1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、59回目は、ハインリヒ・ハイネを取り上げます。なおTEE列車時代についてはこちらでもまとめております。よろしければご覧ください。

 

 

EC Heinrich Heine

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

クリスチャン・ヨハン・ハインリヒ・ハイネ(1797~1856)ドイツの詩人、作家、ジャーナリスト

 

19世紀に活躍したドイツの有名な詩人・ジャーナリストの名前は、1979年5月27日から1983年5月27日まで、フランクフルト - ドルトムント間のDB(西ドイツ国鉄、ドイツ鉄道)国内TEE列車(TEE 28/29)で初めて使用された。その後、1985年6月2日から1989年5月27日まで、フランクフルト - ハンブルク・アルトナ駅間のインターシティ列車 IC 608/609がハインリヒ・ハイネ号として運行された。1989年5月28日からは、フランクフルトとパリ東駅を結ぶ新列車 EC 58/59 (元D 258/259) に名称が変更された。SNCF(フランス国鉄)客車で編成されたEC 59は、パリ東駅発6:58(日曜日運休)で、メッス、フォルバッハ、ザールブリュッケン、ホンブルク、カイザースラウテルン、ノイシュタット(ヴァインシュトラーセ)、ルートヴィヒスハーフェン、マンハイム、ダルムシュタットを経由してフランクフルト中央駅着13:13(逆方向のEC 58:フランクフルト発16:49→パリ着23:11、土曜日運休)。土曜日は、EC 58の代わりにIC 758がザールブリュッケンまたはパリまで運行。

日曜日はEC 59の代わりにIC 759がザールブリュッケン発のみ運行。なお IC 758/759はハインリヒ・ハイネ号を名乗って運行されていた。

 

1991年6月2日から、ハインリヒ・ハイネ号は、SNCF客車を使用して運行区間をドレスデンまで延長され、ユーロシティ ゲーテ号と列車番号と時刻表の位置を交換した。フランクフルト以東の停車駅は、フルダ、ベブラ、エアフルト、ライプツィヒ、ドレスデン・ノイシュタット駅(EC 56:ドレスデン発7:33→パリ着21:02)。つまり、EC 56/57は1,170kmのルートを13時間以上かけて走行した。1993年5月23日からは、それまでのSNCFコラーユ客車に代わり、DB車両が使用されている。

 

(ドレスデンへの延長運転から)その4年後、1995年5月28日からは、さらに運転区間がプラハまでに延長された。フランスとチェコの首都を結ぶハインリヒ・ハイネ号の所要時間は1日約14時間半(EC 57:パリ東駅発8:54→プラハ本駅着23:16、EC 56:プラハ・ホレショヴィツェ駅発6:31、パリ東駅着21:05)で、ドレスデンとプラハの間の途中停車駅は、ウースチー・ナド・ラベム、ジェチーン、バート・シャンダウである。

 

1997年9月28日より、ユーロシティ ハインリヒ・ハイネ号ゲーテ号が、再び列車番号と運転区間を相互交換した。パリ - プラハ線がゲーテ号となる一方、EC52/53 「新」ハインリヒ・ハイネ号は、フランクフルトからの朝の接続(EC 52 フランクフルト発7:26→パリ発13:42着)と、パリからの夕方の接続(EC 53 パリ発17:16→フランクフルト着23:14)を、改装されたコラーユ客車(「コラーユ・プラス」と「ヌーベル・デコ」)が運用に就いた。その後特筆すべき動きとして、2000年にそれまでのSNCF食堂車がDBインターレギオ向けのビストロ車両に置き換えられたことである。

 

2003年12月13日、EC 52/53はハインリヒ・ハイネ号の列車板を最後に掲げた。翌日(2003年12月14日)からは、無名のユーロシティ列車となり、2007年6月9日のLGV東ヨーロッパ線の運行開始に伴い、廃止された。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

1992年夏ダイヤ 

1等、2等の各コンパートメント車、1等、2等の各オープン座席車、食堂車、途中増解結なし。フランスの車両(コラーユ)のみ。

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)