新型コロナウイルスの味覚障害で注目される” 亜鉛の重要な役割” | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

●亜鉛の働き

亜鉛は体内で作ることができない「必須微量ミネラル」です。

体内に約2g存在し、筋肉(60%)、骨(20~30%)、皮膚・毛髪(8%)、肝臓(4~6%)、消化管・膵臓(2.8%)、脾臓(1.6%)、腎臓、脳、血液、前立腺、眼などの全身に分布しています。

 

<主な働き>

・300種以上の酵素の活性化

・DNAの合成

・タンパク質の合成

・ホルモンの合成や分泌の調整

・皮膚の健康維持

・骨の発育促進

・味覚、嗅覚の保全、唾液の分泌

・組織の修復を促進

・免疫反応の調節

・アルコールの分解

・視力の維持

●亜鉛が不足するとどうなるの?

・免疫力低下

・脱毛

・爪の変形

・肌荒れ(ニキビなど)

・創傷治癒の遅れ

・体力、活力の低下

・食欲不振

・情緒不安定、うつ症状

・下痢、胃腸障害

・味覚障害

・二日酔い

・貧血

・生殖機能の低下

・骨粗鬆症 

・記憶力低下 

・褥瘡 など

 

◎なぜ亜鉛が不足すると味覚障害になるの?

人が味を感じる場所は舌です。

舌の中でも、味蕾(みらい)と呼ばれる部分にある味細胞は、身体の細胞の中でも新陳代謝が非常に活発な細胞で、約1カ月ごとに生まれ変わっています。

そして、この味細胞の再生には亜鉛が重要な働きをしています。

亜鉛不足になると味細胞が早くからその影響を受け、正常な働きができず、味覚障害を発症します。

 

●亜鉛はどのぐらい摂ればよいの?

 

●亜鉛を多く含む食品は?

牡蠣

1個(20g)約3mg

 

帆立貝

1個(20g)約0.4mg

 

うなぎのかば焼き

80g 約2mg

 

牛肉

100g 約5mg

 

豚肉

100g 約3mg

 

卵          

1個(50g)約0.7mg

 

ただし、亜鉛を含む食品を沢山摂取しても、そのまま全てが吸収されるわけではありません。

●亜鉛の吸収率は加齢とともに減少

食べ物から摂取された亜鉛は小腸で吸収されますが、その吸収率は加齢とともに低下し、

20歳代では約35%ですが、65歳以上になると約17%に減少すると報告されています。

さらに、消化機能が衰えることで、せっかく摂取しても体外に排出されてしまい、必要な量が確保できません。

 

●亜鉛の吸収を阻害する要因

・フィチン酸(主に玄米に含まれる)

・シュウ酸(ほうれん草、タケノコなどに含まれるが、ゆでると減少する)

・食物繊維の多量摂取

・食品添加物

・アルコールの多飲

・薬剤(薬剤が亜鉛と結合して尿中に排泄される)

・ダイエットによる偏食

・ストレス

●亜鉛の過剰摂取には注意が必要

高齢者では、皮膚炎、免疫力の低下、食欲不振、褥瘡、味覚障害、認知能力の低下などの原因の一つに亜鉛不足があげられていますので、サプリメントなどでの補完は非常に重要となります。

ただし、亜鉛を過剰に摂取した場合、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痙攣、下痢および頭痛などの症状が出ることもあります。

さらに、亜鉛だけを単独で大量に摂取すると、他のミネラル不足が生じる可能性があります。

鉄や銅やセレンとは拮抗関係(物質同士が互いにその効果を打ち消し合う作用)にあるので、他のミネラルとバランス良く摂取することが大切です。

 

体調や生活状況などの個体差・状況差によっては、推奨量でも足りないケースはありますが、上限を超えないように注意して摂りましょう。