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分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

”ビタミンC不足の骨・関節はだめ”、この一文は、三石巌の著書『ビタミンC健康法』の中に出てきます。

 

これは、コラーゲン不足の骨・関節はだめ”とも、言い換えることができます。


骨の弾力や強さは、骨の土台となるコラーゲンに由来しますが、コラーゲンを体内で合成する際には、ビタミンCが欠かせないからです。

 

ビタミンC不足が原因で、コラーゲンが不良品だと、骨は折れやすくなってしまいます。


骨だけではなく、皮膚は張りを失い、椎間板や腱は弱くなり、腰痛や関節痛の原因ともなります。


●ビタミンCの必要量
 

ビタミンの必要量は、通常ミリグラム(mg)マイクログラム (μg)の単位ですが、 ビタミンCは、グラム(g)単位での必要性が指摘されており、メガ (大量) ビタミンの代表といえます。 

 

ビタミンCを体内合成する動物を、ヒトに置きかえた場合、その1日合成量は2~20gにもなります。

そして、これは私たちが意識的に摂らなければならないビタミンCの目安でもあります。

ビタミンCは、抗酸化作用やコラーゲンなどの様々な組織の構成成分である他、3,000種以上の代謝に関わっていることから、少量では不足します。
また、栄養素の必要量も状況に応じて変動があります。

特にストレス時には、ビタミンCの大量消費が起こります。

さらに、加齢とともに、腸壁での吸収や細胞への取り込みが低下する一方、酵素活性も下がるので、中高年者では、特に、ビタミンCの摂取不足がないように心がけることが大切です。

 

 

●コラーゲンとは

成人の体は、約60%が水分で、残りの約半分がタンパク質です。 

そして、その体タンパクの約1/3を占めているのがコラーゲンです。  
コラーゲンの種類は豊富で、組織・器官によって使い分けられています。  
硬くて丈夫でなければならない臓器ほどコラーゲンが多く、骨や腱、皮膚の真皮などは、肺・腎臓・肝臓と比べてコラーゲンに富む組織です。


また、結合組織にはコラーゲン作りの専門の細胞があり、骨折や火傷をした時、怪我を治す時、成長期などには、フル稼働の活躍をします。

コラーゲンの丈夫さの秘密は、三重らせん構造にあります。
三本組みになったコラーゲンはとても丈夫で、ピアノ線に匹敵するともいわれています。


コラーゲンはタンパク質なので、アミノ酸から構成されていますが、中でもグリシンが全アミノ酸の1/3を占めています。


また、他のタンパク質では見られないヒドロキシリジンヒドロキシプロリンという特殊なアミノ酸を含んでいます。
ヒドロキシプロリンとヒドロキシリジンは、水酸化(プロリンとリジンにOH基を付ける)によって生じますが、この水酸化を進める酵素は、ビタミンCがないと働けません。


ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの基本構造である三重らせん構造を保つ役割を持ち、 ヒドロキシリジンは、コラーゲン分子間に架橋(橋を架けたような結合)を作るのに役立っています。

 

●一年のはじめに、日々の栄養対策を見直して見ましょう

さて、正月三が日を過ぎましたが、おせち料理に欠かせない「海老」には、腰が曲がるまで長生きできるようにとの願いが込められています。

しかしながら、一番の願いは腰が曲がらずに健康長寿を全うすることではないでしょうか。
腰が曲がったり、腰痛が起こる原因として、骨と骨の間にある椎間板というクッションがすり減ることや、脊柱起立筋と呼ばれる首から腰にかけての筋肉システムの機能不全が挙げられます。

 

その背景には、タンパク質を中心とした栄養素の不足があり、そのツケが骨と筋肉の双方に来た結果だと、三石巌は指摘しています。

 

あらゆる病気の陰には、良質タンパクの不足があります。
ビタミンCの働きにも、タンパク質が必要不可欠です。

一年のはじめに、日々の栄養対策を見直して見ましょう。



 

「冷えは万病の元」と言われているように、手足の冷え以外に、肩こり、関節痛、めまい、アレルギー、不眠などさまざまな不調の原因となるだけでなく、免疫力低下に繋がります。

 

 

冷えはどうして起こるの?


● 自律神経の乱れ
自律神経は、体内での体温調節の役割を担っています。
暑くなると血管を拡げて体温を逃がし、寒くなると血管を縮めて体温を逃がさないようにしています。
ストレスや不規則な生活などで自律神経が上手く機能しなくなると冷えにつながります。 

自律神経を整える方法については『春の訪れと不定愁訴』をご覧ください。

春の訪れと不定愁訴 | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)

 

● 血液循環の乱れ
血液は酸素や栄養分を運んで体温を一定に保っているため、血行が悪くなると手足の先まで血液が届かずに、冷えにつながります。

● 筋肉量の減少
筋肉は、私達の身体を支えると同時に、体温をつくり出す働きを担っています。
そのため、筋肉量が減少すると冷えにつながります。
加齢とともに冷えを感じやすくなるのは、筋肉が衰えるためです。
また、若くても筋肉量が少ない人や痩せ過ぎの人は、全身が冷えやすくなります。

 

あなたの身体は冷えているかも?

こんな症状はありませんか?


□ 手足が冷たい、温めてもなかなか温まらない
□ あかぎれ・しびれ・しもやけ
□ 関節痛・腰痛・頭痛・肩こり
□ ほてり・のぼせるような感覚(冷えのぼせ)
□ 気温が高い日でも汗をかかない、身体が冷たい
□ 膀胱炎・頻尿
□ 顔色がくすんでいる、目の下にクマができやすい

  肌が荒れやすい
□ 休んでも疲れが取れない、倦怠感
□ 低血圧
□ 生理痛や生理不順、月経前症候群(PMS)
□ 便秘・下痢などの便通異常
□ 自律神経失調症、不眠症
□ 動悸・めまい・耳鳴り
□ 風邪をひきやすくなった
□ 食欲不振や胃痛、胃もたれ、お腹の張り


※該当する項目がある人は、冷えが関係しているかも知れません。


冷えをなおす為には何が必要か。三石巌は下記のように書いています。

 

手足が冷える、腰が冷える、という感覚が異常に強ければ、これは冷え性といわざるをえない。
女性の場合、冷え性が更年期障害の一つのあらわれであることが多い。
体内の熱が、血液の循環によって運ばれていることから考えれば、冷え性の背景に血行障害を想定するのが自然であろう。
したがって冷え性をなおす方法は、血行改善を促進する方法と一致する。
血行改善をはかるためには、末梢血管を太くすること、血液の粘度を下げることが条件である。
末梢血管拡張剤はいろいろあるが、何よりも無難なのはニコチン酸だ。
これはビタミンBの仲間だが、アミノ酸のトリプトファンから、体内でつくられる。
ただし、この代謝は、ビタミンB2、ビタミンB6を、助酵素として要求する。
したがって、ニコチン酸の服用もよし、良質タンパクとビタミンB2・B6の摂取もよしということになる。

血液の粘度が、それの含む不飽和脂肪酸の自動酸化によって上昇するという事実があることからすれば、抗酸化作用をもつ物質は、血液の粘度をさげることになる。
そこに、冷え性の治療ビタミンE使われる理由があるのだ。


『医学常識はウソだらけ 一問一答編』(祥伝社黄金文庫)より抜粋

 

 

 
※ニコチン酸(ナイアシン):魚介類、肉類、きのこ類、穀類に多く含まれる。皮膚や粘膜を正常に保ち、血行促進の働きがある。

※トリプトファン:不可欠(必須)アミノ酸の一つ。乳製品や大豆製品などに含まれる。心身をリラックスして不眠を解消する効果や集中力・記憶力を高める働きがある。

※抗酸化作用を持つ物質:ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、イチョウ緑葉フ ラボノイド、セレンなど
 

栄養に加え、冷えを改善するためには「適度な運動」「入浴」がおすすめです。

●適度な運動
運動は、筋力や基礎代謝の増加につながる他、ホルモンや自律神経のバランスも整えます。

これらが整うことで血流の改善にも繋がります。
ウォーキングやスクワット、ふくらはぎの上下運動、肩甲骨ほぐし体操などがおすすめです。
※おすすめの運動については、弊社の会報誌「にゅーすあ・ら・か・る・と」でご案内しております。

●入浴
38℃〜40℃ぐらいのぬるめのお湯にじっくり浸かって、汗ばむくらいまで温まってください。
副交感神経が優位となり血管が拡がり、血行が良くなるだけでなくリラックス効果もあります。
ただし、心臓病、高血圧など循環器疾患のある人は半身浴がおすすめです。

※三石巌がお風呂で行っていたアイソメトリックスもおすすめです。


詳しくは、『温活のすすめ withコロナ』をご覧ください。
温活のススメ withコロナ | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)

冬になると毎年繰り返している症状はありませんか。


例えば、「皮膚がかさつく」「風邪を引きやすい」「冷えやしもやけになる」「疲れやすい」など、思い当たるものがある方は、冬に強化すべき『3つのビタミン』が不足している可能性があります。
 

ビタミンAビタミンCビタミンEは、冬に現れやすい症状と関連が深い栄養素です。

 

サプリメントなどで対策する場合も、ビタミンを症状解決の特効薬と思うのではなく、欠乏があったから症状が出ていると考え、毎日不足しないように心がけることが、健康レベルを高く保つ上では大事です。

 

●ビタミンA~皮膚・粘膜の乾燥に~
 

ビタミンAは、皮膚の角化を抑制し保湿機能を保つなど、皮膚自体の強化にとても重要な栄養素です。


皮膚・粘膜(気道、消化管など)の粘質多糖体や、粘膜を保護する粘液の成分として、ビタミンAを欠かすことはできません。


ビタミンAが不足して、これらを正常に作ることができなくなると、皮膚のかさつき、気道感染、消化機能低下などを起こす原因となります。

 

ビタミンAは、動物性食品(牛乳、バター、チーズ、卵黄など)に多く含まれていますが、これらを食べる習慣がないと、ビタミンA不足は加速します。


ニンジンやカボチャに含まれるベータカロチンは、体内に入ると必要に応じてビタミンAに変換されるため、ビタミンAが不足している場合の調節システムとして役立っていますが、その変換率には個体差があり、確実にビタミンAを確保することが出来ない場合もあります。


ビタミンAの吸収や働きには、タンパク質が関与していますので、タンパク質の不足にも注意が必要です。

 

 

●ビタミンC~疲労感、感染症に~
 

ビタミンC不足の初期症状に疲労感がありますが、 これはカルニチンの減少と関連があります。


エネルギー源として脂肪酸が使われるとき、カルニチンがその補助役として働きます(下図)。
カルニチンは肝臓でリジン(必須アミノ酸)を原料に生合成されますが、その過程の2ヶ所にビタミンCが関わっています。ビタミンCが不足すると、疲れやすいのはこのためです。


また、タンパク質が分解・再合成されて、体タンパクや酵素に作られていく代謝は多くのエネルギーを必要としています。

ビタミンCビタミンB群と共にエネルギー産生の効率を高めます。


 

生体防衛の柱である“免疫”と“解毒”にも、ビタミンCは関与しています。


免疫機構の発現にはいくつかの段階がありますが、感染の初期には好中球やマクロファージ、NK細胞などの白血球が働きます。 


白血球は普段からビタミンC濃度が高いことが知られていますが、ビタミンC濃度が高いほど活発に働くことが分かっています。
また、ウイルスに対抗するために必要な物質であるインターフェロン(糖タンパク)の合成にも、ビタミン Cが必要です。


 

主に肝臓を舞台とする解毒は、 薬物代謝系と呼ばれる酵素(チトクロームP450など)を中心に行われます。


薬物代謝酵素の活性はタンパク質などの栄養素の摂取状況により変動しますが、 ビタミンCの欠乏によって明らかに低下することが分かっています。


●ビタミンE~しもやけ、冷えに~
 

低温により血管が収縮して血流が悪くなると、冷えや痺れ、痛みなどが起こり易くなります。
酸素や栄養素は、血液によって運ばれることから、血流の確保は重要です。


ビタミンEには、血液中の脂質の酸化を防ぎ、血液の粘度を下げることによって、血行を改善する働きがあります。


また、冬は乾燥や寒暖差による血流の変化などで、血栓ができやすくなります。


血栓は、血液凝固を受けもっている血小板の凝集性や、細胞の粘着性が高まった時に起こりやすいことが知られていますが、これは血中ビタミンE濃度の低い人に多く見られるという報告があります。


ビタミンEは、 トロンボキサン(血小板の分泌する局所ホルモン)の生成を抑え、血管内膜のコラーゲン繊維に対する血小板の粘着性を低下させることによって、血栓が作られるのを防ぎます。


そして、ビタミンEビタミンCと一緒に摂取することで、より大きな効果が期待できます。ビタミンEは脂質において抗酸化作用を発揮するので、水溶液でのビタミンCと相補関係にあるといえます。


●健康レベルを高く保つために
 

1日に必要なビタミンの量は、人それぞれで大きく異なります。


これには個体差・状況差というものが関与しており、その差は、脂溶性ビタミンでは1~10、水溶性ビタミンでは1~100にも及びます。
例えば、ビタミンC100mgで風邪ウイルスに対抗することができる人もいれば、1000mg摂っていても風邪を引いてしまう人もいます。


また、この条件は、その日の体調やストレス状態、環境などによっても変化します。


ビタミンの必要量というのは、日々変化していることを知っておきましょう。