三角絞めでつかまえて
映画の感想については基本的にネタバレ全開で書いていますので要注意です。あと、映画の見方が少し偏っているので、点数もそんなに気にしないでくださいね。ツイッターのアカウントは@kamiyamaz (カミヤマΔ)なので、適当にチェックしていただければ幸いです。
※このブログはフィクションです。
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茜色に焼かれる(ネタバレ)

茜色に焼かれる

 
 
2021/日本 上映時間144分

監督・脚本・編集:石井裕也

製作:五老剛、竹内力

ゼネラルプロデューサー:河村光庸

エグゼクティブプロデューサー:飯田雅裕

プロデューサー:永井拓郎、神保友香

共同プロデューサー:中島裕作、徳原重之、長井龍

主題歌:GOING UNDER GROUND

出演:尾野真千子、和田庵、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏、大塚ヒロタ、芹澤興人、前田亜季、笠原秀幸、鶴見辰吾、嶋田久作、泉澤祐希、前田勝、コージ・トクダ

パンフレット:★★(1100円/関係者のインタビュー多めで、コラムが3本入っているのは良かったけど…。ハッキリ言って、これで1100円は高いと思う。誰のためのパンフなんですか?)

(あらすじ)
7年前、理不尽な交通事故で夫を亡くした母と子。母の田中良子はかつて演劇に傾倒していたことがあり、芝居が得意だった。ひとりで中学生の息子・純平を育て、夫への賠償金は受け取らず、施設に入院している義父の面倒もみている。コロナ禍により経営していたカフェが破綻し、花屋のバイトと夜の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、そのせいで息子はいじめにあっている。そんな彼女たちが最後まで絶対に手放さないものがあった。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


80点

 

恥ずかしながら本作は全然チェックしてなくて(汗)。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の候補作品になって初めて知った…という体たらくですよ。で、今週の課題映画になったということで、6月10日(木)、群馬・高崎のシネマテークたかさきにて、「レンブラントは誰の手に」を鑑賞後(そもそもこの映画の前売り券を使うために高崎まで来たのです)近くで美味しいカレーを食べてから2000円の応援チケットを購入してハシゴいたしました。「なんだい…あれ…?(°д°;) ??」と戸惑いましたよ…。

 

 

当日のgif。2番スクリーン、観客は20人ぐらいいたような。


 

最初にあらすじを適当かつ雑に書いておきますと、「ふふ、貴様の弱点は太陽…茜色に焼かれるがいい!m9`Д´) ビシッ」「おのれぇーッ!(`Δ´;) ゲェー!みたいな話ではなく(不要な文章)。田中良子は7年前、上級国民の暴走事故によって夫を亡くしましてね。全然謝罪しない姿勢が許せなくて賠償金を受け取らなかった&コロナ禍で経営していたカフェが潰れる&老いた義父を施設に入居させる&亡き夫の愛人に養育費を支払うことになったなどの事情が重なったことによって、一気に貧困家庭に転落。息子の純平を育てるために、近所のスーパー&渋谷のピンクサロン「カリペロ」でアルバイトをするエブリデイなのです。

 

市営住宅に住んでいるせいで「税金ドロボー!(`∀´)」「お前の母ちゃんは売春婦!ヘ(゚∀゚*)ノ」などと純平がいじめられたりする中、良子は風俗店の同僚のケイと仲良くなったり、中学時代に好意を抱いていた同級生の熊木と再会したりと、良いこともあって。ピンサロを辞めて、熊木と真剣に付き合おうと思いきや、なんと相手は妻帯者であり、ライト感覚な「体だけの関係」を求めていたから、あんまりだぁぁぁっ!ヽ川TДT)ノ ウワァァァン! で、純平をいじめているクズどもによる放火事件を経て、とうとうブチ切れた良子は包丁を持ちだして熊木を殺そうとするも、純平&ケイ&ピンサロ店長の中村が止めてくれて、中村の計らいによって熊木は反社の方々によって酷い目に遭うことが確定したので、超スッキりす 川°∀°)b スッキリ! 子宮頸がんを患ったケイちゃんは自殺しつつも50万円プレゼントしてくれたので、母子はしんみりしながら自転車を2人乗り&夕陽に焼かれながら帰宅しましてね。最後は、義父の介護施設にリモートで1人芝居「神様」を披露すると、雌豹として神に向かって吠えるのでしたーー。

 

 

ラスト、良子はこんな感じでした…という信用できない文章(「セレベスト織田信長より)。


 

本作鑑賞後、「良かった」なんてツイートをしたんですが、手放しで絶賛する気持ちはないです。まぁ、脚本も書いた石井裕也監督の「今の時代に対する怒り」がダイレクトに伝わってくるストーリー&カリカチュアされた演出は好きでして。池袋暴走事故を連想させる「7年前の事故」から始まって、社会にはびこる自己責任論や些細なルール破りに不寛容な姿勢(でも「ホームセンターの店長」など、権力者側は平気でルールを破る)、女性&貧困家庭&風俗嬢に対する蔑視、男性優位社会の気持ち悪さなどなど、「この世界に存在する理不尽」をこれでもかと描く姿勢は「本当に腹が立っているんだな… (`Δ´;) ヌゥ」と。もうね、良子は加害者家族やら加害者弁護士やら風俗客やらスーパー店長やら夫の友人たちやらから散々バカにされまくるし、息子の純平もクソガキどもにいじめられるし、観客も超ストレスが溜まるワケですよ。

 

 

もうね、鑑賞中はずっと天内悠気分だったのです(「グラップラー刃牙」第24巻より)

 

 

だからこそ、中盤ぐらいの風俗店の同僚ケイちゃんに心情を吐露→連帯する展開は素晴らしくて、泣きまくりでして。最後の最後、主人公が高野政所さんによる名文「たぶんこいつらは悪人だという話。」に出てくるようなクズ男に怒りを爆発させる構成も良かったんですが…。ううむ、最終的に熊木との問題を解決してくれるのが永瀬正敏さん演じるピンサロの店長(a.k.a.ヤクザ)というのは、ちょっと微妙な気持ちになったというか。ある意味、「理解ある男性の手助けも必要」ってことなのかもしれませんけど(汗)、良子とケイちゃんの連帯にハートを掴まれていた僕的には少し萎えたし、「より大きな暴力での解決」と考えると居心地が悪かった…って伝わりますかね(新鮮さもゼロだし)

 

 

片山友希さん演じるケイちゃんと良子が世代を超えた友情を築くのは最高だったんですがー。

 

 

それと、最後に見せる豹化した良子の1人芝居、これ自体は確かにちょっと面白かった。息子が「なんだこれ (°д°;)」と唖然としたりとか、そんな良子を真剣に撮影する永瀬正敏さんの顔とかも少し笑えました。ただ、僕には飛び道具に逃げてるようにも見えちゃったというか。僕の中で石井裕也監督は勝手に吉田恵輔監督と被っていて(どちらにも失礼な文章)、なんとなく監督作をほとんど観てるつもりだったのに、ちゃんとフィルモグラフィーをチェックしてみたら本作を合わせて6作品しか観てなかったんですが、しかし。「舟を編む」以外はどれもクライマックスに突飛なことが起きるんですよね。監督はパンフレットで「僕のことでいえば、絶対踊りそうもない人、歌うわけがない人が、映画の中で突然、歌ったり踊ったりするような瞬間が大好きなんです。そういうものこそ映画だって信じている節がある」と仰っているので、そういうことなんでしょうけど…。かなりヘビーな内容の本作においては、特に「なんだい…あれ…?(°д°;) ??」と戸惑いを禁じ得なかったというか。まぁ、本作は最初に「田中良子は芝居が得意だ」というテロップで始まるだけに、「ずっと私生活では演技をしていた良子が、芝居の中で神に向かってやっと本音を叫ぶ」と考えるならば必要なラストだったのかもしれませんが、僕は乗り切れなかったなぁ (・ε・) ウーン

 

 

クライマックスの展開を観た僕の気持ちを代弁するジャック・ハンマーを貼っておきますね(「範馬刃牙」第18巻より)。

 

 

あと、本作では主人公が使ったお金をいちいちテロップで出していて、貧困家庭での出費のキツさを現すには非常に良い表現だと思ったんですけれども。とはいえ、良子は義父の面倒までみたりとか、夫の愛人に養育費をあげてたりとか、いわゆる“普通の貧困家庭”とあまりに条件が違いすぎるというか、「いくら善人でもさすがにその出費は削るべきだろ(子どもに自転車すら買い与えられないのに!)」と思っちゃってピンと来なかったです。それと、熊木は酷い目に遭ったから良いものの、ピンサロのクソ客どもも全員シメられてほしかったし、夫の友人のセクハラクソ野郎もマジで死んでほしかったし、団地に放火したいじめっ子3人はちゃんと警察に逮捕されてほしかったし(まさか野放しじゃないですよね?)、そもそも純平があまりに良い子すぎる気がする…って、どうでも良い文句ばかり書いてますな (´∀`;) スミマセン


ただ、それでも僕的に80点という評価なのは、役者さんたちの演技が最高だったから。まず、良子役の尾野真千子さんが見事でした。超ハードなピンサロシーンから始まって、地獄のような状況が次々とつるべ打ちなワケで、いくら演技でも精神的に大変だったろうな…と。終盤、熊木襲撃シーンでも体を張っていて、グッときましたよ。あと、熊木とのデートシーンでのぶりっ子振りは意外と…可愛くて… (´Д`;) ハァハァ ハッキリ言って、本作の尾野真千子さんは100点の素晴らしさでしたね〜。ケイちゃんを演じた片山友希さんも良くて、2人がようやく連帯して心情を吐露する様子は感動的で…(しみじみ)。あの2人が飲んでいるシーンなら何時間でも観てられると思ったり。熊木役の大塚ヒロタさんのクズっぷりも素晴らしくて、良子やら純平やらケイちゃんやらに次々と襲撃されるクライマックスでかなり体を張っていたのも非常に好感を持ちましたよ (o^-')b ナイス! つーか、本作でクズ男を演じた役者さんたちは軒並み「しっかりクズ」に見えていて、そのプロフェッショナル振りには感心した次第。

 

 

熊木役の大塚ヒロタさん、頑張ってましたな。

 


本作で提示された「怒り」が共感できるものばかりだったのもスゲー大きいです。金とコネを駆使して責任を取らない上級国民、まったく謝罪しない奴、半笑いで自分の行為を誤魔化そうとする奴、女性蔑視するクズなどなど、実際にいるものね、残念ながら。そりゃあ前述したように乗れなかった部分は多々ありましたが、とはいえ、本作の「世の中の理不尽」を告発するような「ストレートな熱さ」はかなり好きだった…って、伝わりますかね。よくよく考えると「コロナ禍の状況を描いた」という点でも貴重な映画じゃないかしらん(ドキュメンタリー以外では初めて観たかも)。その他、「団地住まいで母子家庭」って設定にも自分と母親を重ねて「僕は純平ほど親思いじゃなかったなぁ」なんて反省したりもしたし、オダギリジョーさんの存在感はさすがだと思ったし(少ししか出てないのに!)、製作にあの竹内力さんが名前を連ねていたのはオトク感があったというね (・∀・) ナンダソリャ

 

 

純平役の和田庵さん、夏のシーンでの日焼け姿が「ザ・少年」って感じで可愛かったです。飛び蹴りも良かった!

 

 

そんなワケで、最後の1人芝居シーンのせいで「変な映画を観た… (`Δ´;) ヌゥ」という気分にはなったものの、社会の状況や世間の空気などを反映した「今の時代を切り取った作品」として、本当に観て良かったです。かなりヘビーな内容ではあるので、無闇にオススメはできませんけど、尾野真千子さんが好きな人は絶対チェックすべきだし、気になる人は観ておくと良いと思います。おしまい。

 

 

 

 

石井裕也監督の前作。なんか重そうで観られないんですよね…。

 

 

2年前に観た石井裕也監督作。僕の感想はこんな感じ。

 

 

僕が観た中では一番オーソドックスに良い出来な気がする石井裕也監督作。僕の感想ではこんな感じ。

 

 

 

 

ペトルーニャに祝福を(ネタバレ)

ペトルーニャに祝福を

 

原題:Gospod postoi, imeto i’ e Petrunija
2019/北マケドニア、ベルギー、スロベニア、クロアチア、フランス 上映時間100分

監督・脚本:テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ

製作:ラビナ・ミテフスカ

脚本:エルマ・タタラギッチ

撮影:ビルジニー・サン=マルタン

美術:ブク・ミテフスキ

衣装:モニカ・ロルベル

編集:マリー=エレーヌ・ドゾ

音楽:オリビエ・サムイヨン

出演:ゾリツァ・ヌシェバ、ラビナ・ミテフスカ、シメオン・モニ・ダメフスキ、スアド・ベゴフスキ、ステファン・ブイシッチ、ビオレタ・シャプコフスカ

パンフレット:★★★★☆(800円/コラムや解説が充実! 観た人はぜひ!)

(あらすじ)
北マケドニアの小さな町、シュティプに暮らす32歳のペトルーニャは、美人でもなく、太めの体型で恋人もおらず、大学を出たのに仕事はウェイトレスのアルバイトしかない。ある日、主義を曲げてのぞんだ面接でも、セクハラを受けたうえに不採用になってしまう。その帰り道、ペトルーニャは地元の伝統儀式に遭遇する。それは、司祭が川に投げ入れた十字架を男たちが追いかけ、手に入れた者には幸せが訪れるというものだった。ペトルーニャは思わず川に飛び込み十字架を手にするが、女人禁制の儀式に参加したことで男たちから猛反発を受けてしまい……。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 

 

75点


東京・神保町にある「岩波ホール」で上映されるような映画って、学校の先生が推薦してくるような真面目なムードがあって。ハッキリ言って、基本的にはノーチェックだったりするんですけど(汗)、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題映画になったので、「付き合いだしな (゚⊿゚) シカタナシ」と、6月1日(火)、サービスディ割引を利用して1400円で観てきました。「おもしろい ( ̄ー ̄) ニヤッ」と思ったり。

 

 

岩波ホールに来たのは「ゲッベルスと私」以来、2年振り。観客は30人ぐらいでしたよ。

 

僕の気持ちを代弁する北辰館の水野治を貼っておきますね(「餓狼伝」第2巻り)。


 

 

まず、あらすじを雑に書いておきますと。主人公のペトルーニャ(32歳/無職)は、北マケドニアの小さな町シュティプの実家に父母と暮らしてましね。ある日、母親に「知り合いに頼んだから面接に行って!川 ゚д゚)」と言われたので、仕方なく足を運んでみれば、清々しいほどの圧迫面接であり、さらに「フトモモを触ってくる」というセクハラも普通にかましてくるら、ゲッソリですよ。とはいえ「こういうのも仕方ないのカナー (´・ω・`し」と受け入れようとしてみれば「お前なんかそそられるかよ!(`∀´) カエレ!」と手の平を返される有り様だから、あんまりだァァァァ!川TДT)ノ ウワァァァン! そんな心境でションボリ歩いていたら、町ではちょうど神現祭が始まるところで、半裸の男たちが「オッス!(`∀´)」「オッス!ヘ(゚∀゚*)ノ」と盛り上がってまして。「司祭が川に投げた十字架を拾った奴は1年間ほど幸運になれます」といったルールの中で儀式がスタートすると、なんとペトルーニャがダイブして十字架をゲット! ペトルーニャは「獲ったどー!川`Д´)ノ♱」と宣言するも、周囲のマッチョな男たちは「女は参加禁止だろ!(`Δ´)」と激怒しまくりであり、彼女は混乱に乗じて十字架を持ったまま帰宅→警察に拘束されるというね。

 

 

クズ野郎によるセクハラ面接によって心を折られたペトルーニャ。

 

帰り際、ついムシャクシャして十字架を獲ってしまうのです。

 

で、警察に拘束されるのでした。

 

 

だがしかし。司祭的には「女性が獲るのは望ましくないから早く十字架を返してほしいけど、窃盗ではないから… (´・ω・`)」と被害届を出さない姿勢であり、そうなると警察も逮捕できない状況でして。とりあえず法的根拠が曖昧な「任意の事情聴取」の中で警察に恫喝されたり、女性ジャーナリストのスラビツァ(ラビナ・ミテフスカ)がニュースとして流そうとして四苦八苦したり、儀式に参加した男どもが暴徒になって警察署に押しかけたりする中、ペトルーニャは検事を相手にしても「私のものよ!(`・ω・´し キリッ」と折れない姿勢を貫きまして。優しい若手警官ダルコの共感を得たペトルーニャはようやく釈放されると、司祭から「その十字架は君のものだ ( ・∀・) ワタシマケマシタワ」と言われるも、「あなたや男たちの方が必要だから (´∀`し イラネーヨ」と十字架を渡して帰路に着くのでしたーー。

 

 

こんな感じで恫喝されたり、厭味を言われまくったり、クズにツバを吐きかけられたりするんですが…。

 

ペトルーニャは最後まで自分の意思を貫いて、勝利してましたよ (ノω・、) ガンバッタネー

 

 

率直に感想を書くと、実に考えさせられました。本作は2014年に北マケドニアで起きた「神現祭の十字架を女性が獲っちゃった事件」をモチーフにしたフィクションだそうで。実際に十字架を獲った女性は「女性もどんどん参加すべきだ」と発言し、地元住民や宗教界からの猛烈なバッシングを受けて、それに憤りを感じたテオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督は「シリアスに議論すべき問題なのに、まるで笑い話のように扱われていたことに怒りを覚えた。映画にすれば、この問題に関してより真摯に向き合ってもらえるし、女性たちが直面するさまざまな問題を掘り下げる機会にもなると考えました」と映画化したとのこと(以上、JIJI.comより)。当然ながら、フェミニズム的な視点が強い作品でしたけど、僕的にはそれ以上に「問題が発生→炎上する過程」が分かりやすく描かれていたところが好きでしたよ。

 

そもそもペトルーニャは十字架なんてどうでも良かったんですよね。大学で歴史学を専攻して良い成績を修めたにもかかわらず、それを活かす仕事にはつけなくて、ずっと「無職の自分」にプライドが持てなくて。親にいわれたから嫌々ながら面接を受けにいったらセクハラを受けた…というだけでも十分屈辱的なんですけれども。何が悔しいって、仕方なく心を折って、そのセクハラを受け入れようと媚びたのに悪意で返されたってことじゃないですか。で、トボトボと帰ろうとしてみれば、我が物顔で練り歩く半裸男の行列に出くわして(映画序盤、通りすがりで“車に乗ってバカにしてきた奴ら”も混ざってましたよね、たぶん)。彼らがなかなか十字架をゲットできないことにもどかしさを感じたのもあって、「幸せをつかみたい!Σ(°д°し クワッ!」と突発的に川にダイブしてしまっただけであって。もし「お嬢さん、儀式に参加したいなら、オレらみたいに半裸でずっと我慢して待機して、同じスタートラインから始めようよ (´・ω・`) ワルイケド」とか丁寧に言われたら、「あ、すみませんでした… (´・ω・`し ゴメンナサイ」とスムースに十字架を返した気がするんですよ、たぶん、きっと。

 

でも、「伝統なんだから救命処置が必要な場合でも女は土俵に上がるな」「伝統なんだから女が参加するな!(`Δ´) シネヨ!」とか偉そうに罵倒されると、そもそも「女性が参加しちゃいけない」ってのが不合理すぎるし、先ほどすでにそういったクソな男性性に心を折った自分を後悔しているだけに、「二度と折れるものか!(°д° し」と固くなる決意。で、そういった「わきまえない女」に反発して、男たちが悪意を膨らませていく…ってのは、日本社会でもよく見る光景じゃないですか。ただ、本当は男たちの方もそんなことはどうでも良くて、社会的に不遇でその程度の楽しみしかないからボーボーと燃えてるんだろうな…なんてあたりもまた「あるある」という感じ。

 

 

ペトルーニャは「一度、心が折れた」からこそ、ヂギール戦士のように強く立ち向かったんでしょうな(「グラップラー刃牙」第13巻より)。

 

 

そして、最後に彼女が「十字架を手放せた」ってのは、同じような閉塞感を抱えている男性の理解者(a.k.a.希望)が現れて「心に余裕ができた」からであって。まぁ、「世の中、相手の立場になって考えることが大事」という当たり前の話に落ち着くワケですけど、本作は「なんでそれが難しいのか?=精神的に余裕がないから」ということを丁寧にドラマを積み重ねて描いていて、僕的にはそこが面白かったですねぇ…(しみじみ)。単にマッチョな男性性を否定的に見せるだけでなく(一応、父親やインタビューに答えた男性、若手警官ダルコなど、ちゃんとマトモな男性も登場する)、ラビナ・ミテフスカ演じるフェミニストなジャーナリストと共闘するのかと思ったら意外とそうでもなかったりと、同じ保守的な社会で苦しんでいる女性たち(母親含む)ですら連帯できない問題も描いているあたりには、監督の誠実さを感じた次第。

 

 

ジャーナリスト役のラビナ・ミテフスカ、本作のプロデューサーであり、監督の妹なんだとか。

 

 

その他、思ったことを書くと、「『ベッドの中でパンを食べる』って相当ダメに見えるな… (`Δ´;) ヌゥ」とか「序盤の『友人に悪態をついてすぐに謝るシーン』、主人公の苛立ちと誠実さを見せていて良かった!」とか「『パティ・ケイク$』の主人公もラップがなかったらペトルーニャみたいだったのかな」とか「結局、社会の閉塞感が若者をダメにするんだろうな」とか「ペトルーニャが母親に意外と容赦なく蹴りをいれたりするのが少し面白かった」とか「『女性蔑視野郎がモロにキリストを思わせる長髪&ヒゲヅラ』という皮肉が良かった」とか「インタビューに答えた男性の『神が女性だったらどうするんだ?』という意見が面白かった」とか「北マケドニアという国、恥ずかしながら本作で初めて知りました… (´Д`;)」とか「そういえば昔、『“福男”をゲットするために消防士が徒党を組んで他の参加者をブロックした』なんてバカバカしい出来事がありましたよね」とかとかとか。あと、本作の原題「Gospod postoi, imeto i’ e Petrunija」を直訳すると「神は存在する、彼女の名前はペトルーニャ」という意味だそうですが、「自分が自分の神様」ってのはその通りだよなぁと思ったり。

 


なんとなく僕が大好きな堀江罪子さんの名言を貼っておきますね(「覚悟のススメ!」新装版 第2巻より)。

 

 

ただ、正直なところ、全体的に地味というか。暴徒が警察署に押しかけるくだりは「要塞警察」的な展開を期待したもののそうでもなかったし、ジャーナリストの問題提起が実らないまま終わるのは残念だったし(映画の構成上仕方ないけど)、司祭が最後に十字架を諦める心の動きはもう少し分かりやすく見せてくれても良かった気がするし、あのセクハラ野郎はアイロンで手を焼かれてほしかったし…。まぁ、リアルといえばリアルなんですけど、ちょっと物足りなかったので75点という乱暴な着地。ただ、とても良い映画だったのは間違いないのでね(微笑)、興味がある方は岩波ホールまで行ってみてッ!

 

 

セクハラ野郎の手をアイロンでジュージュー焼くという「未来を花束にして」の名シーンを貼っておきますね。

 

 

おしまい。

 

 

 

 

本作でジャーナリスト役を演じたラビナ・ミテフスカが出演していたマケドニア映画。未見でございます。

 

 

なんとなく思いだした映画。僕の感想はこんな感じ。

 

 

 

 

 

先週の備忘録(2021/5/25~5/31)

毎週火曜日は備忘録を更新する日ということで、先週の出来事や思ったことを適当に書いておきますね↓

 

5月25日(火)、家で仕事→徹夜

5月26日(水)、映画を1本鑑賞→職場で仕事→映画を1本鑑賞

5月27日(木)、春日部にて映画を5本鑑賞

5月28日(金)、家で仕事

5月29日(土)、家で仕事→徹夜

5月30日(日)、妻子とお出掛け→娘と映画を1本鑑賞

5月31日(月)、家で仕事→徹夜

※先週は劇場で新作映画を8本鑑賞しました。

先週の「アトロク」「ファッションがスゴい映画」「52歳のしまおアワー」が好きでした。

 

 

腰を痛めてから、ちょっと怖くて、まだ筋トレを再開してないんですけれども。「筋トレしないなら寝なくていいや (´∀`)」と思って、睡眠を削って夜に仕事をしまくることで、先週は映画を8本も観られた…ってな調子(木曜日はイオンシネマ春日部ワンデーフリーパスを使いました ( ̄ー ̄) ニヤッ)。ちなみに最近はずっと睡眠薬を飲んで寝ているんですが、飲まないとやっぱり全然寝られなくて。逆にそれを利用して徹夜しまくっているものの、かなり体に良くない気がするのでね、やっと腰も癒えたっぽいし、今週あたりはちゃんと寝るためにも筋トレを始めようと思っております。

 

 

先週観た映画の中では「私は確信する」が断トツで面白かったです。オススメ!

 

 

つーか、日曜日は妻子とお出掛け→妻がマッサージを受けている間に娘のマナ子(仮名/9歳)とユナイテッド・シネマ入間にて「劇場版 ポリス×戦士​ラブパトリーナ!怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!」を観たんですけど、その際に久しぶりに娘を抱っこして歩いたら、すぐに息切れしてしまって…。なんかね、マナ子から「パパ、なんかハァハァ言ってるけど、大丈夫?(・ε・し」と気遣われるという屈辱を味わったので、有酸素運動も増やさないとなぁ。最近はヒザを痛めないためにクロストレーナー中心なんですけど、やっぱりしっかり走らないとダメかな…なんて思ったり。何はともあれ、5月に観た映画をまとめておくとこんな感じでございます↓

 

 

<2021年5月に観た新作映画:22本>

魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー まぁ、良かったです (´∀`) マァマァ

SNS 少女たちの10日間 超ヘビーなドキュメンタリーですが、男は観といた方が良いような

BLUE ブルー 大好きすぎる! 今年のベスト候補ッ!

パーム・スプリングス 「またループ物ですか(苦笑)」と舐めて観たら、最高でした。今月オススメの1本

サンドラの小さな家 気持ちの良い正論が聞けて清々しい。でもアイツは死刑!

グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告 子ども向けながらも意外と面白かった印象

ローグ CGが安いものの、それなりに楽しかったです

ブレイブ 群青戦記 アクションが驚くほど凡庸。今年のワースト候補かも

ファーザー 観て良かったけど、予想外にキツかったです… ('A`)

迷子になった拳 素晴らしいドキュメンタリー。これもまた今年のベスト候補だッ!

ある用務員 頑張ってましたが…予算が…頑張ってましたが…

水を抱く女 「大人向けファンタジー」って感じで好き

SLEEP マックス・リヒターからの招待状 なんとなく勉強になりましたよ

ザ・バッド・ガイズ 雑味が多めながらもマ・ドンソクが素敵!

くれなずめ あまり合わなかったかなぁ (´・ω・`) ウーン

私は確信する 法廷サスペンスの新たな名作。でもアイツは死刑!

映画 きかんしゃトーマス おいでよ!未来の発明ショー! ちょっと怖かったです

野良人間 獣に育てられた子どもたち 面白いところもあったけど…

名探偵コナン 緋色の弾丸 観なくても良かったような、観て良かったような

ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから 嫌いじゃないが疑問も残る

ジェントルメン ガイ・リッチー監督のお馴染みの定食でそれなりに美味

劇場版 ポリス×戦士​ラブパトリーナ!怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ! 娘が楽しそうで満足 (´∀`=) カワイー

※旧作

クリシャ 地獄のような家族ムービーで悶絶しまくり。自分も気をつけようと強く思いました

ハンバーガー・ヒル 前に観たのに内容を全然覚えてなかった。ドン・チードルが出ててビックリ

 

 

今週の予定については、緊急事態宣言が続くということで、練馬の「か和もっち」で飲めないのは仕方ないとして。基本的にはいつもと変わらず、「仕事をしつつ映画を観る」ってな調子。で、日曜日は娘と2回目のプロレス観戦として「サイバーファイトフェスさいたまスーパーアリーナ大会」に行くことになっているんですが、どの席のチケットを買うか、まだ迷っているんですよね…。スタンドB席(5000円)で良いかなぁ…でもなるべく近い席(15000円)で見せてあげたいよなぁ… (´・ω・`) ドウシヨウ まぁ、何はともあれ、今週も頑張りますYO!ヽ(`Д´)ノ ウォォォォッ!

 

 

今月の推薦曲は、[Alexandros] 「閃光」でございます↓

 

 

 

以上、先週の備忘録でした。ではでは〜。

 

 

 

 

2021年6月公開で観たいと思っている映画の覚え書き

5月分は緊急事態宣言が発令されてしまったので(汗)、結局、更新しなかったんですけれども。6月は映画館の制限が緩和されるっぽいので、僕が2021年6月公開で観たいと勝手に思っている映画を貼っておきますね↓


※①などの番号付きは「絶対に観る」、○は「一応観たい」、△は「興味ある~」って感じです。

6/4〜5

るろうに剣心 最終章 The Beginning ①

コンティニュー ②

グリーンランド 地球最後の2日間 ③

カムバック・トゥ・ハリウッド!! ④

猿楽町で会いましょう ⑤

シドニアの騎士 あいつむぐほし ⑥

戦火のランナー ⑦

トゥルーノース ⑧

はるヲうるひと ⑨

映画大好きポンポさん ⑩

デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング ○

モクソリ △

めまい 窓越しの想い △

 


6/11〜12

Mr.ノーバディ ⑪

アフリカン・カンフー・ナチス ⑫

犬は歌わない ⑬

クローブヒッチ・キラー ⑭

ベル・エポックでもう一度 ⑮

逃げた女 ⑯

キャラクター ○

漁港の肉子ちゃん ○

インヘリタンス △

ブラックバード 家族が家族であるうちに △

ふゆうするさかいめ △

男の優しさは全部下心なんですって △

湖底の空 △

名も無い日 △

葵ちゃんはやらせてくれない △

 

 

6/18〜19

モータルコンバット ⑰

クワイエット・プレイス 破られた沈黙 ⑱

潜入 ⑲

RUN ラン ⑳

トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング ㉑

青葉家のテーブル ㉒

ザ・ファブル 殺さない殺し屋 ○

グリード ファストファッション帝国の真実 △

彼女来来 △

ショコラの魔法 △

 

 

6/25〜26

1秒先の彼女 ㉓

夏への扉 キミのいる未来へ ○

スレイト △

Arc アーク △

ピーターラビット2 バーナバスの誘惑 △

ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている △

海辺の金魚 △

ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語 △



現時点ではまだ都内のシネコンが営業再開するかどうかは不明なんですが、しかし。都内でもミニシアター系はやっているし、近隣の神奈川県&埼玉県&千葉県では営業中ということで、6月もペースを落とさず劇場に足を運びたいと思っております。で、そんな6月公開予定の映画はこれまた僕好みの作品が目白推しなんですけど、中でも「絶対観たい!」と強く思っているのは「るろうに剣心 最終章 The Beginningでございます。というのは、このシリーズのアクションシーンは素晴らしいとしか言いようがないものの、「剣心が人を殺さない」という点はストレスだったりしたワケですよ(そういう作品だから仕方ないんですがー)。でも、この「The Beginning」では、明治維新前に容赦なくバッサバッサと敵を斬殺しまくった“人斬り抜刀斎”振りが堪能できるのだから、間違いなく面白いじゃないですか!(*゚∀゚)=3 ムッハー できれば公開日に劇場へ足を運べればと思っております。

 

 

6月公開作の前売り券は15枚ほど購入いたしました。

 

 

「るろうに剣心 最終章 The Beginning」の予告編↓ どんなアクションが観られるか、ワクワクしますな〜。

 

 

 

洋画では、フランク・グリロ主演のアクションムービー「コンティニュー」が超楽しそう。予告編を観る限りは、トム・クルーズ主演作「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の愉快な要素だけを抽出して偏差値低めのアクションを増量したような印象で、なるべく早く観られればと。あの“一人称視点アクション”の傑作「ハードコア」を撮ったイリヤ・ナイシュラー監督による「Mr.ノーバディ」もスゲー良い感じ。「舐めてた相手が実は殺人マシン」映画に新たな名作が誕生しそうな予感がするような気がするけど、気のせいかもしれないな…(突然、日和った文章)。そして、忘れちゃいけないのが「モータルコンバット」ですよ。1996年、チネチッタ川崎でポール・W・S・アンダーソン監督による実写化作品を観た時は、あんまりすぎる出来に激怒しすぎて死線を彷徨ったものの、今度の実写化は「R指定の限界に挑戦した」そうなのでね、今の僕は「女のように股まで濡らして待っている」のでしたーー (´Д`;) ハァハァ

 

 

これは松尾象山の有名な台詞ですが、普通に「ビンビンに勃起して待ってた」じゃダメなのか、どうなのか(「餓狼伝」第4巻より)。

 

 

「コンティニュー」の予告編↓ なんとメル・ギブソンも出るのです。

 

 

 

あと、「怖そうな映画」で一番気になるのは「トゥルーノース」でして。なんと日本・インドネシア合作による「北朝鮮の強制収容所の実態を3Dアニメで描いた作品」だそうですが、クメール・ルージュ支配下のカンボジアの悲惨な状況を描いた「FUNAN フナン」級のヘビーな内容になってそうだなぁと (`Δ´;) ヌゥ 何かの時に劇場で予告編を観た「RUN ラン」もなかなかハードな“毒親サイコスリラー”って感じで普通に怖そうだし、あの「Search サーチ」を撮ったアニーシュ・チャガンティ監督の最新作となれば、絶対観ざるを得ないのです。「音を立てたら、即死」のキャッチコピーが愉快だった「クワイエット・プレイス」続編「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」については、「もうエイリアンの弱点も判明してるんだし、あまり怖くないのでは?」と思わなくもないんですけど(汗)、とはいえ、この手のジャンル映画を愛する僕的には「公開してくれるだけありがたい」のでね、やはりなるべく早く観に行くつもりだったり。

 

 

「RUN ラン」の予告編↓ かなり厭〜な感じの映画ですよね…。

 

 

 

その他、キネカ大森で6月4日から開催される「インディアンムービーウィーク2021」が気になる…ってのは、それはそれとして。名画座系で観たいと思っている映画を列挙しておくと、飯田橋ギンレイホールで5/29(土)~6/11(金)の「ハッピー・オールド・イヤー」「チャンシルさんには福が多いね」6/12(土)~6/25(金)の「聖なる犯罪者」「私は確信する」目黒シネマで6/01(木)~6/11(日)の「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(字幕版)」「ナタ転生(字幕版)」Cinema Chupkiで6/03(木)~6/18(金)の「陶王子 2万年の旅」「トキワ荘の青春 デジタルリマスター版」下高井戸シネマ6/05(土)~6/11(金)の「クラッシュ 4K無修正版」、6/12(土)~6/18(金)の「春江水暖」、6/26(土)~7/02(金)の「ロード・オブ・カオス」新文芸坐で6/12(土)の《俺は今輝いてる! 異常人間、溌剌(はつらつ)ナイト》川越スカラ座6/26(土)~7/02(金)の「トータル・リコール 4Kデジタルリマスター」といった感じでしょうか。以上、2021年6月公開で観たいと思っている映画の覚え書きでした。ではでは~。

 

 

 

 

くれなずめ(ネタバレ)

くれなずめ

 


2021/日本 上映時間96分

監督・脚本:松居大悟

製作:森田篤、佐々木卓也、太田和宏、村上正樹、宮前泰志

プロデューサー:和田大輔

協力プロデューサー:永田芳弘

アシスタントプロデューサー:横山一博、狩野修吾

撮影:高木風太

照明:秋山恵二郎

録音:竹内久史

装飾:酒井拓磨、森公美

スタイリスト:望月恵

ヘアメイク:寺沢ルミ

持道具・小道具:谷中太楼

カラリスト:高橋直孝

編集:瀧田隆一

音楽:森優太

主題歌:ウルフルズ

振付:パパイヤ鈴木

音響効果:松浦大樹

VFXスーパーバイザー:オダイッセイ

キャスティング:門田治子

助監督:山田一洋

製作担当:白石治

出演:成田凌、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、高良健吾、飯豊まりえ、内田理央、小林喜日、都築拓紀、城田優、前田敦子、滝藤賢一、近藤芳正、岩松了、パパイヤ鈴木

パンフレット:★★★(750円/各役者さん&監督インタビュー有り。金原由佳さんのレビューが良かった)

(あらすじ)
高校時代に帰宅部でつるんでいた6人の仲間たちが、友人の結婚披露宴で余興をするため5年ぶりに集まった。恥ずかしい余興を披露した後、彼らは披露宴と二次会の間の妙に長い時間を持て余しながら、高校時代の思い出を振り返る。自分たちは今も友だちで、これからもずっとその関係は変わらないと信じる彼らだったが……。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


60点

 

カラオケに行った時、最後に「TRAIN-TRAIN」とか「リンダリンダ」とか入れられて「みんなでウェーイ!」みたいなノリを強要されるのが心底苦手な僕ですから(とはいえ、雰囲気を壊さないようには努力するし、歌自体は好きですが…)、本作のポスターを観た瞬間、たぶん合わないような気はしたんですよ。とはいえ、成田凌さんを主演に、若葉竜也さんや藤原季節さん、高良健吾さんといった“今をときめく人気俳優たち”が出演するということで、つい俳優目当てで前売り券を購入。さらに愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったため、5月18日(火)、テアトル新宿に足を運んできました(その後、職場で仕事をしてから、池袋で「私は確信する」を鑑賞)。悪い映画ではないんじゃないカナー (´∀`;) アハハ

 

 

前売り特典は「オリジナルクリアファイル」でした。

 

当日のテアトル新宿。くれなジュース(普通に美味)を飲みながら観たのです。

 

 

最初に身もフタもなく雑にあらすじを書いておきますと。高校時代、文化祭でコントを披露したことをキッカケにつるむようになった帰宅部6人が、友人の結婚披露宴で余興を披露するため、5年振りに集まったんですけど、実は吉尾(成田凌)は5年前に死んでいて。披露宴から二次会までの3時間、ダラダラと過ごしつつ、吉尾との思い出を各々思い出していくのです。で、吉尾にずっと好きだったミキエに告白させたり、みんなで過去のコントを追体験してみたり、天国で吉尾と語り合ったり、吉尾と最後に会った日を書き換えようとして失敗したりしつつ、5人は“「吉尾の死」を引きずって暮れなずんでいた”状態からなんとなく抜けだして、二次会に向かう…って感じで終わってたんじゃないかしらん(うろ覚え)。

 

 

最後はウルフルズの書き下ろし新曲「ゾウはネズミ色」が流れてましたよ。

 

 

 

まず、好きだったところを挙げると、ストーリー自体は非常に面白かったです。フタを開けてみれば、「横道世之介」「佐々木、イン、マイマイン」のような「友人との死別をテーマにした映画」でして。どのタイミングで友人たちの前に“吉尾”が出現したのかは不明ながらも、「友人を再び失いたくないからこそ“過去のノリ”を必死に再現しようとする」という5人の姿には胸を打たれたというか。僕は幸いなことにまだ「仲の良い友人」が亡くなった経験がないんですけど、とはいえ、中学時代の友人たちと集まる時はやはり懐かし話中心になるし、当時のノリが蘇ったりもするので、ああいう雰囲気になる気はしましたよ。“吉尾”が召喚された幽霊なのか、それとも単に彼らの意識が生み出した存在なのかが曖昧なのも良かったです。高良健吾さん演じる欽一の「ハッキリさせようとすんなよ!」という台詞が非常に好きだったんですけど、なんでもハッキリさせることが「正解」ではないものね。それと、終盤に繰り広げられる「赤フン一丁状態の6人が『それが答えだ!』を熱唱するシーン」は眼福だったワケですが(目次立樹さんの肉体が引き締まってて良かった!)、確か吉尾役の成田凌さんのワキ毛だけがあまり処理されていない感じだったんですよ。これはやはり「他のメンバーは現実の存在だから余興に出る身だしなみとして整えていた→吉尾だけは違う」ということをワキ毛で表現していたのか…って、これは深読みしすぎな気がします (ノ∀`) スミマセン

 

 

というか、成田凌さんはあまりワキ毛を整えない印象があって。例えば「チワワちゃん」ではこんな感じ。

 

今泉力哉監督の名作「愛がなんだ」でもノー処理なのです。

 

「窮鼠はチーズの夢を見る」でも。これはリアルを追求した役作りとして「あえての未処理」なのでは…って、どうでも良いですな。

 

 

主要メンバー以外の役者さんも良くて、“無自覚にごう慢な同級生”を演じた城田優さんの“厭な奴感”は最高でしたな (°∀°)b ナイス! ミキエ役の前田敦子さんも安定の素晴らしさで、吉尾がミキエに「幸せになれよ!」と言ったら「もう幸せだから!川 ゚д゚)」と言い返されるくだりは笑っちゃいました。あと、僕はウルフルズの曲って決して嫌いではないんですけど(「バカサバイバー」とか「あーだこーだそーだ!」とかは大好き)、「それが答えだ!」だけはあまり好きじゃなかったんですよ。でも、本作のために書き下ろしたという新曲「ゾウはネズミ色」は“その当時から年齢を重ねたミュージシャンによるアンサー”として「良い曲ダナー (ノω・、) グスン」としんみりいたしました(書き下ろした経緯も素敵だと思う)。そしてラスト、5人が歩く映像の暮れていく感の撮影が本当に素晴らしくて、非常に良いシーンだと思った次第。

 

 

ウルフルズの曲では「あーだこーだそーだ!」が一番好きです。

 

 

 

ただ、ごめんなさい、全体のノリが合わなかったです。たぶん本作の主人公たちと同じく僕も「クラスの主流派ではなく隅にいたタイプ」ではあるし、警察官時代はモロにマッチョでホモソーシャルなノリも数多く経験・実行しましたが、本当に仲の良い友人たちと本作に出てくるようなノリになったことはなくて。なんて言うんですかね、彼らの「友を想う心」自体にはグッときたものの、本作で「面白い」「懐かしい」と提示してくるものは、あまりフィットしなかったんですよね…。例えば、パンフでインタビュアーが監督に「路上で赤フンを投げ合うシーンでは、カメラも一緒になってはしゃいでいるような、6人の仲の良さが伝わってくる、楽しい画でした」と語っているんですが、ああいうジャレ合いを僕は経験したことがなくて。普通に「ああいうのはイヤだな… (´・ω・`) キタナイ」と感じてたという身もフタもなく面倒くさい文章。

 

いくら「吉尾のために久しぶりに当時のようなノリになった」ということだったとしても、例えば「笑ってんのかーい!」とか、ああいうギャグで盛り上がったことがないし、彼らのカラオケのノリも案の定苦手だっただけに、「あるある!」という共感が湧いてくる以前に知らないグループの飲み会に参加させられた気分になった…って伝わりますかね(それでいて、そのノリが羨ましくも見えない感じ)。それに「思い出パート」で提示された「友人宅に泊まった夜に好きな子の話をするくだり」とか、手垢にまみれているのはノー問題ながらも新しい面白さが皆無だったのは今どき残念だったし、何よりもガッカリしたのは「風俗に行った直後の吉尾と欽一が屋台のおでん屋で語り合うシーン」ですよ。震災とか絡めて真面目な顔して話してたけど、僕的には風俗説教おじさんの亜種みたいで気持ち悪くて笑いどころもよく分からないし、何よりも外国人っぽい店主役の滝藤賢一さんがカタコトで注文間違えまくるみたいなギャグが1ミリも面白くないどころか、今の時代にこれを『面白いでしょ?』って提示するの? (°д°;) マジ?」ってゲッソリいたしました(滝藤さんの出演をオチ的に使うノリがまた致命的に合わない)

 

 

ということで、鑑賞後はこの烈海王みたいな気持ちになったというね(新装版「バキ」第14巻より)。

 

 

その他、思ったことを書くと、「赤フンの演し物、結婚式の一次会でやることではないというか、あまりに『吉尾のため』すぎるのでは」とか「演し物での各々の失敗を振り返っていくシーンが面白かった」とか「5人全員が吉尾にそこまでの思い入れがあるのが不思議」とか「目次立樹さん、『アルプススタンドのはしの方』で暑苦しい教師を演じた人か!」とか「若葉竜也さんが喜劇をバカにする先輩に食ってかかるシーンは実話ベースだそうですが、コメディを下に見るような人には『サリヴァンの旅』がオススメ」とか「そもそも『5年振り』の設定なら、5人とそこまで差は開いていないのでは?(「高校卒業以来、会ってない」とかなら分かるけど)」とかとかとか。まぁ、文句も書いちゃいましたけど、トータルするとそんなに悪くはないというか。もともとは舞台だったそうですが、そっちだったら僕ももっと乗れたんじゃないかなぁと(映画と舞台では共犯関係の度合いが全然違うだけに)。何はともあれ、僕が凄まじく面倒くさい人間なだけで、間違いなく「刺さる人には刺さるタイプの映画」だし、出演している役者さんたちは魅力的なのでね、気になる人はぜひ観てみてくださいな。

 

 

 

 

サントラがありましたよ。

 

 

ウルフルズによる書き下ろしテーマ曲。良い歌だと思います。

 

 

気になっている松居大悟監督作。いつか観ようとは思っているんですが…。

 

 

なんとなく思いだした、宇多丸師匠や町山智浩さんが勧めていた映画。とても面白いです。

 

 

 

 

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