『はじめの一歩』コミックス第45〜46巻、過去編 | 日々是(ひびこれ)デス・ロード

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自分の好きなものについて垂れ流していくブログです。基本ネタバレ全開なんでそこんところ注意。



〜己の武器は勇気!二人の男よ、意地を見せろ!!〜



ボクシングがまだ拳闘と呼ばれていた時代。

敗戦から二年の日本。

一時期焼け野原となった東京は、確かな復興の活気を見せていた。

その中で拳闘を生業としている二人の青年、鴨川源二と猫田銀八。

徴兵によりボクサーとしての旬を過ぎた二人だが、拳闘への熱は一向に冷めやまない。

そんなある日、二人は進駐軍のラルフ・アンダーソンの蛮行に出くわす。

ボクサーであるアンダーソンはリングの上から、日本を、日本人を劣等人種として見下し侮辱する。

浜団吉の敗北を目の当たりにした鴨川と猫田は、その夜、アンダーソンから一人の日本人女性・ユキをボロボロになりながら救う。

そして、成り行きから三人の共同生活が始まったのだった――。




私はね、『はじめの一歩』では“戦後編”が大好きでしてね…。


ちゅーわけで、原作を読んで本当に感動し、次いでアニメでも感動した『はじめの一歩』コミックス第45〜46巻にかけて収録されている若き日の鴨川会長と猫田さんの男気を描きに描いた過去編――「戦後編」について書きます。


まだ髪が豊かだった頃の鴨川会長と猫田さんは、ボクサーとしての旬を過ぎたものの、拳キチとして東京で頑張っておりました。

敗戦から二年、傷跡は深けれども、段々と、確かに復興していく街。

日本人の底強さを肌で感じつつ、そして自分たちの拳闘が少しでもそんな人々の活力になればと祈る鴨川会長と猫田さんなのでした。


そんな会長と猫田さんがアンダーソンから助けて知り合うことになる一人の女性・ユキさん。

広島から来たそんなユキさんは被爆してしまっていた…。

生きる力が欲しいと上京してきたユキさんは、そこで鴨川会長と猫田さんの拳闘に惹かれていくんですよ。

正直、そんなユキさんの儚くも力強い姿に泣かない日本人はいないかと思います。


ユキさんに恋い焦がれる猫田さん、鴨川会長に惹かれるユキさん、猫田さんとの友情から煮えきらない恋愛ヘタレな鴨川会長……と、本エピソードは鴨川会長と猫田さんの青春群像劇でもある。


で、本エピソードはやっぱ個人的には会長もですが、なにより猫田さんが超絶カッコいいのです。


度重なる試合等で知らず知らずのうちに脳に深い傷を負ってしまっていた猫田さん。

パンチドランカー――言いしれぬ恐怖が猫田さんを襲うも、それを戦友である鴨川会長のため、そして愛するユキさんのために頑張ってひたすら耐え抜く猫田さんに涙ですよ…。

アンダーソンが日本人をボコボコにするボクシングを「ケンカ」と忌み嫌うユキさんに、自分の全てを犠牲にして「本当の拳闘」を見せることを決意する姿とかもうね…。

で、パンチドランカーを背負いつつもラビットパンチを後頭部に食らうまでアンダーソンに善戦していたとか本当に凄え。

そして、再起不能になった猫田さんの仇を取る鴨川会長とか、はっきり言って熱くならないほうが無理ってもんだ!!


己の拳を“鉄拳”にするための根性論丸出しの無茶苦茶な特訓。燃える。

それを見事成し遂げた鴨川会長の精神力。燃える。

そして、アンダーソンに押されまくる会長に満身創痍ながらも冷静に指示を出す猫田さんとか凄えですよ。


「右をもらえ! めをつむるな臆病者!!」


そう、鴨川会長の武器は「勇気」!!


そして――


「――命がけの注文だ、応えなきゃ、男じゃねえ!!」


鴨川会長の鉄拳がアンダーソンの両の脇腹をえぐる!!


鴨川会長の両拳は死んだ。


倒れもがくアンダーソン。


見事、男の意地を見せた鴨川会長である!!



田舎へと向かう汽車。

猫田さんとユキさんを見送る鴨川会長。



一歩と同じく「勇気」が最大の武器だった鴨川会長に胸が熱くなりますよ。

この話を読むとですね、宮田相手に倒れても倒れても何度でも立ち上がって立ち向かっていく一歩に会長は何を思ったのかな~なんて、なおさら思ったりもします。

一歩を認め、一歩の入門を認めた会長の言葉がより一層重厚なものになりますな。


この過去編は間違いなく傑作かと思います。

まあ、所詮はボクシングに縁のない人間の意見ですが…。


因みに、俺の亡くなった祖父もそうだったんですが、戦前というか、昔の人のエネルギーってもうハンパないですよね。

どうやら、旧日本軍には「拳闘術」という教練があったらしいですね。まあ…、ソースはミリオタのうちの親父。

仮に親父の情報がガセにしても、祖父が幼い頃の俺に教えてくれたパンチの打ち方は『はじめの一歩』を知ってボクシングについて調べたら結構ガチでした。

それに、祖父は普通の人なら指の付け根の出っ張るところが普通に平らでした。

うん、確実にゲンコツをビシバシ放ってたろ!!と。

大の野球好きだった祖父は、総合格闘技とかも見てました。

『はじめの一歩』を読んで、ロマンを感じます。