おそらく日本全国で最も使用頻度の高い
陣痛促進効果のある点滴製剤がオキシトシン
(アトニン)でしょう。
ただしこのお薬を全く頸管が開いていない
(=頸管熟化が不良な)症例で使用する事は
ありません。
前述した頸管開大処置や、数日間のプロスタグランジンE2錠の
内服による分娩誘発の後、十分に子宮口が開大してきてから
点滴投与を行うことが必要です。
オキシトシンは正常分娩の場合は、子宮口が全開大した
分娩第二期に体内血中濃度がマックスになります。
点液投与では、この分娩末期に類似した陣痛周期の
規則正しい、しっかりとした陣痛を起こします。
逆に言えば、分娩の誘発は子宮口が全開していない状態
から行うものですから、オキシトシンの点滴投与は妊婦さんに
とって非生理的な物であることを理解しなければなりません。
プロスタグランジンE2やPGF2αと違って禁忌が少ないことは
利点です。
賛否両論あると思いますが、VBAC/TOLAC(帝切後経腟分娩)
の際に用いる事ができる唯一の陣痛促進剤になります。
さて前述のとおり、このオキシトシン、子宮頸管熟化が不良で
全く陣痛のついていない妊婦さんに点滴投与することは
あまり多くないのではないかと思います。
どちらかと言えば、8~10㎝ぐらいで母体疲労による微弱陣痛
に対して点滴投与を行う場合が多いと思います。
これは分娩誘発とは違い陣痛促進と言います。
また分娩後の弛緩出血に対しても第一選択として使用される
治療薬です。
この微弱陣痛に対しての治療薬でもあるし、分娩後の弛緩出血
の第一選択薬である点が、妊婦さん達を混乱させている原因の
一つかもしれません。
さて、このオキシトシンと言うホルモンは体中各所でその受容体が
発現しますが、妊婦さんの場合は子宮、乳腺に多く発現します。
その受容体にオキシトシンが結合することで筋肉の収縮が
起きるのです。
さてこのオキシトシンの受容体は脂肪組織にも多く発現して
おり、BMIの高い妊婦さんの場合は妊娠末期に子宮への
オキシトシンの結合が阻害されるために陣痛が弱くなると
事が予想されます。
「arrest of labor oxytocin obesity」などで検索すると、
BMIの高い妊婦さんにより多くのオキシトシンが必要だったと
いう論文がたくさんヒットします。
我々もあまり陣痛促進剤は使いたくありません。
なので、使わないで済むように妊娠中からしっかりアドバイスを
行い、妊婦さんと助産師さんやその他のコメディカルのスタッフ
とチームを組んで、出来るだけ自然なお産で安産に産まれるよう
努力しています。
