音楽 楽器 作曲の研究してます

音楽 楽器 作曲の研究してます

大学で先生しています。
作曲・編曲しています。
チェロを弾きます。

現代音楽の話です。

 

あ、そんなにすぐにページから去ろうとしなでください・・・(^^;

 

と言いたいですが、やはり現代音楽って、多くはいわゆる聞き心地の良い音楽ではないですね。

 

現代音楽は、音楽の一種ではあろうかと思いますが、一般的にイメージする音楽とは違うのはたしか!

音楽の3要素と言われているのは、

・メロディ

・リズム

・ハーモニー

です。現代音楽の多くはここから逸脱、もしくは拡大解釈だと言えます。

だから、

「音響芸術」「音響作品」 (Sonic Arts)

だと思って別だと割り切って鑑賞するのがいいのかもしれません。

実際に現代音楽というのは↑の3要素を重視するというよりも、

音の響きや音色、構成を楽しむようにできていると言えます。

 

さて、そんな現代音楽のジャンルのひとつに図形楽譜というのがあり

演奏するためにプレイヤに五線譜上のオタマジャクシではなく、

記号とか絵で指示をする手法です。

 

たとえば、Googleで「図形楽譜」と検索すると、いろいろでてきますね。

 

五線譜でないので、指示は曖昧・抽象的になりやすく、

奏者のイマジネーションに大きく依存します。

見てもらえば一目なのですが、

「こんな絵で、どう演奏するの?」

という疑問がわくかと思います。

 

「好きに、思うがままに、音を出せばいいのさ!!」

では、さすがに丸投げ放置なので・・・

やはり作曲家側も何を意図してどういうルールかを説明してほしいところ。

 

そこで、筆者の作品例をちょっとご紹介。

2022年にミューザ川崎で講演したミュージックカレッジ(2022年2月24日「音楽を見る」)のなかから抜粋です。

 

以下の通りにルールを決めて演奏してもらいました。

※他の作品はどうなのでしょうね。

 もし、読者の皆様が何の説明もなく、弾け!といわれたら下記のように考えて

 「適当に」(笑)演奏してみたらどうでしょう。

 

下の絵を見てください。

楽譜です (ウソでしょ?!)

もとは幼児の落書きです。


 

サインペンでゴシゴシ、画用紙に書いたものです。

これを楽譜として見るにはどうするか?

 

線を音の高さとか長さとか、音量とか、楽器とか・・・

当てはめてみるのが、順当なところでしょうかね。

 

まずは、青、黄色、緑、ピンク、茶色、、、これを楽器にしてみましょう。

 

で、上にいくと高い音で、下に行くほど低い音をだす。

 

などなど、私の場合は、時間情報も入れたりして、下の図のように指示を書き加えました。

 

 

線のあるところから出発して、なぞっていくうちに、上にいったり下に行ったり。

急にどこかへ飛んでみたり。

 

実際にこの絵をもとに演奏していただいた録音がこちらです!

 

 

まあ、、、現代音楽に慣れていないと、

どこが、ド?レ? ということからしてハテナが浮かぶかと思いますが。

そこは、やはりアドリブ力。そのときの気分で決めちゃいましょう。

図形楽譜は、不確定で毎回異なった演奏になるものです。

そして、毎回、演奏や練習のたびに、「こうやったら面白くなるかな?」といった工夫が大切です。

あと大事なことは、自分はわかったふりをしてカッコよく演奏すること!

自信なさげに、よくわからんなぁと、半信半疑で演奏してしまうと、

聞いている方はもっとつまらなくなってしまいます。

 

ということで、今回は図形楽譜の演奏について一例をお見せしました。
ちなみに、落書きはウチの娘が1歳の時のものです。

 

NHKの人気番組「歴史探偵」のゴジラの回(2025101日)で出演しました!

という収録にまつわる解説は前回でしましたが、今回はその収録はしたものの結果的にボツになったゴジラの音楽ネタについて語ります!

 

二本立てで、①ゴジラのテーマと伊福部昭の作曲法や、②ゴジラの鳴き声の音響解析について追記します。

※当初の放送のシナリオではこんなにいろいろネタがあったんだけど…( ;;) ま、音楽がメインの番組ではないですからねー。歴史番組だもんねー。

 

①ゴジラのテーマを解析

テレビの中ではあまり触れませせんでしたが、このゴジラのテーマはよく知られていて、ある意味で「親しまれている」とも言えます。この親しまれる⇒キャッチーで憶えやすい要因のひとつは、ゴジラのテーマの音型(専門的には動機という)の単純さが言えます。そして、同じ音型の繰り返しであることもその理由にあります。

この“単純さ”や“繰り返し”は、キャッチーなメロディを作るお決まりの法則でもあります。ポップスやCMソングをいろいろ思い浮かべると、ヒットした曲にはこの要素はほぼあてはまります。

 伊福部作品には変拍子による音楽も多くあるが(ストラビンスキーの春の祭典が好きで影響を受けたと言っている)、だいたいにおいて音楽そのものはシンプルです。

 

では、ゴジラのテーマの譜面をみてみましょう。

 

ドシラ、ドシラとつづく旋律は、いわゆる三三七拍子にも似ているから、日本人にとってなじみのあるマーチのリズムでもあります。ただし、伊福部はこのあとに5拍子を持ってきてます!でも、聞いていて全然違和感が感じられないと思います。

 

音楽はざっくりと4拍・5拍・4拍・5拍の繰り返しでできています。いわゆる拍子が変わる変拍子。

西洋音楽(クラシックからロックやジャズまで)では変拍子はかなり意図的な作曲法であって、普通はマーチの2拍子、ワルツの3拍子、ポップスやロックの4拍子となります。これは西洋音楽が教会音楽に起源があり、数学や天文学とも関係があったからです。つまり、西洋の音楽は、2拍と3拍が基本なのです。

 

ところが、西洋以外の音楽、特に民族音楽は人の心情や言葉から生まれたものなので、数学的なきっちりとしたものではなく、言葉にあわせて音符が並びます。だから、西洋音楽の2や3の固定的な拍に無理やり当てはめると、字余りや字足らずみたいなことが起こります。それが変拍子として西洋音楽の記譜法である五線譜上で書かれることになります。

※たとえば日本の童謡「あんたがたどこさ」とか「炭坑節」など

 

だから、西洋音楽に慣れきった現代人からすると、5拍子はかなり演奏しにくい拍なのです。

しかし、その一方で、我々日本人は2とか3で固定された拍子ではない音楽に対して(非拍節的音楽)、もともと順応できる文化にいる種族です。

たとえば、雅楽や追分節といった阿吽の呼吸による音楽による風土で育った人には、違和感はなく、むしろそこに民族的な安堵や懐かしさを感じるかもしれません。

 

また、ゴジラのテーマで5拍子が入り込むことについては別の説もありまして、この映画が作られた時代は戦後のすぐあとの1950年代なので、2拍子のマーチでは軍隊マーチを思い起こすのでやめたというもの。さらに、変拍子にすることで、迫りくるゴジラや、さらに不定な世相を感じさせる効果もあるとか。

 

では、もう一度、先ほどの譜例で変拍子を入れることで生じる違いをみてみましょう!

上段は普通にマーチで書いた場合で、まあこれも悪くはないが…普通。単純な縦の音楽、に聞こえますね。

ここで、伊福部は赤に示すように1拍分を追加しています。そうすることで音楽にうねりや流れ、次への進行感が生まれてきます。音楽の不安定さや切迫感が生まれる仕掛けとも言えます。

 

でも、これは巧妙な仕掛けというよりは、民族音楽においては珍しくないことなのです。たぶん、作曲したときには↑に書いた解説のようにさもねらったかのようには考えてはなかったと思います。(後の解説者が勝手にとってつけた分析をするのが良くない?、反省…)。

伊福部音楽というと、ゴジラ以外にはタプカーラ交響曲とか日本狂詩曲が代表作としてあげられますが、音楽的な特徴というと、明解で民族的な音楽でしょう。伊福部は、北海道に生まれ幼いころからアイヌ民族の民族音楽に慣れ親しんでいたので、民族的な音の響きが音楽の根底にあるのかと思います。(当時は、複雑で難解ないわゆる現代音楽が流行った時代ですから、相当のパッシングを受けましたが)

たぶん、自然と頭に浮かんだメロディを書いたら、5拍子になった、ということだったのかと推察します。

 

②ゴジラの吠える音

「コントラバスの低音をゆっくり弾いて、何らかの方法で波形をゆがませた」

のだそうです。映画関係者の記事を読んだり話を聞いたりすると、最近の映画製作において、映像はCGAIが当たり前だが、音に関してはまだまだレトロに録音と手作業のエフェクトが行われてるそうです。

もちろんゴジラは戦後間もないころですので、アナログ的な手法でゴジラの吠える声を作られているかと。(実際に当時音響を担当された方に会ってお話を聞きたい!)

 

番組の放送で鳴き声の秘密みたいなシナリオが組まれてるとのことだったので、早速CDを買って(ゴジラ映画の怪獣の声ばかりを集めたマニアなCDがあった!「HOWLSonyMusic)、前回同様にスペクトログラムをみてみました。

 

スペクトログラムは、横軸に時間をとり、縦軸に周波数、そして濃淡がその周波数のパワーを示しています。この図は初代ゴジラの吠える音で(他のサイトやYouTubeで聞いてみてください)、3回分を解析したものです。

 

そもそもですが、怪獣だけではなく、声というものを合成してつくるには、倍音成分がいります。一つの周波数では声の様には聞こえず機械的な音になります。

怪獣も人も同じで()、動物の声は、声帯が振動して喉や鼻や口で共鳴することで、ある特定の倍音構造ができ、それが声となります。(これをソースフィルタ理論と呼んでいます)

 

だから、ゴジラの鳴き声を作る時に、共鳴体を震わすことで発音する楽器を素材に選んで、それを加工するというのは妥当といえます。前回見ていただいたヴァイオリンの音色のスペクトル解析のように、楽器には倍音成分があります。だから、よりリアルな動物の咆哮音(ほうこうおん)が作れたと言えます。

上の図に示す、ゴジラの吠える音のスペクトログラムを見てみましょう。いくつかの倍音(縞模様)がみられるので、楽器のような共鳴体を擦っていることがわかります。

 

だいたい40Hzから50Hzあたりに最初のピークがあるので(左のオレンジ矢印)、コントラバスの一番低い弦を弾いて録音し、それをFM変調したりディストーションをかけているのかと思われます。さらに、ピッチがスライドしていますが(図の中と右の矢印)、こういう効果も弦楽器なら簡単です。弦を押える指をずらせばいいのですから。

 

これも当たり前の話ですが、ゴジラの声はやはりかなり低い音である必要がありますね。必然的に楽器の選択肢はコントラバスとなるでしょう。

さらに音響心理の面からすれば、得も言われぬ恐ろしい怪獣をイメージさせるには、やはり低い音域の音であることが適切ですね。人は、音が低くて大きく、長い音は、巨大なものをイメージします。逆に、音が高くて小さい音量で細かな変化をする音は、小さいものをイメージするようにできています。

音楽で言えば、サンサーンスの動物の謝肉祭に出てくる象はやはりコントラバスで書かれていて、ショパンの子犬のワルツはピアノによる軽くて素早い音型で書かれています。

だから、コントラバスを使ってゴジラの鳴き声を作ろうという発想により、聞く人はゴジラの大きさをかなり大きい物、そして地の底から響いてくる地鳴りのような恐怖をイメージにぴったりと合うわけなのです。

※ちなみに、第2世代のゴジラは音が1オクターブくらい高くなっている。なぜだ…?


以上!ではでは。ゴジラの話題はこれにて終わりです。

 

参考文献:大楽必易,わたくしの伊福部昭伝

 

「歴史探偵」NHKの番組ですが、ファンの方も多いのではないかと察します。

小職は今年(2025年)101日に放送された「ゴジラ」にて、映画のテーマ音楽についての解説者として出演しました。

放送の中では、伊福部昭作曲の有名な「ドシラ・ドシラ・・・・」がなぜヴァイオリンのG線を使ったのか、という作曲と弦楽器の音響について、解説をしました。

 

と、公式コメント(?)としては、上記の通りなのですが。

いやー、ホントは撮影の時は実はもっといろんなことをしゃべり、いろんな資料を用意していたのですが、、、

そこはテレビあるあるで、だいぶカットされてしまいました…。大人の事情ってヤツですかね。

 

ということで、「撮影秘話」ってほどの大げさなものではないですが、本ブログではそのボツったネタがもったいないので披露しようかと思い筆を、いやキーボードをとった次第であります!

 

そもそも話をすると、

小職がヴァイオリンの音響や現代音楽の作曲についてホームページなどで発信をしているのを、テレビ局のディレクターさんが見つけてくれまして、大学の広報を通して取材依頼が来ました。電話で直接話したりメールでのやり取りをもとに取材内容が決まったのですが、本記事ではそのストーリの中から「ボツった」(まあ、たぶん放送の尺の都合から削られてしまった)内容について、かつ補足的に書こうと思います。

 

撮影の様子。ヴァイオリンの演奏は竹重夏野さん、アナウンサーは木村穂乃さん。@明星大学のスタジオにて

 

放送では、メインテーマのゴジラの音楽について解説!となっていましたが、

ヴァイオリンの低い音域(一番太いG線)を使ったのかという話題でした。

 

ゴジラのメインテーマを楽譜にすると次の図1のようになります。

図1ゴジラの冒頭のテーマ

 

この音域は、ヴァイオリンだと4本ある弦のうち最も太く低い音の出るG線を使います。この弦で力強く弾くには、腕に重さをのせて圧力をかけて弦をこすることになるのでノイズが多い音色になります。

それで、テレビの放送では、「このノイズ成分が今回のゴジラのテーマの強さや恐怖感に一役かっているかもしれない!」という仮定を検証するという内容でした。

 
ここで「音色」を語るのに、音響屋さんは音波のスペクトル解析(離散フーリエ解析)という解析手法を使います。

それが下にある図2や図3に示すパワースペクトルと呼ばれるグラフで、音波に含まれる様々な周波数成分を示すものになります。

楽器の音はたくさんの周波数(つまりピッチ)が重なってできているので、フーリエ解析をするとどのピッチの波形がどのくらいの割合で含まれているかが分かります。楽器の場合は、演奏している音のピッチ(ラなら440Hzとか)の周波数を基音といい、その整数倍のピッチの波形が顕著に含まれ(倍音成分という)、あとはそのピッチ間のノイズ成分でできています。

 
解説では、

 圧力をかけて弾くとノイズ成分が多く含まれ、

 このノイズ感が大きな音量と共に聞き手に強さや荒々しさを与えています。

 作曲家の伊福部はこの音響的効果を狙って作曲したのかもしれない。

ということ。

まあ、本人に聞いたわけではないのであくまでも想像ですが…(^^;

でもこのヴァイオリンのG線を使って力強さや荒々しさ、さらには情熱を表現するという手法は歴代の作曲家に大変よく見られます。

有名なところでは、死の舞踏、仮面舞踏会、さらにはチゴイネルワイゼンやチャルダッシュ、スペイン協奏曲、などなど枚挙にいとまはありませんね。

 

太い弦で圧力をかけてバリバリひくと、文字通りノイズの多い、一種のつぶれた音色になります。一般的に圧力をかけるとノイズ成分が増えるのですが、特にG線では増えやすい。

下の図2はスペクトログラムといって、音色の成分分析とも言える手法です。ある音を周波数ごとに分解して、それぞれがどのくらいの量で混ざっているかがわかる図です。

2 ヴァイオリンでゴジラのテーマ「ドシラ・ドシラ」を普通に弾いた場合と圧力をかけて弾いた時のスペクトログラムの比較

 

色の濃いところは成分が大きいところで、その周波数成分が多いところを意味します。ヴァイオリンのような弦楽器は一番下の黒い線(音符で書かれた音の高さに相当する)に対してその倍音成分がきれいに縞模様としてみえる。

ここで、図の左をみると普通に(柔らかく美しく)ひくとこの縞模様がきれいに見え、これはノイズが少ないということ。一方で、力強くひくと縞模様の間が濃くなっているのが分かりますね。これは倍音成分以外の別の周波数成分がより含まれることを意味していて、行ってみれば雑音成分が増えたということ。特に上下の真ん中付近が濃くなってつぶれているように見えますが(オレンジの枠)、G線を強く弾くとこの周波数帯の雑音が増えるのが分かります。そのバリバリとした雑音を多く含む音色によって、聞き手に力強さと共にゴジラという醜いゴツゴツした生物をイメージさせるのに適していると言えます。

 

ついでに、縦の周波数方向のデータ(黄色いところ)を抜き出してみると次のように(図3)もう少し分かりやすく比較できます。

比べてみると倍音のピーク列(針のようにとげとげ、倍音成分という)の間の非倍音成分が、赤い線の力強く押し付けてひいたときには大きくなっているのが分かりますね。ピークとその間の差をPeak-to-Noiseといい、この差がないと倍音成分が聞こえづらくなりノイズのざらざら感が感じられようになります。

 

 

図3 ヴァイオリンの弓の圧力の違いによるパワースペクトルの比較


単にノイズというとイメージが悪いですが、むしろ逆にゴジラという怪獣や、怪獣と戦うといった映画のイメージには適しているでしょう。

低い音域でノイズがあった音は、ゴツゴツしたとか荒々しいとか、緊迫感を出すのに適しているといえます。

それに、低音域を使うことでゴジラの大きさとか強さも表現できますね。

ふつう、人は大きい物体に対しては低い音や大きい音を連想しますよね。

例えば象とかを表現するのに、高くて小さい音楽はちょっとイメージ合わないですよね。

 

ここで、低い音ならチェロでもいいんじゃないのか?という疑問もあるかと思います。

テレビではこの点にも触れていて、結論的には同じ音域だとチェロの場合は、ヴァイオリンと異なり一番細いA線を使うことになります。そうすると、このA線はチェロの音色としてはブリリアントな張りのある音色となってしまって、ちょっとゴジラ的な重さと怖さを出すには、ちょっとメロディックになってしまいます。

もちろん、圧力をかけてゴシゴシ弾けばノイズ成分は増しますが…作曲家としてはオーケストレーションの常識上、そうは使わないですね。もしチェロを使うとしたらもう1オクターブ下げて、G線やC線の音域にします。


余談ですが、あとは、オーケストレーション(オーケストラの中での楽器の使い方)の面からになりますが、バイオリンからチェロまでみんながメロディーを引いてしまうと、伴奏のボンボンといったリズムがコントラバスだけになってしまい、そうなると強いリズム感が弱くなってしまいますね。
 

と、ここまでが放送された内容! (+追加の解説)

ですが、収録の時はもっといろいろネタがあったんです!( ;;)

だいぶ長くなってしまうので、次のブログにてそれを書きます。

 

Vienna Classical Music Composition Competition 2025 というコンペで賞をいただきました。

ということで、はるばるウィーンまで飛んで、リハーサルと本番、授賞式、そして飲み会まで(笑)こなしてきました。

 

そんなに大きいコンクールではないのですが本場のウィーンというのが良かったです。

たくさんの友達から、そして作曲の師匠からもおめでとう!と言って頂きました。みなさまのおかげです!!ホントに。

 

さて、作曲コンクールというと、だいたい現代音楽がターゲットなので、自分も大体は現代音楽的なものを提出してきました。しかし、今回、小職が書いた曲は完全なるクラシックでロマン派の作風で、しかも典型的な弦楽四重奏。

 

どうして、そんな曲を出したかというと、このコンクールの募集名称がClassicalとあるし団体の催す演奏会をWebとかでみると現代音楽をやってなかったんですよね。

 

それで、もしやこのコンクールは現代音楽ではなく、心地よい美しい音楽を御所望??、と思った次第なのです。ということで、過去に書いたロマン派作品を送ってみたら、賞をめでたくいただいた、という流れです。

下の画像のように、見ていただければお分かりかと思いますが、ベートーヴェンの後期やドボルザーク、シューベルト、ブラームスといったロマン派の手法です。自分も数多くの弦楽四重奏作品を演奏したり楽譜を見たり、そして編曲もしてきたので得意な分野ではあります。

 


テーマをヴァイオリンとチェロでひいたあとに、ヴィオラでちょっと哀愁ある短調のメロディに代わります。
クライマックスに向かって華やかにテーマをヴァイオリンがオクターブで演奏しますが、その裏で動くヴィオラがちょっとリズムが難しいかも。

ヴァイオリンのカデンツがあって、暖かな気持ちでJの前を引いていただけると良いかと。

 

この曲を書いた背景というかイメージですが、自分も含めた友人と開いたコンサートで演奏したときのプログラムノートを以下

に記します。

 

【曲目解説】

横山真男 弦楽四重奏のためのラルゴ

本作品の原点は8年ほど前にさかのぼり、娘の出生によるきっかけで作曲したものである(初演は2021年)。まだ人生半ばではありながらも山あり谷あり苦労があったなかで、親としての純粋な幸福感をそのまま表した作品。普段は前衛的で実験音楽を作曲することが多いのだが、その反動としてたまに古典的すなわち調性音楽を書きたくなる衝動に駆られることがある。ベートヴェンの後期作品やブラームス、ドヴォルザーク、チャイコフスキー…そしてシューベルトといった巨匠のテクニックとセンスを研究した習作でもある。

なお、偶然であるが本演奏会で再演することになったのちに、今月にウィーンで開催された作曲コンクールで第1位を受賞し、現地での演奏会も行われた。

 

【楽譜とか動画】

ということで、非常に明るく優しさとか喜びに満ちた雰囲気の曲になっていますので、前プロとかアンコールとか、演奏会・発表会で演奏してもらえたらうれしいです。

楽譜はUniversal Editionにて販売していますが、コンサートでの演奏に関しては著作権はとっていませんので無料です。

(楽譜もタダであげちゃってもいいのですが、、、メッセージを個別にいただければ応相談です(^^;

 

 

楽譜(パート譜&スコア)

Universal Edition (Vienna) 

 

音源(初演)

 

その他の横山作品 on Universal Edition

 

名曲アレンジから現代音楽までの小職の作品のリスト

 

どうぞご覧ください!

 

讃岐民謡と言えば全国区の「こんぴらふねふね」でしょう。

調べてみたら他にも讃岐地方にはいくつも民謡があり、

そして「こんぴらふねふね」にもバージョン違いがあることが分かりました。

この辺りは後半で書くとして・・・


8月の猛暑真っ盛り、高松(香川県)でアニバーサリーコンサート2025に行ってきました。

東京から家族で楽器持って馳せ参じたわけですが、

じいじ(義理の父、高松附属中の先生だった)の85歳を記念して、教え子が集まってコンサートが企画されまして、

小職が作曲、娘と嫁がソリスト、そしてじいじが指揮、という親子3代の共演というもの。

このアニバーサリーコンサートでは、他にもジャズがあり吹奏楽があり、かなり賑やかな楽しいイベントでした。

 

とりあえず、まずは小職がどんな曲を作って演奏してもらったのか。

 

「讃岐の民謡の主題による二つのヴァイオリンとオーケストラのための狂詩曲」

 

初演。1日しかないリハで、なんとか・・・なった?!

リハの音源と切り貼りして頑張って動画を作ってみました。

※演奏していただいた皆様、大変ありがとうございました!!

 

 

イベントのHP↓

 

さて、ここでは小職が書いた曲を解説をしようかと。

話しの最初は、じいじが、孫がバイオリンをやっているから何か1曲披露させたいといいだして、

それが徐々に話が膨らんで、祖父・娘・孫と3代の共演がいいんじゃないかとなり、

最終的にはブラスバンドもいるから(このメンバーがプロの方もいてまた素晴らしかったです)

えーい、オケをバックに協奏曲をやっちゃえ!

という結末。

 

それで、じいじの花道のために曲をこさえることになったのですが、

まあ、2本のバイオリン協奏曲といえばバッハやビバルディなどがポピュラーですが、

そういうのじゃぁ、せっかくの記念イベントにおいて、普通過ぎない?

と思ったわけです。

どうせなら、香川の民謡をテーマをつかって、めっちゃ盛り上がる協奏曲仕立てにしたいなと

イメージが膨らみ、

香川(讃岐)の民謡を探すことから始めました。

 

やっぱり、香川といえば、「こんぴらふねふね」ですね。全国区な曲は。

まずは歌詞はこれ。ご存じですよね。

♪ 金毘羅船々 追手おいて に帆かけて シュラ シュ シュ シュ

 まわれば四国は讃州さんしゅう那珂なかごおり 象頭山金毘羅大権現

 一度回れば    (日本民謡辞典より)

 

でも、この曲。

メロディにいくつかのバージョンがあるということが分かりました。

唱歌や芸者唄として歌われるものがたぶん一番なじみな方が多いのかと。

※下の動画をクリックすると音源があります(リンク切れでしたら申し訳ございません)

 

旋律の終わりがマイナーになるもの。

これは三味線の調律に由来するものなのか・・・
たぶん推察するに、もとは日本の陰旋法(マイナースケール)で歌い継がれたものが、いつした上の唱歌などのように

歌いやすくするように陽旋法(メジャースケール)に変えられたのかもしれません。

 

そして、3・4小節目がキーに対して3度か4度の違い。つまり、ハ長調ならミーソかファーソかの違い。

どうやら終いが陰旋法(上の例)で歌われているのならファになるのかもしれません。

香川県公式ページ↓の楽譜より簡素化して筆者が楽譜を起こしたもの

https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/14715/54_57.pdf

 

それで、小職はどうしたかというと、メジャーキーで始まるもののファーソで歌われ、

陰旋法で終わるというメロディーを採用しました。

 

この「こんぴらふねふね」はノリがいいので曲のラストに使うことにしました。

盛り上がってどんどんテンポアップしてウァー!!と一気に終わる。

ま、想像に難くないかと思われますね!

この時点で形式的には狂詩曲(ラプソディ)に決まりました。

 

じゃあ、前半に何を持ってこようかな・・・といろいろ探してみたものの、

Googleさんだと、悲しいことに金毘羅船船しか検索に出てこないではないかっ!

 

それじゃあ、ちゃんと調べなきゃと、香川県のHPを見たり民謡をいろいろ解説しているサイトをみたり、

 

いろいろ民謡辞典やら調べてみまして、次の2つに決めました。

 

一つは、香川の人はみんな盆踊りで知っているという「一合まいた」。

東京の人間には知られてないのですが、地元ではみんな知っているとのこと。

まさに、郷土の歌!!

「正調一合まいた」

 

もう一つは、宇多津に伝わる塩田の浜引唄という労働歌。

なんとも質素であるが伸びやかな歌がいい。西洋音楽にはないまさに自由リズムの旋律。

宇多津浜曳き歌

 

さて、素材はそろいましたが、そのまま「編曲」にしてはつまらないので、やはり作曲家たる人種の性(さが)でして、

オリジナリティを出すべく色々いじって再構成することは避けられないもの。

イントロは劇的に(ちょっと昭和SF映画っぽくなってしまった(^^;)、

 

メロディは伸び縮みして装飾的に、

ちょっと専門的な用語になるのですが、日本の伝統的音楽の特徴でもあるヘテロホニーの手法で2重のソロを書きました。

※ヘテロホニーは簡単に言うと、日本古来の伝統音楽に照らし合わせて言えば

 類似してというか派生してというか、だいたい同じだけどちょっと変えられて演奏すること

 雅楽や追分(江差追分とか)にみられる。スコアの左半分の中段にある2本のソロに適用。

 

音源はこのページのトップに動画があります。

スコアはこちらのリンクよりどうぞ。

 

初演版(ファゴットがいなかったためトロンボーンとバリトンサックスで演奏)

スコア:Raphsody for two violin and orchestra-orch-v0528premier-score.pdf

パート譜:Raphsody for two violin and orchestra-orch-v0528premier-parts.pdf

 

通常の2管編成版はこちら

スコア:Raphsody for two violin and orchestra-orch-v0528nomal-score.pdf

パート譜:Raphsody for two violin and orchestra-orch-v0528nomal-parts.pdf

 

以下:イベント時の曲目解説より

この作品は2本のヴァイオリンのための協奏曲として2025年の正月休みに書き上げた。香川県の高松で演奏されるとのことなので、題材は讃岐の民謡を用いることにした。そこでインターネットでいろいろ調べてみたが、案の定、「こんぴらふねふね」はトップに検索結果がでてくるし全国的にも知名度が高いのでこれをメインテーマに選定した。

次いで、他の民謡で何かヴァイオリンの演奏に向いたような民謡は無いかと探したが、これにはそれなりに長い時間を要した。ラプソディ(狂詩曲)というスタイルで書くことに決めていたが、ラプソディは通常いくつかの民族的な旋律で構成されることが多く、聞いていても飽きずに楽しめるというメリットもある。結局、題材に選んだのは「宇多津浜引き歌」と「一合まいた」であった。香川県西部に残るこの浜引き歌は、塩田で塩を作るのに馬鍬で海水を引き入れた砂を引く作業をするときの作業歌だそうである。追分風の素朴で心に染み入る歌である。一方、「一合まいた」は盆踊りの曲として地元ではなじみの曲であり、これも印象深い旋律である。本作品においては、かなりの現代的なサウンドにしているので元の曲とは少々イメージが変わっているように聞こえるであろう。しかし、これは編曲ではなくあくまでも元の曲を素材とした作曲であるので、この点はあらかじめ理をいれておきたい。

親子三代の共演と言うこともあり、小学生がソリストであることを考えると難しすぎるソロパートにはできず、また聞き馴染みが良く、演奏していても楽しい曲、といったコンセプトで書いた。

曲の構成は、イントロに続き「一合まいた」をゆったりと引き伸ばしたヴァイオリンのソロが始まる。オーケストラで盛り上がった後には「宇多津浜引き歌」が中間部となり、最後に「こんぴらふねふね」で賑やかに締めくくる。オーケストラは通常の2管編成であるが、本日は編成の都合でファゴットの代わりにトロンボーンとテナーサックスに直した版で演奏する。

 

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