実は本日もVBACのお産を立ち合ってきました。
私たちの病院は今や少数派のVBAC施行病院です。
正確に言えばTOLACを行って、成功したらVBACですね。
TOLACを行うための条件や成功率や子宮破裂の
可能性などを今ここで提示するつもりはありません。
だって、「VBAC」や「TOLAC」で検索すると山ほど
個人のブログや学会の論文、記事で情報を得る
ことが出来ますから…。
それらの記事を眺めていますと、一つ思うのが
妊婦さんの体型や体重増加、あるいは胎児の
推定体重や羊水量などの条件に言及し
た内容のものが少ないと思います。
例えば妊娠前BMIが35.0以上のTOLAC希望の
妊婦さんを、もろ手を挙げて引き受ける産婦人科
医師はいないと思います。
あるいは妊娠前BMIが正常範囲でも、妊婦健診の
度に体重が増え過ぎて例えば33~34週の段階で
+20㎏以上増加の妊婦さんに、どうぞどうぞと
TOLACを薦める産婦人科医師はいないと思います。
「太っている妊婦を差別しているのですか!」
と怒られるかもしれません。
けど違うのです、そのような妊婦さんは
帝王切開をしていない初産婦さんでも
あるいは経腟経験のある経産婦さんでも
妊娠中は妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になる
リスクあるいは分娩中は難産や微弱陣痛になる
可能性が高いからです。
そもそも初産婦さんだって、出来るだけ安産に
なろように我々や助産師さんは、日々の妊婦健診を
行っているのです。
体重の増加が著しい人なら、当然指導しますし、
血圧が高い人や尿蛋白が出てきている人には
塩分制限の指導などを行います。
高いリスクを伴うTOLAC希望の妊婦さんにも
当然安産になるように我々は指導しますし、妊婦さん
自身にもかなりしっかりとした自己管理をお願い
しなければいけません。
さて医療サイドもTOLAC希望の妊婦さんに対して
甘い診察をしていれば、妊婦さんと赤ちゃんに重大な
健康被害を起こしてしまうかも知れないのです。
VBAC失敗症例では赤ちゃんの出生体重が3800gを
超えていたりあるいは2000gも下回っている症例の
報告が目立ちます。
巨大児はTOLAC回避条件です。FGRは回避条件に
明記していないですが、そもそも初産婦でもFGRは
帝切になることが多い。さらにFGRにありがちな羊水過少
の有無などのデータは明記されていない報告ばかり
ですね。
ちゃんと超音波をしているのか?した上で有意差が
無かったのかは分かりませんが、我々産婦人科医も
しっかりと診察、診断を行い、TOLACを回避した方が
良い妊婦さんにはしっかりとその旨と根拠を伝えなけ
ればなりません。
産婦人科医としてTOLACを否定も肯定もしません。
ただ妊婦さんにそのリスクを背負わせる以上、
もっともっと細かいデータが必要だと思います。
そして適応基準と除外基準をもう一度検討しなおす
事が必要だと思います。
