「デッド・ドント・ダイ」　★★★～嫌いじゃないけどシュール過ぎ

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2020』の掲載にあたって」

嫌いじゃないけどシュール過ぎ ★★★

（2019年／アメリカ／104分／The Dead Don't Die） 【　脚本・監督　】 ジム・ジャームッシュ【　出演　】

ビル・マーレイ

アダム・ドライバー

ティルダ・スウィントン

クロエ・セヴィニー

スティーヴ・ブシェミ

ダニー・グローヴァー

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

ロージー・ペレス

イギー・ポップ

サラ・ドライヴァー

RZA

キャロル・ケイン

セレーナ・ゴメス

トム・ウェイツ

オースティン・バトラー

エスター・バリント

【あらすじ】

　アメリカの田舎町センターヴィル。

　その町の警察署に勤務するロバートソン署長、ピーターソン巡査、モリソン巡査は、町民たちのどうでもいい苦情に対応しながらも平和な日々を過ごしていた。

　しかしある時、ダイナーで働いているウェイトレス二人が変死したことで事態は一変、次々と墓場から死者が蘇り、瞬く間にゾンビが町に溢れ町は大混乱に。

　この事態を何とかしようと、署長たちは奮闘するが―

【コメント】

　さて、映画館が再開し、新作も続々と公開されている今日この頃。公開延期となっていた作品もやっとこさの解禁となっておりますが、今回鑑賞したのは、そんな公開延期の憂き目にあっていた奇才ジム・ジャームッシュ監督によるゾンビ映画である本作。

　ゾンビ映画大好きな僕としては、当初から観ようと思っていた作品ですが、ネットのレビューは軒並み低評価。名の知れたジム・ジャームッシュ監督ともあろう作品がなぜにこんな低評価なのかと、劇場鑑賞をちょっと躊躇はしたものの、いやこれはやっぱり観ないわけにはいかないと「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　なるほどね、低評価の理由が何となくわかりました。僕は嫌いじゃないですが、あまりにもシュール過ぎるゾンビコメディでしたね。突如として増殖したゾンビから逃げ回るという王道のハラハラドキドキの怖さは全くもって皆無、全編に渡ってシュールな笑いが展開する作品でしたが、劇場はクスリとも笑いが起こっていなかったのがこれまたシュールでしたが。

　展開の中には、署長と巡査の会話にある「悪いことが起こる」「なんでだ？」「台本にそう書いているから」「ジムのやろう、長い付き合いなのに」といったメタ的なシーンが長々とあったり、日本刀を振り回してゾンビをなぎ倒していく変わり者の女性が、突如現れたUFOに吸い込まれ飛び立っていくシーンがあったりと、ジャームッシュ監督の製作意図の理解に苦しむようなシュールな展開がてんこ盛りで、そりゃあ「なんだこれ？？？」と感じてしまうのも無理はありません。

　アダム・ドライバー演じる巡査のスターウォーズネタは唯一笑いが起こったシーンですが、とにかく、かなりのクセをもったシュールな映画なので、こういった映画を許容できない人にはお勧めできません。

　そんなわけで、あまりにもシュール過ぎたジャームッシュ監督のゾンビコメディでしたが、単なるゾンビものではなく、監督なりのメッセージは受けて取れましたね。

　コーヒーを求めてさ迷い歩くゾンビ、はたまたWi-Fiを求めさ迷い歩くゾンビ、香水を求めるゾンビなど、おそらくは多様化した物の固執して、物質に振り回されさ迷い歩く現代の人間を皮肉っているんじゃないかと感じましたね。ジム・ジャームッシュ監督には、そんな人間たちが実にシュールに見えてるんじゃないかと思います。

【2020年度 Myランキング】（6/4時点）

　本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

　最近ギターの練習にいそしむ毎日。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：1917 命をかけた伝令 ★★★★★

　　２位：ミッドサマー ★★★★

　　３位：Fukushima 50 ★★★★

　　４位：パラサイト半地下の家族 ★★★☆

　　５位：AI崩壊 ★★★☆

　　６位：ジョジョ・ラビット ★★★☆

　　７位：フォードvsフェラーリ ★★★☆

　　８位：リチャード・ジュエル ★★★☆