軽い読み物的な「入門」シリーズ。でも、文系でも読める(たぶん!)理系的な音と音楽の解説ブログです。
前回のブログ(音階の数学)で、ドレミがどうやって作られたか、そして音の高さをピッチ(音高、Hz:ヘルツ)で表すことも軽く触れました。
さて、このような「音の高さ」って、そもそも…ナニ? (^^;
みたいなところを書こうかなと思います。
オーケストラのコンサートや練習を始めるとき、コンサートマスターのラの音を弾いてみんながその音を合わせる「儀式」がありますよね。
ヴァイオリンのラの音は日本の多くのオケでは442Hzにすることが多いです。
じゃあ、442Hzって・・・意味するところ何なのか?
さらに、もっと「何?」を突き詰めていくと・・・
じゃあ「音」って何よ!
という話に行きついてしまうのではないかと。
1.音はどのような現象か
人間が音を知覚するのは、身の回りにある空気の圧力振動を耳の鼓膜が揺れることで検出します。(このあたりの耳のメカニズムはまた後程あらためて書きます)

図のように、ヴァイオリンから442Hzの音が出ているとします。実際のヴァイオリンの音には442Hzだけでなくたくさんの倍音やノイズなどが含まれます。
ここでポイントなのはヴァイオリンが一定の周期振動をしているということが大切で、もし周期的な振動でなかったらノイズのような音になってしまい、音色も何も無くなってしまいます。
ここで、Hz(単位:ヘルツ)は、1秒間に振動する回数で、楽器や声は周期的な空気の振動だからある高さのある音で聞こえ、音色・声色として知覚できます。
図の縞々の濃淡は、空気の密度を表します。
物体が振動する(動くと)周りの空中の分子が押され密になり、圧力が上がります。

そして、物体が逆に移動すると、空中の分子が疎になり圧力が下がります。
これを“周期的に”繰り返すことで先ほどのヴァイオリンの周りのように、疎密波が生まれます。これは縦波と呼ばれます。
よって、ヴァイオリンが1秒間に442回もの高速で振動して、周りの空気の圧力が442回も変動して、鼓膜が442回も振動するので、ラという音として聞こえるのです。
ちなみに、この“ラ”という音の名前ですが、これは言わば442回振動して耳が検出する音の高さを人が勝手にそう名付けた(ラベリングした)ということに他なりません。
次に、音の研究や学習において、音をグラフで表現するときに、図のように縞模様で書くのはちょっと骨が折れる仕事ですね。効率が悪いし、詳細には分かりにくくなってしまいます。
実際は分子の疎密が伝搬するので音波は「縦波」なのですが、グラフにするときは分かりやすく詳細に表現できる「横波」として図示します。
グラフは適当にフニャフニャと波線を書いているのか?
ということについては、そんなことはなくきちんとした理論で描けます。
2.音の三要素と音波の数式
下の図は、音波を式とグラフで表現したものです。
「あー、数式なんて!!(ヾノ・∀・`)ムリムリ!」
とおっしゃるかもしれませんが…
音を理解するには必要なことなのと、数式の意味が分かればとりあえずOKですので、ちょっとだけご紹介。
音波を表すのに良く正弦波(サイン波)が使われます。
実は、これには理由があって、みなさんが小学校で習った(であろう)バネとオモリの実験が関係しているのです。
波形はバネ(輪ゴムでもOK)に重りを付けて、ビヨンビヨンと上下させるときの動きなのです。
下がって上がってを繰り返しますね。この時の運動が正弦波でありsin関数で表せられるのです。
楽器の材料も空気も、バネのように伸び縮みを繰り返す性質がありまして、目には見えないですが、バネのように引っ張られたり押されたりしたら元の状態に戻ろうとする弾性(だんせい)という性質でできているからです。
※この弾性体は、バネ定数k(つまり硬さ)とすると、伸び縮みの距離xに比例して反対の力Fが作用します。
F= -k×x
と表せて(フックの法則です)、この運動方程式を時間軸にそって解いてあげると図のように、
y = A sin (2π f t) (式1)
となります。
この式のなかで、ポイントはAとfで、
Aは波の振幅 ⇒ 音の大きさ
fは周波数 ⇒ 音の高さ
となります。
だから、大きい音は振動の振幅が大きく、波線も大きく描かれます。音の高低は、波の周期として時間方向(図の横方向)に振動の繰り返す数で描けます。
3.音波の性質
ここまで説明してきた話は音の三要素といわれるもので、「音量(ボリューム)」「音高(ピッチ)」「音色」がその三つを指します。最後の「音色」は上の式1には出てきていませんが、いくつもの違う式を足し合わせることで音色を作ることができます。
振動の周波数が一つの音波は純音といわれます。いわゆる聴力検査のような電子音のように澄んだというか味気ないという表現される音です。チューニングの時に使う音叉もほぼ純音に近いです。
一方、複数の周波数が重なっている音波は複合音といわれ、楽器とか音声とかは非常に多くの周波数が含まれます。
だから、この周波数の含まれ方の違いが音色や声色の違いとなります。
ただ、私たちが言う「豊かな音色」とか「やさしい声」といった表現が、どのような周波数の組み合わせとか配分でできているかを明確に説明することは難しいです。
そもそも人によって豊かとかやさしいとかの印象や定義は違いますしね。
音の重ね合わせはどういうことかを下の図を見てみましょう。

いま、青と緑の二つの音波があります。それぞれ2Hzと4Hzです。この二つを重ね合わせると、それぞれの振幅を単純に足し算すればいいので、赤い線のようになります。
この周波数をたとえばド(261.6Hz)とミ(329.6Hz)の音波を足すこともできて、出来上がった複合音がまさにド・ミの和音となります。
もう一つ、音波の重ね合わせの例として、「うなり」というものがあります。二つの周波数が近い音波を同時に聞くと「うわんうわん」と聞こえてきます。
図は、2Hzの音波y1(青線)に、今度は少し周波数の高い2.2Hzの音波y2(緑線)を重ねた音波y1+y2(赤線)で示しています。このように赤い線の振幅が大きくなったり小さくなったりすることで合成した音波同士の周波数の差分に応じたうなりがきこえます。
このように、音波にはいくつかの性質があります。次の図のようになっています。どれも私たちの生活になじみがあって、これらの性質がもし無かったら大変不思議な現象がいっぱい起きてしまいます。みなさん、どうなっちゃうのかいろいろ考察してみてください。

最後の話題。
物体の周期的な振動が圧力変動として耳に伝わって音として聞こえる、と説明しましたが、じゃあ、皆さんが手を振っても音がしないのはなぜでしょう?手を振れば風を感じますので圧力変化は起きていそうですね。でも音はしません。

答えは、手を振るスピードが遅すぎるからです。
人間が聞こえる周波数はおおよそ20Hz~2万ヘルツでして、だから最低でも皆さんは1秒間に20回以上は振らないと音として知覚されないのです。
手を振って音を出すというのはかなり…ムリですね!
棒を振ったりするときの音はまた別の理論があって音が聞こえるのですが、
このあたりの音源の話はまた別の機会にしたいと思います。
※本ブログは、もちろん小職がすべて研究した(できる)内容ではないので、諸専門分野の紹介という形です。また、時間がたつにつれて新発見や解釈の移り変わりもあるのでその点はご容赦いただきたいと思います。





















