本論文は、卵巣予備能についてASRM(米国生殖医学会)の公式見解です。
Fertil Steril 2020; 114: 1151(ASRM)
要約:卵巣予備能について、2012年に発表したASRMの公式見解の改訂版です。
①クロミフェンチャレンジテスト(CCCT)は、卵巣予備能や妊娠予後を反映しないため実施すべきではありません。
②現在のところ、AMHとAFCが最も信頼できる卵巣予備能の指標です。
③複数の指標を用いても、単一の指標を用いても、卵巣予備能評価の改善にはなりません。
④原因不明不妊症の方の卵巣予備能評価は妊孕性予測には役立ちません。
⑤卵巣予備能評価で自然妊娠を予測することはできません。
⑥卵巣予備能評価で排卵誘発剤使用や人工授精による妊娠を予測することはできません。
⑦AMHやAFCと採卵数の関連については多数の報告があります。
⑧AMHの著しい低下を理由に体外受精をお断りするべきではありません。
⑨AMHやAFCと卵子の質・妊娠率・出産率との関連は極めて小さいです。
⑩刺激周期での卵巣反応不良は卵巣予備能低下を現しており、その他の卵巣予備能検査は不要です。
解説:本論文は、卵巣予備能についてのASRMの公式見解を示したものです。AMHとAFCが最も信頼できる卵巣予備能の指標であること、この指標は卵子の質・妊娠率・出産率を反映するものではないことを示しています。
当たり前と言ってしまえばそれまでですが、卵巣予備能は妊娠予後とは無関係です。
下記の記事を参照してください。
2020.11.7「37歳以下で採卵数低下女性の加齢依存性疾患罹患」
2020.8.4「☆卵巣予備能低下の35歳以下の女性の妊娠予後」
2020.6.7「AMH低下で不育症増加!?」
2018.7.22「AMHと妊孕性」
2018.7.9「AMHと流産との関連」
2018.7.7「卵巣反応不良の方の出産率」
2017.12.29「卵巣予備能低下と流産の関係は?」
2017.10.3「AMHと卵子の質の関係は?」
2016.5.24「不育症では卵巣予備能が低い?」
2016.5.14「不妊症の方はAMHが低いのか?」