その日、壇上で彼女は舞った。
右下に見えるのは、カメラだ。リサイタル会場である、杉並公会堂につくと
人の多さと、
そこに集った人々が持つ独特な質に、戸惑った。
ぞくぞくと集まりくる人の、視線の奥で
主を待つピアノ。
そして、開園のアナウンスがかかり
おもむろに口をつぐみ始める来客たち。
ほどなくして、
赤いロングドレスを纏ったピアニストが現れた。
公演中は、写真撮影NGだったから、写真はないの。
ごめんね
古谷ちずさんの演奏は、すごかったよ！
あ、古谷ちずさんってうのは、この日ピアノを弾いたピアニストさんね。
聞いていてねー、あ、ピアノは演劇なんだ…！
って思った。
面白いでしょ、ピアノを聞いているのに
演劇みたいって（笑）
だけど、演劇なんだよー。
ちずさんが鳴らすピアノがね、
たった1台で、いくつもの楽器の代わり（パート）を演奏するみたいに、動くんだ。
ピアノがね、太鼓になったり
笛の音のような、小さくて繊細な音を出したりするの…！
これは、かずちゃんの主観だから
ええ、それはないよーって、人によっては思うものだと思うけど
私には、そう感じた。
一台のピアノが、太鼓になったり、笛になったり、
それが何なのかよく分からないけれど
ピアノではない楽器になって、演奏されているのを見るのは痛快だった。
たとえるなら、一人オーケストラみたい。
壇の上でピアノを弾いているのは、ちずさん一人なのに
色んな楽器を演奏する人たちが集まって奏でる、オーケストラみたいに聞こえるんだ。
すごかったよー。
すごいとしか、言えないよ（笑）
どう語れというのだ、あんなすんごいもの見せられて
ちずさんの演奏を見ていて思ったのが、
ああ、こーいう楽曲を作る人たちは
きっとせわしなくて、欲張りで、
演奏することが、ホントに好きな人たちなんだろーなー…っていうこと
天才とは、とびぬけた変態のことなのだろう。
音楽が好きな、変態なのだ。
なにを言っているんだ、私は(^▽^;)
公演終わりに、古谷ちずさんと一緒に写真を撮ってもらった
大人気のちずさんは、
あっという間にお客さんに囲まれてしまった。
演奏が終わった後、ちずさんがトークをしたんだけどね
面白いんだよ。
ああいうふうに、自分をさらけ出してるから
人気になるんだろーなーって思った
一緒にリサイタルに行った、私の父いわく
「すっげ～～～な、ちずさんってな。
だけど、勿体ないな。
しゃべらなければ美人なのにな？」
だそうである。
いぃーえぇ～。
喋ったときの、あの感じもあって
ちずさんの魅力なんだって(^▽^)
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