1989年のThomsCook European Timetable (1989年6月号)の

日本語解説版)の今月のお知らせ(Newslines)のまとめです。

ブログ筆者の研究用のデータベースの公開という位置づけです。ご興味あればご参照ください。

 

※日本語版からの転記なので、ほぼ原文ママとなりますが、地名、列車名、都市名については、私のブログで平時使用している表現に修正している箇所があります。あらかじめご承知おきください。

 

 

  編集長から日本の読者にメッセージ

 

本号に載せられた時刻表は、ヨーロッパ大陸では1989年5月28日から9月23日まで、イギリスでは5月15日から10月1日まで有効です。しかしながら、校了時にスペインやポルトガルからは夏の時刻表の完全な情報を得ることができなかったので、これらこの国々の時刻は現地で確認してください。

 

ヨーロッパで今後増線される、いくつかの高速鉄道に関する計画が最近発表されました。フランスの高速路線は、1993年の開通をめざして、パリからリールを経由して海峡トンネルに至る本線と、リールからブリュッセルに向かう支線が開設されます。また、パリ〜リヨン間高速新幹線TGVは、リヨン・サトラス空港駅を設け、ヴァランスまで延長されることが発表されました。パリ・モンパルナス駅からル・マンに向かうTGVは1989年9月末に開通する予定で、その後トゥールまで運転区間が延長されます。一方、青と白の2色の車体をもつTGVアトランティック(大西洋線)の列車は、在来線で運転する予定です。スペインでは、現在建設中のマドリッド〜セビーリャ間を結ぶ新線が、従来のスペインの広軌1672mmからヨーロッパの標準軌間1435mmにあわせて建設される予定で、その他の路線も今後1435mmに転換されるでしょう。イタリアはローマからサレルノに向かう高速線の建設計画を発表しました。またイギリス国鉄は、ロンドンから海峡トンネルに通じる新しい高速線を建設しますが、この路線の開通は1993年のトンネル開通の3、4年後になることでしょう。このほかに高速線の建設を計画している国としては、西ドイツ、スイス、そしてスウェーデンがあげられます。

 

本号の時刻表からイギリスの時刻表におもな変更がみられます。日曜日の列車は、別表に示されるのではなく、週日に運転する列車の時刻表に統合されています。しかしながら、日曜日の列車が週日の列車にくらべて時間がかかるのは今までどおりです。

 

この夏は、12の列車が新しくユーロシティ(EC)として運転を開始します。ECの新しい路線には、パリ〜フランクフルト間、パリ〜ミュンヘン間、パリ〜ウィーン間、フランクフルト〜ブリーク間、フランクフルト〜ローマ間、バーゼル〜ローマ間、ドルトムント〜ブダペスト間、そしてミュンヘン〜グラーツ間が含まれます。さらに、まったく新しいタルゴ寝台列車、パブロ・カザルス号がバルセロナ、ジュネープ、ベルン間に運転されます。この列車は、1990年3月にはチューリヒまで運転区間が延長されます。

 

(以下、販売告知なので省略)

 

 

  今月号のお知らせ 〜前号(5月号)からの変更点〜

 

今月号は、ヨーロッパ大陸では1989年5月28日日曜日から9月23日土曜日まで、またイギリスでは5月15日月曜日から10月1日日曜日まで有効な夏ダイヤを載せてある。しかしながら、スペインのローカル線、ポルトガル、ブルガリア、ルーマニアそしてポーランドの時刻表は、枚了時に完全な情報を得ることができなかったので、改訂できなかった箇所もある。5月28日以降のおもな変更事項は次の通り。

 

Table10(ユーロシティ列車) ユーロシティ列車の数がふえたため、Table10がすべてのユーロシティ列車の時刻表を示すのではなく、然るべき国際線の時刻表のなかで、全線の時刻が示されていない列車のみにしぼることにした。全ユーロシティ列車のリストは69ページに載っており、各列車がどの時刻表で見つけられるかわかるようになっている。5月28日からは12本のユーロシティ列車が新設される。そのうちいくつかは従来の列車の名前が書き替えられ、ユーロシティ列車として格付けされたものである。すなわち、コロッセウム号(フランクフルト〜ローマ間)、フランツ・リスト号(ドルトムント〜ブダペスト間)、ギュスターヴ・エッフェル号ハインリヒ・ハイネ号(パリ〜フランクフルト間)、マンゾーニ号(チューリヒ〜ミラノ間)、マッターホルン号(フランクフルト〜ブリーク間)、モーリス・ラヴェル号(パリーミュンヘン間)、モーツァルト号(パリーウィーン間)、ラファエロ号(パーゼル〜ローマ間)、ロベルト・シュトルツ号(ミュンヘングラーツ間)、ヴェルターゼー号(ミュンスター〜クラーゲンフルト間)、そしてパブロ・カザルス号(バルセロナ〜ベルン間運転の夜行タルゴ列車で、寝台車のみの編成)。

 

Table11 クレベール号は廃止され、TEE列車は3本を残すのみとなった。すべてフランス国内で運転している。

 

Table12a カレー〜ルールド間の便は、運転期間が短縮され、カレー発は6月26日〜9月4日の月曜日と金曜日、帰路便は翌日運行となる。

 

Table12b フランドル・ルション号に併結されたカレー〜ポルト・ボウ間直通の寝台車は今年は金曜日のみ運転し(7月と8月は週3便)、セルベールからの帰路便は翌日に運行する。

 

Table13 カレー〜ヴェネツィア間直通のクシェット車は、パリでTGV北部路線の工事が行われるため、この夏は運行しない。ロンドンから、またはロンドンに向かう乗客はパリで列車を乗り換えなければならない。

 

Table14 カレー〜ミラノ間直通の列車は、上り下りとも運転時刻が早まり、夏の間カレー〜アンコーナ間で座席車とクシェット車を連結する。これは従来Table15に示されていカレー〜リミニ間直通の便にかわるものである。夏の週末に運転していたカレー〜インターラーケン間直通のクシェット車は廃止され、カレー〜インスブルック間直通のクシェット車に代わってオーステンデ〜インスブルック間直通のクシェット車が運転される。Table16参照。

 

Table15 カレー〜ローマ間直通の列車もまた、上り下りとも運転時刻が早まっており、また、冬期は運行しない。バーゼル発カレー行きの昼間の列車は8:21に発車し、時刻表はTable57に示されている。

 

Table16 この列車は列車番号が書き替えられ、夏の間毎日オーステンデ〜インスブルック間でクシェット車を併結する。オーステンデ〜ミラノ間を結ぶ直通車両は廃止された。

 

Table17 フーク・ファン・ホランド〜モスクワ間を結ぶ寝台車は、夏は毎日、冬は週4回運転していたのが、通年毎日運転するようになった。

 

Table18 オランダ・スカンジナビア急行はアムステルダムから発車するようになり、フーク・ファン・ホランドと連絡する便はなくなった。時刻表は、現在Table67に示されている。フーク・ファン・ホランド〜ベルリン間を結ぶ便はフーク・ファン・ホランドを7:11ではなく8:58に発車するが、ベルリンからの帰路便は、出航時刻の変更された船に連絡するため、運転時刻が早められた。

 

Table21,22 バイキング急行北西急行(ノール・ウエスト・エクスプレス)は、この夏はコペンハーゲン止まりとなり、ストックホルムと結ぶ直通車両は連結しない。

 

Table23 オーステンデ〜モスクワ間の寝台車は夏の時刻表の有効期間に毎日運行する。

 

Table24 ブローニュからナポリに向かう直通車両はこの夏は運転しない。このためロンドンから、またはロンドンに向かう乗客はパリで列車を乗り換えなければならない。

 

Table27 オーストリア急行はフーク・ファン・ホランドではなくアムステルダムを起終点として運転するようになり、シュトゥットガルト経由ではなくフランクフルト経由となる。ケルンでフーク・ファン・ホランドと結ぶブリタニア急行に連絡可能(Table69参照)。

 

Table30 この時刻表にはフーク・ファン・ホランド〜ケルン間を結ぶ2本の便が示されている。1本はローレライ号に代わるコロニア急行、もう1本はオーストリア急行のフーク〜ケルン間の直通車両に代わるブリタニア急行である。午前便はフーク・ファン・ホランドを以前より遅い8:00に出発し、ケルンではエラスムス号に連絡しない。

 

Table33 ヴェニス・シンプロン・オリエント急行は真夏の間と、今年は10月19日〜11月11日にヴェネツィアではなくウィーン行きに変わる。

 

Table36 ブリュッセル〜ローマ間を結ぶ便(Table63参照)は、リビエラ急行の一部としては運行しなくなり、リミニと結ぶ車両はオランダ・イタリア急行にとって代わられた(Table68参照)。

 

Table39 7月15日から8月23日まで、パリ〜フランクフルト間を結ぶ寝台車は運転しない。

 

Table43 ドルトムント〜メラーノまたはアンコーナ間を結ぶ夏の列車はアムステルダムと結ぶ車両を連結しなくなった。

 

Table46 ヴェネツィア〜アテネ間で週2回、再びギリシャの寝台車が運転する。モスクワ〜アテネ間を結ぶ寝台車は夏期を通じて再び毎日運転する。

 

Table47 モスクワ〜フランクフルト間を結ぶ直通の寝台車は週5便に増便され、従来どおり週2回ベルンまで、また週2回ジュネーブまで運転区間が延長される。

 

Table51 予告されていたポーツマス〜ル・アーブル経由ロンドン〜パリ間を結ぶ直通便は運行しなくなった。しかし、Table51には引き続きニューヘイブン〜ディエップ経由ロンドン〜パリ間の便に加えて、ポーツマス〜パリ間の便が示されている。ロンドン〜ニューヘイブン間のボート・トレインは現在ノンストップで運転している。

 

Table52 オーステンデ経由ロンドン〜ブリュッセル間の夜行便は5月28日から9月22日まで運行し、ケルンと結ぶ列車に連絡する。Table62参照。

 

Table54 パリ〜ニース間を結ぶ13:24発の列車は夏の間毎日運転する。一方15:05発の便は6月23日〜9月3日のみ運転する。

 

Table55 パリ〜ブリンディシ間を結ぶパルテノン号は6月23日〜9月9日に運転、ブリンディシ〜パトラス間の船に連絡する。

 

Table57 カレー~バーゼル間を結ぶ2便は時刻と列車番号が書き替えられ、カレーを15:56と20:00ではなく14:30と17:15に発車する。したがってロンドンからの連絡便は9:00、12:00発となっている。バーゼルからカレーに向かう便は5:00と8:21発となっている。

 

Table61 カレー〜バーゼル間の便の変更により、ロンドンまたはカレーからザールブリュッケン、マンハイム、あるいはダルムシュタットに向かう乗客が、パリを避けてメッスで乗り換えられるようになった。この時刻表にはこれらの連絡が付け加えられている。

 

Table63 ブリュッセルとイタリアの各駅を結ぶ便のダイヤは書き替えられた。ブリュッセル〜ローマ間の便(294/295列車)は運転時刻が早められ、またブリュッセル〜リミニ間の便に代わるものとして、ブリュッセルからミラノ、アンコナに向かう便が新設された。

 

Table64 季節列車であるオーステンデ〜メラーノ間直通のクシェット車(オーステンデ金曜日発)はボルツァーノより先がメラーノではなくヴェローナと結ぶよう変更された。ユーゴスラビア急行は夏の間フランクフルトではなくドルトムントから発車するよう運転区間が延長された。

 

Table65 ヘラス急行は夏の間アッティカ号にとって代わられ、ミュンヘン〜アテネ間を運転し、運転時間が短縮される。ミュンヘンの発車時刻は早まり19:24発となり、また寝台車とクシェット車のみの編成となる。

 

Table66 ハリッジ〜フーク・ファン・ホランド間を結ぶ船に連絡するロンドン発ハリッジ行き列車の発車時刻は10分早くなっている(船は今年前半に時刻が変更された)。フーク・ファン・ホランド〜アムステルダム間の午前便は、船の出航時刻変更の結果遅く運航するようになっている。また、アムステルダム〜フーク・ファン・ホランド間の夜行便は約40分早く運航している。

 

Table67 アムステルダムと結ぶオランダ・スカンジナビア急行のルート変更にともない、フーク・ファン・ホランド〜コペンハーゲン間直通の昼行列車はなくなるが、オスナブリュックでフーク・ファン・ホランド〜ベルリン間の昼行列車とメルクール号への連絡が可能。

 

Table68 オランダ・イタリア急行は運転区間がアムステルダム〜ローマ間からアムステルダム〜リミニ間(冬期はヴェンティミリア止まり)に変更された。これはリビエラ急行のリミニと結ぶ直通車両に代わるものである。アムステルダムとスイスを結ぶ夜行便は、列車番号が書き替えられ、スイス急行(シュバイツ・エクスプレス)と名付けられた。

 

Table71 真夏の間(6月21日〜9月1日)には、ドルトムント発ポルト・ボウ行きの便はより遅い時刻に運転し、セルベールからの帰路便はより早い時刻に運転する。

 

Table80 マルメ〜ベルリン間において、夏期列車を追加運転する。この列車は、従来ザスニッツ急行に連絡されていたマルメ〜ブダペスト〜ベオグラード間の直通車両を併結する。

 

Table87 コルビナ号はベルリン〜ブダペスト間に新設される夏期列車。

 

Table104 カレー〜バーゼル間を結ぶ便は、ティオンヴィルには停車しなくなったが、アヤンジュでティオンヴィルと結ぶバスに連絡する。

 

Table150 1988年夏の土曜日に運転したリールーニース間のTGV列車は廃止された。

 

Table172 パリ〜ストラスブール間の列車のダイヤは完全に改訂され、列車番号も書き替えられた。ストラスブール〜ケール間を結ぶ列車は現在Table670に示されている。

 

スイス スイスの項、特にレーティッシュ鉄道と関連路線の時刻表番号が書き替えられた。Table269(クール〜サン・モリッツ)は現在Table270に、またブリーク〜クール間の時刻表はTable315から300に変わり、従来Table280に示されていたブリーク〜ツェルマット間の路線の時刻表もここに統合した。

 

イタリア イタリア国内の多くの便の時刻が変更され、列車番号も変わった。インターシティ列車がジェノヴァ、ピサ経由トリノ〜ローマ間(Table355参照)で運転を開始し運転時間が短縮された。これらの列車には追加料金が必要。

 

スペイン スペイン国内の多くの列車に関して、校了時に時刻表を得ることができなかった。ただし、国際列車と主要幹線については改訂してある。5月28日より、マドリード〜リスポン間を結ぶ昼行列車がリスボアタルゴ号と名付けられる。マドリード・チャマルティン駅、リスボンともに、発時刻は従来より約3時間遅れる。マレ・ノストルム号(ポルト〜アームルシア間)はカルタヘナまで運転区間が延長され、ポルト・ボウからヴァレンシアに向かう季節列車1464/1467は、アリカンテではなく、クエンカ経由マドリードまで運転区間が延長される。サラマンカ〜イルン間を結ぶ列車は、現在運行時刻が約4時間遅くなり、パリ行きの夜行列車に連絡するようになっている。アンダイヤとセルベールに向けてアルヘシラスを23:00に発車するメディナ・ルナ号は、マドリッド市を横断するルートをとらず、引き続きマドリード近郊を通って運転する。したがってセビーリャ、マラガ、グラナダかパリに向かう乗客は、アランフェスで9:45発のこの列車に乗り換えるほうがいい。

 

ポルトガル ポルトガルの夏ダイヤに関する情報は校了時に得られなかった。

 

スウェーデン エーデボリ〜ストックホルム間で急行列車が増設される。夏のみ運転していたマルメ〜ナルヴィク間直通列車は、今年は運行せずノスエNässjoで列車を乗り換える必要がある(Table472参照)。オスロ発ストックホルム行きの午後の列車は1時間早く運転し、オスロを15:54ではなく14:55に発車する。オスロ〜マルメ間、ストックホルム〜エルンスケルズピックÖrnsköldsvik間の寝台車は廃止され、ストックホルム〜カールスクローナ間を結ぶ車両は、現在クリスチャンスタット止まりとなっている。スウェーデンのほとんどの列車は、少しずつ時刻が変更されている。またオスロ〜ストックホルム間の列車では、スウェーデン内で食堂車の営業が再び開始された。マルメ〜スンズバール間を結ぶ直通列車は、マルメ〜ストックホルム間、ストックホルム〜スンズパール間を運転する別々の列車に分割された。

 

ノルウェー オスロ西駅は5月28日より閉鎖されTable482、488に載せられていたすべての列車は、現在オスロ中央駅から発着している。オスロ〜ベルゲン線の列車は、603、604列車を除いて現在ドラメン経由となっている。

 

イギリス 今月号からイギリス国内の観光用鉄道を列挙した時刻表Table603を新たに掲載している。

 

西ドイツ いくつかの時刻表の番号が変わったので、ザールブリュッケン付近のダイヤに注意のこと。一方アーヘン〜ハーゲン間の列車は現在Table630に示されている。Table671は670に統合され、ストラスブール〜シュトゥットガルト間の時刻表となり、Table688は678に統合された。ストラスブール〜オッフェンブルク間で新しく定時間隔列車が運行を開始した(Table670参照)。2時間おきに運転するこの便はメトロ・ライン(Metro Rhein)と名付けられた。

 

オーストリア Table751はTable750に統合され、いくつかの小さな時刻表の番号が変更された。

 

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