拳銃と目玉焼(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

拳銃と目玉焼(ネタバレ)

拳銃と目玉焼

拳銃と目玉焼き

2013/日本 上映時間115分
監督・脚本・撮影・照明・編集:安田淳一
助監督:今井伊織、前田智広
音声収録:米倉直樹、桜井健一
コスチュームデザイン:安田淳一
衣装:安田淳一、冨本康成
出演:小野孝弘、沙倉ゆうの、矢口恭平、田中弘史、紅萬子、戸田都康、吹上タツヒロ、多賀勝一、ゆうき哲也
パンフレット:なし
(あらすじ)
プラモデル作りが趣味で、ひそかに思いを寄せる喫茶店ノエルで働くユキ(沙倉ゆうの)が作る目玉焼きモーニングを食べることに幸せを感じる中年新聞配達員・志朗(小野孝弘)。近所に出没した痴漢を撃退してほしいという彼女の冗談めいた言葉を本気にして真夜中の町に出た彼は、痴漢ではなく町工場を営む阪本(田中弘史)を襲う不良少年たちと遭遇して倒してしまう。阪本からオヤジ狩りをする不良の成敗を持ち掛けられた志朗はそれを断り切れず、バイク用プロテクターなどで完全防備して同行するハメになり……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




90点


「観たい映画の覚え書き」で△マークを付ける程度には気になっていまして。昨日、仕事帰りになんとなく「深夜も稼働のバルトなんかどう?」ってな気分になったので、新宿バルト9に立ち寄って観てみました。超カッコ良かったYO!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン


23時55分からの1回だけの上映なのでした。
深夜も稼働のバルト


今作は“インディーズ映画”ということで超嘗めていたんですが、恐ろしく僕好みの要素が詰まった「ボンクラがヒーローになる」系映画だったのです。唐突に項目を並べてみますと、


① 僕と映画の好みが似ている
「タクシードライバー」が大好き
「最強伝説 黒沢」の“オヤジ狩りをするガキと戦う話”も嫌いじゃない
④ 「自分がヒーローになるとしたら…?」とリアルに脳内シミュレーションをしたことがある
⑤ 風俗で働く女性の「どうせアタシなんか…
(ノω・、し」的な描写がストライク
⑥ 女性の京都弁に萌える
⑦ 「自主製作だから、微妙なところがあっても仕方ないよな
(´∀`)」と優しい気持ちで観られる
⑧ ベタだと言われようと“純情”と“正義の心”は大切だと思う
スパイのような人がいる



上記の条件を満たせる方はぜひ劇場に足を運んでほしい(1つウソ)。新宿バルト9の上映は明日まで&23時50分の回だけだけれども! m9`Д´) ビシッ とりあえず画像とともに雑にあらすじを書いておくと、こんな感じでした↓


新聞配達員として働く志朗は、ひょんなことからオヤジ狩りにあった坂本を助けるも、ガキどもにボコられてしまいまして。
新聞配達員・志朗(小野孝弘)

坂本にそそのかされて、ガキどもに報復すべくプロテクターなどを購入。ボンクラ系ヒーロー映画的にはお約束の場面ですな。
男なら一度はやってみたい行為

そして、怯えながらも退治してしまい、盛り上がった志朗はプラモ作りの腕を活かして、さらに装備を改良するというね。
DIY精神

そんなある日、片想いのユキがのっぴきならないトラブルに巻き込まれてしまったので…。
ユキとの触れ合い

フル装備で悪党のアジトに単身殴り込み! 今、正義が爆発する!
単身、殴り込み!

DIY感溢れる銃で、クズどもを皆殺しにしてしまえ!ヽ(`Д´)ノ ウォォォォォ!
バイオレンス!


まず、物語が燃える。真面目な新聞配達員が、喫茶店の店員に片想いしていたら、その娘の彼氏がクズどもに拉致されてしまって、彼女のために恋仇を命を賭けて助けに行くーー。なんか「刑事物語」とかで何度も観たような話かもしれませんが、そこに「キック・アス」「スーパー!」「ディフェンドー 闇の仕事人」などのボンクラヒーロー要素が見事にプラスされていましてね。臆病な志朗が勇気を振り絞って暴力に立ち向かう場面は胸を打たれるし、プラモ作りの腕を活かして装備を作るシーンはスゲー楽しかったりするのです。特に「スタンガンの電流を両腕のプロテクターに流す→敵に掴まれた時に有効!」というのは、新しい発想で素晴らしかったですな。


町工場の設備を借りて、装備を強化する志朗。こういう場面の描き方が最高でした。
DIY精神


「撮影の裏側」動画を見ると、なんと台本がなかったりもしたそうなんですが(香港映画みたい)、物語はちゃんと練られていた印象。敵を振込詐欺集団にしたのは“志朗でも勝てそうな気がするバランス”だと思ったし(本職のヤクザだとさすがに厳しそう)。「憧れていた女性が風俗嬢だった」的な展開はよくありますけど、「恋人の哲也がクズと見せかけて、実は借金を作ったのはユキだった」(劇団員設定も上手い)とか「哲也も逮捕されてしまうから警察には頼れない」とか、それなりに無茶な展開が飲み込めるようになっていたんじゃないでしょうか。


ユキの同棲相手の哲也が単なるクズじゃなかったのは良かったなぁ。
哲也(矢口恭平)


そしてクライマックス、振込詐欺のボス・黒井(吹上タツヒロ)に対して「“こしょうでの目潰し”からのライダーキック」を食らわせるのは、超グッときましたね…(しみじみ)。いや、確かに「いくら安全靴を履いているからと言って、数回練習した素人の飛び蹴りがそれほど威力あるかよ」とは思わなくもないし、「序盤から飛び蹴りを出してた」「部屋に1号ライダーのフィギュアがあったりした」割には、それほど1号ライダー好きには見えなかったりもしたんですけど、「これがやりたかったのか!Σ(゚д゚;)」的な驚きと微笑ましさがあって。ちくしょう、スゲー良いシーンだと思ったり。

なんとなくラストの展開を書いておくと、救出された哲也はユキと一緒に喫茶店のママ(紅萬子)のつてで和歌山に逃げまして。一応、ユキに想いを告げた志朗は、ヒーローとして覚醒。序盤に出て来た痴漢野郎の前に登場して、「仮面…」と名乗る途中でエンドクレジットに突入すると、最後は幼少時、母親に“両目の目玉焼き”(喫茶店で食べていたのと同じ)を作ってもらった回想が流れて、映画は終わってました。


変身動画があったので、貼っておきますね↓




ハッキリ言って、ラストの殴り込みでガス銃のガスが切れる→志朗がやられた時、「ひぃ… (´Д`;)」とか怯えたりするのは、かなりイライラしたんですが、しかし。それこそが“等身大”なのかなぁと思い直したりして。喧嘩をしたり、格闘技をしたことがない人が一度の実戦でいきなり度胸がつくワケでもないんだし、そう考えると「アンタ、よくやったよ (ノ∀T) ガンバッタネー」と褒めたくなる不思議。志朗のトレーニング描写が少なめ&理に適っていないのは不満だったんですが、そこも含めてリアルだったのかもしれませんな…。ちなみにクライマックスのバイオレンス描写は、低予算感はありながらも頑張ってて、非常に好感が持てましたよ。


ちなみに志朗を演じた小野孝弘さんは「大拳銃」の主演だったのね(あっちでは町工場で拳銃を作ってた)。
我流トレーニング


って、ダラダラ書いていますが、僕がこの物語でハードに胸を掴まれたのは、沙倉ゆうのさん演じるユキ!ヽ(`Д´)ノ “事情があって風俗で働くも、自分の生き方にプライドが持てない女性”描写が大好物の僕ですけれども(なんとなくイヤな文章)、この映画のユキはそこに健気な性格&京都弁が加わって、“不憫さ”がさらに倍! 振込詐欺集団に暴行される場面は心底激怒したし、彼女が喫茶店で心情を吐露する場面は超泣けましたね… (ノω・、) ユキチャン ちょっとツッコミを入れると、僕はまったく詳しくないんですが、「風俗嬢のその後のスケジュールが組めなくなるから、デリヘルって呼ぶ電話の時にコースを決めるんじゃないの?」とは思ったりもしたんですけど、まぁ、僕はまったく詳しくないので(2回目)、よくわからないカナー (´∀`;) エヘヘ


ユキは僕的に超ストライクであり、彼女が望むなら重婚したいぐらいでしたよ(奧さんに読まれたら離婚に発展する文章)。
ユキ(沙倉ゆうの)


「恋するフォーチュンクッキー」を踊る動画があったので、貼っておきますね↓




その他、田中弘史さんや紅萬子さん、矢口恭平さんに戸田都康さんなど、脇を固める人たちも本当に芸達者揃いでお見事でしたね~。闇金の人たちもスゲー凶悪で怖かったし、何よりも振込詐欺集団を演じた人たちが実にクズ&ゲスっぽくて。マジでムカついたんですけど、最後にキッチリ倒されるので超スッキリ (o^-')b ナイス! みなさん、実に良い仕事をされたと思います。

確かにおかしいところも多いというか。「オヤジ狩りのガキどもを制裁するくだり」とかちょっと現実離れしすぎな気がするし、「町工場でガス銃を作っている」ってのもご都合すぎるし、振込詐欺集団のボスのバイクを乗り回すオチもどうかと思うし、そもそもどう考えても警察沙汰になるし、過去にユキを騙したプロデューサーが制裁されてないのも納得できませんよ(1つ無理な相談)。ただ、本当にストレートに“正義の心”を描いていて、その真っ直ぐな姿勢に感動してしまったというね。


映画を観た直後の僕の心境を代弁する徳川光成の画像を貼っておきますね。
見事じゃっ!


ということで、115分は少し長い気がしないでもなかったものの、素晴らしいヒーロー映画でしたよ… ( ;∀;) イイエイガダナー DVDが出たらほしいぐらいに好きになりました。自分の会社を傾けながらも作り上げた安田淳一監督は超尊敬するし、「こういうストレートなヒーロー作品がもっと増えれば良いのにな」「そうだったらいいのにな」と強く思った次第。何はともあれ、先ほど挙げた項目(⑨は除く)が当てはまる人は、ぜひ観てみてくださいな。




ベタだけど貼っておきたい映画、その①。永遠のバイブルですな。



ベタだけど貼っておきたい映画、その②。ボンクラヒーロー系では一番好きです。



リアルにバットマンを目指したい人にオススメの一冊。基本、無茶振りしか書いてません。