朝起きたら、水道が出ない。
うちの水道は中庭にある大きな水タンクから電気モーターでくみ上げているので、
停電すると必然的に水道も止まるのだけれど、その日は電気は通っていた。
以前も一度、モーターの調子が悪くなったことがあったので、
中庭を挟んだ母屋に住んでいる大家さんに相談。
わたし:「おはようございます、すみません、水が出ないんですけど」
大家さん:「え、水出ないの?」
わたし:「そうなんですよ」
モーターを確認する大家さん。
大家さん:「あ、ほんとだ(赤いランプが点灯)。ちょっと待ってて、人呼ぶから」
と、ここで鵜呑みにしてはいけない「ちょっと」という言葉。
ちょっとの感覚は千差万別で要注意だ。
ところがどっこい、そのやり取りが朝の6時半だったにも関わらず、
修理屋が30分もせずに来た!さすがお父さん、仕事が早い!
というか、修理工も偉い!
思いがけず物事がスムースにいった日、一日中どんより雨が止まなかった。
時間としては30分から数時間、もちろんいきなり電気が止まる。
だいたいが食後にリビングでテレビや本を読みながら、
くつろいでいるときなのであまり支障がないのだけれど、今日は違った。
停電した瞬間、私は風呂場で髪にトリートメントを付けた瞬間だった。
そのままいつ回復するかも分からない電気を待つわけにもいくまい。
幸い、自宅の屋根にはこんなときのために水タンクが設置してあるので、
停電しても、そのタンクからの水が蛇口を通じて申し訳なさそうにちょろちょろと出る。
風呂場から大声で旦那さんを呼び、ろうそくを持ってきてもらった。
旦那さん:「お、なんか癒しの空間って感じでイイね」←完全に他人事な発言。
ちょろちょろと出てくる水を使用して、なんとかトリートメントは
落とすことができたが、顔と体は水だけ浴びて風呂場を出た。
停電になると、ものすごく静かで虫の音しか聞こえない。
家の目の前に地元の小さな飲み屋街があるので、普段は
ズンズンをスピーカーから流れる音楽で夜中までうるさい。
「虫の音とろうそくの明かりに、外は満点の星空と月夜に揺れるヤシの木の陰」
こう書くとなんて贅沢な響きなんだ!
とは思えど、日常になってしまっては有難みも減るものだ。
以前の日常であった、
「24時間営業のコンビニエンスストア」や、
「なんでも揃っていて砂埃の被っていない、多種多様な商品の陳列棚」などは、
もはや今の私にとってはとても贅沢な響きである。
が、あれはあれで、これはこれ。
どちらも、いい。
どちらも、ないものねだり。

小さめのマンゴーを買ったら、
繊維質過ぎてマンゴーソースしか抽出できなかったので、
ヨーグルトのフレッシュマンゴーソースがけ
それをメインで食す旦那さんに作り方を伝授。
週末には大量のpiripiri(唐辛子)とpilão(すり鉢)を
市場で購入して、piripiriレシピにアレンジを加えた
食べるラー油ならぬ“食べるpiripiri”を自ら作っていた。
最初は時間をかけて汗を流しながらpilãoでpiripiriを
すり潰していたのだけれど、以前手でpiripiriの種を取る
作業をしていたところ数日間指がヒリヒリしていた
トラウマがある旦那さんは、途中で文明の利器
ミキサー(ミル)を使い始めていた。
Pilãoよりも短時間で、より細かくすり潰せるミキサー(ミル)。
発明した人、万歳。

左:汗かきながら15分ぐらいかけてすり潰したもの
右:ミキサーで数秒
通常、すり潰したpiripiriにオリーブオイルかレモンを入れて完成
というレシピを完全に無視し、すり潰したpiripiriを炒め始めた旦那さん。
そこにすり潰した生姜とにんにく、細かく刻んだイカとエビを投入していた。
そしてフライパンからあげて、冷ます。
覚めたらそこに、レモンを投入し完成。
辛いものが苦手な私は、500gの唐辛子がすり潰されたものなど
その香りでノックダウン。キッチンに入ると目がピリピリした。
旦那さんはその“食べるpiripiri”にンメェ、ンメェと大満足のご様子。
テレビぐらいしか娯楽がないこの地で、食のバリエーションが増えるのは、嬉しいことです。
ええ、期待はしていませんでしたから、特にがっかりもせず。
日曜日、午前中は魚介類を買い求めに市場に買い物に行っていた。
その帰り道、チャレンジャーナカラ入りの連絡を受けた。
運転手:「今、ナカラの入り口のガソリンスタンドのところです」
旦那さん:「わかりました、ではXXパン屋分かりますか?
そこから家は近いので、そのパン屋で待ち合せましょう」
ということで、急ぎ家に戻り、旦那さんはチャレンジャーを
迎えに家から歩いて3分ほどのパン屋へ向かった。
40分後、旦那さんは一人で帰宅した。
旦那さん:「来ない…何度電話しても『もうすぐ着く』って
何度も言われる。なんかあったのかなあ」
わたし:「今、お昼の時間だから、昼ごはんでも食べてんでしょ」
旦那さん:「え~、でもそうしたらそれ言わない?」
わたし:「聞かれてないのに言わないと思う」
旦那さん:「え~、でもそうなら食べ終わってから電話すればいいのに…」
わたし:「こちらの常識は通用しませんからね」
案の定、12時少し前にナカラに着いたという連絡をくれた
彼らは13時半前にうちにやってきた。
私の読みはほぼ間違いなかったと確信した。
さてさて、ワンオーナー中古車だったのと前の持ち主が
とても大事に乗っていたようで、年数と走行距離からすると、
とてもきれいな状態のチャレンジャーには、実は一度しか
会っていない(出発前、時間が無さ過ぎて5分試乗して即決した)
のだけれど、船での長旅に加え首都マプトからここナカラまで
約2,000km(青森から山口ぐらいの距離)走ってきたわりには、
きれいな状態だった。
最近の丸いフォルムの車両より、昔の角ばった車体フォルムが
好きな私たちにはちょうどよい古い型なのもお気に入りなところ。
前の持ち主が新車で購入し、10年以上も大事に乗っていた車なので、
車体のあちらこちらにステッカーが貼られていた。
(しつこいようだが、購入時は時間が無さ過ぎて、あまりよく観察しなかった)
リアウィンドウにはなんと「寒冷地特別仕様車」!!
ウィンドウに映っている景色で分かる通り、
この仕様はあまり効果を発揮する機会がなさそうだ。
寒冷地にお住いの方だったのか、スキーやキャンプなどの
アウトドアが好きな方だったのか、時間の経過を感じさせるように
ステッカーも部分的に剥がれてきていた。
運転席側の後ろのウィンドウには「ヨヨハ(YOYOHA)」、
助手席側の後ろのウィンドウには「オコハム(OKOHAM)」
・・・ヨコハマタイヤを使用していることから推察するに、
元は「YOKOHAMA」だったと思われる。
いやはや1年半、お世話になります。
最近はちみつレモンをよく作って飲む。
町に売っているはちみつは一種類で、モザンビーク第5の都市
Chimoio(Manica州)のMozambique Honey Companyで作られている国産物。
それはとても濃厚で100%純粋なはちみつで、
250mlで約300MT(約900円)するのだが、
みたらしを連想させるぐらいに強い甘味がある。
このMozambique Honey Companyは2010年に設立された、
はちみつと蜜蝋の生産加工会社で、小規模養蜂家から直接はちみつを
購入(代金引換払いシステム=養蜂家はその場で現金収入が得られる)、
Chimoioにある工場で加工している。
この会社の特徴は、取引先である約5,000もの養蜂家がこの会社の
株主になる機会を与えられていて、きちんと利益を得られる
仕組みになっているところだと思う。
生産者は商品となる原料をわずかなのお金で取引させられ、
仕入れ加工した会社側が儲けるというのではなく、
その商品によって会社に出た利益はきちんと生産者に
還元されるということを株という形で示している。
Mozambique Honey Company
ホームページにもある通り、公平で革新的なビジネスモデルとなっている。
また、約5,000もの小規模養蜂家に加え、その原料を輸送したり、
工場を稼働運営していくための雇用創出の役割も担っている。
オランダ開発機構やその他の機関の支援のもとに設立されており、
きちんと管理されているのが、個人的には安心にも繋がっている。
こういったビジネスが今後も増えるといいなぁと思う。
試食したあと「どうやって作るの?教えて!」と、
大家さんの奥さん同様にすごい食いつきよう。
ホットケーキ、やっぱり美味しいよねぇ。
ということで、ポルトガル語の授業に代わり、
お料理教室ホットケーキの回を開催することになった。
あまりに簡単すぎて教えるというのも恐縮だったけれど、スタート。
まず小麦粉・砂糖・ベーキングパウダー(ここでは商品名である
”ロイヤル”と呼ばれている)を大きい計量カップに入れて、一度混ぜる。
そこにバニラエッセンス(なくてもいい。実際に近所の商店には
在庫がもうない)・オリーブオイル・卵を加え、軽く混ぜる。
そこに牛乳をクリーム状になるまで少しずつ入れ、ダマがなくなるまで混ぜる。
わたし:「あとこれを焼くだけです」
大家さんの奥さん&先生:「すっごく簡単ね・・・」
と、目から鱗のご様子。そうなんです、簡単なんですよ。
フライパンにタネを流しいれ、表面にポツポツ穴が開いて
周りが乾いてきたら、ひっくり返して少し焼いたら、あら完成~。
大家さんの奥さんは「はあぁぁ~、分かったわ」と感心しながら
母屋に戻り、その後は実際に先生に焼いてもらって、ちょうど
3時だったこともあり、紅茶を淹れておしゃべりしながら
おやつターイム。なんて、ザ・奥さまの昼下がり!な時間なんだ。
作っている途中に、先日日本からいらした方にいただいた
饅頭を出したら、お二人ともまた感激!
「これ、どうやって作るの?」と、
次回はお料理教室お饅頭の回が開催か。
こんなに地理的に離れているにもかかわらず、
味覚が共感できるってすごいなぁー。
和菓子屋とかやったら、流行るかしら。
初めてMercado na alta(上町市場)に行ってみた。
いつも野菜などの生鮮食品の買い物はBaixa(下町)の市場に
行っていたのだけれど、車で行かないといけない距離なので、
Altaの市場には前々から行ってみたいと思っていた。
実際に行ってみたら、ものすごい活気!!
広さも下町の市場の2倍はありそうな広さに所狭しと
野菜や魚介類、日用雑貨から衣料品まで何でも揃っている!
なぜもっと早く来なかったのか…
と、少し後悔するほど、市場らしい市場だった。
魚介類の売り場においては下町の3倍以上の広さがある。
そこには生のアジ、サバ、タイ、タチウオ、カツオ、
マグロ(切り身)、イカ、エビなどなどが並んでいて、
ほとんどのものが新鮮そうだった。
中には1mもある赤い魚(鋭いギザギザの歯)がどーんと板の上に乗せられていた。
旦那さんが「この魚は何て言うの?」と売り子のお兄ちゃんに聞いたところ、
「Velmelhão.(赤のでっかいの)」という答えが返ってきた。
私たちはイカとエビを買って帰った。
市場までは家から歩いて5分ほどなのだけれど、市場の近くに
ナンプラ教育大学のナカラキャンパスがあることも初めて知った。
そして、帰りは迷子になった。
翌日先生にチェックしてもらうということをしているのだけれど、
先日3月11日の作文は、2011年に起きた東日本大震災のことを書いてみた。
アフリカには地震がないと思っていたのだが、ここモザンビークでも
2011年に少し大きな地震があったそうだ。知らなかった…
ということで、少し調べてみたところ、
アフリカ大陸東部には大地溝帯(グレートリフトバレー)があり、
それは毎年数センチずつ広がり数十万年から数百万年後には
アフリカ大陸は東西に分裂すると予測されているそうだ。
もちろんそれを目にすることはないのだけれど、
改めて地球は活動し続けているのだなぁと思った。
この大地溝帯の中央部には巨大な谷があり、その周囲には
高い山や火山(世界最高峰のキリマンジャロや
アフリカ第二の高さを誇るケニア山)がある。
北に延びている大地溝帯の先には世界で最も標高の低い陸地である
死海があり、東に延びている大地溝帯はモザンビークにかかっている。
モザンビークやモザンビーク海峡(モザンビークと
マダガスカル島の間にある海峡)が震源になっている地震は、
だいたい2~3か月に一度のペースでマグニチュード5前後で起きている。
http://p.tl/942P
プレートの境界とその沈み込みの具合から見て、
アフリカ大陸には日本や他の地域に起こっているような
巨大地震が起こることはないようだけれど、
気象庁の説明地図の文字がかなりポップなのはなんでだろう。
http://p.tl/_KMI
それを自力でポルトガル語のレシピにしてみた。
(その後、Lurdes先生がチェックしてくれました)
Piripiriとは、African bird’s eye chili(日本の鷹の爪のようで、
ピーマンのような緑色から綺麗な赤になる辛い唐辛子)の
別名でもあり、それで作るソースのこともpiripiriと呼ばれている。
その唐辛子は片掌に山盛りで10MT(約30円)ほどで市場で
手に入るので、今まではそれを天日干しして鷹の爪を作っていた。
Piripiriが手に入るならpiripiriソースも作りたいと先生にレシピを聞いたのだった。
<Como fazer piripiri>ピリピリの作り方
1.Tira um cálice de piripiri.唐辛子のへたを取る。
2.Pila o piripiri no pilão.その唐辛子をすり鉢でつぶす。
3.Põe sal ao gosto, misturado
no piripiri. (pilar)
お好みの量の塩を加え、潰しながら混ぜる。
※3cmほどの唐辛子約15本に対して、小さじ1.5杯ぐらいの塩
4.Põe limão de sumo (ou óleo) que basta.
十分な量のレモン汁(またはオリーブオイル)を入れて完成。
このレシピをチェックしてもらっていた時、ふいに先生が
「レモンある?」と言い出し、「え、あるけど」と返事したところ、
今から実際に作ってみようということになった。
先生:「すり鉢は?ある?」
わたし:「ないです」
先生:「じゃ、お隣から借りてきて!」
わたし:「え、今?」
先生:「うん、唐辛子用のすり鉢貸してくださいって言えばいいから。
はい、行って行って!」
根っからの先生気質、スパルタです。
わたし:「すみませーん、唐辛子用のすり鉢貸してくださーい」
(アイロンかけ中の)お手伝いさん:「いいわよ~」
お、通じた。
(そりゃそうだ、もう半年もいるのに通じないと困る)
唐辛子を潰して、塩を加えたところにレモン汁かオリーブオイルを
入れるのだけれど、今回は両方のバージョンを作ってみました。
簡単なのでこれからも作れる、わーい。
大家さんの奥さんからパウンドケーキとクッキーをいただいた。
以前クリスマスの時に大家さんの娘っこが手作りした
パウンドケーキをもらったことがあるのだけれど、
さすがお母さん、それよりもしっとりしていて美味しかった。
クッキーも私がバレンタインにフライパンで作ったのとは
大違いに、サクッとしていて美味しかった。
大家さんの家の屋外キッチンにはオーブンがないので、
鍋を使って炭火コンロで作っていると思われる。
ん~・・・、作り方、知りたい!!
お返しに、いつもおやつに作っている小麦粉で作った
ホットケーキを、パウンドケーキとクッキーが乗っていた
お皿に乗せて返した。
その後、大家さんの奥さんが
「あのケーキ、どうやって作るの!?
すっっっごく美味しかった!!」と感激した様子。
だよねぇ、わたしも大好きだもんホットケーキ!
(こっちに来るまで小麦粉で作れるって知らなかったけれど)
大家さんの奥さん:「何が入ってるの?バターと?」
わたし:「えーっとね、バターははいってなくって…
ちょっと待ってくださいね」
(小麦粉って何て言うんだっけ?辞書、辞書←家の中に取りに行く)
わたし:「Farinha de
trigo!(小麦粉)小麦粉と、砂糖と…」
(遮って)大家さんの奥さん:「え、小麦粉はカップ何杯分?」
わたし:「(え、カップ?いつもグラムでやってるからな)
えっとね、ちょっと待ってくださいね」
(レシピ、レシピ←家の中に取りに行く)
日本語で書かれたレシピを見せながら、説明をしようとしたら、
そこに書かれている日本語が目に入った瞬間、唸り声にも似た
か細い声が漏れる。おそらく初めて目にするだろう日本語
(ひらがな・カタカナ・漢字)の集合体にひるんだ様子。
ちゃんと書き写すから心配しないで!
わたし:「小麦粉はXXXグラムで、砂糖はXXグラム。
あ、砂糖はスプーンX杯分ね・・・」
言葉だけではうまく説明ができないので、私がホットケーキを
作る時に使う軽量カップやらフライパンやらを全部中庭に
持ち出して、説明。
彼らが一番衝撃的だった(ように見えた)のは、牛乳を入れるということ。
牛乳を入れる手順の説明になった時、
「ああぁぁ~、leite(牛乳)~」と、いたく感心した様子。
普段から牛乳を飲むという習慣がないのかしら?
とにかく、今度ホットケーキを作る時は、
大家さんの奥さんがうちに見学に来ること、
彼女がパウンドケーキとクッキーを作る時は、
私が見学に行くことで一件落着。
その後、お手伝いさんとちょっと世間話。
井戸の端にて行われたリアル井戸端会議となった。















