スティングが来日しているらしい。それもコンサートツアーでなく、新譜のプロモーションだけのための来日とか。スティング、新譜出してたとは知らなんだ。
オリジナルアルバムとしては、前作の『セレクテッド・ラブ』より13年ぶりのリリースだそうです。

『セレクテッド・ラブ』は、僕個人的にスティングの最高傑作だと思っているのです。この前に内省的なアルバムが何枚も続いて(スティグはいつも内省的ですが)、ようやくカッコイイアルバムが出た。キャリアを重ねて重ねて、今ここで最高傑作を出せるか凄ぇスティング、と感心したのを覚えてます。あれから13年も経ってたんですね。
ちょっと待て、最高傑作は『ナッシング・ライク・ザ・サン』だろう?と言う人はいるでしょう。僕もその意見はよくわかる。音楽家として油の乗り切った時期のスティングが、その勢い溢れるまま作った『ナッシング・ライク・ザ・サン』は、僕も本当によく聴いたものでした。
スティングは僕の洋楽体験の中で、3番目に親しんだミュージシャンでした。1番目がビリー・ジョエルで(レンタルCDで借りまくって聴きまくった)、2番目がブルース・スプリングスティーン。次に手にしたのがスティングの1stソロアルバム『ブルータートルの夢』だったのです。

ポリスを知らずに、いきなりこれから入ったのです。マァ暗いなーって思いましたね。スティングはビリーやボスほど聴いてすぐガツンとは来なかった。「ラシアンズ」あたりから好きになって、ジワジワときたのですね。対訳の歌詞の内容がすごく良くって、スティングは難しい内容を上手く歌うなぁと思った。
で、『ナッシング・ライク・ザ・サン』です。これは一発で好きになった

大大大好きな「フラジャイル」が入ってます。「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」、CM曲で耳馴染んでいた「ウィル・ビー・トゥゲザー」、変拍子でポップな「ストレート・トゥ・マイ・ハート」。好きな歌がいっぱい収録されてます。
で、この次がドスンとヘビーな『ソウル・ケイジ』。スティングのお父さんが亡くなった時期だったらしく、どこが悪いわけではないけど正直このアルバムは(僕は)楽しんで聴けない。でも、このアルバムの来日ツアーでスティングは浜松アリーナで公演をやってくれました。僕の今のところ唯一のスティングのライブ体験です。生で聴いた「キング・オブ・ペイン」の衝撃は忘れられません。
で、スティングが頑張って元気を出そうとしたのが、次の『テン・サマナーズ・テイルズ』のような気がします。

明るい「ルーズ・マイ・フェイス・イン・ユー」、映画『レオン』でおなじみ「シェイプ・オブ・マイ・ハート」など良い歌が多いのですが、歌詞の内容がシンプルで、1st、2ndの時の重厚な歌詞世界というか、聴くほどにジワジワ来たあの感覚とは違う感じがしました。
その後もずっと、スティングはアルバムを出すたびに一生懸命聴いてきたけど、僕としては歯がゆいアルバムが多くて、パッとしないなーと思ってた。そのうちに僕もスティングへの感心は薄れて、『セレクテッド・ラブ』が出た時は久しぶりに興奮できて、ホント嬉しかったな。
でも、その後は企画ものみたいなアルバムを出したりで、新曲は聴けず仕舞い。3年前の『ラストシップ』で久しぶりに新曲をミュージカルに提供したときに、《ずっと曲が書けなくて苦しんでた》と公言してる映像を観て、やっぱりなって思った。
このまま引退しちゃうのかも、と心配してたのですが、新作出たのですね。それも久々にスティングがロックしていると話題になってるようです。
僕も買って、聴いてみました。

『ニューヨーク9番街57丁目』/Sting
まるでビリー・ジョエルみたいなタイトルです。特典映像を観ると、“30年近くニューヨークに住んでるからね。ニューヨーカーの気持ちで書いたんだ。実際はイングリッシュマン・イン・ニューヨークなんだけどね笑”と、自身のヒット曲にかけてコメントしてました。
一聴して、皆が言うほどにポリスみたいだとは僕は思わなかった。でも、バンドの音なのです。スティングがあたかも新しくパーマネントなバンドを始めたかのような空気感です。
シンプルなメロディで短い小気味よい楽曲が多くて、繰り返し聴くほどに好きになります。もっとメロディがうねって、高音で突き抜けるように歌ってくれよとも思わなくもないけど、これは良い出来ですよ。僕はすごく楽しめる。
何より、歌詞が良いです。スティングの十八番でもある環境問題を軽快に歌う「ワン・ファイン・デイ」が今のお気に入り。今年亡くなったミュージシャン達と自分を重ねるような「50000」はきっと話題になるでしょう。
このアルバムの曲で盛り上がる観客の姿が目に浮かびます。スティング復活、めでたいな。個人的にはむさ苦しい髭をようやく剃ったスティングの容姿が若々しくて嬉しいです。
今、BSでスティングのライブが放送されてるのを見ながらこれを書いています。ちょうど「キング・オブ・ペイン」の演奏が始まりました。キングオブペイーン!
マシス