羽を1つ動かしただけでもすべてが崩れてしまうようなバランス | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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四ツ谷にありますバレリーナ専門の気功整体「まといのば」のブログです。
気功師から見たバレエとヒーリングのコツを公開します。
「まといのば」では、バレエ・ヒーリング・美容の各種セミナーを行っております。

アライメントというのは、がっしりと組み上がるイメージではなく、羽の1つを失っただけでも全体のバランスが崩れるような繊細に組み上げられたもののことを指します。

アライメントというのはバレエにおいて重要な概念です。骨格をきちんとならべていく感覚です。転じて、軸とかセンターなどの情報的身体とつながっていきます。

それはある意味、筋力を無視して、重力と抗力だけで編み上げるような世界です。抗力とは骨格による力です。

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たとえば「まといのば」では、ダ・ヴィンチのウィトゥルス的身体を一種のメタファーとして、身体の使い方を説明します。あの図のように身体を使いましょうと言います。

ダ・ヴィンチのウィトゥルス的人体図というのは以下の図のことです。
(ダン・ブラウンの映画化もされた小説「ダ・ヴィンチ・コード」などでも有名になった図です。新しい小説「INFERNO」も順調なようで、紀伊国屋に平積みされていました)。

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ダ・ヴィンチもウィトゥルス自身も身体の使い方を想定してこの図を描いているわけではありません。ですが、我々はこの図をメタファーとしてある種の身体の使い方を示しています。

シンプルに言えば、手先、足先を遠くに伸ばすイメージをするということです。

たとえばバレエにおいて手を横に(アラスゴンド)置く場合に、遠くの壁に触れるように伸ばすということです。足を出すときも自分の足の長さ以上に足を使うということです。

より詳しくは「まといのば名古屋」の記事などを参照してください。
トンベ・パドゥブレなどに使えば、結果的に移動が大きくなります(移動を大きくというのは、ルグリさんが多用されるメソッドです。大きく動こうと思うと、バレエらしい動きになります。手や足が大きく動き、かつ腰が浮きます)。

このウィトゥルス的人体図を用いて指導者側がクライアントさんや受講生に教えたいことや見せたい風景というのは、関節を広げるということです。手を遠くへ伸ばそうとすれば、うまくいけば関節の間(骨と骨の間)を広げられます。

関節の間を広げるというのは、脱力に取って代わる概念です。脱力というとぼんやりとしてしまう場合は、ひたすらに関節を広げると考えるほうが合理的です。
脱力というのは力を抜くことですが、厳密には力を抜くわけではありません。言葉で言ってしまえば、不要な力を抜くのですが、言葉で言うほどシンプルでもありません。
ですのでともかく関節を広げると思ったほうが、理想的な脱力につながります。

先日の寸勁の学習会でも少し言及しましたが、ウィトゥルス的人体図のように手足を広げなくても、関節を広げることは可能です。

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ただバレエの場合は肘を屈曲させることはほとんど無いので、ウィトゥルス的人体図のイメージで問題ありません。しかし、スポーツや武道だと不十分だなと思いました。
スポーツや武道の方々は、シンプルなウィトゥルス的人体図のイメージからはじめて、その感触を「関節を広げる」というアルゴリズムに落としこみ、その上ですべてのポージングを洗い直せば良いと思います。

ちなみに関節を広げるの次は、アライメントということですが、アライメントというと元々の意味とは離れて、積み木を積み上げるイメージがどうしてもつきまといます。
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積み木を積み上げるというイメージは、初心者のアライメントの理解としては良いと思います。脊椎などを積み木とイメージして、そのアライメントを整えるイメージです。しかしこの積み木のイメージはたとえば四肢、とくに腕のアライメントを考えるためには使えません。

ですので、アライメントというと「骨と骨を点で合わせる」というオステオパシー的なイメージを用いるしかありません。これはこれで強烈に効果があります。しかし、今度はよく「まといのば」が言う「死んだ解剖学」の問題があります。

関節を単なるヒンジ(だけではないのですが)構造と考え、そのように動かしてしまいます。しかし、身体はそうは動かないのです。
たとえば肘を屈曲と伸展をさせるときに、単に屈曲・伸展させるのではなく、肘を中心に拳が描く弧を考えたとき、その半径が広がるようにイメージして動かしたときに(ダ・ヴィンチのウィトゥルス的人体図と同じです。拳が遠く離れて行くイメージです)より合理的に動きます。なぜ合理的と言えるかと言えば、筋肉がストレッチして休むからです。合理的で高機能に動きます。

これは観念の遊びか概念を弄んでいるように見えるかもしれませんが、きわめて個別具体的な話です。

というのも、気功整体師養成スクールでも理学療法士や鍼灸師、アロマセラピストなどきちんと解剖学の教育を受けていて、それを手技に落とし込んでいる人ほど、「単に屈曲・伸展させる」という動きをしてしまいがちになります。自分で自分の身体をそうしてしまう分にはとりあえずは構わないのですが、施術家としてクライアントに手技を施すときに、それをしてはいけません。それでは改善する機能も改善しません。

関節を可動させるときは、関節周囲の筋肉が短縮しないようにデザインするイメージで、関節を動かせば動かすほど、その部分が広がるように行うことです。分かりやすく言えば、関節を広げるということであり、引っ張る方向にテンションをかけるということです。

アライメントとは何かと言えば、4つの力のうち重力と電磁気力にフォーカスするイメージです。電磁気力は大きく分けて2つです。骨などの硬い部位を利用した抗力と(骨が柔らかければ、立ち上がる前にグシャッとつぶれてしまいます)、化学反応の結果としての筋力です。

我々の意識に上るのは筋力です(実際に使っているのは抗力でしょうが)。無駄な筋力のノイズを出来る限り消したいというのが、脱力のカラクリです。脱力すると抽象度が上がるのは、ノイズが消えるからです。脳のリソースを食うノイズを消してくれるのです。耳から聞こえる雑音としてのノイズはRASで消すことができますが(できる場合は)、身体の中の声である筋力(もしくは力み)のノイズはずっと我々の耳をつんざきます(比喩です)。

脱力すればするほど、筋肉のノイズは減ります。瞑想の目的も同様です。ちなみに心のノイズを消したければ、筋肉のノイズを消すことです(だから死ぬほど動いたり、死ぬほど仕事すると、ノイズが消え始めます)。筋肉を酷使すれば、筋肉は使えなくなります。そうすれば結果的に力みが減ります(その瞬間だけは)。

このように言うと「瞑想はココロの煩悩を消す作業です!」という反論が聞こえますが、そう言われるといつも思い出すのは一休さんです。

「ココロをここに出してみろ」と思います。
一休さんの話とは、足利義満が屏風の虎を退治して欲しいという話です(以下にWikipediaから引用)。

屏風の虎退治 
足利義満が一休に出した問題の一つ。
「屏風絵の虎が夜な夜な屏風を抜け出して暴れるので退治して欲しい」と義満が訴えたところ、一休は「では捕まえますから虎を屏風絵から出して下さい」と切り返し、義満を感服させた。



目の前に取り出せないココロ(だけ)について科学的な議論をしようとするのは無駄です。ましてやココロについて分かった気になるはアウトです。

我々は心と身体が同じもの(の抽象度の違い=表現の違い)であることを知っているので、クタクタになるまで仕事をすれば(勉強でも、遊びでも)瞑想と同じ域に行けるということが論理的帰結です。「なぜ?」と言えば、カラクリはシンプルです。心とは筋肉だからです。心とは身体と言っても良いのですが、身体というのはあまりに抽象度が高いので、筋肉という即物的な理解のほうが良いと思います(ここでは)。

武道やスポーツをとことんやり込んでいる人は筋肉を酷使した先の無念無想というか、瞑想状態を知っていると思います(フローやゾーンまでいかないまでも)。仲間同士では共有できている感覚でも、ほとんど身体を動かしたことのないようなガリ勉くんなどからは「それってランナーズ・ハイでしょ」とか歪小化されがちです。

ですので、「瞑想がうまくできない!」という人は皇居のまわりをハイペースでぶっ倒れるまで走るのも方法かもしれません。

極論ですが、リラクゼーションと瞑想は全く違う行為と思ったほうがいいです。
きちんと禅をしている方々が屈強なのは理由があります。


話を戻しますと、我々はできれば4つの力のうちの2つ(電磁気力と重力)にフォーカスしたいと考えています。電磁気力はうるさいので(とくに筋力が)、重力は感じづらくなります。重力を感じるためには、電磁気力のノイズを消したいと考えます。ノイズとは無駄な力みのことです。ノイズが減ると、重力を感じ、重力に拮抗する垂直抗力を感じます。これだけを出来る限り純粋に感じたいというのがアライメントという考え方です。

その感覚を明確に示してくれたのが、いまネットで話題の以下のビデオです。目に見えるようにアライメントの世界を示してくれたように思います。

ロケットニュース24『日本人女性が見せた「バランス神技」に世界が衝撃を受ける! 「完全に言葉を失った」「これこそ “アート” だ!」』から以下を引用しました。


*リンク切れのため動画を変更しました(2017/04/02)

(引用開始)

ある日本人女性が見せた凄まじいパフォーマンスに、世界が衝撃を受けている。世界も驚くそのパフォーマンスとは、絶妙なバランスでモノを積み重ねていく超絶バランスパフォーマンスである!

日本人女性「シダ ミヨコ」さんが、スペインのテレビ番組「Tu Si Que Vales」(和訳:あなたはすごい人)で披露したその神技は、まさに目を見張るほどのインパクトと美しさを持った技であり、これは見とれずにはいられない。

現に多くの海外ネットユーザーが、シダさんのパフォーマンスに心奪われており、彼女の神技を映した動画「Miyoko Shida Rigolo 」には称賛の声が次から次へと寄せられている。

ロケットニュース24
(引用終了)

これも確かに構造的に見れば積み木と言えば積み木なのですが(我々の日常サイズで言えば、すべてはニュートン力学なので)、ピラミッド的な積み上がる感じではなく、重力と抗力のみで編み上げた世界を堪能して欲しいと思います。

積み上げるというとどうしても思考はピラミッド的になるのですが(だから下半身を鍛えてしまいます。下半身を鍛えるのはいいのですが、パラダイムを間違って鍛えると目も当てられないことになります)、そうではなく羽一枚を取り除くとすべてがバラバラになってしまうような繊細な積み上げこそがアライメントの感覚です。

脱力から関節を広げるにパラダイムを変えていき、アライメントの厳密な理解をすれば、ギエムが「バレエはバランス」と言った意味がよりクリアに見えてくると思います。

では、他の方で同じ技術を鑑賞しましょう。
より明確にゲシュタルトが構築されるかと思います。


この人が本家なのだと思います(全員同じ団体で、彼がボスなので。おそらく本家)。
8"20”から見ていただくと、「すべてが崩れてしまう」のがより明確だと思います。上記のパフォーマンスも素晴らしいのですが、画竜点睛を欠くです。






*同じ方ですが、照明がシンプルで見やすいです。ひとつ上が舞台パフォーマンスなら、これはスタジオリハーサルのような趣で。

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