1月11日付、読売新聞朝刊19面、くらし・家庭欄に
「伝統的な食 検定で究める」
という記事がありました。
日本の伝統的な食文化を守ることを目的とした検定が相次いで登場している・・・とのことです。
今年5月には日本の魚食文化を再発見してもらいたい、との名目で「日本さかな検定」が実施される予定であり、昨年秋には乾物のよい面を見直してもらいたい、との名目で「かんぶつマエストロ」という資格が誕生し、90分の講座を7コマ受講し、その上で試験を受けるのだそうです。
これらの取り組みに関わってる皆様には大変申し訳ありませんが、食の生産者、提供者の1人である私としては
「食材離れを防ぐという建前で資格・検定を創設するという方針」
に大きな違和感・もしくは不快感を抱いてしまいます。
食の作り手、提供者が、自らの食を近づかせるために、「資格」という褒美をちらつかせて勉強を勧めるとはどういうことでしょうか。それも多額の受験料、受講料をとって。
本当に自ら関わる食の普及や啓発を目的としているのなら、無償で取り組むべきです。誰でもが平等に良い食が行き渡ることが私たち食の提供者の務めでありましょう。わざわざ「資格」を持たせて選ばれた人を作り上げるのが私達のするべきことでしょうか。
私は、この流れを「普及や啓発」を建前とした、新たなビジネスと捉えています。
万が一にもないでしょうが、もしも「もやし検定」なるものが発案されるようでしたら、私は断固反対します。たかがもやしを知るくらいで食べる人に有料で勉強させるなどとは、おこがましいことです。もやしに興味を持ち、何か知りたいことがあったら、近くのもやし会社、または私にでも聞いていただければ喜んで教えます。もちろんお金などいりません。作り手が自分の作る食のことを話すのに、お金などとれるはずがありません。
食とは食材に触れ、料理を味わい、作り手と語って、つまり五感を使って知るものであり、机の上で理屈を学ぶものではないのです。