春は自律神経が乱れやすい?!
春は、寒暖差や気圧の変化、生活環境の変化、花粉症による免疫力の低下などで身体に対する影響が出やすい季節です。
身体は目まぐるしく変化する状況の中でも正常な状態を保とうと自律神経が酷使されるため、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
その結果、イライラや緊張、怒りっぽい、不眠、動悸、めまい、むくみ、ほてりなどのさまざまな「不定愁訴」を感じやすくなります。
季節の変わり目に病院へ行くほどではないけど、なんか調子が悪いと思ったことがあるのではないでしょうか。
コロナ禍でのストレスが原因でこのような症状を経験された方もいるのではないでしょうか。
多くの場合、検査をしても原因となる器官の異常が見当たらないため、不定愁訴症候群とか自律神経失調と言われます。
自律神経とは
情報を伝える神経は大きく2つあり、脳から脊髄へとつながる中枢神経と、そこから全身の隅々へと伸びる末梢神経です。末梢神経は体性神経と自律神経があります。体性神経は感覚を伝える知覚神経と筋肉を動かす運動神経があります。自律神経は内臓の動きや血液の流れなど自分の意志ではコントロールできないところで身体の機能を維持するため24時間休むことなく働き続けています。
自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。活発に活動しているときは交感神経が優位になり、リラックスしているときには副交感神経が優位になり、1日を通して必ずどちらかが優位になっています。
通常、人間は日中に交感神経が優位になり、夜は副交感神経が優位になります。しかし、現代人は不規則な生活習慣、ストレスなどが原因となり、自律神経のバランスが乱れがちです。
また、加齢も自律神経の働きに大きく影響していると考えられています。
男性では30代半ば、女性では40代以降で自律神経の働きが低下し始めると言われています。
自律神経を整えるには
自律神経は自分でコントロールできませんが、自律神経のバランスが整うように働きかけることは可能です。
〇正しい生活習慣
規則正しい生活やバランスの取れた食生活を心がけることで自律神経は整っていきます。
自律神経の働きは時間帯によって変化しているため、規則正しい生活リズムを心がけることが自律神経を整える為の第一歩となります。
〇適度な運動
運動は自律神経を整えるうえで必要不可欠です。デスクワークなどで長時間座ったままでいると、血流が悪くなります。血流が滞ると細胞への栄養素の供給も滞り、体の不調の原因にもなってしまいます。
デスクワークの合間に少し動く、エレベーターではなく階段を使う、歩くときは背筋を伸ばしお腹に力を入れて歩くなど、少しずつ動くことを習慣にすると負担にならずに生活の中に運動を取り入れることができるのではないでしょうか。
〇メンタルケア
強いストレスは交感神経を急激に高めてしまい、バランスを乱してしまいます。しかし、ストレスのない生活を送ることは難しいと思います。
自分がリラックスできるのはどんなときか、どんな音楽を聞いているときかあらかじめ考えておくのも良いと思います。また、笑顔は心身をリラックスさせ、免疫力を高める効果があります。
自律神経を整える栄養素
自律神経を含め身体にとって一番大切な栄養素は良質タンパクです。良質タンパクは、私たちの組織の材料である他、生きるために必要なエネルギーの産生や代謝を正常に進める役割を果しています。良質タンパクが不足すると、疲れやすい・めまい・頭痛・凝りなどの代謝の低下、胃腸(粘膜)や免疫の機能の低下、骨粗鬆症など組織(細胞)合成の低下、栄養素の体内利用効率の低下などの症状が起こりやすくなります。
ビタミンやミネラルは、体内ではタンパク質と結合して、組織に運ばれ初めて働くことができます。良質タンパクに不足の状況があると、どんなに他の栄養素を摂取しても、それが働けない状況が確立されてしまいます。
ビタミンB群、ビタミンCはタンパク質を効率よく働かせるために必要な栄養素です。水溶性ビタミンであり、身体にため込むことができないので、こまめに摂取するのがおすすめです。
脳の働きや神経の正常化には、脳の血流を促進して栄養素をきちんと運ぶこと、脳細胞の材料を補うこと、脳内伝達物質のバランスを調整することが必要になります。
脳の血流を促進し、栄養素をきちんと運ぶためにはイチョウ緑葉フラボノイド、EPA、ビタミンEなどの摂取がお勧めです。また、脳細胞の構成成分としてレシチン、DHA、アラキドン酸などの摂取も大切です。さらに、脳内伝達物質の材料としてレシチン、ビタミンB6、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどの栄養素も重要な働きをしています。
マスクと自律神経
私たちは1分に20回程度呼吸すると言われ、1日に28800回も呼吸を繰り返しています。
現在、外出時にはウイルスや花粉症対策のためにマスクをする生活を強いられていますが、マスクをしていると呼吸が浅くなってしまうと言われています。
様々な機関でマスク内酸素濃度の実験やマスクをした時の飽和酸素濃度の実験などが行われているようですが、何もしていない時よりマスクをしている時の方が息苦しいのは確かです。実験データは様々ですが、マスクをしていて頭がぼーっとしてしまうときには血中の酸素が不足している可能性があるので、マスクを取って深呼吸をしたり、ノールズの呼吸法※で体の中から二酸化炭素を追い出しましょう。
※ノールズ呼吸法とは
ウィリアム=ノールズは、無残気呼吸を提唱して、多くの慢性気管支炎や肺気腫の患者を救いました。彼によれば、この呼吸法は呼吸器の病気に良いのです。肺のなかの酸素の濃度が高いことは、血液中の酸素が多く、二酸化炭素が少ないことを意味します。これが全身の細胞の活動にとって有利な条件で、呼吸器の機能の改善に役立ち、気分は爽快になり、夜はよく眠れるはずです。
ノールズは呼吸法について次のように教えます。まず、息を吐きます。すっかり吐きおえたところで、口をすぼめて狭い出口を作り、さらに息をしぼりだすのです。 また、別の方法として朗読もあります。息を深く吸い込んでおいて読みはじめ、一息でこなせる行数を数えます。毎日これを続けると、行数が増え、無残気呼吸の練習と肺活量の増大と、一石二鳥の効果をあげることができるそうです。また、吸気には3歩、呼気には7歩という歩行法もあります。
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参考書籍