「こいつで、今夜もイート・イット 〜アル・ヤンコビック物語〜」('22)
マイケル・ジャクソンの「今夜もビート・イット」のパロディ「今夜もイート・イット」などで知られる人気パロディ歌手アル・ヤンコビックの伝記映画です。主演はダニエル・ラドクリフ、共演はエヴァン・レイチェル・ウッド、リン=マニュエル・ミランダ、ジャック・ブラック、レイン・ウィルソン他。アル・ヤンコビック本人がトニー・スコッティ役で出演しています。
アル・ヤンコビックの伝記映画が作られるとの報道は、主演がダニエル・ラドクリフであることもあって、日本でもかなりありました。でも結局、日本では劇場公開されず。確かに日本では今の50代以上の人でないとアル・ヤンコビックのことなんて知らないだろうし、日本ではそこまでの人気ではないですしね…。
と思っていたのですが、実際に観てみて、日本で劇場公開されなかったのも納得 (^^;;;
確かにアル・ヤンコビックの伝記映画ではありますが、本人が脚本に加わっていることもあって、この映画自体が、彼お得意の「パロディ」だということ。つまり、実話も含まれてはいるのでしょうけれど、基本的には過剰な誇張とデタラメばかりだということ (^^;;;
アメリカでは彼のそういうノリが充分に知れ渡っているので、この内容で成立するんだと思いますが、そこまでの知名度のない日本では「何じゃこりゃ?!」としかならないでしょう (^^;;;
ただ、そのノリを知った上で観ても「面白いか?」と訊かれると「好みが分かれる」としか言えないかな (^^;;;
「しあわせの雨傘」('10)
1977年のフランスを舞台に、病気で倒れた夫に代わって雨傘工場の運営に乗り出したブルジョワ主婦が次第に自立した女性へと変身していく姿を描いた、フランソワ・オゾン監督によるドラマコメディ映画です。主演はカトリーヌ・ドヌーヴ、共演はジェラール・ドパルデュー、ファブリス・ルキーニ、カリン・ヴィアール、ジュディット・ゴドレーシュ、ジェレミー・レニエ他。
この映画が、舞台となっている1970年代末に公開されたのであれば、社会的な意味のある内容ですが、実際には21世紀に作られた映画。
主人公に都合が良すぎる話ですが、ドロドロしそうな内容を徹底して軽やかに爽やかに描いていて、あくまで「コメディ」として気軽に楽しむには充分な出来。
が、あまりに「軽い」ので観終わった後に本当に何も残らない。
「娯楽映画とはそういうもの」ですし、この映画に関してはそれでいいんだとは思います。
「クルーレス」('95)
ジェーン・オースティンの小説「エマ」をもとに、ビバリーヒルズに暮らす16歳のおしゃれ大好き女子高生を描いた青春コメディです。主演はアリシア・シルヴァーストーン、共演はステイシー・ダッシュ、ブリタニー・マーフィ、ポール・ラッド、ダン・ヘダヤ、ブレッキン・メイヤー他。
ジェーン・オースティンの世界を1990年代のビバリーヒルズに再現するアイデアは面白いし、原作のテイストをうまく残していると思います。
でも、この映画が公開された1995年はもう30年近くも前なんだなぁということを思い知らされた気分。
1995年当時に観ていれば、おそらく素直に楽しめたと思うんですが、今となって観ると、全てが古臭い…。しかも、古臭いだけじゃなく、不快感すら抱いてしまいます。
とりあえず、主演のアリシア・シルヴァーストーンの可愛さだけで何とか最後まで観ることができました。
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「刑事ヴィスティング〜悪がうごめく町〜」('21-'22)
元警察官ヨルン・リーエル・ホルストによる小説「ヴィスティング」シリーズを原作とし、ノルウェーの田舎町を舞台に繰り返される猟奇殺人事件に挑む刑事ヴィスティングを描いたサスペンスドラマシリーズ全8話です。主演はスヴェーン・ノルディン、共演はキャリー=アン・モス、テア・グリーン・ルンドバーグ、マッツ・オウスダル、キッレ・ヘルム、ハルヴァルド・ホルメン、ラーシュ・バルゲ、ヒャシュティ・サンダル、エヴリン・ラスムッセン・オサズワ、マッツ・ショーゴード・ペテルセン他。
「刑事ヴィスティング〜殺人鬼の足跡〜」('19) の続編となるシーズン2(全4話、2021年)とシーズン3(全4話、2022年)にあたる本作。基本的な構成はシーズン1と同じ。
扱う殺人事件は猟奇的で陰惨。そんな「派手」な事件だが、捜査自体はとても地味。しかし、その分リアル。
そして今回も主人公は特に際立って秀でた能力を見せるわけではないけれど、地道な捜査の積み重ねで事件解決に。
「傑作!!」というほどの出来ではなく、雑なところも目に付くのですが、北欧サスペンス好きなら充分に楽しめると思います。
とにかく、シリーズはまだ続きそうなので期待しています (^^)v
ところで、シーズン1では主人公を含めた登場人物たちにあまり魅力を感じなかったのですが、ここまで観続けていくうちに何となく親しみを感じるように。特に主人公の部下で親友でもある粗野な中年刑事ハンメルが今ではすっかりお気に入りに (^^)
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「ザ・フラッシュ」('23)
超高速で移動できるDCコミックのヒーロー「フラッシュ」の活躍を描いた冒険アクション映画です。主演はエズラ・ミラー、共演はサッシャ・カジェ、マイケル・キートン、ベン・アフレック、マイケル・シャノン、ジェレミー・アイアンズ、ロン・リヴィングストン他。
タイムトラベルにしろ、タイムパラドックスにしろ、描き方が雑すぎて全く筋は通っておらず、一貫して無茶苦茶なんだけれど、「そんなことどーでもいい!!」で突っ走っているあたりは流石アメコミという感じ。
古くからのDCコミック原作映画のファンにとっては、マイケル・キートンの活躍をはじめ、「お祭り映画」として楽しめるのが![]()
それだけで、この映画はOKなんですよ (^^)
ところで、どうでもいいことなんですけど、過去のシーンで父親役のロン・リヴィングストンが、若く見せるためか、変な髪型というか、あからさまに「かつら」なのが強烈なインパクト。笑わせるつもりなんでしょうけど、あまりの不自然さに目が釘付けになっちゃいました (^^;;;
「アラビアンナイト 三千年の願い」('22)
「アラビアンナイト」をモチーフに、ビンに封印されていた魔人が、ビンを開けてくれたナラトロジー(物語論)の専門家である女性に、3000年にも及ぶ自身の物語を語って聞かせるさまを描いた、ジョージ・ミラー監督による大人向けのファンタジーです。主演はイドリス・エルバ、ティルダ・スウィントン、共演はアーミト・ラグム、ニコラス・ムアワード、エチェ・ユクセル、マッテオ・ボチェッリ、ラッキー・ヒューム他。
魔神が自分の物語を語っているところまでは良かったのですが、なかなか「叶えて欲しい願い」を言わずにいたヒロインが、その願いを口にしてしまって以降は…。
その展開も悪くはないんです。
少なくとも1990年代の映画ならアリだし、むしろウケたんじゃないかと思います。
が、21世紀の今の女性の描き方としては微妙…。
最後の最後の捻りに21世紀らしさを感じなくもないですが…。
とにかく、華やかな映像で描かれる過去の物語たちの強烈なインパクトに比べて、終盤のぬるい展開にガッカリしてしまったのが本音。
「不思議の国の数学者」('22)
脱北し、韓国で素性を隠して警備員として働く天才数学者と、成績不振で挫折寸前の男子高校生との交流を描いたドラマ映画です。主演はチェ・ミンシクさん、キム・ドンフィさん、共演はパク・ビョンウンさん、パク・ヘジュンさん、チョ・ユンソさん、キム・ウォネさん他。
とてもとても「いい話」だと思います。
主演のキム・ドンフィさんの「普通っぽさ」も役に合っているし、何と言ってもチェ・ミンシクさんの演技が![]()
が、主人公の高校生に一方的に迫ってくる女子高生の「わざとらしいウザさ」をはじめ、個々のエピソードがことごとく嘘っぽい。「ありえない」とは思いませんが、「感動させよう」という意図が見え見えで作為的。それをチェ・ミンシクさんの演技で強引に押し切って誤魔化しているように見えちゃう。
このあたりは単なる趣味の問題で、気にならない人も多いとは思いますが、自分は気になって仕方なく、最後までイマイチ乗り切れませんでした。
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「ファイナル・インパクト」('22)
宇宙から小惑星が接近するとともに、流星群が宇宙ステーションと地上の都市を破壊する中、宇宙と地上で父娘が決死のサバイバルに挑む姿を描いたロシアのSFパニックサスペンスです。主演はアナトリー・ビェリー、ヴェロニカ・ウスティモワ、共演はアレクサンドル・ペトロフ、イェフゲニ・イェゴロフ他。
ハラハラもドキドキもしない、ただただイライラする映画でした。
1分1秒を争う状況でお涙ちょうだいシーンがいちいち挟み込まれるテンポの悪さ、主人公の父娘の言動の無茶苦茶さなど、ダメなところを挙げればキリがない。
ただ、娘が自宅から避難する8分ほどのシーンをワンカットで撮っていたのは見事。技術的に相当に難しいことをやっているはずで、このシーンだけでも観る価値は間違いなくあります。
ところで、宇宙ステーションからあらゆるネットワーク接続機器や監視カメラ、信号などが自由に制御できちゃうなんて、普通の国なら「ファンタジー」でしかないけれど、「ロシアならアリかも」と思わせるものはありますし、ロシア国民に向けては「こういうことができた方が便利でしょ?」と洗脳したい映画のように見えちゃう (^^)
「ジュリア(s)」('22)
ピアニストを目指していた女性が歩んだ現実の人生とありえた別の人生を交錯させながら描いたファンタジードラマ映画です。主演はルー・ドゥ・ラージュ、共演はラファエル・ペルソナ、イザベル・カレ、グレゴリー・ガドゥボワ、エステール・ガレル他。
パラレルワールドの世界を同じ時空間で描くので映像としてはとても分かりにくい。主人公の髪型や表情、主演のルー・ドゥ・ラージュの演じ分けで何とか分かるけれど、脚本に緻密さがなくて雑なのも一段と分かりにくくしてる。
それでも、フランス人の気質を表すのによく使われる「c’est la vie(セラヴィ=それが人生さ)」をそのまま表現したような様々な人生をストレートに見せられると、それがベタなものであっても、やはり心は動かされます。
手垢のついた題材なのでさほど期待していなかったのですが、予想外に楽しめました (^^)v
「セールス・ガールの考現学」('21)
ひょんなことからアダルトグッズショップの仕事を手伝うことになった女子大生を描いた、モンゴルの青春映画です。主演はバヤルツェツェグ・バヤルジャルガル、共演はエンフトール・オィドブジャムツ他。
何となく1970年代の日本の青春映画を観ているような気分に。
主演のバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルが昭和の清純派女優みたいなルックスで大胆なシーンを演じているところがそう感じさせるのかも。
ストーリー自体は王道の青春映画で新鮮味は特に感じないのだけれど、とにかく、あまり馴染みのない現代のモンゴルの都市部を舞台にしていること、そして主演のバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルの魅力、これだけで充分に楽しめちゃう (^O^)
特に、ダサくて見るからに鈍臭そうな主人公が後半にはすっかり垢抜けて可愛くなっていくのは定番だけれど![]()
ところどころで挟み込まれるミュージカルシーンはちょっとダサかったけれど、これもまた世界観には合ってる (^^)v
そんなわけで、予想よりはかなり楽しめました (^^)






