セルロースとヘミセルロースは、糖の分子が多数紐状に連なって出来ている物質です。この「糖鎖」を1つ1つの分子に分解できれば、糖の分子が多数得られるはずなわけです。
それを得られれば、それらの糖分子を発酵させることによって、エタノールを合成することができます。
アルコール発酵は大昔から人間が行ってきていることです。人間の欲望のおかげで(?)この工程はかなり技術開発が進んでいます。微生物にがんばってもらえばよい、という段階にすでに達しています。
そうしますと、発酵工程に投入する中間原料 - 糖 - をどうやって大量に安く少ないエネルギー投入量で得るかが主な問題となります。
発酵工程の投入原料となり得るブドウ糖、キシロース、蔗糖、果糖などは、植物はそれほどたくさん植物体内に貯蔵してくれません。貯蔵されているそのような糖分は植物体の重量の一部分です。(※)
光合成によって得られた糖分は、多くが植物体 - 茎・根・葉・花などを構成する繊維質やその他細胞内の諸器官 - を合成し、それらの生命活動を維持するために使われてしまうわけです。果実・芋・種子に蓄えられる糖分は生産された糖分の一部でしかありません。
また、それら蓄えられた糖分は人間が食べたい部分でもあります。長い目で見ると、人間の食料確保は液体燃料の確保に優先します。
そうしますと、食糧確保に差しさわりが無いようにしつつ液体燃料を大量に確保したい人間としては、食べられない部分 - 繊維質 - 糖が多数合成されている高分子化合物 - に目をつけたくなるわけです。
※ 投稿後に訂正しました。光合成の一次生産物はブドウ糖ですので、ブドウ糖の合成は大量に行われているはずです。