ども うぢまっちゃです(^^)/
前回 『グリップの機能』について
以下の三つに分解しました
①クラブをすっ飛ばさないこと
(把持機能)
②ヘッド位置やフェース向き シャフトのしなりを感じること
(センシング機能)
③ヒンジ(蝶番)としてクラブやフェースの動きに
物理的なバイアスや作動制限を与えること
(ヒンジ機能)
今回は①の保持機能について考察してみたいと思います
古典物理法則として
スイング中には主にヘッドの重さにより遠心力が発生します
ここでドライバーで ヘッドスピードと発生する力を
まとめた表が以下になります
例を挙げると
一般男性ヘッドスピード40m/sの場合 20kg重
飛ばし屋ヘッドスピード50m/sの場合 32kg重
プロ並みヘッドスピード60m/sの場合 46kg重
となります
もともとのクラブが300g超であることから考えると
この値は 結構大きな値になろうかと思います
保持するためには遠心力以上のグリップ力が必要で
グリップ力をF、握力を N、摩擦係数をμとすると
F=μNになりますね
ここでゴムの摩擦係数は0.5~1であり
ベストな状態としてμ=1と仮定すると
必要な握力は遠心力とほぼ同じとなり
20~32kg重が必要ということになります
一般男性の握力は46kg重であることを考えると
原理上Hs60m/sまで大丈夫となりますが
摩擦係数にはバラつきが不可避であり
安全率がほとんどないことがわかりますね
ここで
ゴルフの格言として
『小鳥を握りつぶさない程度』とか
『ゆるゆるグリップ』が推奨され
力いっぱい握ることはタブーとなっており
上記の必要な力と矛盾が生じます
また 以前の筋肉の理論から
3割の力加減が理想とするならば
15kg重程度の握力で握れることが理想ですが
単純にグリップするならば
40m/s程度のヘッドスピードでも
クラブをすっ飛ばしてしまいますね
そこで
握力を使わずにしっかり握れるために
グリップの形が重要ということになります
では
どのように握力を使わずにしっかり握るか
その鍵を握るのが
テコの力ということになります
テコの力を説明しているものとして
かの有名なベンホーガン『モダンゴルフ』から
引用したものがこちら
図 ベンホーガングリップ①
左手 手の平の小指側の部分が力点
人差し指の部分が支点
ヘッド部分が作用点になる テコになりますね
ここで支点の部分は少々頼りないので
右手の小指を上手く絡めてしっかりさせるのが
ゴルフ独特の握り方である
オーバーラッピングやインターロックと言えると思います
(ベースボールグリップは上記対象外ですが...)
右手を握って完成したのがこちら
図 ベンホーガングリップ②
ここでテコを利用するには
グリップ①において クラブと腕に
若干の角度をつける(ハンドダウンする)必要があります
このズレによるテコの作用を模式図化してのがこちら
よってポイントは
クラブを手の平の斜めに握って
腕の角度とクラブの角度をつけつつ
左手の小指側のての平の厚い部分に
押し付ける形にすることで
しっかりと保持できることになります
上記ことから
左手小指をしっかり握ることが重要であり
右手に力が入りすぎて 支点がずれると
安定しない原因になることも理解できると思います
なお
テコを利用するグリップの場合には
左手が重要であり
グローブが通常左手しかない(※右利きの場合)
ことの理解にもなろうかと思います
以上がグリップの形に関するものですが
前述の摩擦係数のバラつきも無視できず
摩擦係数が最悪0.5になると
かなりの確率でクラブをすっ飛ばすことになりかねません
ですので
雨にぬれた場合にはしっかり拭いたり
劣化して硬化したグリップは交換するなど
準備や日頃の手入れも大切だと言えると思います
また
そもそもの握力を鍛えることも
ヘッドスピードアップの隘路をなくすという意味で
意味があることだと言えると思います
ちなみにプロゴルファーの握力を測定したところ
60kg重以上の人も多数おられ
これはリンゴやクルミ潰せるレベルのようです!
ちなみに
グリップについては
近年どんどん太くなる傾向にあり
前述のベンホーガンの形を真似ようとしても
よっぽど手の大きい人か細いグリップでないと
そっくりにはならないと思います
そういう意味ではグリップの『正しい形』というのも
見た目では判断できず
中身が大切だと言えると思います
特に 手指の長さや感じ方は人それぞれなので
『絶対的な正しい形』よりも
『その人のなりの理にかなった形』が大切
と言えるのではないでしょうか
今回は単純に遠心力のみ議論しましたが
実際に球を打った際には
ボールとの衝突による衝撃力が生じ
衝撃に伴うトルクが発生します
次回は これらについて考察してみる予定です
それでは(^^)/