あまり見慣れない用語について述べましょう。
「加水分解」 ・・・ ある物質が水と反応して分解され、かつ反応する水が水素原子と水酸基とに分かれて生成物に取り込まれる、そういう化学反応のことです。このシリーズでは、「ブドウ糖などの糖がたくさん結合して出来ているセルロース・ヘミセルロースが、ブドウ糖などの糖に分解される反応」と理解しておいていただいて構いません。
「システム生物学」 ・・・ 生物を遺伝子、蛋白質、酵素、細胞内器官、細胞、(体内の)組織、といった各レベルで解析し、それらの相互作用を解析し、生物体を一つのシステムとしてとらえようとする学問分野です。英語の "systems biology" に相当します。
コンピュータ情報処理技術を駆使して生物体内の諸機能を遺伝子、蛋白質、酵素といった基礎的なレベルからモデル化し、それら発生過程や相互作用や生成過程をシミュレーションすることにより、今まで解析できなかった生体反応や諸機能の解析に役立てようとするものです。
これにより、これまで存在しなかった遺伝子の組み合わせ、新しい蛋白質、新しい機能を持つ酵素といった新しい物質を創り出し、今まで無かった機能を持つ新しい品種を創り出して行くのを促進することをも目指しています。
それから、このシリーズに限らずこのブログでは、「植物の繊維質を原料として製造されたエタノール」を「セルロース系エタノール」と呼ぶことにします。英語の "cellulosic ethanol" に相当します。