以前の記事で、鏡先生の著書「占星術の教科書Ⅰ」を参考にキロンについて神話の視点からまとめました。
本にはキロンのハウスと、10天体とのアスペクトの関係についても解説が載っています。
キロンのあるハウスは、その人の魂の隠された傷、深いコンプレックスを示すと同時にその癒しの方法も教えてくれているようです。キロンが天体とハードアスペクトを取っていれば傷を自覚しやすい。ソフトアスペクトであれば傷を自覚しにくい反面、「傷を癒してこそ得られる成長」にはつながらない傾向にあるそうです。
この記事ではそこから自分なりの考察を深めていこうと思います!
情緒の安定を見るときは「月」に真っ先に目が行くと思いますが、キロンもなかなか重要そうだと感じました。
ただしキロンは土星と天王星の間に軌道を持ちますので、キロンの傷があったとしても、もっと本能的で生命に直結するような月が表す安心感が脅かされるような影響はないという解釈になりそうです。
土星の象徴するような社会的秩序や制限を超えて、自身の「個」を自由に輝かせるために、平たく言うと自分らしい人生にしていく過程の中で、キロンの傷を見つめ癒していく必要性がでてくるというイメージでしょうか。もちろん土星的なことを無視するとかでなく、それらを凌駕した視点を持って向かう先の話です。
私はネイタルに太陽・火星・海王星のTスクエアがありますが、そこにキロンを入れると、グランドクロスができます
月にはさほど目立ったハードアスペクトはありませんが、社会的な自分の在り方について模索するようになってからは苦しい思いを抱えることが増えてきたように感じます。トランジットなどの影響だけでなく、キロンのもたらす課題と向き合う中での苦しさなのかもしれません。
キロンはネガティブな意味だけでなく、その痛みや傷を自覚するところから他者のセラピストへもなりうるエネルギーを秘めています。実際的にセラピストという職業になるというか、人の痛みが理解できる、癒してあげたいという気持ちを持ち優しくあれる、寛容に受け止めることができる、という感じだと思います。
これは他者や社会への貢献になるだけでなく、自分にとっても生きやすくなる要素になりうると思います。コンプレックスや心の傷を抱えたままだと、同じような事象に過剰に反応して疲弊してしまいますので。
鏡先生が表現されていたように、内側へ意識を向けて痛みや傷と向き合うことから成長が得られるだけでなく、心の傷がない状態であればありのままの自分を出すことへの抵抗もなくなって、より伸び伸びと活動でき、加速的に成長していけるようにも感じます。
「自分のワクワクを大切に!」的なスタンスで成功や自己実現に向かう過程で停滞してしまう場合は、まだ癒せていない傷があるからかもしれません。
誰かのサクセスストーリーをそのままマネしても、自分には合わない事は珍しくないと思います。もしそのような形で成功したとしても、きっとそれは一時的なもので、コンプレックスの克服や傷の癒しが進んでいないままで、自己成長の伴わないものではないでしょうか。
私自身、まだまだコンプレックスを感じることが多く、自己成長の伴わないような目先の結果にも一喜一憂する日々を送っている感じですw
でもそもそも、自分で「コンプレックスが全くありません」と言い切れるような状態が絶対的に正しく目指すべきものとも思えないのです。
自覚のないコンプレックスだってあるでしょうし。(「全然気にならない」と言ってることに限って意識してるとかw)
はたからみれば偉大な成功者のような人でも「コンプレックスありますよ」なんてさらっと言ってたりしますしね。
コンプレックスは1つ2つとは限りませんし、何を以てコンプレックスと捉えるのかも、人それぞれ違いが小さくはなさそうです。
「コンプレックスの有無」からだけで良し悪しを考えることは不毛のようにも感じます。
内省と前進、時には立ち止まって自分の心のざわめきや痛みから目をそらさず向き合うこと。
自分自身に問うて、気づいて、その時の自分にとって良いと思える方向へ正して、を繰り返すこと。
コンプレックスに蓋をせずに試行錯誤していく過程にこそ意義があり、その過程の先に「意図せず」「気がつけば」コンプレックスを一つ、またはコンプレックスの一部を、乗り越えた自分がいるような気がします。