでいた。

 

そんなわたしを見ていたマクワートが、すばやくもういっぽうのわたしの腕を支えるようにして、立ち上がらせてくれた。

 

続く・・・・・