セルロース系エタノールを商業的に実用化しようとしている人達は、共通した課題を抱えています。

(1) 「前処理」がエネルギー集約的であり、かつ原料成分の収率が低いこと ... 細胞壁からエタノールの原料 - セルロースとヘミセルロース - を取り出す工程の効率が低い

(2) 「加水分解」がエネルギー集約的であり、かつ発酵工程に投入できる糖の収率が低いこと ... 細胞壁から取り出したセルロースとヘミセルロースを糖に分解する工程の効率が低い

この2つです。

問題の詳細を論ずる前に、植物の細胞壁が何によって構成されているか、それらがどういう物質なのか、またそれらの物質によって構成されている細胞壁の組成がどの程度まで判明しているのか、について述べましょう。

細胞壁の主要な成分は3種類あります。

・セルロース
・ヘミセルロース
・リグニン

このうち、エタノールの原料となるのはセルロースとヘミセルロースだけです。

リグニンは、ある種のバイオプラスティクスの原料になるそうですが、エタノールの原料としては使えません。