町の本屋さん -11ページ目

幸せのありか

私達は会社ではメールで会話をした。
会社が終わったら私達はちょくちょく会った。
哲生は友達も多いせいか美味しいお店を知っている。
雰囲気はおじさん臭いお店だけど味は一級品。
見た目とは違う所は哲生みたい。
そんな所に連れて行ってくれるんだ。
私達はそんな店でご飯を食べて、そのまま家まで送ってくれる。
あれから何もない。
それだけ大事にしてもらってるのかな。
と自分では思っているのだけど。
それでも哲生は毎日電話をくれた。
仕事の愚痴だったり、テレビの話だったり。
「気を使って毎日電話しなくてもいいよ。」
と私が言うと
「声が聞きたいんだ。」と言ってくれた。
そういう一つ一つが私を安心させてくれるんだ。
だから私も哲生に応えようと思う。

幸せのありか

哲生の後ろ姿が見えなくなった頃、携帯が鳴った。
哲生からのメール。
『会社ではなるべくメールを使うようにしよう。
弁当、サンキュー。
今日のお昼が楽しみだよ。
今すぐにでも食べたいよ。』
だってさ。
怒ってないじゃない。
哲生らしい気の使い方だ。

幸せのありか

私は哲生が来るのを会社の前で待っていた。
こういうのっていかにも恋人ってかんじがするよね。
って一人で盛り上がったりしていた。
すると、遠くから哲生の姿がチラチラ見える。
哲生も私を見つけて走ってきた。
「おはよう。」
息を切らしながら哲生は言った。
「走ってこなくてもよかったのに。」
と私が言うと哲生はにっこり笑った。
「お弁当作ってきたんだ。よかったら食べて。」とお弁当を差し出すと哲生はそれを受け取り素直に喜んだ。
「本当に!ありがとう。どうせなら、一緒に食べようよ。」
「嫌だよ。会社の人に知られたら恥ずかしいじゃない。このお弁当も私からって言わないでよ。」
「いいじゃん、いずれバレるよ。」
「恥ずかしいよ。すごい冷やかされるんだから。お願いだからもう少し黙ってて。」
「はぁーい。」
哲生はつまらなそうに返事をして、早足で歩き出した。
「お先。」
あれ、怒ったのかな?
ちょっと心配になった。「哲生。」
と私が呼ぶと、こっちを振り返りもせず、手を振った。
怒らせたみたい。
なんだか哲生の態度が気になった。