産科的大量出血への対応②
分娩後の大量出血への対応については全国で色々なシミュレーションが行われ産婦人科医、麻酔科医、救急医、助産師、看護師などが参加、勉強しています。J-CIMELS(日本母体救命システム普及協議会)ALSO-Japan(周産期医療支援機構)PC3(ピーシーキューブ)このあたりが御三家で、全国各地でコースを開いています。私はJ-CIMELSのインストラクターをやっています。実は他の2つの内容について詳細は不勉強でよく知りませんが、まずは初期対応のスタートは酸素投与と生体モニター(血圧や酸素飽和度)電解質輸液の3つになります。さて自分の病院や産院を振り返ってみて、まぁいまどき点滴を行わずに分娩に臨む施設は皆無だと思いますが、その点滴の中身は電解質ではなく5%ブドウ糖であったりする施設も多いでしょう。あるいは生体モニターを装着したまま分娩に臨む施設も少ないと思いますし、母体の出血が多いからと言って母体に酸素投与を10リットルで行う施設も実際問題少ないのではないでしょうか?分娩はなんとなく産婦人科医と助産師の間の聖域となったブラックボックス的な印象で、正直他科の医師たちや、看護師さんからは全く想像出来ていない世界なのだと思います。こう言ったところをオープンにして、出来るだけ全国標準の対応治療を行うプロトコールを作成し、それを遂行してゆくことは非常に大事なことです。むしろ今まで産婦人科医は何をしていたんだ!とご非難を受けなければいけないと思います。加えて非常に大事なことは、出産前の妊婦健診時からの妊婦さんの出血リスクを見逃さないことが大切です。胎盤の位置異常であったり、筋腫の有無であったり 、妊娠高血圧症候群の際も出血が多くなりますし、巨大児の分娩の際も弛緩出血が起こりやすくなります。不規則抗体の有無は、いざ出血時に輸血を行う際に溶血のリスクなどがあるので、可能ならば自己血の貯血を行ったほうが無難になります。分娩後の母体救急の対応が標準化されつつあるので今度は妊婦健診時に妊婦さんの大量出血リスクを推定し前もってそれに対応できるよう準備を行えるようにしなければいけません。大事なことはそれを妊婦さんにもしっかり説明し医療者-妊婦間で協力しながら大量出血に立ち向かってゆくスタンスをとってゆくことと思います。