2000年以前、新鮮胚移植が全盛期だった頃には、20個以上の採卵数の場合に、生まれた赤ちゃんの早産や低体重児が有意に高くなることから、1990年代までは確かに上記のように考えられていました。しかし、2000年以降、世界的に全胚凍結の時代になった現在、新鮮胚移植の時代の過去のデータをそのまま利用することができなくなっており、全胚凍結で新たなエビデンスを構築する必要が出ています。現在、全胚凍結の場合には、刺激周期で採卵数が多い方が圧倒的に有利な状況であることが明らかにされています。
これまでに紹介した記事を時系列順に再度ご紹介します。
2013.11.23「☆何個採卵したらよいか?」2455名での検討
新鮮胚移植の場合には、6~15個で出産率が最大(41.1%)
凍結融解胚移植を含めた累積生産率は、採卵数が多いほど高くなり、16個以上で最大(67.1%)
0~5個の時が最も出産率が低い
2015.1.26「何個採卵したらよい?」7697名での検討
凍結胚を含めた累積妊娠率と累積出産率は、採卵数の増加に伴い増加(16個以上採卵で37.7%と31.3%)
2018.10.23「☆一度に多くの卵子を採卵するメリット」14,469名での検討
凍結胚を含めた累積出産率は、採卵数の増加に伴い増加(25個以上採卵で70%)
新鮮胚移植の場合には、採卵数7個まで増加し、7〜20個がプラトーで、20個以上では低下
2019.1.10「☆☆一度に多くの卵子を採卵するメリット:その2」724周期での検討
正常胚数は、採卵数増加と有意な正の相関(+0.40)、年齢と有意な負の相関(-0.06)
2019.9.28「☆1回の採卵で最も累積出産率を高くできる採卵数は?」221,221周期での検討
累積出産率は採卵数の増加に伴い増加し続ける
2019.11.17「☆全胚凍結の場合の採卵数と赤ちゃんの状態との関係は?」14,170名での検討
採卵数による早産(<37w、<32w)、低体重児(<2500g、<1500g)、高体重児(>4000g)、先天奇形の頻度に有意な変化はない
賢明な読者であれば、何が正しいかお判りいただけると思います。
最新情報へのアップデートが重要です。