地元の有力銀行からの情報だそうです。

Gulfnews.com 4月1日 "Government spending to boost Saudi Arabia GDP"
http://archive.gulfnews.com/articles/07/04/01/10115135.html

記事の見出しだけ見ていると全然関係なさそうなんですが、よく読むと、「今年のサウジアラビアの原油生産量は日量844万バレルで、昨年の日量912万バレルより年率7.5%減」とのこと。

やばいです...

この記事を読んだとき、商社の動向が国策を反映したものであることがはっきりわかりました。

ブラジルやインドネシアから輸入することで需要を満たすことが国策、ということです。

日本経済新聞朝刊 3月5日(月) 3面

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国際協力銀とブラジル国営石油 バイオ燃料支援で覚書

【サンパウロ=岩城聡】 国際協力銀行(JBIC)は五日、ブラジル国営石油会社(ペトロブラス)と、バイオ燃料事業を金融面で支援する覚書を締結する。世界有数のエタノール産出国であるブラジルの生産や販売体制を拡充して、日本向けの輸出拡大をめざす。

融資対象は、ペトロブラスが日本の商社や電力、石油元売り会社などと共同で、これから対日輸出用につくるバイオ燃料の生産・販売事業。エタノール工場や貯蔵タンクだけでなく、港湾や輸送パイプラインも含む。

ペトロブラスは二〇一一年には年間三十五億リットルのエタノール輸出を計画、その九割は日本向けを想定している。国際協力銀の支援を通じて日本政府もバイオエネルギー資源の安定確保に向けて本格的に動き出す。 (Unquote)

さあ、みなさん、ようやく日経が扱いました。

日経朝刊 3月31日 7面

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米の過度な原油依存に警告書

【シカゴ=毛利靖子】米会計検査院は二十九日、米エネルギー省などに対して、原油に過度に依存した経済構造を早期に改めるため政府機関が一致協力すべきだとの警告書を公表した。南米などで資源を国有化する動きが広がり、油田開発や調達の不確実性が高まっているためだ。

 米下院の要請をうけ、専門家に聞き取り調査した。原油生産が減少に転じるとされる時期は直近から二〇四〇年までばらつきがあり、時期の特定などは見送った。 (Unquote)

毛利さん、「ピークオイル」という用語を使うのを避けましたね?

商社が取引するにしても、価格変動リスクをヘッジする必要がありますね。ヘッジする主体が、商社自身なのかその販売先なのか、は別にして。

日本経済新聞 3月4日(日) 3面

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エタノール取引 将来の価格を固定
三井住友銀 変動時には差額授受

三井住友銀行はエタノールの取引で、将来の購入価格をあらかじめ固定する金融商品を開発した。エタノールはガソリンの代替燃料などとして利用され、価格が上昇している。三井住友銀は購入価格を固めておきたい食料品メーカーや石油元売りなどに販売する。

エタノールの価格変動リスクを軽減する金融商品を扱うのは邦銀では初めてという。 ...(中略)...

三井住友銀とエタノールを購入する企業は固定価格や購入する機関、数量を決める。実際の価格が固定価格を上回れば、三井住友銀が企業に差額を払う。逆に固定価格を下回っていても、企業は固定価格分を払わなければならない。企業は購入価格を事実上前倒しで確定できるため、需要があると見込んでいる。

...(後略)... (Unquote)

今のところバイオ燃料の大きな産地はブラジルとアメリカですが、ブラジルに続く熱帯の大産地としてインドネシアが浮上しつつあります。

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インドネシアでバイオ燃料生産 大手商社、相次ぎ計画
伊藤忠、年10万キロリットル 三菱商事・三井物産も検討

【ジャカルタ=代慶達也】 日本の大手商社がインドネシアで相次ぎバイオ燃料工場の新設に乗り出す。伊藤忠商事は現地企業と組み二〇〇七年中にガソリンの代替燃料となるバイオエタノールの工場を現地に新設。三菱商事や三井物産なども工場建設に向け調整を進めている。パーム油やキャッサバなど原料の植物が豊富でブラジルなどに比べ日本に近い同国を各社は対日輸出拠点にする意向で、同国がアジア最大のバイオ燃料供給基地に浮上しそうだ。

伊藤忠商事は現地のエタノール生産大手モリンド社と共同でスマトラ島南部とジャワ島東部の二カ所にバイオエタノール生産工場を建設する。芋の一種であるキャッサバを発酵させてアルコールにしてバイオエタノールを生産する。合計生産量は年十万キロリットルで同国では最大級のバイオ燃料工場となる。投資額は五千万ドル。当面は国内市場で販売する計画だが、将来は日本に輸出する。

三菱商事と三井物産はインドネシア政府とバイオ燃料普及のための覚書を締結。パートナー企業の選定や農園運営の調査を始めた。双日も現地企業などと組みカリマンタン島東部でパーム油を使ったバイオディーゼル燃料工場の建設計画を進めている。

インドネシアはバイオ燃料の原料となる熱帯植物資源が豊富で、パーム油の生産量は〇八年にはマレーシアを抜き世界一となる見通し。すでに中国海洋石油などアジア系の資源企業や、米穀物大手アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドなど世界的なエタノール生産企業も進出を決めている。

インドネシアは現在、原油ガス生産が低迷している。このためユドヨノ大統領は「バイオ燃料事業を新たな戦略産業に育てる」意向だ。エネルギー・鉱物省によると、同国には国内外の五十社以上がバイオ燃料事業への三角を計画、総投資額は百二十四億ドルに達するとしている。

...(中略)...

... 日経大手商社は「インドネシアがアジア最大のバイオ燃料大国になる可能性が高い」と見ている。 (Unquote)

これまでで、名前の出てきた商社は合計6社です。

5社目です。

日本経済新聞朝刊 2月23日(金) 13面

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バイオディーゼル燃料 丸紅、ブラジル生産 オランダ社と

丸紅は二十二日、大豆油を使った軽油代替のバイオディーゼル燃料を二〇〇八年からブラジルで生産すると発表した。オランダ穀物勝者亜グレン子・グループと共同で総額一億二千万ドル(約百四十五億円)を投じ、年四十万トン生産する。世界的に需要が拡大しているため、主要産地のブラジルに五工場を建設する。

合弁事業への出資比率は丸紅三三・三%、アグレンコ六六・七%で、丸紅の投資額は四千万ドル。大豆産地である南部の三州に搾油工場二カ所、燃料に加工する工場を三カ所建てる。養鶏用のエサになる大豆かすも年百万トン生産する。

ブラジルでは〇八年度から軽油にバイオディーゼル燃料を二%混ぜることが義務付けられるため、まず現地中心に販売する。大豆かすは同国内のほか、東南アジアや欧州へも輸出する計画だ。

丸紅は〇五年、ブラジル産大豆を年四百万トン取り扱うアグレンコの大豆輸出ターミナルに二五・五%出資。同社から大豆を年百三十万トン調達しアジアに輸出している。

バイオディーゼル燃料は、ガソリン代替のバイオエタノールとともに、京都議定書で地球温暖化ガスの排出を抑える燃料として期待されている。 (Unquote)

ブラジルと東南アジアが日本の商社の目をひきつけているようです。

化学工業日報 2月22日(木) 2面

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バイオ燃料に熱い視線 総合商社
南米・東南アジア 生産へ相次ぎFS

総合商社のバイオ燃料事業家に向けた取り組みが一段と熱を帯びてきた。原料植物の生産地となる南米や東南アジアで相次ぎ事業化調査(FS)に乗り出し具体化に向かっている。 ...(中略)...

世界最大のバイオエタノール輸出国であるブラジルでは昨年、三井物産が石油公社ペトロブラスと共同で、燃料用バイオエタノールの生産・輸出販売のFSを行うことで合意した。伊藤忠商事も、サンフランシスコ川流域開発公社(CODEVASF)と日伯農業開発株式会社(CAMPO)との間で、ブラジル国内でバイオ燃料の生産プロジェクトFSを共同で推進することを決めた。

一方、東南アジアでは、三井物産がパーム油を原料にしたディーゼル燃料事業にかかわる新規事業の探索を本格化しているほか、兼松が東洋エンジニアリングなどとともにタイでキャッサバを使った燃料エタノールの生産を検討している。

三菱商事も、事業グループ間に分散していたバイオ燃料を始めとした新燃料や環境関連ビジネスを、四月に発足させる「イノベーション事業グループ」内の「新エネルギー・環境事業本部」に集約する。

...(後略)... (Unquote)

前回と今回で、

・三井物産
・伊藤忠商事
・三菱商事
・兼松

の4社が出てきました。

2月16日(金)の日経産業新聞21面には、最近よく取り上げられる「バイオエタノール・ジャパン関西(株)」の工場の写真が載っていました。

その写真の下に、「バイオ燃料をめぐる企業の主な動向」と題して、日本企業10社の動向が書いてあります。

三井物産 ・・・ ブラジル国営石油会社ペトロブラスと同国で生産・輸出拡充へ事業化調査を実施

伊藤忠商事 ・・・ ブラジル政府系企業などと同国に生産工場を建設し、2010年をメドに対日輸出を開始

トヨタ自動車 ・・・ 07年春にブラジルでエタノールだけで走る「カローラ」を発売

ホンダ ・・・ 地球環境産業技術研究機構と稲わらなどからエタノールを製造する技術を開発

新日本石油 ・・・ トヨタ自動車とバイオディーゼルを共同で開発

三井造船 ・・・ 岡山県真庭市で針葉樹端材の木片からエタノールを製造

アサヒビール ・・・ 沖縄県伊江島でサトウキビからエタノールを製造

キリンビール ・・・ ビール副産物でエタノールを製造する技術開発に着手

帝人 ・・・ オランダのバイオディーゼル生産会社に出資

新日鉄エンジニアリング ・・・ 北九州市で食品廃棄物からエタノールを製造

三井物産と伊藤忠商事が「ブラジルで生産し日本へ輸出する」という事業への参加をしようと活動中なわけです。

2月から3月にかけて、日本の商社や金融機関がバイオ燃料生産と流通に関与する話が何度か新聞記事となりました。

読み進んでいくうちに、連載「エタノールとETBE」の内容と密接に関連している国策推進の一局面だということがわかってきました。外国からバイオ燃料を輸入する国家計画の一環だと私は考えています。

以下の記事をこれから紹介します。

日経産業新聞 2月16日(金) 21面

化学工業日報 2月22日(木) 2面

日本経済新聞朝刊 2月23日(金) 13面

日本経済新聞朝刊 2月24日(土) 9面

日本経済新聞朝刊 3月4日(日) 3面

日本経済新聞朝刊 3月5日(月) 3面

「超臨界水」という言葉がときどき聞かれるようになりました。

温度と圧力を上げていき、「374℃、218気圧」以上の高温高圧状態に置くと、水が液体とも気体ともつかない状態になります。

そういう状態を「超臨界」と呼ぶのです。

この状態の物質は液体と気体の両方の性質を併せ持っています。

液体はものを溶かしやすい性質を持っています。

気体は狭い隙間にもたやすく入り込む性質を持っています。

この両方の性質を水が持つとどうなるでしょうか。

答えは、「通常ではとても溶かせないような物質を簡単に分解できるようになる」です。

超臨界水は、たとえばPCBを分解することができます。

で、超臨界水の一歩手前の状態を「亜臨界水」と呼んでいます。

亜臨界水は、超臨界水よりマイルドな反応性を示します。分解速度も緩やかなわけです。

で、これをセルロースの分解に使おう、という動きがあります。

(独)森林総合研究所が研究しているそうです。

2006年12月22日(金)付日経産業新聞9面に載っています。