本論文は、ライフスタイルによる体重減少の効果を検討したメタアナリシスです。
Obes Rev 2021; 22: e13325(英国)doi: 10.1111/obr.13325
要約:2020年3月までに発表された、ライフスタイル(食事、運動など)による体重減少の効果を検討したランダム化試験15論文1,852名のメタアナリシスを実施しました(BMI>25)。なお、薬剤や肥満症手術(減量手術)を用いたものは除外しました。結果は下記の通り(有意差の見られた項目を赤字表示)。
論文数 対象患者数 オッズ比(無処置と比較、信頼区間)
体重減少 13 1,064人 -5.24(-7.14〜-3.35)
臨床妊娠率 12 1,313人 1.47(1.11〜1.94)
出産率 9 1,203人 1.46(1.04〜2.04)
ART治療による臨床妊娠率 6 1,040人 1.05(0.69〜1.59)
排卵周期の復活 4 108人 4.50(1.84〜11.03)
自然妊娠率 5 991人 2.25(1.42〜3.59)
流産率 5 458人 0.94(0.87〜1.01)
食事のみ、運動のみ、極低カロリーダイエットのみでは無処置と比べ有意差を認めませんでしたが、女性の食事+運動により、妊娠率は1.87倍、出産率は2.20倍に有意に増加しました。しかし、男性では有意な変化はありませんでした。
解説:太っている方では、妊娠成績が低下することが知られています。本論文は、ライフスタイルによる体重減少の効果を検討したメタアナリシスであり、女性の食事+運動により、妊娠率と出産率が有意に改善することを示しています。症例数の少ない研究が多いため、結論を導くためには、大規模なランダム化試験が必要です。
肥満症手術(減量手術)については、下記の記事を参照してください。
2022.6.9「減量手術後の精液所見」
2021.11.25「☆肥満と妊娠:ASRMの見解」
2021.1.25「減量手術によるART成績」
2013.7.9「☆減量手術をするとホルモン値が改善します」
BMIについては、下記の記事を参照してください。
2022.4.25「☆女性のBMIは異常胚とは無関係」
2021.12.5「BMI増加で胚盤胞発生動態は?」
2021.11.21「☆BMI高値で不育症リスクが増加!?」
2021.9.28「BMI高値は受精卵の染色体異常とは無関係」
2021.7.21「☆女性の肥満で流産率が増加」
2021.5.5「女性のBMIは卵子に影響?着床に影響?」