これまで、磁界共鳴で使用される電磁波の周波数がISMバンドの6.78MHzを使用することとなっているため、その法整備、つまりライセンスに関する総務省の認可に時間がかかった事などから、商品展開はされておらず、いきおい、これまでのワイヤレス給電の機器は総て電磁誘導方式となっていた。この代表がQi(チー)と言う規格で、これが現在のワイヤレス給電のスタンダードだ。因みにチーとは漢字で「氣」と書く。
今後はこれらが次第に磁界共鳴方式にシフトしていくものと考えられるが、その変遷の過程では両者が混在することからマルチモード、すなわち電磁誘導と磁界共鳴の両方をサポートする送電装置が出てくるだろう。当分の間はマルチモードが主流になるものと考えられる。
現在の専らの技術焦点は電力伝送の効率で、送電された電力がどの程度受電できるかというところだ。電磁誘導にせよ磁界共鳴にせよ、この伝送効率は性能評価に於ける重要なパラメータだ。つまり、ケーブル接続による充電効率がほぼ100%である事に対し、どの程度の効率が出せるかというところが、各社しのぎを削る舞台となっているわけだ。
更に価格も問題だ。これらの方式の最大の競合は100均の充電ケーブルである。つまり、開発者たちには100円に近い価格で、しかも100%に近い充電効率をもつ商品開発を求められている。それが現在の状況である。
ところで、ワイヤレス給電、本当に必要なのだろうか。
もちろん、その答えはYes。理由は、ケーブル接続による充電の場合は使用経年によって充電ケーブルが断線したり、コネクタがヘタること、モバイル機器の場合などではコネクタを装備させることから完全防水出来難いことなどがあげられよう。つまりワイヤレス給電の方が、利便性は高いということだ。
しかし実はこのワイヤレス給電、市場の立ち上がりが緩慢なのだ。利便性が高い事はわかっているのだが、立ち上がらない。何故か。答えは市場のマーケティング方法にある。
要は、市場のトレンドセッターに市場を牽引させる必要があるということなのだ。
ぶっちゃけ、小生も含むいわゆるエンジニアが四の五の言って逆立ちしたとことで、キラーアプリなんか出てくるはずがないというということに早く気付く必要があろう。もしも小生がマーケティング担当だったら、「ワイヤレス給電?それどこの宮殿?」的ボケをかます様な弱年層にニーズを探りに行く。コンサの必携品のペンラなんかもいい。コンサ会場の椅子の脇に配置されたダッシュボードボックスに突っ込めば充電できる。これはゼッタイ喜ばれるだろうし、小生もマジで欲しい。或いはテーブルに置くオーナメントとか、部屋の装飾とか、そんなニーズも出てきそうだ。
クラブやスナックのママさんへのヒアリングも興味深い。電飾関係が電源ケーブルの呪縛から開放させるというメリットがウケるかもしれない。電池切れもないし。
あるいは、電池の交換が面倒な高齢者達に「充電の手間が無くて済むとしたらどうです?」みたいなヒアリングしても良いだろう。実際リモコンも使用頻度によっては頻繁に電池切れする。
こういうユーザーにとって、実は充電効率なんて全く関係なく、たとえ効率が50%だっていいのだ。実際、彼等が比較ベンチマークなんかするとは考え難く、要するに簡単で手軽でメンドクなければいいはずなのだ。その意味、開発エンジニアたちは商品の仕様や性能に固執しすぎであり、しかしそれが仕事であるならば彼等に市場ニーズを探らせるのではなく、商品メーカーとしてはもっと破壊的な発想をするマーケティングへの抜本的な市場開発を働きかけることが必要だろうと考える。
市場開拓のために、もっとアナログ文系人やミーハー連中の間に飛び込ませるべきだ。新しい商品市場を開拓するのだから、既成概念に囚われていてはダメで、突拍子もない様なアイデアを募らなければ、市場の活性化は望めない。
最近、どうやらiPhoneの新機種(おそらく7?)にワイヤレス給電が装備されるという噂が流れている。これは一つのトリガーになると思う。市場を牽引するiPhoneがその方向に走れば、少なくとも若い衆はついて行く。利便性だけを訴求してもダメで、そこにオサレ感覚も必要だ。
エレガントでスマート。そして便利。これがキーワードだ。
「出来るビジネスマンやキャリアウーマンやインテリモデルやタレント達がスタバで開くAir Macは、ワイヤレスで給電を受ける」。こんなのがトレンドセッターになるかもしれない。
備えあれば憂いなし。これもキーワードだ。
があるという。この辺りはBtoBとしてのアプリケーションだが、航空宇宙関係でのワイヤレス化による恩恵実績は、やがてBtoCでも活かされてくると思われる。具体的には、民間でロボットアーム部分での給電などがスタートしているそうだ。これが活かされると給電ケーブルの屈伸ストレスから開放されるので寿命が著しく工向上するという。しかもケーブルの取り回しもないし、小型化が可能だ。
ワイヤという束縛からの解放がすぐそこまで来ている。

























