音楽 楽器 作曲の研究してます

音楽 楽器 作曲の研究してます

大学で先生しています。
作曲・編曲しています。
チェロを弾きます。

ピタゴラスが発見したと言われるドレミファソラシド。
いわゆるピタゴラス音律ですが、基準となるドに3倍して2で割るという単純な計算を繰り返すことで12の音が生成されます。

※このあたりの解説はちまたに沢山あるので、ここでは省きます。

 シリーズの3(音階の数学)でも少し取り挙げてます。

さて、この「3倍して2で割る」という作業を別の数字にしてみたらどうなるのか?新しい音階ができて今まで聞いたこともない音楽ができるんじゃない?ということからスタートした研究です。

黄金比でハーモニーを作ったらどんな音楽になるという記事をだいぶ前に書きました。
https://ameblo.jp/masaoprince/entry-12353408655.html

 

そこでも紹介しましたが、西洋音楽に見られる3と2という数字から得られる音楽は非常に均整がとれて、心地よいハーモニーやリズムが得られます。ところが、その完全で心地よい音楽を作る土台となっている整数値を、無理数で操作するとどうなるか?
その一例として、「3を書けて2で割る」のではなく、黄金比(約1.613)やネイピア数(自然対数の底、約2.718)で掛算して、素数(2,3,5,7,11…)で割るといった、簡単な計算でピッチを計算した音律を作ってみました。
やはり、不思議で未知な、宇宙的なサウンドが得られる、という実験結果になりまして、そのあたりの論文については情報処理学会音楽情報処理研究会や先端芸術音楽創作学会などで発表してきました。
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/records/142000

https://data.jssa.info/paper/2017v09n01/1.Yokoyama.pdf
 

さて、コムズカシイ話はこのくらいにして、実践の話に。
この記事では、2025年の秋に日本現代音楽協会のフォーラムコンサート(11/27)で発表した作品を紹介します。

Masao Yokoyama "Trio by theGolden Ratio Tuning for Viola, Cello and Contrabass"
横山真男「黄金比調弦によるヴィオラ・チェロ・コントラバスのための三重奏曲」
 

とりあえず、先に音源のYouTubeを!

 


この作曲はどういう仕組みなのか?
黄金比で計算したピッチでチューニングします。ラ(A線)のピッチだけ正規の442Hzにします(チェロであれば221Hz、コントラバスは55.5Hz)。そのピッチを基準にすると、各弦のピッチを下記のように求まります。詳細はリンク先のNotationの資料を。


The tuning pitches for each instrument by the golden ratio based on A = 442 Hz,

Viola - I : 442 Hz (A, normal), II: 307.8 Hz(near D#), III: 208.2 Hz (near G#), IV: 122.9 Hz(near H)
Cello - I : 221 Hz (A, normal), II: 153.9 Hz(near D#), III: 90.8 Hz (near F#), IV: 63.3 Hz(between H-C)
Contrabass - I : 90.8 Hz(near F#) , II: 65.2 Hz (near C), III: 55.5 Hz(A, normal), IV: 38.5Hz (near D#)

ここで、ちょっと困ったことが起きてしまいます!
開放弦はその黄金比とやらのピッチで音が出たとして、他のドレミはどうなってしまうの?ということなのですが、
残念ながら開放弦以外の黄金比のピッチは左の指では押さえることができません。弦楽器奏者はずっと正規の音程でフレットの無い指板の上を押さえる訓練をしてきたので、普通と違うピッチのイメージを持ってそのとおりに音を押さえることはまず不可能なのです!
ということで、この音楽は開放弦とその整数倍音のナチュラル・ハーモニクスしか使えないのです。(以下の図はカルテットの場合のナチュラル・ハーモニクスの一覧です。)


まあ、使える音符に制限がかかってしまいますが、工夫次第で色々な音楽ができます。



動画と共にスコアもHPにアップしていますので、ご興味がでてきましたら見比べながら聞いてみてください!

スコア: 

https://www.cello-maker.com/research/score/trio-va-vc-cb-score%20forumconcert.pdf

 

Notation:

https://www.cello-maker.com/research/score/Notation%20Golden%20ratio%20VaVcCb.pdf

 

他にも、黄金比調弦の音楽は書いていますので、作品一覧をご覧ください。

 

 





 

 

 

 

今回は身近な生活における研究の話題を書いてみようかと。

よくある困りごとのひとつに液だれ(つたい漏れ、裏漏れ、とも言うらしい)。

容器から何か液体を注ぐときにおこる、注ぎ口から下に漏れ落ちてしまいますね。

味噌汁とかスープとか、醤油とかソースとかもそうですね。

 

いつも、このブログでは音楽や音の話題をしていますが、

実は小職は大学で流体(流体音)についても研究しているのです。

最近、大学の研究活動報告誌「Lit」で取り挙げてもらいましたので、

こちらでもリンクを張りつつ紹介します。

内容はいたって文系の人にもわかりやすく書いてます  (ライターさんが!(^^y)

↓こちらのリンク

 

流体工学で液だれしない注ぎ口を - 明星大学 研究活動広報誌(LiT)

 

一言で言えば、容器の口にカーブに沿うように溝をいれれば、撥水効果がアップして

液体が口のところにたまらなくなるので、まっすぐ下に落ちるか、界面張力で容器内に戻るのです。

(この方法は特許をとりました!)


その様子が良く分かる動画がこちらです。

 

 

どう刻めばよいかなのですが、下の図のように、容器の外側です。

内側にするとよけいに液だれします(*_*)

 

学術的な内容は論文にもなっています。

 

なんで、撥水効果があがるの?

ということなのですが、それは蓮の葉とか山芋の葉に水滴を落とすとコロコロと玉になりますよね。

この発明は、表面の細かい凹凸があると撥水性があがるという「自然の知恵」を使ったということなのです。


※特許取得済み
液だれ防止の容器開発・ご相談は明星大学連携研究センターまでお問合せください。
https://corec.meisei-u.ac.jp/

 
 

 

 

軽い読み物的な「入門」シリーズ。でも、文系でも読める(たぶん!)理系的な音と音楽の解説ブログです。

前回のブログ(音階の数学)で、ドレミがどうやって作られたか、そして音の高さをピッチ(音高、Hz:ヘルツ)で表すことも軽く触れました。

さて、このような「音の高さ」って、そもそも…ナニ? (^^;
みたいなところを書こうかなと思います。

オーケストラのコンサートや練習を始めるとき、コンサートマスターのラの音を弾いてみんながその音を合わせる「儀式」がありますよね。
ヴァイオリンのラの音は日本の多くのオケでは442Hzにすることが多いです。

じゃあ、442Hzって・・・意味するところ何なのか?

さらに、もっと「何?」を突き詰めていくと・・・
じゃあ「音」って何よ!
という話に行きついてしまうのではないかと。

1.音はどのような現象か
人間が音を知覚するのは、身の回りにある空気の圧力振動を耳の鼓膜が揺れることで検出します。(このあたりの耳のメカニズムはまた後程あらためて書きます)

図のように、ヴァイオリンから442Hzの音が出ているとします。実際のヴァイオリンの音には442Hzだけでなくたくさんの倍音やノイズなどが含まれます。
ここでポイントなのはヴァイオリンが一定の周期振動をしているということが大切で、もし周期的な振動でなかったらノイズのような音になってしまい、音色も何も無くなってしまいます。
ここで、Hz(単位:ヘルツ)は、1秒間に振動する回数で、楽器や声は周期的な空気の振動だからある高さのある音で聞こえ、音色・声色として知覚できます。
図の縞々の濃淡は、空気の密度を表します。
物体が振動する(動くと)周りの空中の分子が押され密になり、圧力が上がります。

そして、物体が逆に移動すると、空中の分子が疎になり圧力が下がります。
これを“周期的に”繰り返すことで先ほどのヴァイオリンの周りのように、疎密波が生まれます。これは縦波と呼ばれます。
よって、ヴァイオリンが1秒間に442回もの高速で振動して、周りの空気の圧力が442回も変動して、鼓膜が442回も振動するので、ラという音として聞こえるのです。
ちなみに、この“ラ”という音の名前ですが、これは言わば442回振動して耳が検出する音の高さを人が勝手にそう名付けた(ラベリングした)ということに他なりません。

次に、音の研究や学習において、音をグラフで表現するときに、図のように縞模様で書くのはちょっと骨が折れる仕事ですね。効率が悪いし、詳細には分かりにくくなってしまいます。
実際は分子の疎密が伝搬するので音波は「縦波」なのですが、グラフにするときは分かりやすく詳細に表現できる「横波」として図示します。

グラフは適当にフニャフニャと波線を書いているのか?
ということについては、そんなことはなくきちんとした理論で描けます。

2.音の三要素と音波の数式
 

下の図は、音波を式とグラフで表現したものです。
「あー、数式なんて!!(ヾノ・∀・`)ムリムリ!」
とおっしゃるかもしれませんが…
音を理解するには必要なことなのと、数式の意味が分かればとりあえずOKですので、ちょっとだけご紹介。

 

音波を表すのに良く正弦波(サイン波)が使われます。
実は、これには理由があって、みなさんが小学校で習った(であろう)バネとオモリの実験が関係しているのです。

波形はバネ(輪ゴムでもOK)に重りを付けて、ビヨンビヨンと上下させるときの動きなのです。

下がって上がってを繰り返しますね。この時の運動が正弦波でありsin関数で表せられるのです。
楽器の材料も空気も、バネのように伸び縮みを繰り返す性質がありまして、目には見えないですが、バネのように引っ張られたり押されたりしたら元の状態に戻ろうとする弾性(だんせい)という性質でできているからです。
※この弾性体は、バネ定数k(つまり硬さ)とすると、伸び縮みの距離xに比例して反対の力Fが作用します。
  F= -k×x
と表せて(フックの法則です)、この運動方程式を時間軸にそって解いてあげると図のように、
     y = A sin (2π f t)   (式1)
となります。
この式のなかで、ポイントはAとfで、
  Aは波の振幅 ⇒ 音の大きさ
  fは周波数 ⇒ 音の高さ
となります。
だから、大きい音は振動の振幅が大きく、波線も大きく描かれます。音の高低は、波の周期として時間方向(図の横方向)に振動の繰り返す数で描けます。

3.音波の性質
ここまで説明してきた話は音の三要素といわれるもので、「音量(ボリューム)」「音高(ピッチ)」「音色」がその三つを指します。最後の「音色」は上の式1には出てきていませんが、いくつもの違う式を足し合わせることで音色を作ることができます。

振動の周波数が一つの音波は純音といわれます。いわゆる聴力検査のような電子音のように澄んだというか味気ないという表現される音です。チューニングの時に使う音叉もほぼ純音に近いです。
 

一方、複数の周波数が重なっている音波は複合音といわれ、楽器とか音声とかは非常に多くの周波数が含まれます。

だから、この周波数の含まれ方の違いが音色や声色の違いとなります。
ただ、私たちが言う「豊かな音色」とか「やさしい声」といった表現が、どのような周波数の組み合わせとか配分でできているかを明確に説明することは難しいです。

そもそも人によって豊かとかやさしいとかの印象や定義は違いますしね。

音の重ね合わせはどういうことかを下の図を見てみましょう。

いま、青と緑の二つの音波があります。それぞれ2Hzと4Hzです。この二つを重ね合わせると、それぞれの振幅を単純に足し算すればいいので、赤い線のようになります。
この周波数をたとえばド(261.6Hz)とミ(329.6Hz)の音波を足すこともできて、出来上がった複合音がまさにド・ミの和音となります。

もう一つ、音波の重ね合わせの例として、「うなり」というものがあります。二つの周波数が近い音波を同時に聞くと「うわんうわん」と聞こえてきます。
図は、2Hzの音波y1(青線)に、今度は少し周波数の高い2.2Hzの音波y2(緑線)を重ねた音波y1+y2(赤線)で示しています。このように赤い線の振幅が大きくなったり小さくなったりすることで合成した音波同士の周波数の差分に応じたうなりがきこえます。

 


このように、音波にはいくつかの性質があります。次の図のようになっています。どれも私たちの生活になじみがあって、これらの性質がもし無かったら大変不思議な現象がいっぱい起きてしまいます。みなさん、どうなっちゃうのかいろいろ考察してみてください。

 


最後の話題。
物体の周期的な振動が圧力変動として耳に伝わって音として聞こえる、と説明しましたが、じゃあ、皆さんが手を振っても音がしないのはなぜでしょう?手を振れば風を感じますので圧力変化は起きていそうですね。でも音はしません。

答えは、手を振るスピードが遅すぎるからです。
人間が聞こえる周波数はおおよそ20Hz~2万ヘルツでして、だから最低でも皆さんは1秒間に20回以上は振らないと音として知覚されないのです。
手を振って音を出すというのはかなり…ムリですね!
 

棒を振ったりするときの音はまた別の理論があって音が聞こえるのですが、

このあたりの音源の話はまた別の機会にしたいと思います。

 

※本ブログは、もちろん小職がすべて研究した(できる)内容ではないので、諸専門分野の紹介という形です。また、時間がたつにつれて新発見や解釈の移り変わりもあるのでその点はご容赦いただきたいと思います。

これまで音楽にまつわる研究紹介記事を書いてきましたが、どうしても「研究」というと難しいイメージになりがちかなと思います。

じゃあ軽い読み物的な「入門」シリーズを始めてみようかと、思い立って3本目。

西洋音楽、特にこのシリーズではクラシック音楽って何?ということについて理系的に書いてみました。

 ※もちろん小職がすべて研究した(できる)内容ではないので、諸専門分野の紹介という形です。また、時間がたつにつれて新発見や解釈の移り変わりもあるのでその点はご容赦いただきたいと思います。

 

前回は日本の伝統音楽である邦楽と西洋のクラシック音楽の考え方の違いについて考察しました。西洋音楽は数による支配された整備された音楽ということを書きましたが、それはどういうことなのかをまとめようと思います。

ヨーロッパにおける音楽のルーツは「グレゴリオ聖歌」と書かれた記事がしばし見受けられますが、音楽はそのはるか昔の古代ギリシャ時代からあり、4世紀後半にアンブロシウス聖歌が歌われていました。口伝か文字譜かは謎ですがヨーロッパ各地で伝承された聖歌が整理され、グレゴリオ聖歌は現存する最古の音楽の記録(楽譜)ということがいえます。

そのグレゴリオ聖歌もかつてはグレゴリオ1世による編纂とか記念して名付けられたといわれ7世紀前後のものと思われていましたが、近年ではもっとあとの8世紀後半のフランク王国カロリング朝のものとされているそうです。いずれにせよ、聖歌を正しく広めるために整備されたものであって、今日のように人間の感情の表現や芸術的創作としての音楽ではなかったわけですね。神のための儀式としての音楽でした。
では、庶民の音楽(世俗音楽)はどうだったのか。これについてはどうやら記録がなく不明の様です。確かに、教会や宮廷の音楽ですらやっと記録するために楽譜が開発されたような時代だから、それもしょうがないですよね。どのような楽器が使われていたかは絵として残っていて、吟遊詩人(ドラクエにでてくるあれか!(笑))ジョングルールとかミンストレルと呼ばれる演奏家がいたそうです。
 

1.ピタゴラスの発明
さて、音楽と科学の話に戻りますが、この音楽のルーツとなると

やはり古代ギリシャのピタゴラスがどうしてもからみますね・・・
12のドレミの音階の生成理論はピタゴラスによって発明されたという話は有名で、

いろいろな書籍やサイトでも紹介されてます。
 

例として、ドの音(261.6Hz)を1.5倍(3/2倍)するとソの音(392.4Hz)になります。

これは、ピタゴラスが基準となる音(ここではド)を3倍して2で割った音が、元の音と良く調和して心地よく響くことを発見したという言い伝えによるもの。(この音の調和は完全五度という)

さて、このピタゴラスの5度音程の発見は、身近にある輪ゴムで簡単に体験ができます!
お菓子の箱に輪ゴムを巻きましょう。そして割りばしを1本用意します。
輪ゴムの長さが2:1つまり3等分されるところで、駒のように輪ゴムの下に挟みます。
すると、元の輪ゴムの音より5度高い音がでます。弦の長さに反比例して音の高さが上下する法則があります。つまり長さが2/3に短くなれば、その逆の3/2だけ音が高くなります。
箱に巻いたのは箱が共鳴するために音が聞こえやすくするためです。(弦楽器の原理です)
ちなみに、真ん中に割りばしをおくとオクターブ(弦長が半分になるので周波数が2倍)になります。

 

では、輪ゴムをピンピンはじいてもらって体験していただいたところで!
12の音階に話を進めましょう。

順番に次々と1.5倍していくと、だいたい12回繰り返したら元の音に近くなります。
譜面にすると以下のようになるのですが、隣り合う音程を完全五度(ドレミファソと5音上昇)といいますが、この五度を繰り返していくとほぼほぼ基準のドになります。

これをグルっと円状に配置すると五度圏といいます。

「ほぼほぼ」といったのは、3/2をいくら掛けても2の指数には一致しなく、式で書くと、

(3/2)n≠2m

このために必ず「ずれ」が生じます。これがいわゆる「ピタゴラスのコンマ」と呼ばれるもので、これがあるために何世紀もの間、ミーントーンだとかヴェルクマイスタだのといった音律が考えられ、いやもっと言ってしまえば、永遠に純正律と平均律の論争が残るわけなのです。解決しないことが数学で証明されているとも言えます。

 

再度、おさらになりますが、ドレミファソラシ…と順に音階を上がっていくとまた高いドになりますね。この下のドから上のドの関係を1オクターブといい、ピッチ差(周波数の差)はちょうど2倍です。

音階を構成する音はド#やミ♭といった半音も含め12あります。前述のように現代ではこれらの音のピッチは1オクターブを12等分された「平均律」が多く用いられます。

 

いま12等分と書きましたが、正確には1オクターブという2倍のピッチ差を「12乗根」で分けます。単純にピッチの差を12等分したのではありません。

半音の音程は12乗して2になる数値で区切るということになります。もちろん筆算では大変なのでパソコンや電卓で計算しましょう。

 

半音のピッチの比aを求めてみましょう。

12回かけて2になるので、a×a×…a = a12 = 2となるaを求めるには、

逆の12乗根を計算すると、a = 12√2≒ 1.0595と約6%周波数がアップします。

半音の違いというのはパーセントで聞くと意外と小さい気がしますね。

全音は半音1.0595の二乗で1.122で約12%アップです。

 

次の図はドから順に各音が何Hzになるかを図にしたものです。少しカーブして指数的に増大していることがよく分かりますね。

 

もう一つ、音程の尺度として良く用いられるセントについても説明しておきます。

セントは半音より細かい周波数比を示すときに使われるものでチューナーなどに表示されています。100セント = 半音と定義され、1オクターブは1200セントです。よって、1セントcはオクターブの周波数比2を1200で等比分割するのでc = 1200√2 = 1.000578となります。よって、約0.06%のピッチ変化ですので耳で識別するのは不可能に等しいです。

 

 

2.ピタゴラス音律×純正律×平均律
電子楽器は平均律ですが、クラシック音楽において弦楽四重奏のようにピッチが自由になる楽器同士の合奏(アンサンブル)では純正律による和音の方が美しく響きます。
 

和音が美しく聞こえるためにはピタゴラスが発見したような2:3の完全5度や完全4度のように、単純な比率であるほうが良いのです。次に比率がシンプルなのは4:5の長3度です。

ピタゴラス音律では長三度は64: 81ですが、これは濁って聞こえます。

そこで、純正律ではエイや!と近い5:4とよりシンプルな比率にすることで、濁りが少なくより調和した響きになります。
 

次の表はピタゴラス音律と純正律の比をまとめたものです。この表から純性律には2種類の全音程があることになります。ドに対してレのピッチは9/8倍ですが、レに対するミのピッチは、5/4÷9/8 = 10/9で計算できます。前者の全音は幅の広い大全音と呼ばれ、後者は幅が狭い小全音と呼ばれます。同様に、半音程では4つの比率があることになります。このように音程が不均一だとピアノやオルガンでは問題が生じます。調性が変わると響きも変わってしまい、ある調性では美しく響いても、別のある調性では美しく響かないことになります。よって、曲の調が変わるごとに調律をしなければいけなくなってしまいます。また、曲の途中で転調もできなくなってしまいますので、作曲上の足かせとなってしまいます。その観点において、音楽の歴史的な発展と共に多様な調変化に対応するためにも、多少の濁りを許容した実用的な平均律が結果的に選択されたと言えます。下の表に純正律と平均律の周波数比の違いの例を挙げておきます。

このピッチの違いを体験できるように音源を用意しました。

音源はリンク先にありますので、聞き比べてみてください。

↓のリンクよりどうぞ

 

 

3.協和度曲線
いよいよ、「音階と数学」の話もレベル3です。
周波数の比がシンプルに2倍となるオクターブや3:2(1.5倍)の完全五度は良く協和します。2つのピッチが同時に鳴った場合、その和音の協和度は周波数の比に依存します。ドイツの物理学者ヘルムホルツ(Helmholtz)によると、2音の不協和感の原因は、和音から感じられるうなりとざらつき感にあるとしています。

人間の聴覚には臨界帯域幅というフィルタがあり、2つの和音のピッチ差が臨界帯域幅以内ですと、うなりやざらつき感を感じます。臨界帯域幅以上の差があると2音のピッチは別のものとして感知されます。そして、このうなりやざらつき感は臨界帯域幅の1/4の周波数差で最大になると言われます。
 

プロンプら(Plomp & Levelt, 1965)の実験及び論文によると純音の不協和度D(x)は次のように表せます。
 D(x)= e^(-ax)-e^(-bx)
xは2つの周波数f1とf2の差、すなわちx = f2 – f1です。また、eはネイピア数(=約2.718)、起伏の大きさを決めるある正の定数aとbを伴った指数関数の差で表されます。

この関数の描く形をパソコンで計算すると、下の図のグラフのようになります。2つの純音の不協和に感じる度合いは赤の太線のように約半音ずれた場合に最も不協和感を感じ、その後は差が広がるにつれてざらつき感もなくなり、やがて2つの分離した音に感じられます。
 

一般的に楽器の音は整数倍音を多く含みますので、楽音の不協和度はこの倍音成分を考慮する必要があります。

つまり、例えばド(C4, 261.3Hz)とミ♭(E♭4, 311.1Hz)の楽音の不協和度は、2倍音まで考慮するのであれば、純音でのC4とE♭4の不協和度に加え、ドの2倍音C5 (522.6Hz)とE♭4の不協和度、さらにC4とE♭5、C5とE♭5の計4つの不協和度を足し合わせたグラフになります。その足し合わせた結果は図の2倍音の線になります。図には、さらに3倍、4倍、6倍の各倍音まで考慮にいれて計算したグラフを載せておきました。
不協和度曲線の落ち込んでいるところが、逆に協和する周波数差を示しています。ドを基準にして協和度の高い音程は、同音とオクターブの他には完全5度であることが分かります。また、ラは平均律で計算すると440Hzであるはずなのですが、この理論値によるとドを基準音にしたときのきれいに調和する長六度のラは436Hz付近になり、平均律と約4Hzもずれていることになります。

ド(261.63H)に対する不協和度曲線と平均律によるピッチ

 

#音と音楽の科学, 岩宮眞一郎, 技術評論社

# R. Plompand and W. J. M. Levelt, Tonal Consonance and Critical Bandwidth, 1965

 

 

※以上の記事の詳細は、下記の書籍にて販売してます。

今月(2026年5月です)、25日にトロンボーンの村田厚生氏によるエレクトロニクスとAIによるコンサートがあります。

 

コンサートの詳細はこちらのブログにて↓

 

それで、うまくシステムが動くかどうかの実験を兼ねてデモ動画を作りました。

MAXMSPでパッチを作って、トロンボーンの音をフォルマント合成にしてスピーカから出力しています。

完成したらパッチや楽譜は公開しようかと思っています。

 

 

もう一つ

エフェクトとしてもつかえるかなと。

 

ご来場お待ちしてます。

よろしくお願いいたします!