分娩の誘発……何故やる、何を使う、何に注意する?②
前回の続きをお話します。どのような妊婦さんに分娩の誘発を行うかのお話です。③妊娠高血圧症候群ざっくり言えば妊娠中に高血圧や蛋白尿が出現する状態です。BMIの高い妊婦さん、妊娠糖尿病、元来血圧が高いなど色々なハイリスク因子がありますが、何も素因が無い妊婦さんでも発症します。妊娠高血圧症候群のお母さんの身体の中(特に胎盤)では血管の内壁の障害が起こり、①透過性が亢進する→むくみ/タンパク尿が出る②微小血栓が出来る→血小板や凝固因子が低下する③血管が異常に収縮する→高血圧、子癇、胎盤早期剥離が起こると考えられています。このような状況では帝王切開をお勧めする事が多いですが、頸管熟化が十分に進んでいる妊婦さんならば分娩の誘発もありえます。ただしあくまでも胎児の状態が許せばです。妊娠高血圧症候群で胎児発育遅延(赤ちゃんが小さい)や羊水過少を伴っていることが多く、誘発を考えようにも胎児心拍モニターが不良で、帝王切開分娩を選択せざるを得ないことも多いです。④羊水過少症ここでは前期破水による羊水過少は含まれません。それまで正常量だった羊水が破水によって失われるのと妊娠の中期ぐらいから羊水量が徐々に少なくなっっていった場合とは、明らかな後者のほうが胎児へのストレスが慢性的かつ大きいものと考えられます。羊水過少はいくつかの原因があります。胎児発育遅延に伴う印象が強いですが、普通の大きさの赤ちゃんでも起こります。原因不明あるいは予定日を超えて生理的な羊水減少が進み過ぎた場合が臨床的に一番多いような気がします。羊水過少の際、例えば臍帯が圧迫され血流が遮断させる、あるいはもともと胎児の発育遅延があり、予備能が不足しており、陣痛や子宮収縮時に胎児心拍モニターが不良となることがあります。このような際もやはり帝王切開がお勧めされるのですが、頸管熟化が進んでいる妊婦さんなら分娩誘発も考慮されます。⑤巨大児が疑われる場合胎児超音波の精度が上がり、昔よりかなり正確に胎児の推定体重を測ることが出来るようになりました。近年の欧米での研究では推定体重が95パーセンタイル値(36週時3,500g、37週時3,700g、38週時3,900g)を超える際に分娩誘発を行った際が経腟分娩成功率が上がるとされています。勿論妊婦さんの骨盤レントゲンなどで児頭骨盤不均衡や狭骨盤が否定されていることが必要です。その他にも分娩誘発が必要になる事例は数多くありますが頻度的に多いのは①~⑤になるのではないでしょうか?一応日産婦の研修コーナーのURLも貼っておきます。(大分古いですが…)http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6006-113.pdf