出典:こそだてハック

 

 

吸引・鉗子分娩は分娩全体の9~15%を

占めています。

以前にも示した通り吸引・鉗子分娩を行う

理由は日本産婦人科学会のガイドラインで

下記の様に明記されています。

母体側

①分娩第二期(子宮口全開後~児娩出まで)の遷延あるいは停止

②母体合併症(心疾患合併など)や母体疲労が重度のため分娩第二期

 短縮が必要と判断されるもの。

 

胎児側
③non-reassuring fetal status(NRFS,胎児機能不全)


一般に吸引は簡便で安全、鉗子は困難で児に
侵襲的と考えられていますが、産科医療保障制度の
判例報告では圧倒的に吸引分娩時の事例が多いと
されています。
これは吸引分娩がその簡便さ加減から、比較的児頭が
高位の状態から、何度もクリステレル圧出法を併用し、
児の状態が悪くなった上で挙句の果て帝王切開に
切り替わる事例が多いからだと説明されています。

鉗子分娩の際は、そもそも鉗子適位でないと
鉗子の両葉がうまく合致してくれません。

鉗子適位であれば、鉗子はスムーズに児頭に
かかり、余分な力は全く掛からず両葉を合致
させる事が可能です。
私は鉗子の両葉がすんなりと合致しない症例
では潔く鉗子分娩を諦めるというスタンスで
行っています。

また鉗子を挿入し、牽引する際は、児頭をぎゅうぎゅうに
挟み締め付けるという使い方はしません。
鉗子がスムーズに入ると、顎に引っ掛かっている状態に
なりますので、そのまま鉗子自身のカーブに沿いつつ
娩出の方向に引っ張るだけとなります。

鉗子が難しいと考える産婦人科医は回旋異常の
有無の判断、つまり内診が自信が無いのでしょうか?
かく言う私も、この年になっても内診で回旋の程度が
自信がない場合は超音波に頼ります。
超音波で分かる児頭の向いている方向と内診指での
矢状縫合の角度の情報をすり合わせて判断
します。

日本では伝統的に東大系の病院が鉗子が強く
それ以外では吸引の方が強いと言われています。

但し鉗子は明らかな少数派になってきていると
思います。開業医の先生方のところにはそもそも
吸引しかなく鉗子が無いという処もあります。

私も今まで吸引ばかりに頼ってましたが、
今務めている施設が鉗子を良く用いる病院なので
自然に慣れてきたと言うところです。

鉗子では出血量が多くなる、深部裂傷が多くなる
などの報告もあります。
これは、鉗子を使わなければいけない様な症例は
陣痛が弱くて進みが悪ければ当然弛緩出血が、
赤ちゃんが大きく育ちすぎてしまったり、母体の
産道にお肉が付きすぎたりしていれば、会陰切開部
だけでなく裂傷も出来るし、外陰や膣壁血種が
出来たりします。
鉗子が悪いのではなく、そもそも出血が多くなり
そうな難産な症例で鉗子の出番にならざるを得ない
のだと思います。

いつも思いますが、吸引や鉗子は使用しないお産が
一番良いのです。だから使用しないで安産になるように
するにはどうすれば良いか?
妊娠初期からの産婦人科医と助産師さんの指導と
妊婦さんの自覚と努力にかかっているのだと思います。